「子どもがDiscordで友だちと通話しているけれど、危なくないのだろうか?」
「アカウント乗っ取りや詐欺DMが多いと聞いて不安…」
このような不安から「discord 危険性」と検索される方は多いです。
本記事では、Discordの危険性を技術的なリスクと人間関係・コンテンツのリスクに分けて整理し、保護者・一般ユーザー・サーバー運営者それぞれがそのまま真似できる安全設定チェックリストと運用ルールをまとめました。
まず押さえたい:Discordはどんなサービスで、なぜ「危険」と言われるのか
Discordの基本機能と特徴(チャット・通話・サーバー構造)
Discordは、テキストチャット・音声通話・ビデオ通話・画面共有などができる無料のコミュニケーションアプリです。ユーザーは「サーバー」と呼ばれるコミュニティを作成・参加し、その中の「チャンネル」で会話します。
テキストチャンネル:文字・画像・リンクなどのやり取り
ボイスチャンネル:複数人での通話・画面共有
DM(ダイレクトメッセージ):1対1または少人数での個別チャット
もともとはオンラインゲームのボイスチャットとして広がりましたが、現在は勉強会・オンラインイベント・副業コミュニティなど、用途は多岐にわたります。
他のSNSと比べたときの特徴とリスクの違い
他のSNS(LINE・X・Instagram等)と比べたDiscordの特徴は、次のように整理できます。
公開サーバー文化
誰でも招待リンクから参加できるサーバーが多く、不特定多数とつながりやすい。
匿名性とクローズド性の両立
本名不要・IDベースで利用できる一方、サーバー単位では閉じた空間になりやすい。
Botや外部連携が豊富
音楽再生Bot、ログ取得Botなど便利なツールが多いが、悪用されると被害も広がりやすい。
このような構造により、次のようなトラブルが起きやすくなります。
招待リンクやDM経由で、見知らぬ人とつながってしまう
閉じたサーバーで、いじめやハラスメントが見えにくい
外部リンクやファイルを通じて、マルウェアが広がる
「危険」「安全」の両方の声がある理由
Discordは「とても便利で、きちんと設定すれば安全に使える」という評価と同時に、「子どもには危険」といった声もあります。これは、
使い方や設定次第で、安全性が大きく変わるツール
だからです。セキュリティ対策やプライバシー設定を適切に行えばリスクは大きく下げられますが、初期設定のまま公開サーバーやDMを無制限に使うと、トラブルに巻き込まれる可能性が高まります。
Discordでよくある8つの危険性
ここからは、実際に報告されている代表的な危険性を8つに分けて解説します。
マルウェア・フィッシングリンクによる被害
概要
Discord上で送られてきたリンクやファイルに、マルウェア(ウイルス)が仕込まれているケースがあります。
偽の「Nitro無料配布」「プレゼント」「ゲーム特典」などを装って、外部サイトに誘導されることもあります。
起こり得る被害
パソコンやスマホにマルウェアが感染
Discordや他サービスのログイン情報が盗まれる
勝手にDMが送られ、被害が友人にも広がる
予防策のポイント
知らない人から送られてきたリンク・ファイルは開かない
「Nitro無料」「ギフト」などの甘い誘いはまず疑う
公式のURL(discord.com / discord.gg)以外のログイン画面には情報を入れない
セキュリティソフトを導入し、定期的にスキャンする
アカウント乗っ取り・不正ログイン
概要
弱いパスワードや、フィッシングリンクへのログインにより、Discordアカウントが乗っ取られるケースが多く報告されています。
起こり得る被害
勝手にDMが送られ、詐欺・スパムの拡散に利用される
参加中のサーバーが荒らされる・BANされる
メールアドレスやチャット内容などの情報が流出する
予防策のポイント(必須レベル)
12〜16文字以上・英数字記号を組み合わせた強力なパスワードにする
他サービスとのパスワード使い回しをやめる
