見慣れない「87」や「+87」から着信があると、「どこの国だろう」「大事な連絡だったらどうしよう」と焦ってしまいがちです。しかし、その“折り返したくなる気持ち”こそが、迷惑電話や詐欺の典型的な入口になりやすいポイントです。
本記事では、87から始まる電話番号の正体を整理したうえで、出てしまった場合に起き得ること、絶対にやってはいけない行動、そしてiPhone/Androidの着信拒否から固定電話の予防策、万一の相談先までを、手順として分かりやすく解説いたします。
「折り返すべきか」「放置してよいか」を迷う時間を、今日で終わらせましょう。今の状況に合わせて、すぐに取れる最適な行動が分かります。
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87の電話番号とは何か
87と+87は国番号なのか
「87の電話番号」と検索される背景には、着信履歴に「87」「+87」「+870」のような見慣れない表示が残り、「どこの国からの電話か」「危険なのか」「折り返すべきか」を短時間で判断したいという強いニーズがあります。まず押さえるべき前提は、スマートフォンの着信表示は、国際電話の形式に従って「+(プラス)」から始まり、その直後の数字列が国番号やサービス番号として見える場合があるという点です。
一方で、「+87」という表示がそのまま“特定の国番号”として単純に結び付くとは限りません。理由は大きく2つあります。
1つ目は、番号表示の揺れです。端末や通話アプリ、通信網の取り扱いにより、国番号が途中までしか表示されない、あるいはユーザーが視認したのが先頭数桁だけで「+87に見えた」というケースが起きます。着信履歴で末尾が長い数字列になっているほど、途中の桁を読み誤りやすくなります。
2つ目は、発信者番号の偽装や転送の可能性です。詐欺・迷惑電話の分野では、番号そのものの“見た目”で判断させて折り返しや応答を誘う手口が多く、着信表示が海外形式であること自体が「相手の正当性」を担保しません。つまり「+が付いているから海外の知人かもしれない」「珍しい番号だから重要な連絡かもしれない」という心理を利用されやすいのです。
ここで大切なのは、「+87がどこの国か」を当てることがゴールではなく、「心当たりがないなら出ない・折り返さない」が安全上のゴールである点です。仮に本当に必要な連絡であれば、メールやSMS、別経路で再連絡が来る可能性が高く、ワンチャンスの着信だけで重大な手続きが成立することは通常考えにくいからです。
なお、仕事上どうしても海外からの電話を受ける事情がある方は、「心当たり」の定義を少し厳密にしてください。例えば、海外取引先・予約サービス・国際配送など「その時間帯に来ても不自然ではない要件」があるか、事前に番号が共有されていたか、メールで通知が来ていないかといった周辺情報をセットで確認するのが合理的です。逆に、周辺情報が一切ないのに「番号だけが異質」な場合は、リスク側に倒して判断するほうが安全です。
+870など衛星電話番号との関係
「87」周辺で特に混同されやすいのが「+870」です。一般の生活者にとって衛星電話は馴染みが薄い一方、番号としては国際形式で表示されるため、着信履歴に残ったときの違和感が大きくなります。結果として「+870を見た(あるいは+87に見えた)」→「どこの国?」→「詐欺?」という流れで検索されがちです。
ここでの要点は、次の整理です。
衛星電話由来の番号帯は、地上回線の国番号とは性質が異なる場合がある
一般の生活で衛星電話からの着信が来る頻度は高くない
そのため「心当たりのない+870(または+87に見える番号帯)」は、まず不審として扱うのが安全
衛星電話が使われる場面は、海上・航空・僻地など地上回線が届きにくい環境での連絡手段が中心です。つまり、日常的に国内で生活していて突然その種の番号から着信が来る状況は限定的です。もちろん、災害対応や海運、特殊業務などの関係者であれば例外もありますが、その場合はたいてい事前に連絡手段が共有されているはずです。事前共有のない衛星系番号は、少なくとも「即応答・即折り返し」が必要な類型ではありません。
また、迷惑電話対策の観点では、番号が衛星系であるかどうかを厳密に判定することよりも、「折り返しをしない」「操作をしない」「個人情報を渡さない」という行動原則を徹底するほうが実効性が高いです。詐欺側は番号の種類よりも、受信者が焦って“動く”ことを狙うためです。
