最新のChromeは速くて安全——でも、更新のたびに「表示が崩れた」「社内ツールが動かない」「端末が重い」と困ること、ありますよね。そんなときの選択肢がダウングレード。とはいえ、むやみに古い版へ戻すと、セキュリティ低下・データ互換性・自動更新の戻りといった落とし穴が待っています。
本記事では、まずは出荷時版へ戻す安全手順、それでも解決しない場合のAPKサイドロード、さらに開発者向けのADBによるダウングレードまで、リスクと回避策をセットで解説。「失敗しない進め方」を手順・チェックリスト・コマンド例付きでコンパクトにまとめました。あなたの環境に合った最小リスクの方法から、落ち着いて進めていきましょう。
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最小リスクで戻すなら方法A:「アップデートをアンインストール」で出荷時版に。
版を指定したい・直前の不具合回避なら方法B:APKの一致(ABI/OS/署名)とPlay Protectの警告確認が鍵。
署名衝突や細かな制御が必要なら方法C(ADB):-d/--downgrade と完全アンインストールの判断を。
どの方法でもChromeの自動更新オフとプロファイルのデータ消去でトラブルを減らす。
ビジネス端末は管理ポリシーの有無を必ず確認。
AndroidでChromeをダウングレードする方法A:工場出荷時のChromeへ戻す
「今の最新版から端末出荷時に入っていたChromeの版へ戻す」やり方です。サイドロード不要・署名問題が起きにくいため、まずはここから。
手順
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設定 → アプリ → Chrome を開く
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右上の ︙ から 「アップデートをアンインストール」 を選択
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ベンダーによっては「アップデートの削除」「更新のアンインストール」等の表記
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(推奨)ストレージとキャッシュ → データを消去
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互換性トラブル予防。ブックマーク等は同期を使っていれば後で復元可
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Playストア → Chromeの詳細ページ → ︙ → 自動更新を有効にするのチェックを外す
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ここを外さないと、しばらくすると最新版に再更新されます
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成功/失敗の目安
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戻った直後のChromeバージョンが「端末購入時と近い番号」になっていれば成功
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ボタンがグレーアウトしている、または企業管理端末で項目が見当たらない場合は管理ポリシーにより制限されている可能性あり(IT管理者へ確認)
AndroidでChromeをダウングレードする方法B:旧版APKをサイドロードする
「出荷時版よりさらに古い特定バージョンにしたい」「特定の不具合が発生し始めた直前の版に戻したい」場合に使う方法です。入手元の信頼性の確認とビルド一致が肝心。
事前チェックリスト
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Chromeの自動更新をオフ(Playストア → Chrome → ︙)
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提供元不明のアプリの許可を付与
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設定 → アプリの特別な権限 → 不明なアプリのインストール → 使用するインストーラー(ブラウザ/ファイルアプリ)で「この提供元を許可」
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Play Protectはオン(警告内容は必ず読む)
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端末のABI/OSバージョンを把握(例:arm64-v8a/Android 12 など)
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対象APKのビルドが完全一致していること(間違うと起動不能・クラッシュの原因)
実行手順
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旧版APKを用意(アーキテクチャ、Androidの最小/対象バージョンが端末に合うもの)
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既存Chromeを整理
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署名が異なる場合はアンインストール(全ユーザー)が必要なことがあります
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その前に同期でブックマークやパスワードのバックアップ状況を確認
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APKをインストール
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インストーラーに従って進め、Play Protectの警告は内容を読み判断
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初回起動→動作確認
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クラッシュやUI崩れが続く場合はデータ消去で新規プロファイルから
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PlayストアでChromeの自動更新オフを再確認
つまずきポイント(原因と対処)
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インストール失敗(署名不一致)
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対処:Chromeをアンインストール後に改めてインストール。どうしても残骸が消えない場合はADBでの削除が有効(後述)
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起動直後にクラッシュ
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対処:データを消去して新規プロファイルで起動
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特定サイトのみ問題が継続
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対処:サイト側の変更やキャッシュの影響も疑う。シークレットタブやサイトデータ消去で切り分け
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AndroidでChromeをダウングレードする方法C:ADBで強制ダウングレード
PCからUSBで端末に接続し、ADBコマンドでインストールや削除を行う方法です。署名問題の切り分けやクリーンインストールに強い一方、操作を誤るとデータを失うため慎重に。
準備
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端末で 開発者向けオプション → USBデバッグ をオン
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PCに Android Platform Tools(adb)を用意
