ゲームや3Dソフトの推奨環境に「DirectX 11」「DirectX 12」と書かれているのを見て、「自分のPCは対応しているのだろうか」と不安になったことはありませんか。さらに、起動時に「DirectXが必要」「feature level 11_0が必要」といったエラーが出ると、何を確認すればよいのか分からず手が止まりがちです。
実は、dxdiagで表示される「DirectXのバージョン」だけを見ても、要件を満たしているか判断できないケースがあります。大切なのは、ゲームが本当に見ている条件である「機能レベル(Feature Levels)」やGPUドライバー情報まで含めて確認することです。
本記事では、Windows 10/11でDirectXを確認する最短手順(dxdiagの開き方)から、バージョン・機能レベルの読み方、DirectXエラーが出たときに優先すべき対処手順、さらにサポートに提出できるdxdiagレポートの保存方法まで、迷わない順番で詳しく解説します。読んだあとには「自分の環境で何が足りないのか」「次に何をすべきか」がはっきり分かり、余計な遠回りなく解決へ進めます。
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DirectX確認が必要になる場面と最短ルート
推奨環境のDirectX表記で迷うパターン
PCゲームや3Dソフトの推奨環境には、ほぼ必ずと言ってよいほど「DirectX 11」「DirectX 12」などの記載があります。ところが、この表記は一見わかりやすい反面、「結局、自分のPCで動くのか」が判断しにくいことがあります。代表的な迷いどころは次のとおりです。
購入前に確認したい
ストアページに「DirectX 12対応」と書かれているが、手元のPCが古めで不安。買ってから動かないのは避けたい。起動時エラーで止まる
「DirectX Runtimeが見つからない」「DX11 feature level 11_0 is required」などのメッセージが出て起動できない。起動はするが描画が不安定
画面が真っ黒になる、テクスチャが崩れる、クラッシュする、フレームレートが極端に落ちる、ムービーだけ再生できない等。アップデート後に不調になった
Windows Updateやグラフィックドライバー更新後に、急にゲームが落ちる、カクつく、起動しなくなった。
このようなときに最短で状況を把握できるのが、Windows標準の「DirectX診断ツール(dxdiag)」です。インストール不要で、DirectXの表示バージョンやGPUの情報、機能レベル、ドライバーの状態などをまとめて確認できます。
ただし、dxdiagを開いて「DirectX 12」と書いてあったからといって、必ずしもすべてのゲームが動くとは限りません。次の見出しで、なぜ「バージョンだけ」では判断できないケースがあるのかを整理します。
DirectXバージョンだけでは判断できないケース
DirectXには「バージョン」という概念があり、dxdiagのシステムタブには「DirectX バージョン:DirectX 12」のように表示されます。ここだけを見ると「じゃあDirectX 12対応のゲームは全部OK」と思いがちですが、実際には次のような理由でズレが生じます。
ゲームが本当に見ているのは“GPUが提供する機能”の場合がある
ゲームの要求条件に「feature level 11_0」や「12_0」などが書かれていることがあります。これは「DirectXの表示バージョン」ではなく、GPUとドライバーが提供できる機能の範囲(機能レベル)を指します。
つまり、OSとしてDirectX 12が入っていても、GPUがその機能を提供できなければ要件を満たしません。ノートPCや省電力設定で“別のGPU”が使われていることがある
内蔵GPU(省電力)と外部GPU(高性能)の切り替えがある環境では、ゲームが意図せず内蔵GPU側で動いてしまい、機能レベル不足でエラーになることがあります。古いゲームは追加コンポーネントを要求することがある
Windows 10/11は基本的に新しいDirectX環境を備えていますが、古いタイトルが特定のランタイム(主に旧世代のコンポーネント)を必要とするケースがあります。DirectXの表示バージョンが高くても、その“追加部品”がないと動かない場合がある、というイメージです。
結論として、「推奨環境のDirectX表記を見て不安になった」「DirectX関連エラーが出た」場合は、まずdxdiagで確認しつつ、DirectXバージョンと機能レベル(Feature Levels)をセットで見るのが最短ルートです。
dxdiagでDirectXを確認する手順
dxdiagを開く方法
dxdiagはWindows標準のツールなので、基本的にはどのPCにも入っています。開き方はいくつかありますが、迷いにくい方法を順番に紹介します。