なぜ最近87の電話番号が増えているのか
体感として「最近増えた」と感じる理由には、いくつかの要因が重なります。
国際電話・IP電話を経由した発信が容易になった
発信元の多様化により、受信側は見慣れない番号を目にする機会が増えます。詐欺に限らず、国際配送や海外サービスのコールセンターなど、正当な事業者でも海外番号を使うケースはあります。しかし「正当なケースがある」ことは「危険がない」こととは別問題で、むしろ判別が難しくなる点に注意が必要です。“折り返し”を狙う手口が成立しやすい
着信履歴がワンタップで折り返し可能なスマートフォンでは、「間違って切ってしまった」「大事な用件かもしれない」という心理から、確認のために折り返しやすくなります。詐欺側はこの行動を誘発する番号表示やワン切りを利用します。自動音声による選別が高度化している
出た瞬間に自動音声が流れ、「1を押す」「オペレーターへ」などの誘導が行われることがあります。これにより、相手は“話を聞いてくれる層”“押してしまう層”を効率的に抽出できます。つまり、少数の反応者から利益を得られれば成立してしまうため、広範囲へ発信が行われやすくなります。なりすましの題材が増えている
通信会社、行政、信用情報機関、配達業者など、日常に近いテーマほど人は反応しやすい傾向があります。実在組織名が出ると「本物かも」と思ってしまいがちですが、詐欺では“相手が名乗った”こと自体に信用性はありません。重要なのは、こちらから公式窓口へ確認するという手順です。
以上を踏まえると、「87の電話番号が増えた」というより、見慣れない国際形式の着信が増え、さらに詐欺がその領域を悪用していると理解するほうが実態に近いです。したがって、対策も「番号の国当て」より「行動の標準化」に寄せるほど、再現性が高くなります。
87の電話番号に出ると起きること
折り返しで料金が発生する仕組み
最も避けたい行動が「折り返し」です。折り返しのリスクは、主に2つです。
1つ目は、通話料金が高額になり得ることです。国際通話は国内通話と料金体系が異なり、相手先や経路によっては高くなる場合があります。さらに衛星系や特殊な経路に接続されると、通常の国際通話より高額になり得ます。料金が高いかどうかを、折り返す前に受信者が厳密に判断するのは困難です。だからこそ、「心当たりがないなら折り返さない」というシンプルなルールが強いのです。
2つ目は、“通話が成立した”という事実が攻撃側に利益を与えることです。相手は「この番号はつながる」「この人は折り返す」と確認できます。これにより、今後も別番号から継続的に狙われる可能性が上がります。つまり折り返しは、短期的な料金リスクだけでなく、長期的な標的化リスクも増やします。
加えて、詐欺の形態によっては、通話を引き延ばすために自動音声を長く流したり、オペレーターへ回して会話を続けさせたりする場合があります。受信者が「早く終わらせたい」と思っても、心理的圧迫(未納、裁判、停止、強制執行など)をかけられると、冷静な判断が難しくなります。通話が長引くほど、金銭面・情報面のリスクが積み上がります。
したがって、折り返しを避けるための実務上のコツは以下です。
着信履歴に見慣れない「+」付き番号がある場合、折り返しボタンを押さず、まず検索・確認へ回す
本当に必要な用件の可能性が少しでもあるなら、相手が名乗った組織の公式サイトから代表番号を調べ、自分でかけ直す
連絡先に登録していない海外番号は、原則「不明な発信者」として取り扱う(必要なら後述の消音設定も検討)
音声ガイダンスで狙われる情報
自動音声やガイダンスは、詐欺の“入口”として非常に相性が良い仕組みです。理由は、相手にとって次の利点があるからです。
大量発信が可能:人手をかけずに多数へアプローチできる
選別ができる:「1を押した」「最後まで聞いた」などで反応者を抽出できる
心理誘導がしやすい:権威的な口調や効果音、専門用語で“本物らしさ”を演出できる
狙われる情報は、必ずしも最初からカード番号とは限りません。初動では次のような“軽い情報”を取りに来ることがあります。
氏名(フルネーム)
生年月日
住所(番地まで)
勤務先や家族構成
「この番号の契約者は誰か」「本人かどうか」などの確認
