OBSを起動した途端にゲームが重くなる、戦闘中だけ急にカクつく、画質を上げたいのに設定を触るほど不安定になる。1PC配信を続けていると、こうした“同時処理の壁”にぶつかりやすくなります。そこで候補に挙がるのが、ゲーム用PCと配信用PCを分ける2PC配信です。ゲームの操作感を守りながら配信品質を上げられる一方で、導入にはコストや配線、そして音声まわりの落とし穴もあります。
本記事では、2PC配信のメリット・デメリットを整理したうえで、「自分は2PCにすべきか」を30秒で判断できる基準を提示します。さらに、最小構成から始める機材選び、配線とOBS設定の手順、音ズレや二重音声を防ぐチェックリスト、よくあるトラブルの解決策までを一気通貫で解説します。読了後には、2PC化に踏み切るべきか、踏み切るならどんな構成で進めれば失敗しにくいかが、迷わず決められるはずです。
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2PC配信のメリットはゲーム性能と配信品質を両立できる
1PCでゲーム配信を続けていると、「OBSを起動した瞬間にフレームが不安定になる」「配信を止めたら快適なのに、配信中だけカクつく」「画質を上げたいが、設定を上げると途端に落ちる」といった壁に当たりがちです。2PC配信は、ゲーム用PCと配信用PCに役割を分けることで、この“同時進行の負荷”を分散させ、視聴者体験とプレイ体験の両方を底上げしやすくする方法です。
ただし、2PCは「PCをもう1台用意すれば終わり」ではありません。メリットの裏側には、配線・音声・遅延といった“つまずきポイント”もあります。この記事では、2PC配信のメリットを具体的にイメージできるようにしつつ、後半でデメリットや構成、設定、トラブルまで一気通貫で整理していきます。
2PC配信でFPS低下を避けやすい理由
2PC配信の核は、エンコードや配信制御の負荷をゲームPCから切り離すことです。配信では、映像を圧縮してネットに送るためにエンコード処理が走ります。これが重いと、次のような影響が出やすくなります。
ゲームの平均FPSが下がる
フレームタイムが乱れて、入力遅延やカクつきが体感として増える
戦闘時やエフェクトが多い場面で急に不安定になる
シーン切替や録画同時実行で一段と負荷が跳ね上がる
1PC配信では、ゲームも配信も同じCPU/GPU、同じメモリ帯域、同じI/Oを使います。ゲームが重いタイトルほど、あるいは高リフレッシュでプレイしたいほど、配信の追加処理が“最後の一押し”になって崩れやすくなります。
2PCにすると、ゲームPCはゲームに集中し、配信用PCはキャプチャした映像を受け取ってエンコードと配信を担当します。結果として、ゲームPCは配信時でも負荷が読みやすく、フレームの乱高下が起きにくくなります。
とくに効果が出やすいのは、次のタイプです。
対人FPS/TPS、格闘、レースなど「一瞬の乱れ」が勝敗や快適性に直結するジャンル
240Hzや165Hzなど高リフレッシュで遊びたい人
高画質設定や高解像度で遊びたい人
配信だけでなく録画・リプレイ保存などを同時に回したい人
逆に、軽いゲームで720p配信中心、プレイ中のフレームに敏感でない場合は、恩恵が見えにくいこともあります。2PCの価値は「どんな状況で困っているか」と強く結びついています。
高画質配信に寄せやすい理由
配信の画質は「解像度」「フレームレート」「ビットレート」「エンコーダ設定」「ゲーム映像の動きの激しさ」などで決まります。1PC配信で画質を上げようとすると、次のジレンマに陥りやすいです。
画質を上げる(ビットレート増、エンコード負荷増)
するとゲームが重くなる
ゲームを軽くする(設定を落とす)
視聴者体験は良くなっても、自分のプレイ体験が落ちる
