コンタクトレンズが「目の裏に入ったかもしれない」と感じた瞬間、不安で頭が真っ白になり、思わずYahoo!知恵袋などで検索してしまう方は少なくありません。「本当に目の奥まで入ってしまったらどうしよう」「失明したら…」と、最悪のケースが頭をよぎることもあるはずです。結論から申し上げますと、目の構造上、コンタクトレンズが眼球の“本当の裏側”まで入り込むことはありません。ただし、まぶたの奥に入り込んで取れにくくなったり、破片が残ったりすると、放置した場合にトラブルへと発展するおそれがあります。本記事では、そうした不安を抱える方に向けて、「本当に起こりうること」と「安全な対処法」「早めに眼科へ行くべきサイン」を、専門情報とQ&Aサイトでよくある疑問を踏まえて分かりやすく整理いたします。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
コンタクトレンズが「目の裏に入った気がする」と感じたとき、多くの場合は、まぶたの奥にずれ込んでいるか、すでに外へ落ちているか、あるいはレンズの破片が残っているかのいずれかです。目の構造上、レンズが眼球の“裏側”まで入り込むことはありませんが、だからといって放置してよいわけではなく、違和感や痛みを無理に我慢すれば、角膜の傷や感染症など、より深刻なトラブルにつながる可能性があります。清潔な手で慎重に位置を確認し、人工涙液などを用いてやさしく外すこと、それでも見つからない・痛みやかすみ、強い充血、膿のような目やにがある場合には、自己判断を続けず、速やかに眼科を受診することが最善の選択です。本記事の内容を一つの目安として、「不安になったら早めに専門医へ相談する」という行動パターンを身につけておくことで、コンタクトレンズとより安全に付き合っていくことができます。
目の裏にコンタクトが入った!? まず知っておきたいこと
目の構造上「本当の裏側」には入らない
コンタクトレンズが「目の裏に入ったかも」と感じても、眼球の本当の裏側(頭のほうまで)に回り込むことは、目の構造上ありません。
黒目(角膜)の周りには白目(結膜)があり
その結膜は、まぶたの裏の結膜とつながって「結膜嚢(けつまくのう)」という袋状の構造になっている
この袋が“ふた”のような役割をしており、レンズがその奥へ抜けていく道がない
したがって、「目の裏に入った」と感じるとき、実際には次のような状態であることが多いです。
まぶたの奥(結膜嚢)にずれ込んでいる
すでに目の外に落ちてしまっている
レンズが破れて一部だけ目に残っている
放置はNG:角膜トラブルの原因になることも
レンズが目のどこかに残ったまま長時間放置されると、次のようなトラブルの原因になるおそれがあります。
角膜びらん・角膜擦過傷(角膜表面の傷)
角膜感染症(角膜炎)
重症化すると角膜潰瘍、視力低下のリスク
「そのうち取れるだろう」「そのうち溶けるだろう」と判断して放置するのは危険です。痛みやかすみがある場合は、自己判断より眼科受診を優先することが重要です。
「目の裏に入った気がする」ときの主な原因
まぶたの裏・結膜嚢に入り込んでいる
最も多いのは、レンズが上まぶたの奥に入り込み、鏡で見ても見当たらないケースです。
まばたきやこすった勢いで、レンズが上方や外側に移動する
上まぶたの裏側の結膜嚢に折れ曲がって挟まる
黒目の上には見えなくなるため、「どこかへ消えた」「目の裏に入った」と感じてしまう
この場合でも、レンズは結膜嚢の中にとどまっており、「本当の裏側」に抜けているわけではありません。
すでに外れてどこかに落ちている
次に多いのが、そもそも目の中には存在していないパターンです。
指からレンズを落としてしまい、つけたつもりになっている
乾燥やこすりによって、装用中に外れてしまっている
頬や床、洗面台などに落ちているが、本人は気づいていない
このとき、「目の奥に入ってしまった」と勘違いすることがあります。違和感の原因は、レンズではなく、こすりすぎによる傷や乾燥の場合も少なくありません。
レンズが破れたり折れ曲がっている
ソフトコンタクトレンズでは、レンズが破れて一部だけ目に残るケースもあります。
無理に外そうとしてレンズが破損した
破片が上まぶたの裏などに残っている
小さな破片が角膜や結膜に触れ、ゴロゴロとした異物感を引き起こす