方法1:検索から開く(いちばん簡単)
タスクバーの検索ボックス(虫眼鏡)をクリックします
「dxdiag」と入力します
「dxdiag(DirectX診断ツール)」が出てきたらクリックして起動します
方法2:ファイル名を指定して実行(確実)
キーボードで Windowsキー + R を押します
出てきた欄に「dxdiag」と入力し、Enterを押します
初回起動時に「ドライバーがデジタル署名されているか確認しますか?」のような確認が出ることがあります。一般的には「はい」を選んで進めて問題ありません(ドライバーの信頼性確認に関わるためです)。
起動できたら、上部タブを使って「システム」「ディスプレイ」などを切り替えながら確認します。
システムタブでDirectXバージョンを確認する
dxdiagを起動すると、最初に「システム」タブが開いていることが多いです。ここで見るべきポイントは2つあります。
DirectX バージョン
OS情報(Windowsのバージョン、ビルドなど)
特に「DirectX バージョン」は、推奨環境に「DirectX 11以上」などと書かれている場合の入口判断に役立ちます。たとえば、表示がDirectX 12であれば「DirectX 11以上」という条件は通常クリアしていると考えやすいです。
ただし、前の章で触れたとおり、ゲームが「feature level」を要求している場合は、ここだけで判断しないのが重要です。次の「ディスプレイ」タブに進んで、より実態に近い条件を確認します。
ディスプレイタブで機能レベルを確認する
DirectX関連の要件やエラーで最も重要になりやすいのが、ディスプレイタブにある「機能レベル(Feature Levels)」です。ここは「DirectXのバージョン」よりも、ゲームが実際に必要とする条件に直結します。
確認手順
dxdiag上部の「ディスプレイ」タブを開きます
ノートPCや複数GPU環境では「ディスプレイ 1」「ディスプレイ 2」のように複数タブが出ることがあります。両方確認してください。
「ドライバー」や「DirectXの機能」付近を探します
Feature Levels(機能レベル) が並んでいる箇所を確認します
例:
12_1, 12_0, 11_1, 11_0, 10_1, 10_0 ...のように表示
読み方のコツ
ゲームが「feature level 11_0が必要」と言っているなら、一覧に 11_0以上が含まれているか がポイントです。
一覧に11_0がない(10_1までしかない等)場合は、表示上DirectX 12でも要件不足になる可能性があります。
また、ディスプレイタブでは次の情報も一緒に控えておくと、原因切り分けや問い合わせに役立ちます。
GPU名(例:NVIDIA GeForce、AMD Radeon、Intel UHDなど)
ドライバーバージョン、ドライバー日付
メモリ(VRAM)の目安
問題が起きるのが特定のゲームだけかどうか、など状況情報
DirectX診断ツールの見方で押さえるポイント
バージョン・DDI・機能レベルの違い
dxdiagには似たような言葉が出てくることがあり、ここで混乱しやすいです。特に「DirectXバージョン」「機能レベル」「DDI」は、役割が微妙に違います。まずは要点を表にまとめます。
| 項目 | 何を表すか | dxdiagで見る場所の目安 | どんなときに使うか |
|---|---|---|---|
| DirectXバージョン | OSとしてのDirectX世代(環境の大枠) | システムタブ | 推奨環境の入口判断、基本確認 |
| 機能レベル(Feature Levels) | GPU+ドライバーが提供できる機能範囲 | ディスプレイタブ | ゲームの要件判定(feature level)、起動エラーの原因切り分け |
| DDI(表示される場合) | ドライバー側のDirect3D関連指標の一部 | ディスプレイタブ等 | 詳細な切り分け補助(主役は機能レベル) |
実務上の優先順位は、次のイメージが分かりやすいです。
まずシステムタブで「DirectXバージョン」を見て、大枠の環境を確認
エラーや要件が絡むなら、ディスプレイタブで「機能レベル」を必ず確認
DDIなどは補助的に見て、ドライバー更新や環境差の切り分けに使う
ゲーム側がエラーメッセージに「feature level」を明示している場合は、DirectXバージョン表示よりも機能レベルのほうが重要になることが多いです。
ドライバー署名の確認メッセージが出たとき
dxdiag起動時、または初回起動時に「ドライバーがデジタル署名されているか確認しますか?」という確認が出ることがあります。これはざっくり言うと、「正規の発行元によって署名されたドライバーかどうか」を確認する機能です。
基本は 「はい」 を選んで進めて構いません
署名の確認は、問題切り分けの材料にもなります
ただし、この操作が原因でPCが壊れる類のものではないので、過度に怖がる必要はありません
