出張や旅行で便利なAgoda(アゴダ)を使ってみたものの、「領収書はどこから出すのか」「インボイスとして使えるのか」が分からず、不安になっていないでしょうか。
とくに、会社経費やフリーランスの出張費として計上したい場合、インボイス制度への対応状況は無視できないポイントです。
本記事では、「アゴダ 領収書 インボイス」というお悩みに正面から向き合い、Agodaの領収書がインボイスとして認められるかどうか、具体的な発行手順、事前決済・現地決済で何が変わるのかを整理して解説いたします。
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Agodaのオンライン事前決済で発行される領収書は、2025年時点の情報では日本のインボイス制度上の適格請求書には該当しないと考えるのが基本スタンスです。
事前決済の場合、領収書はAgoda側から発行され、ホテルは領収書を発行しない(できない)と案内しているケースが多く見られます。
現地決済プランを選び、適格請求書発行事業者である宿泊施設からインボイス対応の領収書をもらえるケースもありますが、事前にホテル側の方針を確認することが重要です。
インボイスが取れないからといって、直ちに経費にならないわけではありませんが、消費税の仕入税額控除の扱いには影響があり得ます。
出張旅費等特例など、インボイスがなくても帳簿保存で対応できる特例も存在しますが、個々の判断は必ず税理士等の専門家に確認してください。
Agodaの領収書はインボイス対応しているのか?
Agodaでは、オンライン事前決済を行った場合、マイページやアプリから「電子領収書(電子レシート)」を発行できます。PDF形式の領収書には、以下のような情報が一般的に記載されます。
予約ID
利用者名
宿泊施設名・宿泊日・泊数
支払金額・通貨
支払日・支払方法 など
しかし、日本のインボイス制度に必要な「適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁)」などが記載されていないため、厳密にはインボイス(適格請求書)とは扱われません。
日本語で解説している複数の旅行メディアやブログ、ホテル公式サイトでも、Agodaをはじめとする海外予約サイトの事前決済領収書は「インボイス非対応」と明示されています。
したがって、Agodaの領収書は「支払を証明する書類」としては有用ですが、「日本のインボイス制度上の適格請求書」としては扱われないことを前提に考える必要があります。
他の海外宿泊予約サイトとの比較
同様の状況は、Agodaだけでなく、Booking.com、Expedia、Trip.comなどの海外宿泊予約サイトでも見られます。多くのホテルの公式サイトやお知らせでは、
海外予約サイトでオンライン事前決済した場合
そのサイトが日本の適格請求書発行事業者として登録されていない場合
には、日本国内のインボイス制度に対応した領収書とはならない旨が案内されています。
つまり、「海外OTAで事前決済する」という予約スタイルそのものが、インボイスを取得しづらくしていると整理できます。
Agodaで領収書を発行する方法
ここからは、インボイス対応の可否とは別に、Agodaで領収書を実際に発行する手順を整理します。
事前決済(オンライン決済)の場合の領収書発行手順
Agodaでクレジットカードなどによるオンライン決済を行った場合、領収書はAgoda側から発行されます。基本的な流れは以下のとおりです。
PCブラウザからの例
Agodaにログインし、画面右上のアイコンから「予約確認」または「予約」を開きます。
「過去の予約」「利用履歴」などのタブから、領収書を発行したい予約を選択します。
予約詳細ページの下部にある「電子領収書をメール送信」または「電子レシートをEメールで送信」などのボタンをクリックします。
宛名(会社名・氏名)、住所、但し書きなどの入力欄が表示される場合は、必要に応じて変更します。
送信先メールアドレスを確認し、「送信」または「発行」ボタンを押します。