これらが揃うと、別の詐欺(架空請求、なりすまし、口座悪用など)に横展開される可能性があります。また、「押したボタン」や「発した言葉」自体を録音し、別の場面で悪用するリスクもゼロではありません。したがって、ガイダンスに対しては次を徹底してください。
指示されてもボタンを押さない
「はい」「同意します」など、誤用されやすい返答を避け、無言で切る
重要そうな内容でも、その場で判断せず、いったん切って公式窓口へ確認する
「切るのは失礼では」と感じる方もいますが、心当たりのない国際形式の着信に対しては、礼儀より安全が優先です。正当な相手であれば、別経路で連絡がつくはずです。
通信会社や公的機関を名乗る典型パターン
なりすましは、受信者の心理を揺らす“題材選び”が重要になります。典型例としては以下のようなパターンが繰り返し使われます。
通信会社を名乗る:「未納がある」「回線が停止する」「確認が必要」
公的機関を名乗る:「調査対象」「裁判手続き」「法的措置」
信用情報機関を名乗る:「登録情報の確認」「延滞情報」「本人確認」
配達業者を名乗る:「不在票」「関税」「住所不備」
金融機関を名乗る:「不正利用」「口座凍結」「本人確認」
これらに共通する狙いは、「今すぐ対応しないと大変なことになる」という焦りを作ることです。焦りが出ると、人は通常よりも短絡的な判断をしやすくなります。詐欺はこの心理に乗せて、次の行動へ誘導します。
折り返しをさせる
自動音声に従って操作させる
個人情報を言わせる
振込・電子マネー・送金をさせる
SMSのリンクを開かせる、アプリを入れさせる
対策の本質は、「相手が名乗る情報」ではなく「こちらが確認する経路」を信用することです。つまり、公式サイトの問い合わせ先、契約書・請求書に記載の番号、正規アプリの通知など“自分が確かめた情報源”を基準にしてください。相手が電話口で提示する番号やサイトURLは、いくらそれらしくても信用しないのが原則です。
87の電話番号への正しい対処手順
今すぐやること判断フロー
不審な「87」系着信があった場合、迷わないための行動手順を、状況別に固定化しておくのが有効です。以下は、判断の順番を間違えないためのフローです。
心当たりの有無を10秒で確認する
海外の知人・取引先・予約・配送・サービス利用など、事前に可能性があるか
直前にメールやSMSで「電話します」と通知があったか
仕事用番号に限定した着信か、私用番号にも来ているか
心当たりがなければ出ない(出た場合は即終了)
出てしまった場合は、無言で切る/「結構です」程度で切る
自動音声の指示に従わない(ボタンを押さない)
折り返しをしない
気になる場合は、相手が名乗った組織名をメモし、公式サイトから代表番号へ自分で問い合わせる
記録を残す
着信履歴のスクリーンショット
時刻、回数、留守電の有無
SMSがあれば文面(URLは開かない)
ブロックする
iPhone/Androidの機能で番号ブロック
同種が続く場合は「不明な発信者を消音」「迷惑電話対策アプリ」なども検討
不安や実害があれば相談する
金銭要求、個人情報の提供、リンク誘導などがあった場合は、消費生活相談や警察相談へつなぐ
折り返してしまい料金が心配な場合は、通信会社の明細確認・相談も有効
このフローのポイントは、“確認”より先に“折り返し”をしないことです。確認したい気持ちが強いほど折り返しに手が伸びますが、そこが最も危険な分岐点です。確認は、必ず「自分で調べた公式窓口」へ向けて行ってください。
iPhoneで87の電話番号を拒否する方法
iPhoneの基本は「履歴からの個別ブロック」です。端末のバージョンや表示は多少異なりますが、概ね次の流れになります。
「電話」アプリを開きます
「履歴」から該当する番号を探します
右側の情報アイコン(iマーク等)を開きます
画面下部付近にある「この発信者を着信拒否」などを選択します
ここで重要なのは、ブロック前に折り返して確認しないことです。履歴に残っているだけであれば、こちらから行動しない限り、被害が進む可能性は相対的に低くなります。
さらに、頻繁に不審な着信がある方は、次の運用も検討できます。
連絡先に登録されていない番号を消音する設定
知らない番号の着信を鳴らさず、履歴には残す設定です。日常で必要な着信(病院、宅配、学校など)が多い方は、例外的に必要な番号を連絡先へ登録しておくと運用しやすくなります。留守番電話・メッセージの運用
