頭の左側だけがズキズキと痛むと、「片頭痛なのか?」「脳の病気ではないか?」と不安になる方が多くいらっしゃいます。
実際、片側の頭痛の多くは片頭痛や緊張型頭痛など、いわゆる「よくある頭痛」に分類されますが、一部には脳梗塞やくも膜下出血など命に関わる病気が隠れている場合もあります。
「とりあえず知恵袋で似た症状を探して安心したい」というお気持ちは自然なものです。
しかし、知恵袋の情報はあくまで個人の体験談や一般ユーザーの推測が多く、医学的に正確でないものも含まれます。
本記事では、そうしたQ&Aサイトの情報に頼りすぎないために、片側の頭痛に関する基本的な考え方と、危険なサインの見分け方を整理します。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
「頭の左側がズキズキ痛い」原因として、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・帯状疱疹・副鼻腔炎・脳の血管の病気など、さまざまな可能性があります。
知恵袋は体験談を知るうえで役に立ちますが、医学的に正確とは限らず、自己判断による受診の遅れを招くリスクもあります。
「突然の激しい頭痛」「麻痺・ろれつ障害・視覚障害を伴う頭痛」「高熱・意識障害を伴う頭痛」は、救急受診を検討すべき危険なサインです。
それ以外の頭痛でも、「繰り返す」「徐々に悪化する」「市販薬が効きにくくなっている」場合は、一度医療機関で相談すると安心です。
日常生活では、睡眠・姿勢・眼精疲労・ストレスの管理、市販薬の適切な使用、頭痛日記の活用などにより、頭痛の悪化・再発予防が期待できます。
本記事の内容は、一般的な医療情報に基づいたものであり、個々の診断・治療を行うものではありません。
「少しでもおかしい」「不安が強い」と感じる場合は、知恵袋の情報だけで判断せず、必ず医療機関で専門家の診察を受けるようにしてください。
なぜ「頭の左側だけの痛み」が不安?
頭痛のなかでも、次のような点が不安を強めやすい要因です。
いつもと違う場所(左側だけ)が痛む違和感
片側という左右差から「脳の血管のトラブル」を連想しやすい
ネット検索で「脳梗塞」「脳出血」など重い病名が目につきやすい
痛みがそれほど強くなくても、「場所がいつもと違う」というだけで強い不安につながりやすいのが特徴です。
知恵袋に頼りきることのメリット・デメリット
メリット
自分と似た症状の体験談を探しやすい
病院に行く前に「他の人はどうしているか」を知ることができる
医師が回答しているケースもあり、参考になる場合がある
デメリット
医学的に誤った助言や、極端な体験談も混じっている
「自分も大丈夫だろう」と受診を先延ばしにしてしまうリスク
年齢・持病・薬・生活背景が違う他人の例を、そのまま自分に当てはめてしまいやすい
知恵袋は「参考情報」にとどめ、危険なサインをチェックしながら、必要に応じて医療機関の受診も検討することが重要です。
頭の左側がズキズキするときに考えられる主な原因
ここでは、「頭の左側だけがズキズキする」場合に考えられる代表的な原因を整理します。基本的には右側の場合も同様の考え方が当てはまります。
もっとも多い「片頭痛」タイプの特徴
片頭痛は、検査で明らかな異常が見つからない「一次性頭痛」の代表例で、特に20〜40代の女性に多いといわれます。
主な特徴
頭の片側(左または右)に「ズキズキ」「ドクドク」と脈打つような痛み
4〜72時間ほど痛みが続く場合がある
動くと悪化し、じっとしていたくなる
光・音・匂いに敏感になり、暗く静かな場所で寝ていたくなる
吐き気や嘔吐を伴うことがある
人によっては、目の前がチカチカする「閃輝暗点」などの前兆が出る
よくある誘因の例
寝不足・寝過ぎ
ストレスやストレスから解放された休日
生理前後
気圧や天気の変化
アルコール・チョコレート・赤ワインなど特定の食品