もし「いいえ」を選んでもdxdiag自体は開ける場合がありますが、トラブル時の情報精度という観点では「はい」が無難です。
DirectXエラーが出るときの対処手順
まずやるべき更新の順番
DirectX関連の不具合が出たとき、焦って「DirectXを入れ直そう」と考える人は少なくありません。しかし多くの場合、最短で効くのは次の順番です。遠回りや不安定化を避けるためにも、できるだけこの流れで進めるのがおすすめです。
対処の優先順位(基本)
Windows Updateを適用する
OS側のコンポーネントが更新され、関連不具合が解消することがあります。
グラフィックドライバーを更新する
機能レベルや安定性はドライバーの影響が非常に大きいです。
dxdiagで再確認する
更新後に「ドライバー日付」「ドライバーバージョン」「機能レベル」がどう変わったかを確認します。
ゲーム側の要件・設定・修復を行う
そのタイトル固有の問題(ファイル破損、設定、互換性など)を切り分けます。
特に、DirectXの「表示バージョン」はOS環境に強く依存し、現代のWindowsではOS更新が絡むことが多いです。一方、機能レベルや描画の安定性はGPUドライバーが握っているため、ドライバー更新が効くケースは非常に多いです。
ここから先は「更新しても直らない」「特定のエラーが出る」など、もう一段掘り下げた対処を整理します。
GPUドライバーを更新しても直らないとき
ドライバー更新後も改善しない場合は、「原因がどこにあるのか」を切り分けるのが近道です。闇雲に設定を触るより、次の観点で整理すると判断が速くなります。
1)機能レベル不足の可能性
ゲームの要求が「feature level 11_0」なのに、dxdiagのFeature Levelsに11_0が含まれない場合、これは設定や修復ではどうにもならないことがあります。理由は単純で、GPU(またはドライバー)がその機能を提供できないからです。
この場合の現実的な選択肢
ゲームの設定でレンダリングAPIを変更できるなら切り替える(例:DirectX 12→11、またはVulkanなど)
画質設定を下げる(ただし機能レベル不足は画質設定だけでは解決しないこともあります)
そもそも要件を満たすGPUに変更する(買い替え、外付けGPU等)
要求される機能レベルはゲームごとに異なるため、エラーメッセージや公式推奨環境の表記を正確に確認することが重要です。
2)ノートPCで“内蔵GPU側”になっている可能性
ノートPCでよくあるのが、外部GPU(高性能)を搭載しているのに、ゲームが内蔵GPUで起動してしまうパターンです。この場合、dxdiagのディスプレイタブが複数あり、それぞれFeature Levelsが違うことがあります。
切り分けのポイント
dxdiagの「ディスプレイ 1」「ディスプレイ 2」で、GPU名とFeature Levelsを見比べる
片方がIntel系、もう片方がNVIDIA/AMD系になっているなら、切り替え環境の可能性が高い
Windowsのグラフィック設定やGPU制御ソフト(NVIDIA/AMD)で、対象アプリに高性能GPUを割り当てる
「DirectXの問題」と見えて、実は「どのGPUで動いているか」が原因というケースは珍しくありません。
3)特定のゲームだけ不調なら“ゲーム側”を疑う
もし複数のゲームは動くのに、あるタイトルだけがDirectXエラーやクラッシュを起こすなら、ゲーム固有の要因の可能性が高まります。
まず試したいこと
ゲームファイルの整合性チェック(Steam等の機能)
ゲームの再インストール
設定ファイル初期化(グラフィック設定のリセット)
オーバーレイ(録画、FPS表示、チャット等)の無効化
MOD導入タイトルならMODを外して検証
この段階では「DirectXを入れ直す」より、ゲーム側の修復・設定リセットのほうが効果が出やすいことも多いです。
古いゲームで必要になる追加コンポーネント
Windows 10/11環境で「DirectX 12」と表示されているにもかかわらず、古いゲームが起動しないことがあります。これは「新しいDirectXがある=古い要素も全部揃っている」とは限らないためです。
ここで大切なのは、次の2点です。
追加コンポーネントが必要な場合がある
特定の古いタイトルが、古い世代のランタイム(コンポーネント)を要求することがあります。むやみに怪しい配布物を入れない
ネット検索で出てきた不明なサイトからDirectX関連ファイルを落として入れるのは危険です。公式や信頼できる提供元、ゲーム公式の案内に従うのが安全です。
判断のコツ
そのゲームの公式サポートやストアページに「追加で必要なランタイム」や「インストール手順」がないか確認
ランタイムの導入が必要と明記されている場合のみ対応する
それ以外は、Windows UpdateとGPUドライバー更新、ゲームファイル修復を優先する