2PC配信では、エンコードを配信用PCに寄せやすくなります。つまり、ゲームPC側の余力を無理に削らずに、配信側の品質を“安定して維持”しやすくなります。
ここで重要なのは、「最高設定にする」よりも先に、安定して継続できる品質ラインを作ることです。視聴者は一瞬の“崩れ”や“カクつき”に敏感です。2PCの良さは、画質を上げる余地を作るだけでなく、配信の揺れを減らして“見続けやすい配信”に寄せられる点にもあります。
また、2PC構成は配信側での余力が増えるため、次のような“配信の見栄え”を作り込みやすくなります。
シーン切替、トランジション、画像・動画素材の多用
ブラウザソース(コメント表示、通知)を複数置く
色調補正やノイズ抑制などのフィルタを使う
録画と同時配信、別音声トラックの収録
1PCでも可能ですが、同時にやるほど負荷が積み上がり、結果としてゲーム体験か配信体験のどちらかを妥協しやすくなります。2PCは、その妥協を減らす方向に働きます。
クラッシュやトラブルを減らしやすい理由
配信中のトラブルは、視聴者側から見ると「急に止まった」「音が変」「映像が乱れた」といった体験になります。1PC配信では、OBSやプラグイン、ブラウザソース、ゲーム、ドライバ、OSアップデートなど、多数の要素が1台に集中しているため、どこかが不安定になると全体が巻き込まれやすいのが実情です。
2PCに分けると、問題が切り分けやすくなります。
ゲームPCが不調 → 配信は続く可能性がある(画面は止まるが配信制御は生きる)
配信PCが不調 → ゲーム自体は続く(対処して再開しやすい)
トラブルの原因を特定しやすい(どちらのPC側かをまず判断できる)
さらに、配信用PCを“配信のための環境”として安定運用に寄せれば、ゲームPC側の入れ替え(GPU換装、ゲームの追加、設定変更)をしても配信基盤は揺れにくくできます。
配信を継続するほど、「安定して配信できる」こと自体が価値になっていきます。2PCは、その安定性を作りやすい構成です。
2PCのデメリットはコストと音声まわりの難易度
2PC配信は万能ではありません。導入前にデメリットを具体的に理解しておくと、「必要なところだけにお金と時間を使う」判断がしやすくなります。とくに重要なのは、コストと音声です。
追加コストの内訳と見落としがちな出費
「PCがもう1台あるから2PCは安い」と思って始めると、意外なところで費用が積み上がります。代表的な追加費用を整理します。
| 分類 | 必要になりがちなもの | 目的 | 見落としポイント |
|---|---|---|---|
| 映像 | キャプチャカード、HDMIケーブル | ゲーム映像を配信PCへ渡す | 高リフレッシュやVRRに対応するか |
| 音声 | ミキサー/オーディオIF、ケーブル、分配機材 | マイク・VC・BGM・アラートの整理 | “二重取り込み”“ループ”の事故対策 |
| 操作 | 追加モニター、キーボード/マウス、USBハブ | 配信操作を快適にする | 机上スペース・配線が増える |
| ネット | ルーター/スイッチ、LANケーブル | 安定接続 | Wi-Fi運用で不安定になる例 |
| 周辺 | イヤホン/ヘッドホン、マイクアーム等 | モニタリング環境の整備 | 音量管理の煩雑さ |
とくに音声周りは「最初は簡単に済ませるつもりだったのに、使いにくくて結局買い足す」という流れになりがちです。2PCは“配信の土台”を強くできますが、土台を整えるための周辺投資が発生しやすい点は理解しておくべきです。
音声ルーティングが難しいと言われるポイント
2PC配信でつまずく最大の原因は、音声が「どこで鳴って、どこに入って、どこで混ざって、どこで監視するか」が複雑になることです。具体的には次のような要件が同時に出てきます。
配信に載せるマイクは高品質にしたい(ノイズ抑制やコンプレッサも使いたい)