本当に重要な相手であれば、留守電やSMSで要件を残す可能性があります。ただし、留守電やSMSにあっても「リンクを開け」「番号へ電話しろ」など誘導が強い場合は詐欺を疑ってください。連絡先の整理
「予約サービス」「配達」「学校」など、必要になり得る番号をあらかじめ連絡先へ入れておくと、不明番号をより大胆に無視できます。迷惑電話対策は、ブロック機能だけでなく“迷わない状態作り”が効果的です。
Androidで87の電話番号を拒否する方法
Androidは端末メーカーや電話アプリにより名称が異なりますが、基本はiPhoneと同様に「履歴からのブロック」です。一般的には以下の手順です。
「電話」アプリを開きます
「履歴」から該当番号を選びます
メニュー(︙など)から「ブロック」「着信拒否」「迷惑電話として報告」等を選択します
Androidの強みは、「迷惑電話として報告」機能や、Googleの迷惑電話判定などが連携している場合がある点です。報告により、同様の番号帯が他ユーザーにも警告されることがあります(機種や地域により挙動は異なります)。ただし、ここでも重要なのは、報告やブロックを優先し、折り返しはしないという順序です。
また、Androidでは以下のような追加対策が有効です。
不明な発信者を自動でブロック/警告する機能の有効化
迷惑電話対策アプリの導入(仕事用端末などは会社ポリシーに従ってください)
SMSのフィルタリング(不審なURLを含むメッセージの自動振り分け)
ただし、アプリ導入は“便利”の反面、権限設定や情報取り扱いの観点で慎重さも必要です。提供元が明確で、評価・運営体制が確認できるものを選び、不要な権限は与えない運用を推奨いたします。
固定電話の国際電話を止める方法
固定電話に不審な国際着信がある場合、スマホのように「端末で簡単ブロック」ができないことも多く、対策が後手になりがちです。そこで有効なのが、国際電話の発着信を止める(休止・不取扱)という予防策です。
固定電話を国際電話の発着信停止にするメリットは、次の通りです。
受けてしまうリスク自体を削減できる
高齢の家族がいる家庭では、「話を聞いてしまう」「怖くなって指示に従う」などの事故を構造的に減らせます。折り返しの事故を防げる
固定電話は履歴からそのまま折り返す運用も起きやすく、国際発信が可能な状態だと“うっかり”が危険になります。家庭内ルールを作りやすい
「海外へ電話しない家庭は止めておく」というシンプルな運用は、誰が対応してもぶれにくいです。
実施方法は契約形態(加入電話、ひかり電話、IP電話等)で異なるため、契約先の案内に沿って手続きを進める必要があります。ご家庭での実務としては、次の順序が現実的です。
契約中の通信会社名と契約種別を確認する(請求書・マイページ)
「国際電話 発着信 停止/休止/不取扱」等の手続きを探す
必要事項(契約者情報など)を準備して申し込む
申し込み後、停止が反映されたか、案内に従って確認する
家族へ「海外番号は基本出ない」を周知する
固定電話の対策は、スマホのように“その場で完結”しにくい反面、一度整備すれば効果が大きい領域です。特に、家族が電話応対をする環境では、早めの整備が安心につながります。
87の電話番号に出てしまった場合の対応
通話明細と着信履歴を保存する
「出てしまった」時に最優先すべきは、感情的に動かず、状況の再現性を確保することです。詐欺対策は「何が起きたか」を正確に説明できるほど、相談先や通信会社の対応が早くなります。保存すべき情報は以下です。
着信履歴(番号、日時、回数)
通話時間(何秒・何分つながったか)
相手が名乗った組織名や肩書
音声ガイダンスの内容(未納、停止、裁判、本人確認など)
こちらが取った行動(ボタンを押したか、話したか、折り返したか)
SMSが届いていればメッセージ全文(スクリーンショット推奨)
特に、「ボタンを押したかどうか」は重要です。自動音声は“押した=次段階へ進む”設計になっていることが多く、押してしまった場合は、同種の着信が増える可能性があります。ここを正確に把握しておくと、その後のブロック・相談の判断がしやすくなります。
また、記録は「後で調べればよい」と思っていると、履歴が流れたり、SMSが埋もれたりして失われがちです。被害がない場合でも、同様の着信が繰り返す局面で役に立つため、最初の1回で保存しておくのが望ましいです。
