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850W 80PLUS Gold電源がうるさい原因は?音の切り分けと静音対策、交換判断まで

850W・80PLUS GoldのATX電源なら静かだと思っていたのに、いざ使ってみると「ブーン」「ウィーン」「キーン」といった音が気になってしまう――そんな状況は珍しくありません。実は、80PLUS Goldは“電力変換の効率”を示す認証であり、静音性そのものを保証するものではないためです。さらに、うるささの原因は電源ファンだけでなく、コイル鳴きやケースの共振、あるいはGPUやケースファンの音が混ざっている可能性もあります。

本記事では、音の種類と発生条件から原因を最短で切り分ける手順を整理し、掃除や排熱改善、フレームレート制限など今すぐ試せる静音対策を具体的に解説します。あわせて、危険な症状の見分け方や、返品・保証で損をしないための記録ポイント、BTOで電源型番が不明な場合の相談の進め方までまとめました。読み終えたときに「これは自分で改善できる」「ここからは交換・相談に進むべき」と迷わず判断できる状態を目指します。

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850W 80PLUS Gold電源がうるさい主な原因

ファンの回転数が上がっている

850WクラスのATX電源は、出力容量に余裕があるぶん「静かそう」という印象を持たれがちです。しかし実際の騒音は、容量や80PLUSのグレードよりも「電源内部の温度がどれだけ上がるか」「どのようなファン制御になっているか」「周辺環境の熱がどれだけ入り込むか」で決まりやすいです。つまり、850WでGoldでも、条件が重なるとファンが勢いよく回り、想像以上にうるさくなることがあります。

まず疑いたいのが、電源ファンの回転数上昇です。電源ユニットは内部でACをDCに変換するときに熱を発します。効率が高いほど熱は減る傾向がありますが、ゼロにはなりません。さらに、PCケース内の温度が高いと、電源は「すでに温かい空気」を吸い込み、内部温度が上がりやすくなります。その結果、温度センサーが反応してファンが回り、風切り音が目立つようになります。

ファン音が原因のときに起こりやすい現象は次の通りです。

  • しばらくゲームやレンダリングを続けていると段階的に音が大きくなる(温度上昇に合わせて回転が上がる)

  • 作業を止めてもすぐに静かにならず、しばらく回り続ける(余熱が抜けるまで回る)

  • 電源の排気口(背面)からの風が熱く、風量が増えているように感じる

ここで重要なのは、「電源そのものの発熱」だけでなく「ケース全体の排熱」がファン音を左右する点です。たとえば、フロント吸気が弱いケース、前面が狭いデザイン、フィルターが詰まり気味、ケーブルが吸気の通り道を邪魔している、ケースを壁際に寄せて排気がこもる、といった要因があると、電源は熱い空気を吸いやすくなります。さらに、室温が高い季節や、机の下など通気が悪い設置環境だと、静音性は大きく落ちます。

また、電源のファン制御はモデルによって性格が異なります。低負荷でファンが止まる(または極低速で回る)設計もあれば、常に一定以上で回す設計もあります。後者は温度管理が安定する反面、静かな部屋だと「常に聞こえる」可能性があります。購入時に「ファンレス/セミファンレス/ゼロRPM」などの表記がなく、レビューでも静音の話が少ない場合は、そもそも静音志向の制御ではない可能性も考えられます。

コイル鳴きが発生している

次に多いのがコイル鳴きです。コイル鳴きは、電源内部(あるいはGPUやマザーボード)のコイルやトランスなどが、電流の変化により微小に振動し、その振動が音として聞こえる現象です。音の表現としては「キーン」「ジー」「チリチリ」「ピピピ」といった高周波寄りになりやすく、風切り音のような“空気の音”とは質感が違います。

コイル鳴きがやっかいなのは、次の特徴があるからです。

  • PCの負荷が一定でも、画面シーンやフレームレート、電源供給の波形で鳴り方が変わる

  • 個体差が大きい(同型番でも静かな個体/鳴る個体が出る)