ゲーム内ボイスチャットやDiscordでも同じマイクを使いたい
視聴者にはBGMやアラートを聞かせたいが、自分は邪魔なら小さくしたい
自分のヘッドホンには遅延なくゲーム音が欲しい
配信側には“適切な音量バランス”で全て入ってほしい
これを雑に組むと、次の事故が起きます。
音が二重に入る(同じ音源を2経路で取り込む)
音がループする(モニタリング→入力→モニタリングの循環)
マイクがDiscordに入らない/配信に入らない
自分の耳には聞こえるのに視聴者には聞こえない(または逆)
映像と音のズレが生じる(経路差)
音声が難しいと言われるのは、機材が高いからではなく、設計が必要だからです。設計といっても大げさなものではなく、「音源ごとに役割を決め、経路を固定する」ことがポイントになります。後半の手順とチェックリストで、この“事故ポイント”を潰せる形に落としていきます。
遅延と音ズレが起きる典型パターン
2PC配信では、映像はキャプチャ経由で配信PCに入ります。一方、音声は「ゲームPCからHDMIに乗ってくる」「別のラインで配信PCへ送る」「配信PC上で鳴る音源がある」など、複数パターンが混在します。これがズレの原因になります。
よくあるパターンは次の3つです。
映像はキャプチャ経由、音声は別経路
映像に遅延が乗る一方、音声は別経路で先に届く(またはその逆)
モニタリング設定の誤り
OBSのモニタリングで遅れた音を聞いてしまい、プレイがやりにくくなる
さらに、そのモニタリング音が入力に回って二重になる
配信PC上の音源が混ざる
配信PCで鳴るアラートやBGMは“配信PC基準のタイミング”
ゲーム音は“キャプチャ基準のタイミング”
これを揃えないとズレが目立つ
ズレ対策は、“一発で正解にする”よりも、現象を切り分けて少しずつ揃えるほうが成功しやすいです。そのために、導入直後の確認手順が重要になります。
1PCで十分か2PCにすべきかを30秒で判断する
2PCは強力ですが、全員に必要ではありません。ここでは「2PCにするべき人」と「1PCでも満足しやすい人」を、短時間で判断できる形に整理します。さらに、2PCに行く前に試すべき1PC改善もまとめます。
2PCが効く人の条件
次に当てはまるほど、2PC化のメリットが大きくなります。
配信中だけゲームの操作感が落ちる(入力遅延、カクつき、フレームの乱れ)
対人ゲーム中心で、プレイ体験の安定が最優先
1080p/60fps以上、または高ビットレートでの安定配信を狙いたい
配信中に録画、クリップ用の高品質収録も同時にしたい
シーン演出やブラウザソースを多用し、配信側の処理が重くなりがち
配信頻度が高く、トラブル対応の時間を減らしたい
「配信で伸ばしたい」「配信を継続したい」という目的が強いほど、2PCは“土台の投資”として機能しやすくなります。
1PCでも満足しやすい条件
次に当てはまる場合は、まず1PCの最適化で十分なことが多いです。
雑談中心、または軽いゲーム中心で、配信中の負荷が致命的ではない
720p配信で満足している(視聴者も画質より内容重視)
配線や音声設計に時間を使いたくない
机が狭く、2台分の設置が難しい
いまの課題が「画質」より「企画や継続」の比重が大きい
2PCは“課題が明確”な人ほど効果が出ます。課題が曖昧な段階で導入すると、機材だけ増えて運用が苦しくなることがあります。
まず試すべき1PC側の改善チェック
2PCを検討している人でも、先に1PCの改善を試す価値があります。改善がハマると、2PC導入を先延ばしでき、資金を別の投資(マイクや照明、企画)に回せます。
1PC改善のチェック項目
出力解像度とFPSを“維持できる範囲”へ調整する(上げすぎない)
ビットレートを回線に合わせ、ドロップやカクつきが出ない範囲にする
エンコーダ設定を見直し、CPU/GPUのボトルネックを減らす
