Radeonのドライバーを更新した直後から、画面が突然真っ暗になる、ゲームが頻繁に落ちる、設定アプリが起動しない――。こうした不調が続くと、「何を消して、何を入れ直せば直るのか」が見えず、不安だけが増えてしまいます。
そんなときに頼りになるのが、AMD公式のドライバー完全削除ツール「AMD Cleanup Utility」です。通常のアンインストールでは残りやすい関連データまで整理し、クリーンな状態で再インストールできる土台を整えてくれます。
本記事では、AMD Cleanup Utilityで削除できる範囲と注意点、失敗しにくい実行手順、時間がかかる場合やWindows Updateと競合したときの対処、さらにDDUとの使い分けまでを丁寧に解説します。読み終えたときには、今の症状に本ツールが必要かどうかが判断でき、迷わず復旧作業に進める状態を目指します。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
AMD Cleanup Utilityでできることとできないこと
AMD Cleanup Utilityは、Advanced Micro Devicesが公式に提供しているサポートツールであり、AMD製グラフィックス関連ドライバーをクリーンな状態に戻すことを主目的としています。
単なるアンインストールとは異なり、通常の削除操作では残りやすい設定ファイルやレジストリエントリも含めて整理する点が特徴です。
ただし、「PC内のAMD関連ソフトをすべて消去する万能ツール」ではありません。役割と限界を正しく理解しておくことが重要です。
削除される主な対象
AMD Cleanup Utilityが削除対象とするのは、主に以下のコンポーネントです。
AMD Radeon グラフィックスドライバー
HDMI/DisplayPort経由のAMDオーディオドライバー
Radeon Software(Adrenalin Edition)に含まれる管理コンポーネント
グラフィックス関連のキャッシュ、サービス、レジストリ設定
これらは、ドライバー更新の失敗や上書きインストールを繰り返すことで競合を起こしやすい領域であり、動作不安定の原因になりがちです。
Cleanup Utilityは、それらを一度リセットするための環境作りを行います。
消えないもの
一方で、次のような要素は削除されません。
AMD チップセットドライバー
マザーボード固有の制御ソフト
Windowsシステムファイル
個人データやインストール済みアプリケーション
特に重要なのが、チップセットドライバーは対象外である点です。
CPUやUSB、PCI Express制御に関わる部分は触られないため、PC全体が起動不能になるリスクは極めて低く、公式ツールとして安全性が高い理由の一つとなっています。
AMD Cleanup Utilityを使うべき症状と使わない判断
AMD Cleanup Utilityは便利なツールですが、常に使うべきものではありません。
不要なクリーンアップを行うと、再設定の手間が増えるだけになる場合もあります。
使うべき典型例
以下のような症状がある場合、Cleanup Utilityの使用が有効です。
ドライバー更新が途中で失敗し、再インストールできない
更新後から画面がブラックアウトする、ちらつく
ゲームや3Dアプリケーションで頻繁にクラッシュする
Radeon Softwareが起動しない、設定が保存されない
GPUを交換した後も旧環境の挙動が残っている
これらは、旧ドライバーの残骸が新しいドライバーと競合している典型例です。
通常のアンインストールでは解決しないケースで、Cleanup Utilityの出番となります。
先に試すべき「通常アンインストール」
一方で、以下の状況であれば、Cleanup Utilityを使う前に通常の方法を試す価値があります。
軽微な表示崩れや設定の不具合のみ
ドライバー更新直後に1度も再起動していない
Windows Updateとの一時的な競合が疑われる
Windowsの「アプリと機能」からAMD Softwareをアンインストールし、再起動後に最新ドライバーを入れ直すだけで改善することも少なくありません。
問題が解消しない場合の次の段階としてCleanup Utilityを使う、という位置付けが適切です。
AMD Cleanup Utilityの実行手順
ここでは、失敗しにくく、安全性を重視した手順を詳しく解説します。
作業自体は難しくありませんが、事前準備と実行環境が重要です。
事前準備
実行前に、以下の準備を行ってください。
最新のAMD Radeonドライバーを事前にダウンロード
インターネット接続の一時停止(Windows Update対策)
作業中に不要なアプリを終了
ノートPCの場合はACアダプタを接続
AMD Cleanup Utilityは、実行時にWindowsの復元ポイントを作成するかどうかを確認します。
復元ポイントは、万一のトラブル時に元の状態へ戻すための重要な保険ですので、基本的には作成を推奨します。
ダウンロードと起動
AMD公式サイトのサポートページから「AMD Cleanup Utility for Windows」をダウンロードします。
ファイルサイズは小さく、インストールは不要です。
ダウンロード後、
amdcleanuputility.exeを右クリック「管理者として実行」を選択
管理者権限での実行は必須です。
セーフモード推奨で実行する
起動後、ツールは「セーフモードで実行するか」を確認します。
最良の結果を得るためには、セーフモードでの実行が強く推奨されます。
セーフモードでは、最低限のドライバーのみが読み込まれるため、
ドライバーのロックが解除されやすい
削除漏れが起きにくい
実行中の競合が減る
といった利点があります。
画面の指示に従い再起動すると、自動的にCleanup Utilityが動作を開始します。
実行中は画面が一時的に暗転したり、解像度が変わることがありますが、これは正常な挙動です。
完了後に必ず再起動する
クリーンアップが完了すると、処理内容の概要が表示され、再起動が促されます。
必ず再起動を行ってください。
再起動後は、Windowsが標準の汎用ディスプレイドライバーで起動します。
その状態で、事前に用意しておいた最新のAMD Radeonドライバーをインストールします。
実行中・実行後によくあるトラブルと対処
公式ツールであっても、環境によっては戸惑う場面があります。
ここでは、特に質問が多いポイントを整理します。
Windows Updateと競合して途中で終了する
Windows Updateがバックグラウンドで動作していると、Cleanup Utilityが自動終了することがあります。
この場合は以下を確認してください。
Windows Updateが完了しているか
一時的にインターネット接続を切断しているか
再起動後、再度Cleanup Utilityを実行すれば問題なく完了することがほとんどです。
終わらないように見える
処理が長時間止まっているように見えても、15〜20分程度かかるケースは珍しくありません。
特に、複数世代のドライバーがインストールされていた環境では時間がかかります。
明確なエラーメッセージが出ていない場合は、すぐに強制終了せず、しばらく待つことが重要です。
実行後に調子が悪いので元に戻したい
万一、実行後に表示がおかしい、動作が不安定になった場合は、以下の選択肢があります。
作成した復元ポイントからシステムを復元
セーフモードで起動し、再度ドライバーを入れ直す
多くの場合、正しく最新ドライバーを再インストールすることで解消します。
DDUとの違いと使い分け
AMD Cleanup Utilityと並んで語られるのが、サードパーティ製ツールであるDDU(Display Driver Uninstaller)です。
両者には明確な違いがあります。
まずは公式ツールを優先したいケース
AMD環境のみでの不具合対応
一般的なドライバー更新トラブル
安全性と公式サポートを重視したい場合
このような場合、AMD Cleanup Utilityで十分です。
公式ツールであるため、AMDのサポート方針とも整合性が取れています。
DDUを検討するケース
NVIDIAからAMDへのGPU乗り換え
長期間にわたる複雑なドライバー競合
上級者向けの徹底的な環境整理
DDUは強力ですが、その分リスクもあります。
不安がある場合や一般的なトラブルでは、まずAMD Cleanup Utilityを使用する方が安全です。