  • 「電源が鳴っている」と思っても、実はGPU側が鳴っていることがある(耳だけでは判定が難しい)

たとえば、ゲーム中はそこまで気にならないのに、メニュー画面やロード画面で突然「キーン」と鳴るケースがあります。これは、メニュー画面でフレームレートが異常に伸び、GPUの負荷状態が変わることでコイルが振動しやすくなるために起きがちです。逆に、重いシーンでGPUが張り付いているときよりも、軽いシーンで鳴ることもあります。

「コイル鳴き=故障」と決めつける必要はありませんが、だからといって放置が正解とも限りません。耐えられないレベルの音なら、初期不良や相性問題として交換相談したほうが結果的にストレスが減ります。一方で、フレームレート制限や電力制限で体感が大幅に改善する場合もあります。重要なのは、感覚だけで判断せず、再現条件と対策の効き方を整理することです。

ケースや設置環境の共振で増幅している

電源そのものの騒音が大きくないのに、「やたら響く」「ビリビリする」「低い音が部屋に広がる」と感じる場合は、共振が関与している可能性があります。共振とは、電源の微振動やファンの振動がケースや机、床に伝わり、板や空間が“楽器のように”鳴ってしまう状態です。これが起きると、音源は小さいのに体感は大きくなります。

共振が起きやすい典型例は次の通りです。

  • 薄いサイドパネルがわずかな振動でビビる

  • ケースの足が硬く、机の天板に振動が伝わりやすい

  • フローリング直置きで床が共鳴する

  • 配線がパネルに触れていて振動が増幅される

  • 電源固定ネジの締め方が偏り、振動が逃げにくい

共振の特徴として、「ケースに手を当てると音が変わる」「少し押さえると静かになる」「ケースを置く場所を変えると改善する」などが挙げられます。逆に、ファン音やコイル鳴きは、ケースに触れても劇的には変わりにくいです。共振の対策は、電源交換よりも先にできることが多いため、まず疑ってみる価値があります。

実はGPUやケースファンが原因のこともある

検索では「電源がうるさい」と思って調べても、実際にはGPUファンやケースファンの騒音が主役だった、というのはよくある話です。とくに高負荷時は、GPUが最も大きな熱源になり、GPUファンが急激に回って音が増えます。ケースファンも吸排気を補うために回転数が上がり、結果として「PC全体がうるさい」状態になります。

人間の耳は、背面の排気音やケース全体の共鳴を「電源の音」と感じやすい傾向があります。さらに、電源は背面に排気口があり、そこから音が抜けるため、背面付近の騒音は電源に見えやすいです。だからこそ、最初から「電源が悪い」と決めつけず、部品ごとに切り分ける工程が重要になります。ここを飛ばすと、電源を買い替えても改善せず、時間もお金も無駄になりかねません。


850W電源の音を最短で切り分ける手順

音の種類で当たりを付ける

切り分けの最初の一歩は、「音の種類」を言語化することです。雑に「うるさい」とまとめてしまうと、対策がブレます。音の傾向を分類できるだけで、原因候補はかなり絞れます。

  • 低くて広がる風切り音(ブーン、ウィーン)
    → ファン回転や吸排気、ケース内温度に関連しやすい

  • 高く刺さる電子音(キーン、ジー、チリチリ)
    → コイル鳴きの可能性が高い(電源/GPU/マザボ)

  • ビリビリ、共鳴、振動っぽい音
    → ケース・机・床・配線の共振、固定の偏り

  • カラカラ、ガリガリ、擦れる音
    → ファンの異物接触、ベアリング不良、ホコリ塊、ケーブル接触

ここで「ガリガリ」「カラカラ」が出る場合は少し注意が必要です。共振でも似た音が出ることはありますが、ファン内部の問題だと悪化する可能性があります。いずれにしても、後で保証相談する可能性があるなら、音の種類をメモし、録音・録画もしておくと有利です。