数分後、Agodaから領収書が添付されたメールが届きますので、PDFを保存・印刷して利用します。
スマホアプリからの例
Agodaアプリを開き、下部メニューから「旅程」や「予約」をタップします。
「過去の予約」タブに切り替え、該当する宿泊を選択します。
予約詳細画面の一番下までスクロールし、「電子領収書をメール送信」ボタンをタップします。
宛名・但し書きなどを入力し、送信します。
※UIの文言や配置はバージョンによって変わることがありますが、基本的には「予約詳細」画面の下部に領収書送信ボタンが用意されています。
現地決済の場合の領収書の受け取り方
Agodaでは、宿泊プランによって「オンライン事前決済」と「宿泊施設での現地決済」が選べる場合があります。
現地決済を選んだ場合のポイントは次のとおりです。
実際の支払先は宿泊施設(ホテル・旅館)になります。
多くの場合、領収書はホテルフロントで発行してもらう形になります。
ホテル側が日本の「適格請求書発行事業者」として登録されていれば、インボイス対応の領収書を発行してもらえる可能性があります。
ただし、ホテルによっては、海外予約サイト経由の予約に関して、
「事前決済の場合はホテルでは領収書(インボイス)を発行できない」
「オンライン決済予約は、領収書は予約サイト側で取得してください」
と公式に案内しているケースも多く見られます。
インボイスが必要な場合は、予約前に必ず以下を確認してください。
そのプランが「現地決済」かどうか
宿泊施設が適格請求書発行事業者かどうか
海外OTA経由の現地決済分でも、ホテルがインボイスを発行してくれるか
事前にホテルへ問い合わせメールを送る、もしくは公式サイトのインボイスに関する案内を確認しておくと安心です。
領収書を日本語/経理向けフォーマットで出すコツ
Agodaの画面は英語で表示されることも多く、領収書もデフォルトでは英語表記になる場合があります。そのような場合は、以下の点を確認しておくと経理処理がスムーズです。
Agodaサイトやアプリの言語設定を事前に「日本語」にしておく
予約時または領収書発行時に、氏名・会社名をローマ字ではなくカタカナ・漢字で入力できるか確認する
通貨表示(JPYかどうか)を確認し、必要に応じて社内で換算レートの取り扱いを決めておく
最終的には、PDFを保存して経理担当者に共有し、「インボイス対応かどうか」「消費税の取扱いをどうするか」を社内・税理士と相談する形が現実的です。
ビジネス利用でインボイスが必要な場合の考え方
日本国内出張でAgodaを使うときの基本スタンス
日本国内の出張でホテルに宿泊する場合、原則としては「インボイスを保存して仕入税額控除を受ける」ことが想定されています。しかし、Agodaのような海外宿泊予約サイトで事前決済すると、その領収書はインボイスに該当しないため、原則どおりの仕入税額控除は行えないケースが多いと考えられます。
一方で、国税庁のQ&Aや通達では、出張旅費・宿泊費等について、一定の条件を満たす場合には「帳簿のみの保存」で仕入税額控除を認める出張旅費等特例なども示されています。
ただし、個々の取引が特例の対象になるかどうかは、
出張の目的・内容
行き先(国内か海外か)
誰がどの名義で予約・支払をしたか
などにより異なります。そのため、実際の処理については、必ず税理士または社内の税務・経理担当者に相談することをおすすめいたします。
Agodaを使いつつインボイスを確保したいときの選択肢
どうしてもAgodaを使いたいが、可能な限りインボイス対応も意識したい、という場合は、次のような選択肢が考えられます。
現地決済プランを選ぶ
宿泊施設が適格請求書発行事業者であり、海外OTA経由の現地決済分についても領収書(インボイス)を発行してくれるのであれば、フロントでインボイス対応の領収書をもらえる可能性があります。
インボイスが必須な出張については、国内OTAやホテル公式サイトを利用する
会社から「インボイス必須」と指示されている場合や、消費税の仕入税額控除を重視する場合には、最初から国内OTAやホテル公式サイト経由での予約をルール化するのが安全です。