破片は非常に見えづらく、自分では発見できないことも多いため、「見つからないのに違和感だけ続く」という場合は早めに眼科で確認することが安全です。
自分でできる安全な確認・対処の手順
※以下は、痛みが強くない・急激な視力低下がない場合の目安です。
強い痛み・視界のかすみ・ひどい充血・膿のような目やにがある場合は、自己処置を行わず眼科を受診してください。
対処の基本ステップ(ソフトレンズの場合)
手を石けんでよく洗う
指先・爪の間まで丁寧に洗い、清潔なタオルでしっかりと拭き取ります。
明るい場所で鏡の前に座る
あごを少し引き、上目づかい・下目づかいを変えながら黒目と白目全体を確認します。
まぶたをやさしく広げてレンズの位置を探す
片手で上まぶたをそっと持ち上げて下を見る
下まぶたを軽く引き下げて上を見る
白目部分に、レンズの縁や光の反射がないかを確認します。
人工涙液タイプの目薬を点眼して潤す
コンタクトレンズ装用中でも使用できる人工涙液を数滴点眼します。
数回ゆっくりまばたきをして、レンズが動きやすくなるのを待ちます。
レンズを黒目から少しずらす
利き手の中指で下まぶたを軽く引き下げる
人差し指でレンズを黒目から下方向にやさしくスライドさせ、白目の上に半分ずらします。
指の腹でそっとつまんで外す
親指と人差し指の「腹」でレンズを軽くつまむようにして外します。
爪を立てないように注意し、強い力で挟まないようにします。
見つからない・動かない場合は無理をしない
何度も触ると角膜を傷つけるリスクが高まります。
5〜10分ほど試してもダメな場合は、それ以上の自己処置は避け、眼科で診察を受けてください。
洗面器の水でまばたきをする方法(最終手段)
どうしてもレンズの位置が分からず、人工涙液でも動かない場合の補助的な方法として、水を張った洗面器の中でまばたきをする方法が紹介されることがあります。
洗面器に清潔な水道水を入れる
顔をつけて目を開け、数回ゆっくりまばたきをする
水がレンズと目の間に入り込み、レンズが浮いて外れやすくなる
ただし、この方法で外れたレンズは必ず廃棄し、再使用しないことが原則です(水道水で汚染される可能性があるため)。
ソフトコンタクトレンズでは特に、再装用は避ける必要があります。
自分で確認・対処するときのチェックリスト
痛みが強くない
急激な視力低下がない
膿のような目やにが増えていない
手を石けんで十分に洗った
爪が長すぎない(長い場合は無理につままない)
鏡と明るい照明を用意できている
コンタクト対応の人工涙液などを準備できている
5〜10分で取れない場合は眼科へ行くと決めている
1つでも当てはまらない項目がある場合、自己処置は控え、早めに眼科に相談することを推奨いたします。
絶対にやってはいけないNG行動
NG行動一覧とリスク
| NG行動 | 想定されるリスク |
|---|---|
| 目を強くゴシゴシこする | 角膜の傷、レンズ破損、炎症の悪化 |
| 爪を立ててレンズをはがそうとする | 角膜をえぐるような傷、感染リスク増加 |
| 手を洗わずに目を触る | 細菌感染、角膜炎 |
| 痛みがあるのに長時間放置する | 角膜潰瘍、視力低下など重い合併症 |
| 自己判断で市販点眼薬を多用する | 症状のマスク、受診の遅れ |
| 「そのうち溶けるだろう」と放置する | レンズは溶けない/残存して炎症の原因に |
これらの行動は、目のトラブルを悪化させる可能性が高いため、避ける必要があります。
こんな症状があればすぐ眼科へ
受診の“赤信号”になる症状
以下の症状がある場合は、自宅での対処よりも眼科受診を優先してください。
強い痛み・刺すような痛みがある
白目やまぶたがはっきり赤く充血している
視界が急にかすむ・にごる・ぼやける
光を見るとしみる(異常なまぶしさ)
黄〜緑色の膿のような目やにが増えている
「レンズを外したはず」なのに異物感が続く
レンズが破れた、欠けた可能性がある
取れたレンズを確認したら一部が欠けている
眼科を受診する際のポイント
受診の際は、次の点をメモしておくと診察がスムーズです。
症状が出始めた日時
使用しているコンタクトの種類(ソフト/ハード、ワンデー/2ウィークなど)
自分で試した対処内容
破損したレンズやケースがあれば持参
知恵袋などQ&Aサイトでよくある質問とその考え方
寝ている間に目の奥まで入ってしまうことはありますか?