“二要素認証(2FA)”を必ずオンにする
不審なログイン通知が来たら、すぐにパスワード変更と全端末ログアウトを実施
画面共有や外部連携による個人情報漏洩
概要
画面共有時に、通知ポップアップやデスクトップ全体が映り込み、名前・住所・学校名などの情報が見えてしまうことがあります。
Spotifyやゲームアカウントなどの外部サービス連携を通じて、「いつ・何をしているか」といった生活パターンが知られることもあります。
予防策のポイント
画面共有は「特定のアプリ」だけを共有し、デスクトップ全体は極力避ける
通知表示はストリーマーモード等でオフにする
外部連携は必要最小限にし、公開範囲をサーバーごとに見直す
未成年への性的勧誘・出会い目的の接触
概要
公開サーバーやゲーム関連のサーバーから、未成年に対して個別DMで声をかけ、性的な画像・動画の要求や、オフラインで会う約束を迫るケースが世界的に問題になっています。
起こり得る被害
不適切な画像・動画の送受信
なりすまし大人からの「相談に乗る」ふりをした接近
住所や学校名などの個人情報を聞き出される
予防策のポイント(特に子ども向け)
見知らぬ人からのDMは受けない設定にする
「顔写真」「制服姿」「自宅周辺」などの画像は一切送らない
少しでも不快・怖いと感じたら、親や信頼できる大人に必ず相談する
暴言・いじめ・ハラスメント
概要
クローズドなサーバー内で、特定の子どもに対する悪口・排除・暴言などが継続的に行われると、いじめに発展する危険があります。
予防・対処のポイント
子どもが「Discordのメンバーやサーバーの話をしなくなった」「急に通話を嫌がる」などのサインがあれば注意する
侮辱的なメッセージはスクリーンショット等で証拠を残す
サーバー管理者への相談・Discordへの通報を検討する
詐欺DM・ギフト・投資・ギャンブル勧誘
概要
「Nitroが無料でもらえる」「プレゼントに当選した」「投資案件で簡単に増やせる」などのDMは、基本的に詐欺と考えるべきです。
予防策のポイント
金銭・暗号資産・ギフトコードに絡む話は、まず疑う
Discord外のサイトでアカウント連携や決済を求められたら離脱する
不審なDMは開かずに削除し、必要に応じてブロック・通報する
違法・過激コンテンツへの接触
概要
一部のサーバーでは、違法なファイル共有や過度に暴力的・性的なコンテンツが扱われることがあります。未成年がそうしたサーバーにアクセスするリスクも指摘されています。
予防策のポイント
年齢制限のあるサーバーには参加させない
保護者は、参加サーバー一覧を定期的に一緒に確認する
不適切なサーバーを見つけたら、速やかに退出・ブロックする
通話・ビデオ通話・録音・盗撮リスク
概要
通話やビデオ通話の内容は、相手側で録画・録音されている可能性があります。
顔出しや部屋の様子が映ることで、居住地域や生活状況が推測されることもあります。
予防策のポイント
顔出しは、本当に信頼できる相手に限定する
部屋の背景には、学校名や住所がわかるものを映さない
重要な話は、通話ではなく保護者同席で別の手段を検討する
子どもが使うときの注意点:年齢制限と親が把握すべきポイント
利用規約上の年齢制限と、実際の利用状況
Discordは原則13歳以上を対象としたサービスであり、未成年が利用するには保護者の同意が必要とされています。
一方で、実際には年齢確認が厳密ではないため、小学生〜中学生でも簡単にアカウントを作成できてしまう状況があります。
「禁止」だけでは守れない理由
完全に禁止することも一つの選択肢ですが、現実には以下の問題があります。
友人・クラスメイトがDiscordを使っている場合、子どもだけ参加できない疎外感が出る
スマホやPCがあれば、保護者の目の届かないところでアカウントを作ることも可能
禁止されているために、トラブルが起きても親に相談しづらくなる
そのため、多くの場合は
「使い方と設定にルールを決めたうえで、親子でコミュニケーションを取りながら使わせる」
という現実的なアプローチが有効です。
