スマホやタブレットの充電に欠かせないモバイルバッテリー。ふと見ると本体が「ふくらんでいる」ことに気づき、思わず不安になって検索されたのではないでしょうか。
膨らんだモバイルバッテリーは、内部で異常が進行しているサインであり、そのまま放置したり、普通のごみとして捨てたりすると、発火やごみ収集車・処理施設での火災につながるおそれがあります。
一方で、「自治体に出すべきなのか」「家電量販店や携帯ショップで引き取ってもらえるのか」「不用品回収業者に頼んだ方がよいのか」など、具体的にどこへ相談すればよいか分かりにくいのも事実です。
本記事では、膨らんだモバイルバッテリーの危険性をわかりやすく整理したうえで、自治体・無料回収窓口・不用品回収業者という複数のルートを比較し、状況別に「最も安全で現実的な処分方法」を解説いたします。
読み進めていただければ、「今、自分は何をすべきか」がはっきりし、安心して適切な回収先を選べるようになります。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
膨らんだモバイルバッテリーの状況別・あなたに合った処分方法
モバイルバッテリー「だけ」を処分したい場合
モバイルバッテリー1〜数個だけを処分したい場合は、次の優先順位で検討するとよいでしょう。
自治体の清掃工場・環境事業センターなど、膨張電池を受け付けている窓口
JBRC協力店・家電量販店・携帯ショップ(膨張品の扱いを事前確認のうえ)
購入元メーカー・キャリア・EC事業者の回収プログラム
不用品回収業者は、「他の不用品も一緒に処分したい場合」の選択肢として検討する方が、費用面で合理的になることが多いです。
他の不用品もまとめて片付けたい場合
家具・家電・雑貨など、処分したいものが多数ある場合は、
自治体の粗大ごみ回収と不用品回収業者を組み合わせる
ほとんどを不用品回収業者に任せ、危険物扱いとなる電池類だけ自治体窓口に持ち込む
など、複数のルートを使い分ける形が現実的です。膨らんだモバイルバッテリーは、自治体または危険物の取り扱いに慣れた業者に任せることをおすすめいたします。
法人・事業者として処分したい場合
オフィス・店舗・工場などで発生したモバイルバッテリーについては、産業廃棄物として扱われる場合があります。数量が少ない場合でも、
産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に相談する
処分後に、処理委託契約書・マニフェスト(管理票)などの書類を発行してもらう
といった対応が必要になるケースがありますので、自社の総務・環境担当部門や、自治体の事業者向け窓口に相談してください。
近くに回収窓口がない・持ち込みが難しい場合
高齢の方や、車を持っていない方など、持ち込みが難しい場合は、
自治体が実施している「訪問回収」「拠点回収」の制度
宅配回収に対応した回収業者・メーカーのプログラム
不用品回収業者による出張回収
などを組み合わせることで、負担を減らすことができます。いずれの場合も、「膨張したモバイルバッテリーが含まれる」ことを事前に伝え、安全な運び出し方法を確認しておくと安心です。
膨らんだモバイルバッテリーが危険な理由
膨張は「内部で異常が起きているサイン」
膨らんだモバイルバッテリーは、内部で劣化や異常反応が進行している状態です。表面のケースが変形するほど膨張しているということは、内部のリチウムイオン電池でガスが発生し、圧力が高まっているサインと考えられます。
この段階では、見た目は「少し膨らんでいるだけ」に見えても、外部からの衝撃や加圧、過熱が引き金となり、発火・破裂につながるおそれがあります。そのため、膨らみに気づいた時点で使用を直ちに中止し、安全に処分する方法を検討することが重要です。
リチウムイオン電池が発火しやすいメカニズム
モバイルバッテリーの多くに使われているリチウムイオン電池は、「高エネルギー密度」という長所を持つ一方で、物理的な損傷や過充電、内部短絡(ショート)に弱いという特性があります。
内部の仕切りが破れると、プラス極とマイナス極が接触し、急激に発熱する
発熱が進行すると電解液が分解し、さらにガスと熱が発生する
ケース内の圧力が限界を超えると、破裂・発火に至る可能性がある