前述のとおり、目の構造上、コンタクトレンズが眼球の本当の裏側まで入り込むことはありません。
ただし、以下のようなことは起こりえます。
眠っている間にレンズがまぶたの奥へずれて、朝見つからない
寝ているあいだに外れて枕や布団に落ちている
朝起きてレンズが見つからないときは、目の違和感・痛みの有無を必ず確認し、強い違和感があれば眼科を受診してください。
数日後にまぶたの裏からレンズが見つかることはありますか?
まぶたの奥に入り込んだレンズが、数日後に検査や洗顔のタイミングで見つかることはあります。
しかしその間も、
角膜表面への刺激が続く
感染や炎症のリスクが高まり続ける
といった問題があるため、「そのうち出てくるだろう」と放置するのは推奨できません。
レンズが見つからないのにゴロゴロが続きます
次のような可能性が考えられます。
レンズの破片など小さな異物が残っている
こすりすぎで角膜や結膜に傷がついている
ドライアイやアレルギー性結膜炎など、別の病気がある
いずれにせよ、顕微鏡で細部まで確認できる眼科で診察を受けることが最も安全です。
子どもが「目の裏に入った」と言っています
お子さまは違和感や痛みをうまく説明できないため、以下のような様子が見られる場合は早めの受診をおすすめいたします。
痛がって目を開けられない
涙が止まらない、まばたきが非常に多い
頻繁に目をこすっている
赤みや腫れが目立つ
コンタクトレンズだけでなく、砂や小さなゴミなど別の異物の可能性もあるため、眼科で確認することが安心です。
予防策:もう「目の裏に入った」不安をなくすために
つけ外しの基本を見直す
コンタクトレンズのトラブルの多くは、つけ外しの手順や習慣を見直すことで予防が可能です。
つけ外しの前には必ず石けんで手を洗う
鏡を見ながら、落ち着いて両手で操作する
爪は短く整えておく
無理に引っ張ったり、こすりながら外そうとしない
疲れているときや酔っているときの装用には特に注意する
「急いで外す」「片手で適当に外す」といった習慣がある場合は、今日から見直すだけでもトラブルを減らせます。
レンズやケア用品を見直す
ワンデータイプへの切り替えを検討する
含水率や酸素透過性の高いレンズに変更する
乾燥しやすい方は装用時間を短めに設定する
外しやすいレンズや、目に合った種類を眼科や販売店に相談する
レンズがよく張り付く、外しにくいと感じる場合は、現在のレンズが目の状態やライフスタイルに合っていない可能性があります。
ライフスタイルに合う装用スケジュール
就寝中のコンタクト装用は、感染リスクが大きく高まることが知られています。
夜遅くまで使う日には、途中でメガネに切り替えるなどの工夫も有効です。
無理のない装用スケジュールを組むことで、「疲れて外し方が雑になる」という状況を減らすことができます。
まとめ:不安なときは自己判断せず眼科へ
コンタクトレンズが目の“本当の裏側”まで入ってしまうことは構造上ありません。
実際には、
まぶたの奥(結膜嚢)にずれ込んでいる
すでに外へ落ちている
レンズの破片だけが残っている
といったケースがほとんどです。
自分で対処するときは、
手洗いなど清潔の徹底
人工涙液で十分に潤してから、やさしく位置をずらす
5〜10分試しても取れない場合は、無理をせず眼科受診
を目安としてください。
強い痛み・充血・視力低下・膿のような目やにがある場合は緊急度が高い可能性があります。
本記事の内容はあくまで一般的な情報であり、診断や治療の代わりになるものではありません。「目の裏に入ったかも」と不安を感じた時点で、少しでも気になる症状があれば、早めに眼科専門医へ相談することを強く推奨いたします。