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COUNTIFSの使い方を完全整理|複数条件の数え方と0件の原因対策

複数条件で件数を数えたいのに、COUNTIFSがうまく動かず「なぜか0になる」「条件が効いていない気がする」と悩んだ経験はありませんか。店舗×担当者×期間、キーワードを含む問い合わせ、未入力の件数など、現場の集計は条件が2つ以上になるのが当たり前です。ところがCOUNTIFSは、条件の書き方や範囲の揃え方を少し間違えるだけで結果が崩れやすく、原因が見えにくいのも事実です。

本記事では、COUNTIFSの基本構文とCOUNTIFとの使い分けから始め、数値・日付・文字列・ワイルドカード・空白といった条件指定を「テンプレ」として整理します。さらに、つまずきやすいOR条件の作り方を定番パターンで解説し、0件になる・エラーになるときの直し方をチェックリスト形式でまとめました。読み終えたときに、式をそのまま自分の表へ移植でき、迷わず集計を完成させられる状態を目指します。

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目次

COUNTIFSでできることと基本の考え方

複数条件で「件数」を集計したい場面は、仕事でも学習でも頻繁に出てきます。たとえば、売上データから「特定店舗かつ特定担当者の成約件数」を数えたい、問い合わせ一覧から「特定キーワードを含む案件の件数」を集計したい、出欠表から「未回答の人数」を把握したい、といったケースです。条件が1つならCOUNTIFでも対応できますが、現実の表はだいたい条件が2つ以上になります。そのときの定番がCOUNTIFSです。

COUNTIFSは「条件範囲」と「条件」をセットにして、必要なだけ追加していくことで、AND条件(AかつBかつC…)で絞り込んだ件数を返してくれます。反面、条件の書き方や参照範囲の整合性が少しでも崩れると、結果が0になったりエラーになったりしやすい関数でもあります。

COUNTIFとの違いと使い分け

まずは似た名前の関数を目的で切り分けると、迷いが減ります。大まかな使い分けは次のとおりです。

目的使う関数条件の数返ってくるもの
条件に合う件数を数えるCOUNTIF1つ件数「東京」の件数
複数条件に合う件数を数えるCOUNTIFS複数件数「東京」かつ「佐藤」
条件に合う数値の合計を出すSUMIF / SUMIFS1つ / 複数合計「東京」の売上合計
条件に合う数値の平均を出すAVERAGEIF / AVERAGEIFS1つ / 複数平均「東京」の平均単価

ポイントは「件数なのか、合計なのか、平均なのか」を最初に確定することです。件数ならCOUNTIF/COUNTIFS、合計ならSUMIFS、平均ならAVERAGEIFS、という具合に目的で選ぶのが一番速いです。

次に「条件が1つか複数か」です。たとえば、店舗だけで数えるならCOUNTIFで十分ですが、「店舗×担当者×期間」のように複数条件が並ぶならCOUNTIFSに切り替えるのが自然です。COUNTIFで頑張っても、結局は複雑な式になりやすく、途中から崩れやすくなります。

COUNTIFSの構文とルール(範囲と条件はセット)

COUNTIFSの基本構文は以下です。

  • =COUNTIFS(条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, ...)

ここで重要なのは、条件範囲と条件が必ずセットである点です。たとえば、次のような考え方で組み立てます。

  • 条件範囲1:店舗列(B列)
    条件1:東京

  • 条件範囲2:担当者列(C列)
    条件2:佐藤

これをCOUNTIFSにすると、

  • =COUNTIFS(B:B,"東京",C:C,"佐藤")

となり、「店舗が東京、かつ担当者が佐藤」の件数を返します。条件を増やしたい場合は、同じ要領で「条件範囲3, 条件3」を追加します。

条件範囲の考え方(同じ行を見ている)

COUNTIFSは行単位で条件を判定します。つまり、B列の2行目が「東京」で、C列の2行目が「佐藤」なら、その行は条件を満たす、という判定です。列が違っても、同じ行番号同士が対応していることが前提になります。

よくある参照の型

参照範囲は、次のどれでも構いませんが、混在させるとミスが増えます。

  • 列全体参照:B:B

  • 行範囲参照:B2:B1000

  • 表(テーブル)参照(Excelのテーブル機能など)