OBSのフィルタやソース数を整理し、重い処理を減らす
ゲーム側の設定を調整し、フレームタイムの乱れを抑える
バックグラウンドアプリやオーバーレイを減らす
この改善で「配信中も快適」を作れれば、2PCの必要性は下がります。逆に、改善を尽くしても「配信を乗せると一段落ちる」なら、2PCは合理的な次手になりやすいです。
2PC配信に必要な機材と構成パターン
2PC配信は、いきなり理想形を目指すよりも、段階を踏んで構築するほうが失敗しにくいです。ここでは、最小構成→標準構成→拡張構成の順に整理し、必要機材を表で見える化します。
最小構成 キャプチャカードで始める
最小構成の目的は、ゲーム負荷分離の恩恵を体感し、配線と映像取り込みを安定させることです。音声まで完璧にしようとせず、“まず映像と基本音声で配信が回る”状態を作ります。
最小構成の基本要素
ゲームPC(普段プレイするPC)
配信用PC(余っているPCでも可)
キャプチャカード(外付け or 内蔵)
HDMIケーブル(必要に応じて2本)
ゲーム用モニター(パススルー表示用)
最小構成の考え方
ゲーム映像はキャプチャで配信PCへ
自分はゲーム用モニターでプレイ(配信PCプレビューは見ない)
音声は“まずは単純化”し、事故を避ける(例:配信PC側でマイクを入れる、ゲーム内VCは後で整える)
この段階で「2PCにしたのに遅延が増えた」と感じる場合は、たいてい“プレビューを見ている”か“パススルー仕様の理解がズレている”ことが原因です。プレイは必ずモニター側で行う前提で組むと安定します。
標準構成 マイクとVCを両立する
標準構成の目的は、配信の音声品質と、ゲーム内VC/Discordの実用性を両立することです。ここが2PCの本番であり、同時に沼ポイントでもあります。
標準構成で追加しやすい要素
オーディオインターフェース、またはミキサー(2ch以上で扱えると整理しやすい)
マイクを「配信用」と「通話用」で分ける、または同一マイクを分配する仕組み
ゲームPCと配信PC間の音声受け渡し(ライン接続やUSB機器の使い分け)
標準構成のポイント
“どの音を配信に載せるか”を先に決める
“どの音を自分が聞くか”を別に決める
ループ(入力→出力→入力)を作らない
音量調整を運用で回せる形にする(毎回迷わない)
標準構成は、最初から100点を狙う必要はありません。「視聴者に届く音が安定している」「自分の通話が成立する」の2点を優先すると、迷いが減ります。
拡張構成 音量管理を快適にする
拡張構成の目的は、運用の快適さと編集適性を上げることです。配信を続けるほど、「事故を減らす」「作業を減らす」ことが重要になってきます。
拡張構成で得られる価値の例
音量を物理フェーダーで瞬時に調整できる(ゲーム、Discord、BGM、アラート)
マイクを複数用途(配信、通話、録音)で破綻なく扱える
録画で音声を分離し、切り抜き編集が楽になる
シーン構成や演出を増やしても配信が崩れにくい
拡張は“必須”ではありません。配信頻度が高く、運用ストレスが課題になってきた段階で検討すると投資対効果が高くなります。
キャプチャカード選びで見るべき仕様
キャプチャカードは2PC配信の中心機材です。選び方を間違えると、配信品質よりも先に「プレイがしづらい」「欲しい解像度やリフレッシュが出ない」「VRRが切れる」といった問題が起きます。確認ポイントを整理します。
| チェック観点 | なぜ重要か | 具体的に見るところ |
|---|---|---|
| パススルーの遅延 | 遅延があるとプレイ体験が落ちる | “遅延なし/低遅延”の明記、レビュー傾向 |
| 対応解像度/Hz | 1440p/120や4Kなどで遊ぶ人ほど重要 | 入力対応、パススルー対応、キャプチャ対応を分けて確認 |
| VRR/HDR対応 | 対応環境だと体験差が出る | VRR/HDRの対応可否、制限条件 |