膨張した状態は、このような不安定な状況に近づいていると考えられるため、正常なバッテリーよりもリスクが高いといえます。
実際に起きているごみ収集車・処理施設の火災事例
近年、モバイルバッテリーや充電式電池を一般ごみとして出してしまったことが原因で、ごみ収集車内やごみ処理施設での火災が相次いでいます。潰されたり、破砕機にかけられたりする過程で電池が損傷し、内部短絡から発火するケースが多く報告されています。
特に膨張したバッテリーは、すでに内部にダメージを抱えているため、わずかな圧力でも破損しやすく、火災につながりやすいと考えられます。そのため、多くの自治体ではモバイルバッテリーを一般ごみ・不燃ごみとして捨てることを禁止しています。
今すぐやめるべき危険な行為
膨らんだモバイルバッテリーについて、次のような行為は非常に危険ですので、絶対に行わないでください。
自分で分解する、穴を開ける、潰す
焼却・焚き火・ストーブなどで燃やそうとする
水に沈めて「安全にしてから捨てる」といった処理を試みる
通常の不燃ごみ・可燃ごみとしてごみ袋に入れて捨てる
どれも発火・有害物質の漏えいなどにつながるおそれがあり、重大な事故の原因となり得ます。
膨らんだモバイルバッテリーを見つけたときの緊急対応
まずは使用を中止し、安全な場所に保管する
膨らみに気づいたら、まずはただちに使用を中止してください。充電ケーブルが接続されている場合は、コンセント側から先に抜き、端末やケーブルから慎重に取り外します。
そのうえで、次のポイントに注意して一時保管します。
直射日光の当たらない涼しい場所に置く
可燃物(紙・布・カーテンなど)の近くに置かない
子どもやペットの手が届かない場所に置く
強い衝撃や圧力がかからないようにする
金属容器など、万一発火しても延焼しにくい容器に入れると、より安全性が高まります。
絶対にやってはいけない処分方法
一見すると「早く捨ててしまいたい」という気持ちになりがちですが、前述のとおり安易にごみ袋へ入れたり、自分で分解したりすることは厳禁です。
一般ごみ・不燃ごみとして出す
電池部分を取り出そうとして分解する
ハンマーなどで叩いて平らに戻そうとする
このような行為は、火災や怪我を招くおそれが高いため、絶対に避けてください。
一時保管のポイント(保管場所・容器・温度管理)
処分先が決まるまでの間は、「万一のトラブルが起きても被害を最小限にできる保管」を意識してください。
容器:ふた付きの金属容器や耐熱性の高いケースが理想的
設置場所:コンクリート床・タイル床など、不燃材の上に置く
温度:高温多湿を避け、エアコン室外機の近くなど熱源のそばは避ける
複数個ある場合:互いに接触しないように仕切りを入れる
あくまで「処分までの一時的な保管」であり、長期間の放置は避けることが望ましいです。
自治体や専門窓口に相談する前のチェックリスト
相談の前に、次の点を確認しておくと、スムーズに案内を受けられます。
メーカー名・ブランド名(読める範囲で構いません)
容量・型番(記載があれば)
膨張の程度(やや膨らんでいる/ケースが割れそうなくらい膨らんでいる 等)
いつ頃購入したものか、どのくらい使用していたか
他にも一緒に処分したいモバイルバッテリー・家電があるかどうか
これらの情報が整理されていると、自治体や回収業者側も適切な対応を案内しやすくなります。
膨らんだモバイルバッテリーの主な処分・回収ルート
自治体の回収窓口(清掃工場・環境事業センターなど)
多くの自治体では、通常状態の小型充電式電池については回収ボックス等で回収していますが、「膨張・変形している電池」はボックスでは受け付けず、清掃工場や環境事業センターの窓口で職員に直接渡すよう定めているところが増えています。
そのため、まずはお住まいの自治体の公式サイトで「小型充電式電池」「モバイルバッテリー」「リチウムイオン電池」などのキーワードで検索し、膨張した電池の扱いがどのように定められているか確認してください。疑問がある場合は、清掃事務所や環境担当窓口に電話で相談するのが確実です。
自治体窓口に持ち込む場合は、あらかじめ端子部分をビニールテープ等で覆って絶縁し、職員の指示に従って引き渡してください。
JBRC協力店・家電量販店・携帯ショップでの回収