おすすめは、データが増減する表なら「列全体」または「テーブル参照」です。固定行数の表なら「行範囲参照」でも問題ありません。ただし、複数の条件範囲を使うときは、すべての条件範囲の形を揃えるのが鉄則です。

ExcelとGoogleスプレッドシートで押さえる差分

ExcelとGoogleスプレッドシート(Sheets)は似ている一方で、運用で引っかかりやすい違いがあります。ここを最初に押さえておくと、原因調査が早くなります。

条件範囲のサイズ整合性

複数条件範囲を使うなら、行数・列数を揃えるのが基本です。たとえば、片方はB:B、もう片方はC2:C100のように混ぜると、思わぬ不一致や参照ズレが起きやすくなります。Sheetsでは特に範囲サイズ不一致がエラーや不正結果につながりやすいので、最初から揃えておくのが無難です。

引数区切り文字

環境設定やロケールにより、関数の引数区切りが「,」ではなく「;」になる場合があります。式がエラーになって動かないとき、最初にここを確認すると解決が早いことがあります。

  • カンマ区切り:=COUNTIFS(B:B,"東京",C:C,"佐藤")

  • セミコロン区切り:=COUNTIFS(B:B;"東京";C:C;"佐藤")

日付の扱い(文字列になっている問題)

日付は、見た目が同じでも内部的に「日付」として認識されていないことがあります。CSV取り込みや外部システム出力のデータでは特に多いです。日付条件が効かないときは、日付列が本当に日付として扱われているか(文字列ではないか)を疑う必要があります。


COUNTIFSの条件指定テンプレ集

COUNTIFSで迷う最大のポイントは「条件の書き方」です。ここでは、よく使う条件を型(テンプレ)としてまとめます。自分の表へ移植するときは、条件範囲(列)だけを置き換えて使ってください。

数値条件(以上・未満・範囲)

数値条件は「比較演算子」を条件文字列の先頭に付けます。ここでつまずくと、結果が0になりやすいので、まずは型を丸暗記してしまうのが楽です。

以上・より大きい

  • 80以上:=COUNTIFS(C:C,">=80")

  • 80より大きい:=COUNTIFS(C:C,">80")

以下・未満

  • 80以下:=COUNTIFS(C:C,"<=80")

  • 80未満:=COUNTIFS(C:C,"<80")

範囲(下限以上 かつ 上限未満)

  • 60以上80未満:=COUNTIFS(C:C,">=60",C:C,"<80")

同じ列に対して条件を2つ並べることで「範囲条件」が作れます。「以上」と「未満」を組み合わせれば、ほとんどの範囲指定に対応できます。

セル参照で動的にする(おすすめ)

条件の数値をセルに置くと、後から条件を変えるのが簡単です。

  • 下限がE1、上限がF1:
    =COUNTIFS(C:C,">="&E1,C:C,"<"&F1)

ここでのポイントは、">=" とセル参照を “&” で連結することです。">="E1 のようには書けません。

数値が文字列として入っているとき

見た目は数字でも、取り込みデータでは文字列になっている場合があります。その場合、比較が想定通りに動かないことがあります。対処は「元データを数値に変換」するのが基本です(貼り付け直し、VALUE関数、形式の統一など)。

日付条件(期間内・当月・前月の考え方)

日付条件は、業務で最も頻出するのに、最も壊れやすい条件でもあります。おすすめは「期間内」を軸に考えることです。

期間内(開始日以上 かつ 終了日以下)

  • 2025/12/01〜2025/12/31:
    =COUNTIFS(A:A,">=2025/12/01",A:A,"<=2025/12/31")

これで「A列の日付が期間内の件数」が取れます。さらに他条件を足せば「期間内かつ店舗=東京」のように拡張できます。

セル参照で期間を管理する(運用の基本)

月次集計なら、開始日・終了日をセルに置くと、翌月の更新が一気に楽になります。

  • 開始日:E1、終了日:F1
    =COUNTIFS(A:A,">="&E1,A:A,"<="&F1)

加えて、店舗条件がB列で東京なら、

  • =COUNTIFS(A:A,">="&E1,A:A,"<="&F1,B:B,"東京")

というように「期間条件のセット」に、店舗条件を追加するだけで完成します。

当月・前月をどう作るか(考え方)