「普段から似た頭痛を繰り返している」「家族にも片頭痛持ちがいる」場合、片頭痛の可能性が高まります。
肩こり・眼精疲労が関わる「緊張型頭痛」
デスクワークやスマホの長時間使用で、首や肩の筋肉がこわばることで起こる頭痛が緊張型頭痛です。
特徴
「ズキズキ」というより「ギューッと締め付けられる」「重い」ような痛み
頭の後ろ〜側頭部〜頭全体にかけて痛むことが多い(片側のことも両側のこともある)
目の疲れ・肩こり・長時間同じ姿勢との関連が強い
入浴やストレッチ、マッサージなどで楽になることが多い
「仕事中やパソコン作業の終わりごろに痛くなる」「肩や首がパンパンに張っている」といった場合、緊張型頭痛が疑われます。
非常に強い片側痛の「群発頭痛」
群発頭痛は、目の奥から側頭部にかけて、非常に強い痛みが一定期間集中的に「群発」する病気です。
特徴
片側の目の奥〜側頭部に、耐えがたいほど強い痛み
1回15〜180分ほどの頭痛発作が、1日に何度も起こることがある
目の充血・涙・鼻水・まぶたの腫れ・顔の発汗などを伴いやすい
夜間、毎日ほぼ同じ時間帯に出ることが多い
痛みがあまりにも強く、じっとしていられず歩き回ったり、頭を抱え込んだりするほどと言われます。疑わしい場合は、早めに頭痛専門医の受診が必要です。
帯状疱疹・副鼻腔炎など頭皮や神経・副鼻腔の病気
頭の片側のズキズキが、皮膚や神経、鼻の周囲にある「副鼻腔」の病気によることもあります。
具体例
帯状疱疹
頭〜顔の片側にピリピリ・ズキズキした痛み
数日後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れる
副鼻腔炎(蓄膿症)
おでこや頬の奥が重い・ズキズキする
鼻づまり・黄色い鼻水・顔の重だるさを伴う
後頭神経痛
頭皮〜後頭部に「ビリッ」「ズキッ」と走る鋭い痛み
触れると痛みが誘発されることもある
頭痛以外の皮膚症状や鼻の症状などが手がかりとなります。
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など命に関わる疾患
最も心配されるのが、脳の血管に関わる病気です。代表的なものとして次のような疾患があります。
脳梗塞・脳出血
片側の手足の麻痺・しびれ
言葉が出にくい、ろれつが回らない
視野が欠ける、物が二重に見える
ふらつき・めまいなどの神経症状を伴うことが多い
くも膜下出血
「バットで殴られたような」「雷に打たれたような」突然の激しい頭痛
意識がもうろうとする、呼びかけに反応しにくい
吐き気・嘔吐・けいれんなどを伴うこともある
このような症状が少しでも疑われる場合、至急の受診(救急車の利用も含む)が必要です。
危険な頭痛のサインチェックリスト
以下は、自己判断の目安としてお使いいただくチェックリストです。
当てはまるからといって必ず重い病気というわけではありませんが、「受診を急ぐべきサイン」として参考になります。
今すぐ救急受診を検討すべき症状
次のいずれかに当てはまる場合は、救急車の利用も含めて、今すぐ受診を検討してください。
突然、経験したことのない激しい頭痛が出た
頭を強く打ってから、ひどい頭痛が続いている
頭痛と同時に、片側の手足の麻痺・しびれが出た
言葉がうまく出ない、ろれつが回らない
片目が見えにくい・視野が欠ける・物が二重に見える
高熱や首の強いこわばりを伴う
意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい
高血圧・糖尿病・不整脈などの持病がある方で、急激な頭痛が出現した
一つでも当てはまる場合は、「様子を見る」よりも医療機関への連絡・受診を優先してください。
数日以内に脳神経外科・神経内科などを受診したい症状
次のような場合は、救急ほどではなくても、数日以内に医療機関を受診することが推奨されます。