負荷を変えて再現条件を確認する

次にやるべきは、負荷を変えて「いつ鳴るか」を特定することです。再現条件が取れると、原因の見当がつきますし、対策の効果測定もできます。やり方はシンプルで構いません。

  1. アイドル状態(起動直後、何も重いことをしていない状態)で音があるか

  2. 軽い作業(ブラウザ、動画、軽いゲーム)で変化するか

  3. 高負荷(重いゲーム、ベンチ、レンダリング)で増えるか

  4. 負荷を止めたとき、すぐ戻るか、しばらく残るか

この結果から読み取れることの例です。

  • 高負荷で徐々に増え、止めてもすぐ戻らない
    → 温度上昇が関与しやすい(ファン制御、排熱、室温)

  • ある画面やある瞬間だけ鋭く鳴る、FPSで変わる
    → コイル鳴きの可能性が高い(FPS制限が有効なことが多い)

  • 負荷に関係なくケースの触り方や置き方で変わる
    → 共振の可能性が高い(防振や固定の見直しが有効)

「再現条件」のメモは、後の保証相談でも強力な材料になります。「いつでも鳴る」より「この条件で確実に鳴る」の方が、症状として扱われやすいからです。

電源以外のファンを一時的に疑う

切り分けで最もありがちな落とし穴が、「電源だと思い込む」ことです。実際にはGPUファンやケースファンが主因であることも多いので、音の強い場所を確かめます。難しいことは不要で、次のように“耳とスマホ”を使うだけでもかなり前進します。

  • 背面の電源排気付近に耳を近づける(安全のためファンに触れない距離で)

  • ケース側面(GPUの位置)に近づける

  • ケース前面や天面(ケースファンの位置)に近づける

  • 可能ならスマホで数十秒ずつ動画を撮り、どの位置が一番大きいか比較する

さらに踏み込むなら、ソフトウェアで回転数や負荷を見ながら判断するのも有効です。GPUファンの回転が上がった瞬間に音が増えるなら、電源ではなくGPUファンが主因の可能性が高いです。逆に、GPUファンが落ち着いているのに背面がうるさいなら、電源ファンや電源由来の共振が疑わしくなります。

返品・保証のために記録しておくこと

「うるさい」を解決する最短ルートは、対策で改善する場合もあれば、交換で一気に片付く場合もあります。どちらに転んでも無駄にならないのが“記録”です。特に購入直後や保証期間内は、記録があるだけで話が早くなります。

最低限、次を揃えておくと安心です。

  • 購入日、購入店、注文番号(BTOなら必須)

  • 電源の型番(分からなければ分かる範囲で)

  • PC構成(CPU/GPU、特にGPU型番)

  • 発生条件(ゲーム名、設定、負荷の種類、発生までの時間)

  • 音の動画(10〜20秒でも十分。発生条件が伝わるように)

  • 設置環境(床置き/机上、壁との距離、室温の目安)

記録は「騒音対策の効果測定」にも使えます。たとえば掃除前後、FPS制限前後、設置変更前後で動画を撮れば、改善したかどうかを主観だけでなく比較できます。


850W電源の静音対策チェックリスト

掃除と吸排気の見直し

ファン音が疑わしい場合、まずやるべきは「温度を下げる」方向です。電源のファンが回るのは、熱を逃がすためです。熱が溜まらない環境を作れば、ファン回転が上がりにくくなり、騒音も減ります。しかも掃除や通気の改善は、電源だけでなくPC全体の寿命や安定性にも良い影響が出ます。

チェックリストとしては次の通りです。

  • 電源の吸気口(底面フィルターなど)を掃除する

  • ケース前面フィルター、吸気口を掃除する

  • GPU周辺にホコリの壁ができていないか確認する

  • ケーブルを整理し、吸気の流れを塞がないようにする

  • ケースを壁に寄せすぎず、背面排気の逃げ場を作る

  • 机の下でこもる場合は、位置をずらす/側面を開けて確認する

  • 室温が高いなら、部屋の換気や冷房も含めて見直す

「掃除しても変わらない」と感じる場合でも、実際には温度の立ち上がりが緩やかになっていたり、ファンが最大まで上がる頻度が減っていたりします。負荷をかける時間帯や室温条件で差が出るので、改善度は再現条件を揃えて評価すると分かりやすいです。