当月・前月の境界は「月初」と「月末」です。実務では、次のどちらかの運用が安定します。

  1. 月初・月末をセルで管理してCOUNTIFSに渡す

  2. 月初は「当月1日」、月末は「翌月1日未満」で表現する(境界のズレを防ぎやすい)

たとえば、当月の範囲を「当月1日以上、翌月1日未満」にすると、月末日の扱いで迷いにくくなります。

  • =COUNTIFS(A:A,">="&当月月初セル,A:A,"<"&翌月月初セル)

日付が文字列だと効かない

日付条件が効かないときは、日付列が文字列になっていないかを疑ってください。見た目が「2025/12/01」でも、実体が文字列だと比較演算子が期待通りに動かないことがあります。解決は「日付形式への変換」が最優先です。

文字列条件(完全一致・部分一致)

文字列条件は、完全一致が基本です。まずは「一致」を作れれば、そこから部分一致や分類へ広げられます。

完全一致

  • 店舗が東京:=COUNTIFS(B:B,"東京")

セル参照で一致

  • 店舗条件がE2:=COUNTIFS(B:B,E2)

この型は非常に使います。検索条件(店舗名、担当名、カテゴリ名)をセルで持てば、式を触らずに条件だけ差し替えられます。

表記ゆれに注意

文字列は「同じに見えて違う」が頻出です。たとえば次のような違いで0になります。

  • 全角・半角(数字、カタカナ)

  • 前後のスペース(目視では気づかない)

  • 表記ゆれ(東京本店 / 東京 本店 / 東京(本店))

対処の基本は「データを揃える」ことです。集計の式で頑張るより、元データを整える方が長期的には強いです。

ワイルドカード(* と ?)

「含む」「始まる」「終わる」を作るなら、ワイルドカードが最短です。代表は *? です。

  • *:任意の文字列(0文字以上)

  • ?:任意の1文字

含む

  • 「返金」を含む:=COUNTIFS(E:E,"*返金*")

で始まる

  • 「A」で始まる:=COUNTIFS(E:E,"A*")

で終わる

  • 「株式会社」で終わる:=COUNTIFS(E:E,"*株式会社")

文字数やパターンで絞る(? の使いどころ)

  • 3文字目が「w」:=COUNTIFS(E:E,"??w*")

? はピンポイントで効きますが、運用では * の方が出番は多いです。まずは「含む=キーワード」を型として持っておくと、問い合わせ分類や商品名集計が一気に楽になります。

ワイルドカード文字そのものを検索したい場合

データに *? が含まれていて、それ自体を検索したいときはエスケープが必要になる場合があります(環境依存)。このケースは頻度が低いので、該当する場面になったら「該当セルの実データ」と「期待する挙動」を確認しながら設計するのが安全です。

空白と非空の数え方

「未入力の数」「入力済みの数」は実務で非常に多い集計です。COUNTIFSなら次の型で対応できます。

空白を数える

  • =COUNTIFS(D:D,"")

空白ではない(入力あり)を数える

  • =COUNTIFS(D:D,"<>")

空白に見えるが空白ではないケース

空白判定で思った結果にならないときは、次が原因になりがちです。

  • スペースが入っている(半角/全角)

  • 文字列としての空(””)が混ざっている

  • 数式の結果が “” になっている

「未入力」を厳密に定義する必要があるなら、データ側で入力規則を設けたり、補助列で判定を作ったりする方が安定します。


OR条件を作る定番パターン

COUNTIFSは基本がAND(すべての条件を満たす)です。しかし実際の集計では「AまたはB」を数えたい場面がよく出ます。OR条件はやり方を間違えると二重カウントや漏れが起きやすいので、ここでは定番パターンを型として整理します。

同じ列でAまたはBを数える(足し算)

最もシンプルで安全なORの作り方は「別々に数えて足す」です。たとえば「商品がAまたはB」を数えるなら、

  • =COUNTIF(C:C,"A")+COUNTIF(C:C,"B")

複数条件も同じ考え方で、COUNTIFSを2本足します。

例:店舗が東京、商品がAまたはB

  • =COUNTIFS(B:B,"東京",C:C,"A")+COUNTIFS(B:B,"東京",C:C,"B")

この方法が強い理由は、式の意味が明確で、あとから見ても読みやすいことです。OR条件が2〜3個程度なら、まずこの型で十分です。

OR条件が増えた場合

商品がA/B/C/D…と増えると式が長くなります。その場合は次のどちらかが現実的です。

  • 候補をセルに並べて、式を規則的に増やす(メンテしやすい)