親が最低限チェックしておきたいサイン
急に夜更かしが増え、通話やチャットをやめたがらない
「サーバー」「通話メンバー」について聞くと、極端に話したがらない
端末の画面を見られることを異常に嫌がる
気分の落ち込みや学校への行き渋りが続く
これらはDiscordに限らずオンラインいじめ・性被害などのサインである可能性があります。気になる変化があれば、責める口調ではなく、「何か困っていることはない?」と穏やかに話を聞く姿勢が重要です。
まず最初にやるべき安全設定チェックリスト
ここからは、実際に設定すべき項目をチェックリスト形式でまとめます。
(※設定名・場所はアプリのバージョンによって変わることがあります)
共通の必須設定(全ユーザー向け)
最低限、以下は全ユーザーにおすすめです。
強力なパスワードに変更した
二要素認証(2FA)をオンにした
「不明なデバイスからのログイン通知」をオンにした
プライバシー設定で、
フレンド以外からのDMをオフ、またはスキャンを最も厳しく設定
参加中サーバーを見直し、不明・不要なサーバーから退出した
子ども向けおすすめ設定プリセット
中高生を想定した設定例です(親子で一緒に設定してください)。
フレンド追加は「実際に知っている友だち」のみに限定する
フレンド以外からのDMをオフ
「不適切なコンテンツを自動的にスキャンする」設定を最大レベルにする
年齢制限のあるサーバー(NSFW等)には参加しない
画面共有は原則オフ、どうしても必要な場合はアプリ単体のみ
プロフィールに本名・学校名・住んでいる地域を書かない
一般ユーザー向け・プライバシー重視の設定
「今プレイ中のゲーム」表示をオフにする(生活パターンが推測されないように)
外部サービス連携(Spotify、ゲームアカウント等)を最小限にする
公開サーバーは、運営者が明確で、ルール・モデレーションがしっかりしているところだけに絞る
サーバー運営者向けの権限設計とBot導入時の注意
管理者権限を持つロールは最小人数に限定した
Botに管理者権限を丸ごと与えない(必要な権限だけ付与)
新規メンバーの権限を制限し、段階的に解放する設計にした
招待リンクに「有効期限」と「使用回数上限」を設定した
モデレーション用チャンネルを用意し、通報・報告を集約できるようにした
Discord公式の安全機能と、上手な活用方法
チャットの制限
個人の設定で、送られてくるメッセージのスキャンをすることができます。
安全第一、フレンドなら大丈夫、スキャンしないの3段階から設定できます。
一番安全なのは安全第一なので不安な人は設定しましょう。
また、サーバーにいるメンバーからのダイレクトメッセージを許可するはフレンド以外からチャットが来ることもありますのでオフにしておくのがセキュリティ上おすすめです。
安全第一でも、知り合いからのファイルやURLには注意しましょう。
AIによるスキャンだけでは防げないこともあります。
DiscordではURLをクリックする際に外部リンクで信頼できますか?という表示が出るのでしっかり確認してください。
二段階認証の実施
乗っ取り被害を抑えるものが二段階認証になります。
SMS(電話番号)とスマホのGoogle二段階認証によりセキュリティを上げることができます。
二段階認証を使用することで自分のスマホを使用しない限りログインしていない他のデバイスからDiscordにログインできなくなります。
最強の二段階認証になりますが、スマホをなくしてしまうと非常にめんどくさいのがデメリットになります。
サーバーの設定
それぞれのサーバーの設定でもセキュリティを強化できます。
サーバーごとの責任者しか設定できませんが、発言できるアカウントを制限できるのでDiscordに登録したばかりのアカウントや電話番号認証をしていないアカウントによる発言を禁止することができます。
あまり強力にすると他の人が入りにくいこともありますので注意が必要になります。
トラブルが起きたときの対処フロー
アカウント乗っ取り・不正ログインのとき
すぐにやること