省電力・フレームレート制限で負荷を下げる

高負荷時にうるさい場合、根本は「発熱量が大きい」ことです。発熱量が大きければ、電源やケースファンが頑張って回らざるを得ません。そこで、体感を大きく変えやすいのが「フレームレート制限(FPS上限)」と「GPUの電力制限」です。

特にFPS制限は効果が出やすいです。なぜなら、FPSが必要以上に伸びるとGPUが無駄に働き、消費電力と発熱が増えるからです。たとえば144Hzモニターなら、FPS上限も144(あるいは少し下の141など)にしておくと、熱と騒音のバランスが取りやすくなります。ゲームによってはメニュー画面でFPSが跳ねることがあるので、その対策としても有効です。

また、GPUの電力制限(Power Limit)を少し下げたり、軽いアンダーボルトを行ったりすると、性能をほとんど落とさずに発熱だけを減らせることがあります。これは結果的に、GPUファンの回転数も電源ファンの回転数も下げる方向に働きます。静音を狙うなら、「最大性能」より「性能と騒音のバランス」を取る発想が近道です。

加えて、背景で重い処理が走っていないかも見直してください。録画ソフト、配信、エンコード、同時起動のアプリなどがあると、気づかないうちに負荷が上がり、騒音の原因になります。

ゼロRPMやファン制御機能を確認する

静音電源としてよく話題になるのが、ゼロRPM(低負荷時にファン停止)やセミファンレス機能です。ただし注意点として、「ゼロRPM=常に無音」ではありません。一定の温度や負荷を超えればファンは回りますし、ケース内温度が高い環境では低負荷でも回りやすくなります。

ここで大切なのは、機能があるかどうかだけでなく「自分の使い方でその機能が活きるか」です。たとえば、普段からゲームや重い作業が中心なら、ゼロRPMが効くのはアイドルや軽作業の時間だけです。一方、夜間のブラウジングや資料作成が多いなら、低負荷時の無音化は満足度に直結します。

もし「ゼロRPM対応のはずなのに、軽作業でもすぐ回る」という場合は、電源の仕様というより環境の問題(ケース内温度が上がりやすい、吸気が詰まっている、背面排気がこもる)であることが少なくありません。先に掃除と吸排気を整えた上で、挙動を観察すると原因が見えやすくなります。

共振対策(防振・配線・設置)

共振の対策は、費用がほとんどかからない割に体感改善が大きいことがあります。ポイントは「振動の伝達経路を断つ」「鳴りやすい板を抑える」「接触を減らす」です。

実行しやすい順で並べると次の通りです。

  • ケースの設置場所を変えて比較する(机上→床、床→マット上など)

  • ケースの足の下に防振材(柔らかいシートやマット)を敷く

  • サイドパネルに触れて音が変わるなら、固定を締め直す(締めすぎない)

  • ケーブルがパネルやファン付近に当たっていないか確認し、結束で逃がす

  • 机が鳴っているなら、ケースの位置を天板の中心からずらす、足元にマットを敷く

共振は「原因が電源だから電源を替える」という発想では解決しないことがあります。音源が少しでも振動を出せば、鳴りやすい環境なら大きく聞こえるからです。逆に言えば、環境を整えるだけで“同じ電源でも静かになる”余地があります。


850W 80PLUS Goldと静音は別物:認証の見方

80PLUSは変換効率の認証

80PLUSは、電源がどれだけ効率よく電力変換できるか(つまり無駄な熱にしにくいか)を示す指標として知られています。Goldは高効率の部類であり、一般にBronzeなどより発熱が少なくなりやすい傾向はあります。しかしここで誤解されやすいのが、「効率が高い=静か」という短絡です。