通常、モバイルバッテリーを含む小型充電式電池は、一般社団法人JBRCの協力店(家電量販店・ホームセンターなど)や携帯電話ショップで無料回収されている場合があります。
ただし、膨張したモバイルバッテリーについては
回収ボックスへの投入が禁止されている
店頭カウンターでの受付のみ対応
危険と判断される状態のものは受け付けない
といった制限が設けられていることが多いため、事前に店舗やメーカーの案内ページで条件を確認しておくことが重要です。
メーカー・キャリア・EC事業者による回収サービス
モバイルバッテリーのメーカーや、携帯キャリア、EC事業者の一部では、独自の回収プログラムを設けている場合があります。購入元やメーカーがはっきりしている場合は、公式サイトの「環境への取り組み」「リサイクル」「回収プログラム」などのページを確認し、膨張品への対応可否を調べてください。
郵送・宅配での回収を受け付けている場合でも、膨張している電池については条件が異なることがあるため、必ず注意事項を読み、指定された梱包方法・運送手段に従う必要があります。
不用品回収業者に依頼するケースと注意点
次のような場合は、不用品回収業者への依頼も有力な選択肢になります。
モバイルバッテリー以外にも、粗大ごみや家電など処分したいものが多数ある
仕事が忙しく、自治体窓口の開庁時間に持ち込むのが難しい
自宅まで来てもらい、一度にまとめて引き取ってほしい
一方で、膨張したモバイルバッテリーを危険物として扱い、受け付けを制限している業者もあります。依頼前に、
膨張したモバイルバッテリーを取り扱っているか
回収方法・料金体系
処分先(適正処理業者へ持ち込んでいるか)
などを事前に確認しておくことが大切です。
回収業者を利用するメリット・デメリット
回収業者に依頼した方がよい人の特徴
不用品回収業者への依頼が特に向いているのは、次のような方です。
引っ越し・大掃除・遺品整理などで、不用品が大量にある
家具・家電の運び出しが自分だけでは難しい
平日に自治体窓口へ持ち込む時間が取れない
モバイルバッテリー以外にも、どのように処分すべきか分からない品目が多い
このようなケースでは、「モバイルバッテリー+その他の不用品」を一括で回収してもらうことで、結果的に手間と時間を大幅に節約できる可能性があります。
料金の考え方と、他の不用品とまとめるコツ
モバイルバッテリー1個だけを回収業者に依頼すると、出張費などの関係で割高になることが多くなります。そのため、
収納の中を一度整理し、まとめて処分したい物を洗い出す
粗大ごみ・家電・雑貨など、回収対象になりそうな品目をリスト化する
「軽トラック積み放題」などのプランを比較し、費用対効果を確認する
といった方法で、「どうせ頼むなら他の不用品も一緒に片付ける」前提で検討することをおすすめいたします。
悪質な回収業者を避けるためのチェックポイント
回収業者の中には、残念ながら不当な高額請求や不法投棄などを行う悪質業者も存在します。依頼前に、次の点をチェックしてください。
会社名・所在地・連絡先(固定電話)が明記されているか
古物商許可・産業廃棄物収集運搬業の許可など、必要な許認可が確認できるか(扱う品目による)
料金体系が明確か(「トラック1台いくら」だけでなく、追加料金の条件が明示されているか)
見積もり段階で、回収品目・数量・料金が具体的に示されるか
ホームページや口コミで、極端に悪い評価が多くないか
訪問後に突然高額な追加請求を行う業者もいるため、「見積もり内容を書面やメールで残してもらう」ことも有効です。
問い合わせから回収完了までの一般的な流れ
一般的な不用品回収業者の利用の流れは、概ね次のとおりです。
電話・メール・Webフォーム・LINEなどで問い合わせ
回収希望品目・おおよその量・住所・希望日程を伝える
概算見積もり(必要に応じて現地見積もり)
金額・条件に納得できれば、回収日時を確定
当日、スタッフが訪問し、最終見積もりに合意後に搬出・回収
料金支払い(現金・カード・振込など)
膨張したモバイルバッテリーについては、事前にその旨を伝え、当日の取り扱い方法を業者側とすり合わせておくと安心です。
安全に処分するためのQ&A
送料をかけて宅配回収を使うべきか?