個人情報を伝えた場合にやること
個人情報を伝えてしまった場合は、内容に応じて「被害の芽」を摘む行動が必要です。ここでは、情報の種類別に優先順位を整理します。
クレジットカード情報(番号、有効期限、セキュリティコード)を伝えた可能性がある場合
速やかにカード会社へ連絡し、利用停止や再発行、直近利用の確認を相談してください。カード会社は不正利用のパターンに慣れており、止血が早いほど被害拡大を防げます。銀行口座情報やネットバンキングに関する情報を渡した場合
金融機関へ連絡し、ログインパスワード変更、口座の監視、必要に応じた一時停止などを相談してください。パスワードを口頭で伝えていなくても、「本人確認情報」だけで別経路の詐欺が成立する場合があります。氏名・住所・生年月日などの本人情報を伝えた場合
直ちに金銭被害に直結しないこともありますが、二次被害(別詐欺の材料)になり得ます。以後の不審連絡に備え、「電話口では本人確認情報を言わない」「公式窓口へ自分でかけ直す」を徹底してください。可能であれば、家族にも共有し、同じ情報を繰り返し伝えない体制を作ることが重要です。SMSのURLを開いた、アプリを入れた場合
端末のセキュリティ上の確認が必要になる可能性があります。すぐに通信会社や公的相談窓口へ相談し、端末の設定やアカウント(Apple ID/Googleアカウント)の安全確認、パスワード変更、二要素認証の有効化などを検討してください。
ここでの共通原則は、「自分だけで抱え込まない」ことです。詐欺は心理的に恥ずかしさを伴いやすく、相談が遅れるほど被害が拡大しやすくなります。少しでも不安がある場合は、消費生活相談や警察相談など、相談の入口を使ってください。
請求や不正利用が疑われる場合の相談先
実際に請求が来た、通話料が急に増えた、カード利用通知が来た、口座から不審な出金があった、といった“実害の兆候”がある場合は、相談先を使い分けると整理が進みます。
通話料金や国際通話の請求が心配な場合
契約している通信会社へ、通話明細の確認や国際通話制限の相談をしてください。通話の事実関係(いつ、どこへ、何分)が分かれば、次の打ち手が明確になります。カード不正利用が疑われる場合
カード会社へ連絡し、停止・再発行・補償の可否を確認してください。通知が来た時点で、速やかに動くことが重要です。銀行口座の不正が疑われる場合
金融機関へ即連絡し、口座の安全確保を優先してください。可能であれば、連絡記録(日時、担当者、指示内容)も残してください。詐欺全般の相談・被害回復の道筋を知りたい場合
消費生活相談(消費者ホットライン等)や警察相談窓口は、状況整理と次の手順の案内に強みがあります。金銭被害が発生している場合は、より早い段階で警察へ相談することも検討してください。
相談の際は、前述の「保存した記録」が非常に有効です。相手の番号、通話時間、要求内容、こちらの行動が揃うほど、助言が具体化しやすくなります。
87の電話番号に関するチェックリスト
やってはいけない行動
不審な「87」系着信に対して、被害の発生確率を上げる行動はある程度パターン化できます。以下は、原則として避けてください。
折り返し発信する
料金リスクと標的化リスクの両面で不利です。確認したい場合は、公式窓口へ自分でかけ直してください。自動音声の指示でボタンを押す
次の段階(オペレーター、情報取得、金銭誘導)に進む設計であることが多く、反応者として記録される可能性があります。本人確認情報を電話口で伝える
氏名・住所・生年月日・契約情報などは“組み合わせ”で悪用されます。相手が名乗った組織が実在しても、それは安全の根拠になりません。SMSのURLを開く、アプリを入れる
端末内の情報やアカウントを狙う導線になり得ます。URLは開かず、公式アプリや公式サイトから確認してください。相手の指示で“今すぐ”支払う
未納や罰則を口実に急がせるのは典型的です。支払いが必要な案件は、必ず公式窓口で請求根拠を確認できます。
チェックリストは「やってはいけない」を明確化することで、緊急時に迷いを減らす目的があります。迷いが減れば、余計な操作(折り返し、ボタン押下、情報提供)を避けやすくなります。
状況別の推奨対応表
| 状況 | 最優先の行動 | 次にやること |
|---|---|---|
| 着信に出ていない | 折り返さない | 履歴を保存し、番号をブロックする。必要なら公式窓口へ確認する。 |