効率が高いことは、静音に“有利になりやすい要素”ではありますが、静音を保証する条件ではありません。なぜなら、騒音は次のような要素で変わるからです。

  • ファン制御の設計(何度で何rpmになるか)

  • ファンの品質(ベアリング、羽形状、個体差)

  • ケース内温度や設置環境(吸気温度)

  • コイル鳴きの有無(効率とは別の要因)

  • 共振(電源自体の音量とは別の増幅)

つまり、Goldを選んだのにうるさいと感じても、それは「Goldがダメ」という話ではなく、「静音を決める要素が他にもある」ということです。この理解ができると、対策や次回選定が現実的になります。

静音を見たいならLAMBDAなどの指標も検討

静音を重視して選ぶなら、可能であれば騒音評価を扱う指標やレビューを参照するのが近道です。たとえば、騒音に着目した評価軸が提示されている場合、同じ容量帯でも静かさの方向性が見えます。

ただし、指標があるから絶対に静か、というわけでもありません。テスト環境(開放台かケース内か、室温、負荷条件)で結果が変わるからです。だからこそ「指標やレビューで傾向を掴みつつ、環境要因でも左右される」と理解しておくのが重要です。購入後に「環境を整えても耐えられない場合は交換」という逃げ道も、最初から想定しておくとストレスが減ります。

仕様に出ない“個体差”が起きる理由

電源の騒音で避けにくいのが個体差です。特にコイル鳴きは、同じ型番でも鳴る個体と鳴らない個体が出やすいです。さらに、電源単体の問題だけでなく、GPUやマザーボードとの組み合わせで鳴り方が変わることがあります。これは“相性”と呼ばれる領域で、仕様表だけでは判断しづらい部分です。

ファン音でも個体差はあり得ます。ファンの当たり外れ、微妙なバランス差、温度センサーの個体差などで、同じモデルでも回転の上がり方が違うことがあります。そしてそこにケース内温度や設置条件が加わると、さらに差が広がります。

この現実を踏まえると、静音を狙う場合は次の姿勢が合理的です。

  • 仕様やレビューで「静音寄りの設計」を選ぶ

  • それでも個体差はあり得ると理解し、購入直後にチェックする

  • 返品・保証の期限内に判断できるよう、記録と切り分けを行う


交換するべき基準と、BTOでの保証相談のコツ

すぐ停止して相談したい症状

騒音の中には、単なる不快音ではなく「安全や故障リスク」を疑うべきサインがあります。次の症状がある場合は、対策で粘るより先に使用を止めて相談することを優先してください。

  • 焦げ臭い、樹脂が焼けたような臭いがする

  • 触れられないほど熱い、異常な発熱を感じる

  • 煙が出る、火花が見えた(この場合は即停止)

  • ガリガリ、カラカラといった異物音が強く、悪化傾向がある

  • 高負荷をかけると電源が落ちる、再起動を繰り返す

  • 異音と同時に明らかな不安定(フリーズ、ブラックアウト)が起きる

これらは「うるさい」の範疇を超えており、電源以外の部品に影響が出る可能性もあります。原因特定を趣味的に楽しめる段階ではないので、まずは安全を確保してください。

様子見しつつ改善できる症状

一方で、次のようなケースは、環境調整や設定で改善する余地があります。

  • 高負荷時に風切り音が増えるが、動作は安定している

  • ケースを押さえると静かになるなど、共振の兆候がある

  • コイル鳴きっぽい音がするが、FPS制限で軽減する

  • 掃除や設置変更で悪化/改善の傾向が見える

ただし、購入直後で「我慢が必要なレベル」なら、様子見にこだわる必要はありません。静音は体感の問題で、ストレスの蓄積が大きいからです。返品可能なうちに判断する方が、結果的に満足度が高いこともあります。

BTOで電源型番が不明なときの確認ポイント

BTOでは「850W 80PLUS Gold」とだけ書かれていて、メーカーや型番が明示されないことがあります。この場合、対策や相談を進める上で、次の順番が現実的です。