  • 補助列で「対象かどうか」を判定し、その列をCOUNTIFで数える(長期運用向け)

別列のどちらかを満たす(設計の考え方)

「列XがA または 列YがB」のように、列が違うOR条件は注意が必要です。単純に足し算すると、両方を満たす行がある場合に二重カウントになります。

二重カウントが起きる例

  • X列=A の件数 + Y列=B の件数
    この足し算では、X列がAかつY列がBの行が2回カウントされます。

対処1:補助列を作る(おすすめ)

OR条件は補助列で判定すると、最も事故が少なくなります。たとえばE列に次のような判定を作ります。

  • =OR(X2="A",Y2="B")

そして最後に、

  • =COUNTIF(E:E,TRUE)

で数えます。補助列方式は、式が短く、意味が明確で、後から条件を足しやすいのがメリットです。

対処2:重複を引く(包含排除の考え方)

補助列を作れない事情がある場合は、次の考え方で二重カウントを除去します。

  • Aの件数 + Bの件数 - (AかつBの件数)

ただし、条件が複雑になると管理が難しくなります。運用のしやすさを優先するなら、補助列を選ぶ方が安定です。

ORが多いときの現実的な組み方

OR条件が多くなるほど、「COUNTIFSを足し算で増やす」方式は読みづらく、壊れやすくなります。現実的な解決策を3つ挙げます。

  1. 補助列でカテゴリ判定を作る
    「対象商品かどうか」「対象ステータスかどうか」などをTRUE/FALSEで持たせ、最後はCOUNTIFで数える。
    → もっともメンテ性が高い。

  2. 対象リストを作り、データを正規化する
    そもそも「ORを大量に書かないといけない」なら、マスタ(分類表)を整備した方が運用が楽になることがあります。

  3. ピボットテーブルに逃がす
    集計が多発するなら、関数よりピボットの方が速く、見通しが良くなります。COUNTIFSは強力ですが、万能ではありません。見やすさと保守性も重要です。


COUNTIFSが0になる・うまく動かないときの直し方

COUNTIFSのトラブルは、原因がだいたい決まっています。ここでは「上から順に潰せば解決しやすい」順番でチェックリスト化します。式が0になったり、期待と違う結果が出たら、まずここを順番に確認してください。

範囲サイズ不一致と参照ズレ

症状:エラーが出る/突然結果が変わる/一部だけ数えられない

まず確認したいのは「条件範囲同士が同じ形か」です。次のチェックを上から見ます。

  • 条件範囲1と条件範囲2の行数・列数が揃っている

  • 列全体参照(A:A)と部分参照(B2:B1000)が混在していない

  • 参照の開始行が揃っている(B2:B1000とC3:C1001のようなズレがない)

  • コピーやオートフィルで参照がずれていない(固定すべきセルが動いていない)

よくある事故例

  • =COUNTIFS(B2:B1000,"東京",C:C,"佐藤")
    → 条件範囲の形が違い、環境によってエラーや誤動作の原因になります。
    対策B:BC:C のように揃えるか、どちらも 2:1000 のように揃える。

参照ズレを防ぐコツ

  • 「列全体参照で揃える」か「同じ行範囲で揃える」か、どちらかに統一する

  • 条件セル(例:E1)を参照するときは、必要に応じて $E$1 のように固定する(コピーする前提なら特に重要)

条件の引用符と演算子の位置

症状:条件を書いた瞬間に0になる/条件が効いていない気がする

COUNTIFSの条件で一番多いミスが「比較演算子」「引用符」「セル参照の連結」です。以下の型を確認してください。

比較演算子は条件文字列の先頭

  • 正:">=60"

  • 誤:"= >60""> =60" のような余計な空白

  • 誤:>=60(引用符がない)

セル参照は連結で条件を作る

  • 正:">="&E1

  • 誤:">=E1"(文字としてE1になってしまう)

  • 誤:">="E1(構文エラー)

文字列は基本ダブルクォート

  • 正:"東京"

  • 正:セル参照なら E2(クォート不要)

  • 誤:'東京'(シングルクォート)