| 接続方式 | 安定性と取り回しに直結 | USB帯域、内蔵PCIeの世代、ケーブル品質 |
| ドライバ・相性 | 地味だがトラブルの原因 | 対応OS、OBSでの安定性、更新頻度 |
ここで大事なのは、「自分のプレイ環境を基準にする」ことです。配信は1080p/60でも、プレイは高リフレッシュという人は多いはずです。その場合、パススルー側の仕様が不足すると、配信以前に日常のプレイが窮屈になります。
2PC配信の配線とOBS設定手順
2PC配信が安定するかどうかは、配線とOBS設定を“型”として固められるかで決まります。ここでは、最も一般的なキャプチャ方式を前提に、迷いやすいポイントを手順として整理します。
配線の手順 HDMIとパススルーの考え方
2PC配線の基本はシンプルです。「ゲーム映像を配信用PCに渡す」と同時に、「自分は遅延の少ない表示でプレイする」ことです。
配線手順(基本形)
ゲームPCのGPU出力(HDMI)をキャプチャカードのINへ接続
キャプチャカードのOUTをゲーム用モニターへ接続(パススルー表示)
キャプチャカードを配信PCへ接続(USBまたは内蔵)
配信PCでキャプチャデバイスとして認識されることを確認
配信PCのOBSで映像ソースとして追加
ここでの重要ポイント
プレイは必ずゲーム用モニター(パススルー)で行う
配信PCのプレビューをプレイ画面にしない(遅延の原因)
解像度やHzが出ない場合は、ケーブルと設定(Windows表示設定、GPU設定、キャプチャ仕様)を切り分ける
配線は“いじり始めると沼”になりやすい領域です。まずは基本形で映像が安定して入るところまで到達し、その後に細部(高リフレッシュ、VRRなど)を詰める順番が安全です。
OBSの基本設定 解像度とビットレートの目安
OBS設定は「見栄え」より「安定」を優先すると、結果的に視聴者体験が良くなります。とくに2PC配信では、配信PC側で“配信に必要な設定”を固めやすいので、初期段階での作法が効いてきます。
OBS設定の基本方針
まずは配信を落とさず回す
ドロップやカクつきが出ない範囲で品質を上げる
変更は一度に1つずつ(原因追跡のため)
解像度・FPSの考え方
1080p/60は見栄えが良い一方、回線と設定の影響を受けやすい
まずは1080p/60に固執せず、安定する解像度・FPSを見つける
動きが激しいゲームほど、画質はビットレートに左右されやすい(不足するとブロックノイズが出やすい)
ビットレートの考え方
回線の上り速度に余裕がないと、画質以前に配信が不安定になる
“最大値”で走らせず、余裕を残す(他の通信や瞬間的な揺れがあるため)
視聴者側の受信環境も考慮し、万人が見られるラインを意識する
2PCであっても、回線がボトルネックなら画質は上げられません。2PCは「PC負荷」を分離する手段であり、「回線の限界」を超えるものではない点は押さえておくと判断がぶれません。
音ズレを防ぐための確認手順チェックリスト
2PC配信は、音声が“できてからが本番”です。導入直後に次のチェックを行うと、事故を大幅に減らせます。
導入直後の確認チェックリスト
プレイ画面はパススルーのモニターで見ている(プレビュー依存していない)
ゲーム音がOBSに入っている経路を説明できる(HDMI経由か、別ラインか)
マイクがOBSに入っている経路を説明できる(どのデバイス入力か)
Discord/VCの音が「配信に載る/載らない」を意図どおりに制御できる
OBSで同じ音を二重に取り込んでいない(デスクトップ音声+別ソースなど)
OBSのモニタリング設定で音がループしていない(自分の耳に反響しない)
テスト録画をして、口パク・効果音・銃声などズレが分かりやすい場面で確認した
音ズレが「最初から一定」か「徐々に増える」かを切り分けた(対処が変わる)