近くに回収窓口がなく、自治体の訪問回収にも対応していない場合、宅配回収は有力な選択肢です。ただし、膨張したバッテリーは輸送中のトラブルリスクがあるため、必ず
事前に「膨張している」ことを申告する
事業者の指定する梱包方法・配送方法に従う
ことが必要です。送料とリスクを踏まえ、可能であれば自治体窓口や出張回収業者の利用も併せて検討してください。
中古買取やリサイクルショップは利用できるのか?
膨らんだモバイルバッテリーは、安全上の観点から買取対象外となるのが通常です。そもそも再利用に適さない状態ですので、
中古買取
フリマアプリ・オークション出品
などで第三者に譲渡することは避け、必ず適切な回収ルートで処分してください。
ラベルが読めない古いバッテリーはどうする?
ラベルがかすれていてメーカー名や型番が読めない場合でも、見た目から「モバイルバッテリー・充電池」と判断できるものであれば、自治体窓口に相談すれば処理方法を案内してもらえることがほとんどです。
どの種類の電池か分からなくても、自分で分解したりせず、「正体不明の電池らしきものがある」と率直に伝えて相談してください。
処分後に手元に控えておくべき書類・記録は?
個人の場合、特に書類が必要ないケースも多いですが、次のような場合は記録を残しておくと安心です。
回収業者に有料で処分を依頼した場合:領収書・見積書
法人として産業廃棄物処理を委託した場合:契約書・マニフェスト
また、高額な不用品回収を利用した際は、万一のトラブルに備え、
「業者名・担当者名・回収日時・金額・やり取りしたメールやメッセージ」などを残しておくとよいでしょう。
まとめ|迷ったら「自治体+信頼できる回収業者」に相談を
最優先すべきは火災リスクを避けること
膨らんだモバイルバッテリーは、「ただの古いバッテリー」ではなく、発火・破裂のリスクが高まった危険な状態です。見た目が少しの変形であっても油断せず、早めに使用を中止し、安全な方法で処分することが重要です。
無料ルートと有料ルートを上手に使い分ける
処分ルートは、大きく分けて
自治体窓口・JBRC協力店などの「無料回収」
不用品回収業者などの「有料回収」
があります。モバイルバッテリーだけの場合は自治体や協力店を主体に、他の不用品も多い場合は回収業者の利用を組み合わせるなど、ご自身の状況に合わせて使い分けてください。
トラブルを避けるために今日からできること
最後に、トラブルを避けるためのポイントを整理します。
膨張したモバイルバッテリーは、絶対に一般ごみに出さない
自治体・メーカー・回収業者の案内を必ず確認し、指示に従う
回収業者を利用する際は、許認可・料金体系・口コミなどを事前にチェックする
手元にある他の古いバッテリーも合わせて点検し、適切な回収ルートを把握しておく
これらを意識しておけば、膨らんだモバイルバッテリーの処分で迷う場面は大幅に減らせます。