複数条件の見落とし

条件が増えるほど、どこか1つが間違っているだけで結果が0になります。式が長いほど、条件を一つずつ外して「どの条件で0になったか」を切り分けるのが有効です。

  • 手順例

    1. まず1条件だけで数える

    2. 条件を1つ追加して数える

    3. 0になったタイミングの条件を重点的に確認する

文字列の余計な空白・表記ゆれ

症状:見た目は一致しているのに0になる/一部だけ拾えない

文字列の一致は「見た目」ではなく「実データ」が一致しているかで決まります。次を確認してください。

  • 前後に半角スペースが入っていない

  • 全角スペースが入っていない

  • 末尾に見えない改行やタブが混ざっていない

  • 全角/半角が混在していない

  • 表記ゆれがない(例:A社、A社、A 社など)

対処の定番

  • 前後スペースを除去:TRIMの活用(Excel/Sheetsいずれも)

  • 置換で統一:全角スペース→半角スペースなど

  • データ入力のルール化:入力規則やプルダウンを使う

集計側で頑張るよりも、データ側を整える方が、長期的にミスが減ります。

日付が文字列になっている問題

症状:期間条件だけ効かない/特定日が拾えない/日付の比較が変

日付が原因のトラブルは、ほとんどが「日付列が文字列」か「期待している日付形式と違う」のどちらかです。次を確認します。

  • 日付セルが日付として認識されている(文字列ではない)

  • CSV取り込み後に形式が崩れていない

  • 条件に渡している日付が同じ基準で比較できる(セル参照が最も安全)

対処の型

  • 期間はセルで持ち、">="&開始日セル のようにセル参照で指定する

  • 日付列は日付形式に統一し、文字列のまま比較しない

  • どうしても揃わない場合は、補助列で「日付化」してから集計する

日付は一度崩れると原因が見えにくいので、「セル参照で期間条件を作る」運用を基本にするのが最も安定します。


業務でよくある集計例

ここでは、業務でよくある表を想定し、COUNTIFSの使い方を具体例として示します。自分の表に合わせるときは、列やセル参照を置き換えてください。

担当者×店舗×期間で件数を出す

想定データ

  • A列:日付

  • B列:店舗

  • C列:担当者

  • D列:案件ID(1行1件)

目的

「2025/12/01〜2025/12/31の間に、東京店で、佐藤さんが担当した件数」を数えたい。

式(直書き)

  • =COUNTIFS(A:A,">=2025/12/01",A:A,"<=2025/12/31",B:B,"東京",C:C,"佐藤")

式(期間はセル参照:おすすめ)

  • E1:開始日(例:2025/12/01)

  • F1:終了日(例:2025/12/31)

  • =COUNTIFS(A:A,">="&$E$1,A:A,"<="&$F$1,B:B,"東京",C:C,"佐藤")

運用ポイント

  • 月が変わっても、E1とF1を変えるだけで集計が更新できる

  • 店舗や担当者もセル参照にすれば、一覧表やダッシュボードに拡張できる

たとえば、店舗条件をG1、担当者条件をH1に置けば、

  • =COUNTIFS(A:A,">="&$E$1,A:A,"<="&$F$1,B:B,$G$1,C:C,$H$1)

という形になり、条件を画面上で切り替えるだけの集計表が作れます。

特定キーワードを含む問い合わせを数える

想定データ

  • A列:受付日

  • E列:問い合わせ内容(本文)

目的

「問い合わせ内容に“返金”を含む件数」を数えたい。

式(含む:ワイルドカード)

  • =COUNTIFS(E:E,"*返金*")

期間内に限定する

  • E1:開始日、F1:終了日として、

  • =COUNTIFS(A:A,">="&$E$1,A:A,"<="&$F$1,E:E,"*返金*")

応用:ステータスも条件に入れる

たとえば、D列にステータス(未対応/対応中/完了)があり、「未対応の返金問い合わせだけ数えたい」なら、

  • =COUNTIFS(A:A,">="&$E$1,A:A,"<="&$F$1,E:E,"*返金*",D:D,"未対応")

と追加するだけで拡張できます。

注意点(部分一致の落とし穴)

  • 表記ゆれ(「返金」「返金処理」「返金希望」など)は拾えますが、別表現(「返金してほしい」「返してほしい」)は拾えません

  • 重要な分類なら、問い合わせをカテゴリ化する運用(プルダウンでカテゴリ付け)を併用すると精度が上がります

条件付き集計をSUMIFSへ拡張する

COUNTIFSで「条件が正しい」ことを確認できたら、次は「金額の合計」などへ広げたくなります。そのときに使うのがSUMIFSです。考え方はほぼ同じで、COUNTIFSが“件数”、SUMIFSが“合計”です。