| 着信に出てしまった | 操作せず切る | 通話内容をメモし、履歴を保存する。繰り返すならブロック・消音設定を検討する。 |
| 折り返してしまった | 追加通話を止める | 明細を確認し、必要に応じて通信会社へ相談する。今後の着信をブロックする。 |
| 個人情報を伝えてしまった | 関係先へ連絡 | カード会社・金融機関・相談窓口へ相談し、パスワード変更等の安全確保を進める。 |
この表の意図は、「最優先」を固定することです。たとえば、折り返してしまった場合でも、すぐに“取り戻そう”として相手へ再連絡するのは悪手になりがちです。まず止血(追加通話を止める、記録を残す、明細確認)を優先してください。
87の電話番号に関するよくある質問
出ただけで料金がかかりますか
「出ただけで料金が発生するか」は、契約形態や課金方式により一概には断定できません。ただし、一般的に通話料金のリスクが高まるのは、こちらから発信する「折り返し」や、通話が成立して長くつながる状況です。したがって実務上の安全策としては、次の優先順位になります。
心当たりがない着信には出ない
出てしまったら、操作せず短時間で切る
折り返しはしない
不安があれば、通信会社の明細で事実確認をする
もし「出ただけ」で不安が残る場合は、通話明細(発信・着信・通話時間)を確認し、事実ベースで判断するのが最も確実です。体感や噂で判断すると、不必要なストレスや誤対応(折り返し確認など)につながります。
SMSや留守電が残った場合はどうしますか
SMSや留守電が残ると、「無視してよいのか」が判断しづらくなります。しかし、詐欺は“情報を増やして信じさせる”方向に動くため、SMSや留守電があること自体は安全の根拠になりません。対応の基本は次の通りです。
SMSのURLは開かない
「本人確認」「荷物」「未納」などの文言があっても、リンクは開かず、公式アプリや公式サイトからログインして確認してください。留守電の内容を鵜呑みにしない
「未納」「停止」「裁判」など強い言葉が出ても、その場で折り返さず、組織名が出た場合は公式窓口を自分で調べて確認してください。必要性がある場合だけ“公式ルート”で確認する
例えば本当に利用しているサービスなら、請求履歴やマイページで確認できます。電話が必要なら、契約書・請求書・公式サイト記載の番号へ自分で連絡してください。
「確認したい」という自然な欲求を、詐欺は利用します。確認の矛先を「相手の番号」ではなく「公式ルート」に向けることが、最も安全で再現性の高い対応です。
着信が繰り返し来る場合はどうしますか
繰り返し来る場合は、「単発の対処」から「継続的な防御」へ切り替える必要があります。具体策は、次の優先順位で整備すると効果が高いです。
都度ブロック(iPhone/Androidの番号ブロック)
不明な発信者の消音やフィルタ(必要な着信が埋もれないよう運用設計)
迷惑電話報告の活用(端末機能がある場合)
固定電話の国際電話停止(海外発着信が不要なら特に有効)
家族・社内への周知(“折り返さない”をルール化)
また、繰り返し来るほど心理的な負担が増え、「一度だけ確認して終わらせたい」という気持ちが強くなります。しかし、ここで折り返すと相手の思うつぼになりやすい点に注意してください。ストレスを減らすには、折り返しで解決を狙うのではなく、受けない仕組み(ブロック、消音、国際電話停止)を固めるほうが確実です。
まとめ:87の電話番号は折り返さず、記録してブロックが基本
「87の電話番号」「+87の着信」で不安になった場合、最も安全で再現性が高い行動は次の3点に集約されます。
折り返さない:料金リスクと標的化リスクを同時に避けられます。
記録する:履歴・通話時間・内容メモを残すと、相談や明細確認が迅速になります。
ブロックする:同種の着信が続く場合は、消音設定や固定電話の国際電話停止も検討します。
そして、「相手が名乗った組織名」や「それらしい口調」は信用せず、確認が必要なときは必ず自分で調べた公式窓口へ問い合わせてください。詐欺は手口が変化しますが、「焦らせて行動させる」という構造は変わりにくいです。したがって、今後も見慣れない国際形式の着信があった場合は、本記事のフロー(出ない・押さない・折り返さない・記録・ブロック)をそのまま適用していただくことで、被害の確率を大きく下げられます。