  1. 注文時の構成表、納品書、マイページの明細に型番がないか確認する

  2. PC本体の電源ラベル(見える範囲)でメーカー名・型番・出力表記を確認する

  3. サポートに問い合わせ、電源のメーカー・型番を確認する(可能なら交換オプションの有無も確認)

問い合わせのときは、感情的に「うるさすぎる」だけを書いても話が進みにくいことがあります。次の要素を短くまとめると、やり取りがスムーズです。

  • いつから、どの条件で、どんな音が出るか(再現条件)

  • 動画(短くてよい)

  • 使用環境(床置き/机上、壁との距離、室温)

  • 改善を試した内容(掃除、FPS制限など)

  • 購入日と注文番号

BTO側が「仕様の範囲」と判断する可能性もありますが、再現条件が明確で、音がはっきり記録できているほど、対応の余地が生まれやすくなります。


850Wで静かな電源を選ぶコツ

容量に余裕を持たせる考え方

「850Wを選んだのにうるさい」と感じると、容量の選び方を疑いたくなるかもしれません。しかし容量そのものが悪いのではなく、「実際の負荷帯で電源がどう振る舞うか」を考えるのがポイントです。

一般に、電源は負荷が高いほど発熱が増え、ファンが回りやすくなります。逆に、負荷に余裕があるほど温度が上がりにくく、静音に有利になりやすいです。ただし、ここで落とし穴があります。容量に余裕があっても、ケース内温度が高いと、電源は熱い空気を吸ってしまい、結局ファンが回ります。つまり、容量の余裕と同じくらい「ケース全体の排熱」を整えることが重要です。

さらに、負荷帯によって電源の効率やファン制御の“おいしい範囲”が変わることがあります。常に高負荷ギリギリで使うより、ピークでも余裕がある方が静かになりやすいのは事実ですが、それだけで静音が保証されるわけではありません。購入時は「容量」より「静音設計(ファン制御・ファン品質・評価)」に比重を置くと失敗が減ります。

ゼロRPM・ファン品質・保証年数で選ぶ

静かな850W電源を選ぶとき、比較軸を整理しておくと判断が楽になります。最低限、次の3点は意識するとよいです。

  1. 低負荷時の挙動(ゼロRPM/セミファンレスの有無)

  2. ファン品質(ベアリング方式、レビューでの音質評価、回転の立ち上がり方)

  3. 保証年数(長いほど“静音で妥協しない”選択がしやすい)

静音は、スペック表だけでは見えない部分が大きいです。だからこそ、保証が長い製品は精神的にも実利的にも有利です。もし個体差や相性で当たりが悪かったとしても、相談できる期間が長いからです。

また、ATXの世代やコネクタ要件(特にハイエンドGPU利用時)も合わせて確認してください。静音目的で選んだ電源が、ケーブル要件の都合で無理な変換を必要とするようだと、別のトラブルを呼び込みます。静音と安定性はセットで考えるのが安全です。

レビューで見るべき“騒音”の読み方

レビューを参考にするときは、「静か」「うるさい」だけで判断すると誤解が起きます。見るべきポイントは次の通りです。

  • どの負荷帯で静かで、どの負荷帯で増えるのか
    低負荷は無音でも、一定ラインから急に増える設計もあります。自分の使い方(ゲーム中心/軽作業中心)に合うかが重要です。

  • 音の種類が何か
    風切り音なら環境改善で抑えられる余地がありますが、高周波のコイル鳴きは設定で軽減するか、交換で解決するかの二択になりやすいです。

  • テスト環境がどうか
    開放台で静かでも、ケース内の熱がこもる環境ではファンが回りやすいことがあります。逆もあります。

  • 個体差への言及があるか
    「当たり外れ」や「相性」に触れているレビューは、現実的な判断材料になります。

レビューは万能ではありませんが、「静音の傾向」と「自分の用途に合うか」を掴むには有効です。最後は購入後の初期チェックと、返品・保証の期限内に判断できる体制が、静音で後悔しないための現実的な戦略になります。