数日〜数週間続く頭痛で、頻度・強さが徐々に増している
市販薬を数日使用しても改善が乏しい
吐き気・嘔吐・めまい・ふらつきが何度も繰り返される
いつもの片頭痛・緊張型頭痛と「明らかに痛み方が違う」と感じる
50歳以降になってから、新しく片側の頭痛が出始めた
どの診療科に行くか迷う場合は、脳神経外科・神経内科・頭痛外来・総合内科などへの相談が一つの目安になります。
セルフケア+経過観察でもよいとされるケースの目安
次のような場合は、まずセルフケアで様子を見るケースもあります。
以前からある片頭痛・緊張型頭痛とほぼ同じパターンで出ている
痛みはあるが、日常生活は何とか送れる程度
市販の解熱鎮痛薬である程度改善し、頻度もそこまで多くない
危険なサイン(突然の激痛・麻痺・視覚障害・高熱など)はない
ただし、「何度も繰り返す」「市販薬がないと過ごせない」頭痛は、慢性化や薬剤誘発性頭痛のリスクもあり、一度は医療機関で相談することをおすすめいたします。
知恵袋の典型質問パターンと、正しい読み解き方
よくある質問の例と、医学的な整理
知恵袋では、次のような質問が多く見られます。
「頭の左側だけがズキズキ痛いです。片頭痛でしょうか?」
「偏頭痛持ちではないのに、最近左側がジンジンします。脳の病気でしょうか?」
「目の奥からこめかみにかけて痛みがあり、吐き気もあります。救急に行くべきですか?」
これらの質問には、
痛みの場所(左側・右側・後頭部など)
痛みの性質(ズキズキ・締め付け・一瞬ビリッなど)
随伴症状(吐き気・しびれ・視覚異常・発熱など)
経過(突然・徐々に・何度も繰り返す)
といった要素が混在しています。本記事では、これらを一つずつ整理し、「どのような場合は危険度が高いか」を構造的に解説しています。
回答をそのまま信用するリスクと限界
知恵袋の回答を読む際は、次の点に注意が必要です。
回答者の多くは医療の専門家ではない
「自分は大丈夫だった」という体験談は、その人の状況に限った話であり、他の人には当てはまらないことも多い
逆に、非常に重い症例だけが印象に残り、「自分も同じでは」と必要以上に不安になることもある
知恵袋は、「似た悩みを持つ人がいる」という安心材料にはなりますが、診断や治療方針を決める根拠として十分とはいえません。
医師回答・専門情報との付き合い方
医師や専門家が回答している投稿、医療機関や公的機関へのリンクがある投稿を優先的に参考にする
不安な場合は、そこで得た情報をメモして、実際の診察時に医師に質問する
ネット記事のURLや画面メモを持参し、「こういう情報を見たが、自分の場合はどうか」と相談する
このように、「ネット情報を診察の材料として持っていく」スタイルに切り替えると、より安全で有効な活用につながります。
自宅でできる対処法と、市販薬の上手な使い方
片頭痛と緊張型頭痛で異なる「冷やす・温める」の使い分け
一般的には次のような使い分けがよく紹介されています。
片頭痛タイプ
脳の血管が拡張していると考えられるため、こめかみ・額を冷やすと楽になる人が多い
緊張型頭痛タイプ
首・肩・後頭部の筋肉がこわばっているため、温めて血行を良くすると楽になることが多い
ただし、冷やす・温めるどちらが楽かは個人差が大きいため、「自分が心地よい方」を選び、極端に冷やし過ぎ・温め過ぎないようご注意ください。
市販薬を使うときの注意点(飲む回数・期間・薬剤性頭痛)
解熱鎮痛薬は、正しく使えば頭痛の辛さを和らげるうえで有用です。ただし、次の点には注意が必要です。
説明書に記載された用量・用法を必ず守る
週に10日を超える頻度、1か月のうち15日以上など、頻繁に飲み続けると「薬剤誘発性頭痛」のリスクが高まると言われている
妊娠中・授乳中・持病のある方・他の薬を内服中の方は、自己判断で飲まず医師・薬剤師に相談する
市販薬を飲んでも痛みが治まらない、回数が増えてきた場合は、医療機関を受診する