例:東京店×佐藤×期間内の売上合計

  • A列:日付

  • B列:店舗

  • C列:担当者

  • H列:売上金額

  • =SUMIFS(H:H,A:A,">="&$E$1,A:A,"<="&$F$1,B:B,"東京",C:C,"佐藤")

なぜ先にCOUNTIFSが有効か

合計は検算が難しいことがあります。まずCOUNTIFSで件数が妥当か確認し、その条件をSUMIFSに移植すると、条件の誤りを早期に発見できます。

  • 件数が想定とズレている → 条件やデータに問題がある

  • 件数は合っているのに合計がズレる → 金額列が文字列、欠損、異常値など合計側の問題

この順序で点検すると、原因の切り分けが速くなります。


よくある質問

条件範囲は同じ列でないといけませんか

同じ列である必要はありません。COUNTIFSは「同じ行にある別列の値」を組み合わせて条件判定します。たとえば、店舗がB列、担当者がC列、日付がA列でも問題ありません。

ただし、条件範囲同士のサイズや開始行がズレると、誤カウントやエラーの原因になります。列全体で揃えるか、同じ行範囲で揃えるか、どちらかに統一するのが安全です。

複数条件は最大いくつまで指定できますか

条件は「条件範囲と条件のセット」を必要なだけ追加できますが、運用上は「式が読める長さ」に収まっているかが重要です。条件が増えすぎると、ミスが見つけづらく、修正もしづらくなります。

目安として、次のような判断をすると破綻しにくくなります。

  • 条件が数個(2〜6個程度) → COUNTIFSで十分運用可能

  • 条件が多い、ORが多い、分類が複雑 → 補助列、マスタ整備、ピボットの併用を検討

「関数で何でもやる」より、「表の設計を整えて関数を簡単にする」方が、集計は安定します。

COUNTIFSで重複を数えない集計はできますか

COUNTIFSは「条件に合う行の件数」を数える関数なので、重複排除(ユニーク数)を直接やるのは得意ではありません。重複を数えない件数が必要な場合は、目的に応じて設計を変える必要があります。

代表的な考え方は次のとおりです。

  • 重複の定義を決める(案件IDで重複なのか、顧客名で重複なのか、メールアドレスで重複なのか)

  • 補助列で「初出のみ1」を作る
    たとえば、同じIDの中で最初の行だけ1、それ以外は0にして合計する

  • ユニーク化してから数える(環境によってはUNIQUEなどの機能を活用)

「何をユニークとみなすか」で答えが変わるので、まずは重複の基準(キー)を確定するのが第一歩です。

大文字小文字は区別されますか

通常の文字列一致では、大文字小文字を区別しないことが多いです。ただし、厳密な区別が必要なデータ(商品コードなど)では、設計上の注意が必要になります。

大文字小文字を厳密に区別したい要件がある場合は、別の関数設計(比較用の補助列でEXACT判定を作る等)を検討すると安全です。COUNTIFS単体にこだわるより、判定を補助列に分離する方が読みやすく、検証もしやすくなります。


まとめ

COUNTIFSは、複数条件の件数集計を行ううえで欠かせない基本関数です。覚えるべきことは多そうに見えますが、要点は「型」にまとめるとシンプルになります。

  • COUNTIFSは「条件範囲と条件をセットで追加」し、基本はAND条件で絞り込みます

  • 条件指定は、数値・日付・文字列・ワイルドカード・空白のテンプレを持つと迷いません

  • OR条件は、まず「別々に数えて足す」を基本にし、複雑なら補助列で判定を作ると安定します

  • 0件や不具合は、範囲サイズ、条件の書き方、表記ゆれ、日付の実体という順で潰すと解決が速くなります

  • COUNTIFSで条件が固まったら、同じ条件をSUMIFSへ移植して合計集計に広げると、レポート作成が一段楽になります

最後に、集計が壊れにくくなる最大のコツは「関数を複雑にしない表の設計」です。入力を揃える、分類を整える、必要なら補助列を作る。この土台があると、COUNTIFSは短く、読みやすく、修正しやすい形で運用できます。