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USB接続し、
adb devicesで端末が表示されることを確認
代表的なコマンド例
※ com.android.chrome は通常のChrome。Beta/Dev/Canaryはパッケージ名が異なります(例:com.chrome.beta 等)。
# 1) 端末を認識できるか確認
adb devices
# 2) 既存Chromeをデータを残して削除(署名衝突を避ける目的。効かない端末もある)
adb shell cmd package uninstall -k com.android.chrome
# 3) ダウングレードを許可してインストール(同一署名・versionCode条件を満たす場合)
adb install -r -d /path/to/Chrome_old.apk
# -r: 置換インストール, -d(–downgrade): versionCodeが上でも「古い版として」許可
# 4) 署名が完全に衝突する/システム領域に残る場合は全ユーザーから削除
adb shell pm uninstall –user 0 com.android.chrome
# (端末やROMによっては不可。工場リセット相当の影響が出るため要注意)
# 5) うまく入らないときは再起動後に再試行
adb reboot
うまくいかない時の観察ポイント
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INSTALL_FAILED_UPDATE_INCOMPATIBLE… 署名不一致。完全アンインストールや同一署名のAPKへ切り替え -
INSTALL_FAILED_VERSION_DOWNGRADE…-dを付け忘れ。付けても弾かれるならversionCode条件か署名がネック -
インストールは成功するが起動で落ちる … データ消去で新規プロファイルを作る
AndroidでChromeをダウングレードする重要な前提とリスク理解
1) セキュリティ低下の可能性
古いChromeは既知の脆弱性が残っている場合があります。作業中も作業後も、Play Protectはオンのままにし、怪しいサイトやファイルを避けることを徹底してください。
2) プロファイル(ユーザーデータ)の互換性
新しい版で作られたプロフィールを、より古い版で開くと起動直後に落ちる/一部設定が壊れることがあります。
→ ダウングレード後に不具合が出たら、Chromeの「ストレージ」→「データを消去」で新規プロファイルからやり直すのが定石です。
3) 署名とインストールの壁
プリインストール版のChromeは端末ベンダーやGoogleの署名で入っています。入手したAPKの署名が異なると、上書きできずインストール失敗(例:INSTALL_FAILED_UPDATE_INCOMPATIBLE)になります。
→ この場合は完全アンインストール → 旧版のクリーンインストール、もしくはADBの--downgradeが必要です(後述)。
4) 自動更新の制御
Playストアは基本的に最新のみ配布です。ダウングレードに成功しても自動更新が再度かかると元に戻ります。
→ Chrome個別の自動更新をオフにして維持しましょう(手順は各方法に記載)。
端末タイプ別の補足
企業・学校などの管理端末(MDM/EMM配下)
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ポリシーでサイドロード禁止やアプリバージョン固定が設定されていることがあります
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勝手に変更するとコンプライアンス違反や業務アプリの接続不可になる可能性
→ IT管理者へ事前相談が安全
メーカー・キャリアカスタムが強い端末
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「アップデートをアンインストール」項目の場所・表記がやや異なることあり
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システムアプリ扱いが強く、ユーザー権限での完全削除が難しい場合は方法Aの範囲で運用するのが現実的
Root/カスタムROM環境(上級者)
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/system領域に組み込みのWebView/Chromeを置き換える高度な方法もありますが、本文では対象外。 -
セキュリティや決済アプリ(Play Integrity/SafetyNet相当)への影響が大きいため、通常用途では非推奨。
トラブルを最小化する実践テク
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同期の活用:ブックマーク/パスワード/履歴はGoogleアカウント同期で守る。事前に同期状態を確認
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段階的な切り分け:
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キャッシュ→データ消去で改善するか
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方法A(出荷時版)で改善するか
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必要最小限の範囲で方法B/C
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限定運用:旧版を常用せず、問題サイトのときだけサブブラウザとして使うのも安全策
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自動更新の見張り:大規模リリース期は自動更新が戻りやすい。PlayストアのChrome詳細ページで定期確認
代替策:ダウングレード以外で直るケース
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サイトデータの削除:問題サイトのCookie/ローカルストレージが悪さをしていることがある
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実験的機能(chrome://flags)の初期化:無効化・有効化を繰り返した結果、挙動が不安定になることがあります
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Android System WebViewの整合性確認(Androidの世代によりChromeがWebViewを担う場合あり)
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拡張機能(企業配布のPWA/拡張)側の更新待ち:相性問題はアプリ側対応で解消することも
法的・運用上の注意
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利用規約・企業ポリシー順守:管理端末でのサイドロードやバージョン固定は、管理者の許可が必要な場合があります
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薬機法等の配慮は本テーマでは該当薄ですが、「効果を断定しない」「誇張しない」という基本姿勢で安全情報を提供するのが望ましい
よくある質問(FAQ)
Q1. Playストアで1つ前の版を選べますか?
A. できません。基本は最新のみです。出荷時版へ戻すか、APK/ADBを使います。
Q2. 旧版にしたら特定サイトだけ真っ白に…
A. そのサイトが新仕様を前提にしている可能性。サイトデータ消去やUser-Agent相性を疑いつつ、どうしても必要なら限定運用に切り替えを。
Q3. 旧版のまま常用するのは危険?
A. リスクは上がります。用途限定+Play Protectオン+怪しいサイト回避+必要に応じて最新版へ復帰の運用が無難です。
Q4. ADBの-d(–downgrade)が効かない
A. 署名不一致またはversionCodeの関係でブロックされている可能性大。完全アンインストールや同一署名ビルドで再試行を。
Q5. 企業配布の管理ポリシーで戻せない
A. 管理者の設定です。IT部門へ申請し、許可された方法でのみ実施してください。