市販薬はあくまで「一時的な対処」であり、原因そのものを治すものではないことを意識しておきましょう。
仕事・家事の合間にできるセルフケア(姿勢・ストレッチ・休憩)
1時間に1回程度は席を立ち、首・肩をゆっくり回す
画面から目を離し、遠くを見る・目を閉じるなどして休ませる
背筋を伸ばし、椅子・モニターの高さを見直す
深呼吸を意識し、肩に力が入り過ぎないよう意識する
こうした小さな工夫の積み重ねでも、緊張型頭痛や眼精疲労の軽減が期待できます。
再発予防のために見直したい生活習慣
睡眠・食事・水分・カフェインとの付き合い方
睡眠:毎日できるだけ同じ時間に寝て同じ時間に起きる(寝だめ・徹夜を避ける)
食事:極端な空腹や急激な血糖の変動は頭痛の誘因になりうるため、無理な食事制限を避ける
水分:こまめな水分補給で脱水を防ぐ
カフェイン:適量なら頭痛に有効な場合もある一方、飲み過ぎや急な断ち方が頭痛を誘発することもある
自分の頭痛と何が関係していそうか、簡単なメモを取りながら振り返ると傾向がつかみやすくなります。
スマホ・PCによる眼精疲労を軽減する工夫
画面の明るさを周囲の明るさに合わせる
ブルーライトカットメガネやフィルターの活用
スマホ・PC画面との距離を30cm以上あける
就寝前の長時間使用を控える
特に寝る直前の強い光刺激は睡眠の質も下げ、翌日の頭痛リスクを高める可能性があります。
ストレスとの付き合い方と頭痛日記の活用
仕事・家事のスケジュールにあらかじめ「休憩時間」を組み込む
軽い運動(散歩やストレッチなど)を習慣化する
「いつ・どこで・どんな痛みが・どのくらい続いたか」をメモする頭痛日記をつける
頭痛日記には、
起きた日時
痛みの強さ(10段階など)
痛み方(ズキズキ/締め付け/チクチクなど)
その日の睡眠・食事・仕事状況・ストレス・天気
などを記録すると、医師が原因や誘因を判断する際の大きな助けになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 片頭痛と緊張型頭痛は同時に起こることがありますか?
はい、同じ方が両方の頭痛を持っていることは珍しくありません。
片頭痛の体質がある方が、仕事や姿勢の問題で緊張型頭痛も起こしやすくなるケースもあります。
その場合、
あるときはズキズキする片頭痛
あるときは締め付けられるような緊張型頭痛
両方が混ざったような頭痛
と、パターンが複雑になることがあります。自己判断に頼りすぎず、頭痛日記をつけたうえで医師に相談することが有効です。
Q2. 何日以上続いたら病院に行くべきですか?
一概には言えませんが、目安としては次のような場合に受診が推奨されます。
数日〜1週間以上続いている頭痛が改善しない
市販薬を飲み続けないとやり過ごせない状態が続いている
頭痛の頻度・強さが徐々に増している
また、日数に関係なく「突然の激しい頭痛」「麻痺・視覚障害・ろれつ障害・高熱を伴う頭痛」は、すぐに受診が必要です。
Q3. CTとMRIはどちらを受ければよいですか?
CTとMRIにはそれぞれ得意分野があります。
CT:短時間で撮影でき、頭部外傷やくも膜下出血などの出血性病変の評価に向く
MRI:一部の脳梗塞や脳腫瘍、慢性の病変などを詳しく見るのに向く
どちらが必要かは症状や状況に応じて医師が判断しますので、「どの検査が適切か」は診察時に相談するのが安心です。
Q4. 子どもや高齢者の「左側の頭痛」は大人と何か違いますか?
子どもや高齢者では、次のような点に注意が必要です。
子ども
痛みをうまく言葉で表現できない
「機嫌が悪い」「元気がない」「吐き気を繰り返す」など行動の変化にも注目が必要
高齢者
血管の病気や既往歴、内服薬など背景要因が多い
軽い症状に見えても、重大な病気が隠れていることがある
いずれの場合も、「いつもと違う」「様子がおかしい」と感じたら、早めの受診をおすすめいたします。