公式アプリまたは正規サイトからログインし、パスワード変更
全デバイスからサインアウト(セッションの切断)
二要素認証を再設定し、バックアップコードを安全な場所に保管
次に確認すること
ログイン履歴(不審なIPや地域がないか)
送信済みDM(勝手に送られたメッセージがないか)
外部サービス連携(不要な連携を解除)
被害拡大防止
勝手にDMが送られていた場合、相手に「開かないように」と注意喚起
端末自体をセキュリティソフトでフルスキャン
性的被害・いじめ・ハラスメントが疑われるとき
証拠の保全
メッセージ・通話ログ・ユーザーID・サーバー名などをスクリーンショットで保存
Discord内での対応
迷惑ユーザーのブロック
サーバー管理者への相談・報告
Discordへの通報
外部への相談
保護者・学校・信頼できる大人に相談
内容が深刻な場合は、警察や専門窓口への相談も検討
子どもから相談されたとき、親がまずやること
まずは否定せずに話を聞く(「どうしてそんなことをしたの!」と責めない)
「教えてくれてありがとう」と伝え、子どもが話し続けやすい雰囲気をつくる
その場で加害者に直接連絡したり、感情的に投稿するのは避ける
事実関係を一緒に整理し、必要に応じて学校・専門機関と連携する
保護者向け:家庭で決めておきたいDiscord利用ルール例
時間・場所・相手のルール
例として、以下のようなルールが考えられます。
利用時間:
平日は◯時まで、休日は◯時間まで
利用場所:
自室のドアを閉め切らない
夜遅い時間帯の通話は禁止
利用相手:
原則として、リアルで知っている友人のみ
新しいサーバーに入るときは、最初に親に見せる
画面共有・通話・外部リンクのルール
画面共有は、学校の用事や勉強会など必要なときに限定
顔出しをする場合は、必ず親に相談してから
外部リンクは、知らない人から送られたものは開かない
「ギフト」「無料」「当選」といった言葉があるリンクは、まず親に見せる
トラブル報告と「言いやすい雰囲気」をつくるコツ
「困ったことがあったら、怒らないから教えてね」と普段から伝えておく
定期的に「最近のサーバーどう?」「何のゲームをしているの?」と雑談レベルで聞く
SNSやオンラインゲームでの自分の経験も共有し、「親も完璧ではない」ことを見せることで、相談しやすい関係を築く
よくある質問(FAQ)
Q1. 小学生にDiscordを使わせても大丈夫ですか?
Discordは原則13歳以上を対象としており、小学生の利用は想定されていません。
どうしても必要な事情がある場合は、代替手段(学校指定のツールや保護者管理のビデオ通話など)をまず検討し、Discordを使う場合でも、
保護者のアカウント共用
利用時間やサーバーを親が完全に管理
といった厳格な管理のもとで運用すべきです。
Q2. 「通話だけなら安全」と言えますか?
通話だけでも、次のようなリスクがあります。
会話内容から学校名・住んでいる地域・家族構成が推測される
録音・録画され、切り取られて拡散される可能性がある
顔出し通話では、表情や部屋の様子から多くの情報が伝わる
したがって、「通話だけだから安全」とは言えません。信頼できる相手に限定し、必要以上に個人情報を話さないことが重要です。
Q3. 勉強や副業のコミュニティで使う場合の注意点は?
実績や運営者情報が明確なコミュニティを選ぶ
初対面での金銭絡み(投資・高額講座・ギャンブル等)は避ける
DMでのやり取りは最小限にし、怪しい勧誘はスクリーンショットを残して運営に共有する
まとめ:Discordの危険性を正しく理解して、現実的な安全ラインを整える
Discordは、設定と使い方次第で安全性が大きく変わるツールです。
マルウェア・乗っ取り・性的勧誘・いじめなどのリスクは確かに存在しますが、多くは適切な設定と基本的な注意で大きく減らすことができます。
保護者の方は、「禁止」か「放任」かの二択ではなく、
設定を一緒に見直す
利用ルールを一緒に決める
困ったときに相談しやすい雰囲気を作る
という3点を意識していただくと良いです。