「新しい環境を整える」方向ではなく、「そのゲームが要求している部品を揃える」方向の話になるため、ここはゲーム公式の案内が最優先です。
dxdiagレポートを保存して問い合わせに使う
すべての情報を保存する手順
DirectXエラーが解消しない場合、メーカーやゲーム会社のサポートに問い合わせることになります。その際、dxdiagのレポートを提出できると、状況説明が一気に短くなり、切り分けも速くなります。
レポート作成の手順
dxdiagを起動する
画面下部に 「すべての情報を保存」 というボタンがあるのでクリックする
任意の場所(デスクトップなど)にテキストファイルとして保存する
保存したテキストを開き、サポートの指示に従って提出する
環境によっては「64ビットDxDiagを実行」というボタンや案内が表示されることがあります。その場合は、案内に従って64ビット側の情報も取得しておくと、より正確な情報が残りやすいです。
個人情報の注意
dxdiagレポートには、PC名や一部の環境情報が含まれる場合があります。公開掲示板など不特定多数に貼るのは避け、提出先が公式サポートであることを確認したうえで共有してください。
提出前に確認したい項目チェックリスト
問い合わせをスムーズにするために、dxdiagと合わせて、次の情報を整理しておくと効果的です。特に「再現条件」と「エラーメッセージ全文」は重要です。
問い合わせ前チェックリスト
問題が起きるゲーム/アプリ名、バージョン(可能なら)
エラーメッセージ全文(スクリーンショットまたはテキスト)
いつから起きたか(例:12月のWindows更新後、ドライバー更新後など)
どの操作で起きるか(起動直後、ロード中、特定マップだけ等)
dxdiagの「システム」タブ情報(OS、DirectXバージョン)
dxdiagの「ディスプレイ」タブ情報(GPU名、Feature Levels、ドライバーバージョン、ドライバー日付)
既に試した対処(Windows Update、ドライバー更新、再インストール等)
この整理ができていると、サポート側も「機能レベル不足なのか」「ドライバー起因なのか」「ゲーム側不具合なのか」を短時間で判定しやすくなります。
directx 確認でよくある質問
Windows 11にDirectX 11は入っていますか
多くの場合、Windows 11(およびWindows 10)にはDirectX環境がOSの一部として含まれており、dxdiagではDirectX 12などが表示されます。ここで重要なのは、ゲームの要件が「DirectX 11という表記」なのか、それとも「feature level 11_0」のように機能レベルを要求しているのかという点です。
推奨環境が「DirectX 11以上」程度の表記なら、システムタブのDirectXバージョンで入口判断はできます。
エラーや要件が「feature level」を指定しているなら、ディスプレイタブのFeature Levelsを確認し、必要なレベルが含まれるかを見てください。
この2段階で見ると、「DirectX 12と出ているのに動かない」という混乱がかなり減ります。
DirectXをダウンロードして入れ直す必要はありますか
基本的には、いきなり「DirectXを入れ直す」のではなく、次の順番をおすすめします。
Windows Updateを適用する
GPUドライバーを更新する
dxdiagで再確認する
ゲーム側の修復や設定リセットを行う
(必要と明記されている場合のみ)ゲーム公式が案内する追加ランタイム等を導入する
特に、DirectX関連ファイルを不明なサイトから入手するのは避けてください。トラブル解消どころか、別の問題を招く可能性があります。「そのゲームが何を要求しているのか」を特定し、公式案内の範囲で対応するのが安全で確実です。
dxdiagが見つからない・起動しない場合は
dxdiagが見つからない、または起動しない場合は、次の順に試すと復旧することがあります。
1)ファイル名を指定して実行で直接起動する
Windowsキー + R → 「dxdiag」→ Enter
2)Windows Updateを適用して再起動する
更新の保留があると、システム関連のツールが不安定になることがあります。更新後に再起動して再度実行します。
3)システムの基本トラブルを疑う
ユーザー権限、システムファイル破損、セキュリティソフトの干渉など、DirectX以前の問題の可能性があります。
まずは他の標準ツール(タスクマネージャー等)が正常に開けるか確認し、異常が広範囲ならPC全体の不調として切り分けます。
4)それでも難しい場合は、代替としてGPU情報を控える
すぐにdxdiagが開けない場合でも、Windowsの「設定」→「システム」→「ディスプレイ」や「デバイス マネージャー」からGPU名は確認できます。
ただし、Feature Levelsまで一気に見たいなら、最終的にはdxdiagが有力です。