インボイスが取得できない前提で、その取扱いを税理士に確認する
「インボイスはないが、出張旅費等特例で対応可能か」
「少額であれば、仕入税額控除をあきらめても大勢に影響しないか」
など、経費・税務の全体バランスを踏まえて判断してもらうことが重要です。
インボイスが取れない場合の税務上の一般的な考え方(概要)
インボイスが取れないからといって、「全く経費にならない」という意味ではありません。
経費として損金算入するかどうか(所得税・法人税の観点)と、
仕入税額控除ができるかどうか(消費税の観点)
は別の話です。
一般論として、事業に必要な支出であれば、証憑(領収書・明細・カード利用明細など)を保存し、帳簿に適切に記帳することで、所得税・法人税の経費として認められることは多いと考えられます。一方、消費税の仕入税額控除については、インボイス制度に従った証憑や特例の有無が重要になります。
ただし、ここから先は各事業者の状況によって大きく異なりますので、本記事では一般的な枠組みの説明に留め、具体的な判断は必ず税理士などの専門家にご確認ください。
ケース別FAQ:よくある悩みと対応例
すでにAgodaで事前決済してしまったが、インボイスが必要と言われた
この場合、まずは次の点を整理しておくと、社内や税理士との相談がスムーズです。
宿泊先の国・地域(国内か海外か)
宿泊施設名と所在地
誰の名義で予約したか(会社名義か、従業員の個人名義か)
支払方法(会社カード、個人カード立替など)
Agodaから取得した領収書の内容(通貨、金額、日付など)
そのうえで、
仕入税額控除を諦めるか
出張旅費等特例などの適用可能性があるか
次回以降、どの予約方法に切り替えるか
を税理士や経理担当者と相談する流れが現実的です。
会社から「インボイス対応以外はNG」と言われている
会社ルールとして、インボイス取得を徹底したい場合、次のような方針が考えられます。
国内出張については、原則として
国内OTA(じゃらん、楽天トラベル等)
旅行会社
ホテル公式サイト
から予約する。
海外OTA(Agoda、Booking.com等)は、
個人旅行のみ許可
もしくは例外的なケースのみ許可(インボイス不要な場合に限る)
といった形で区分する企業もあります。
ただし、「インボイスが取れない予約=すべて禁止」としてしまうと、実務上の柔軟性を欠くこともあります。たとえば、海外出張の場合や、インボイス制度の対象外となる取引もあり得ますので、自社の業態やコスト感を踏まえ、税理士と相談しながらルールを設計することをおすすめいたします。
フリーランス・個人事業主の場合
フリーランスや個人事業主の場合、
「安く泊まりたいのでAgodaを使いたい」
「インボイス対応も意識したい」
という二つのニーズのバランスを取る必要があります。
もしご自身が消費税の免税事業者であれば、インボイスの有無が実務上の負担に直結しないケースもあります。一方で、課税事業者として消費税を申告している場合は、インボイスの有無が仕入税額控除の金額に影響し得ます。
いずれにしても、
月々の宿泊費の規模
ビジネス全体の売上・利益への影響
他の経費とのバランス
などを踏まえたうえで、「どこまでインボイスにこだわるか」を税理士と相談し、方針を決めておくと安心です。
まとめ
予約前・経費処理前にチェックすべきポイントのリスト
最後に、Agodaを含む宿泊予約サイトをビジネス利用する際に、事前に確認しておきたいポイントをまとめます。
予約サイトは海外事業者か、国内事業者か
支払方法は事前決済か、現地決済か
宿泊施設が適格請求書発行事業者かどうか
海外OTA経由予約でも、ホテルがインボイス発行に対応しているかどうか
出張の目的・内容、宿泊日数、費用規模
自社(またはご自身)が消費税の課税事業者か免税事業者か
不明点を整理し、税理士・経理担当者に早めに相談すること
上記を踏まえて、「安くて便利なAgoda」と「インボイス制度への対応」をどのように両立するかを検討していただければと思います。