おすすめのテスト方法
10分程度のテスト配信(または録画)を行い、最初・5分後・10分後でズレが変わるか確認
口パク、キー入力音、射撃音など“同期が分かりやすい音”を含める
途中でシーン切替やアラートを鳴らし、配信PC由来の音が混ざる状況も再現
このチェックを面倒に感じるほど、後での手戻りが大きくなります。最初に丁寧に整えるほど、2PCのメリット(安定性)が活きてきます。
よくあるトラブルと解決策
2PC配信では、トラブルの“種類”がはっきりしています。原因を当てにいくより、現象別に切り分けて潰すほうが早いです。ここでは代表例を3つ取り上げ、対処の順番を整理します。
音が二重になる 反響する
症状
視聴者から「二重に聞こえる」「反響している」と言われる
自分のヘッドホンでも声が遅れて二重に聞こえることがある
原因の典型
同じ音を2つの入力でOBSが拾っている(例:デスクトップ音声+キャプチャ音声)
モニタリング音が入力に回っている(ループ)
片方のPCで鳴った音が別PCへ回り、さらに戻ってくる経路ができている
解決の手順
OBS側で、音声ソースを1つずつミュートし、二重が止まる瞬間を探す
デスクトップ音声を“入れる/入れない”を明確にし、不要なら無効化
キャプチャ側に音声が乗っている場合、別経路の音声取り込みを止める
モニタリング設定を見直し、「モニターのみ」「出力のみ」「モニターと出力」を状況に合わせて整理
それでも直らない場合は、PC間の音声受け渡し(ライン接続など)の経路図を紙に書き、ループがないか確認
二重音声は“設定の重複”で起きることがほとんどです。面倒でも、音声入力を整理すると一気に解決します。
映像と声がズレる 徐々にズレる
症状
口パクと声が合わない
効果音が遅れて聞こえる
最初は合っていたのに、時間が経つほどズレが大きくなる
切り分けが最優先
最初から一定のズレ:経路差(映像の遅延、音声の遅延)
徐々に増えるズレ:長時間運用や取り込み方式の相性、サンプルレート不一致などが疑わしい
対処の考え方
一定のズレなら、どちらか一方を遅らせて揃える(OBSの同期調整など)
徐々にズレるなら、録画・配信の負荷や音声デバイス設定(サンプルレート統一)を疑い、再現テストで原因範囲を狭める
よく効く現実的な手順
まずはテスト録画でズレの傾向(一定/増加)を確認
音声デバイスのサンプルレートを統一(PC側、OBS側で混在しないように)
音声を“どの経路で入れているか”を一本化し、混在を減らす
一定のズレはOBS側で音声同期を調整し、映像に合わせる
増加型は、取り込み方式やデバイスを変えた場合の差を比較し、どの条件で起きるかを特定
ズレの解決は“設定をいじる”より“混在を減らす”ほうが効くことが多いです。複数経路があると、揃えてもまた崩れます。
配信は安定したがゲームが遅延する
症状
配信自体は綺麗で落ちない
しかしゲームの操作感が重い、遅れて感じる
原因の典型
配信PCのプレビュー画面を見てプレイしている(表示遅延)
パススルーの接続が意図どおりになっていない
表示が一度キャプチャを経由して遅延している
対処の手順
プレイ画面をゲーム用モニター(パススルー)に固定し、プレビューは見ない
ゲームPC→キャプチャIN→キャプチャOUT→モニター、の流れになっているか確認
それでも違和感がある場合、モニター設定やリフレッシュレートの一致を確認
可能なら、プレイ時は“最短経路”で表示されるように構成を見直す(分配や変換を増やしすぎない)
2PCにしたのにプレイが悪化するのは本末転倒です。プレイ体験を守るための“見る画面”の設計が最優先になります。
2PCは配信以外でもメリットがある サブPC活用術
2PCという言葉は配信文脈で語られがちですが、PCを2台運用する価値は配信以外にもあります。配信目的で導入したサブPCが、日常の効率やリスク対策にも効くようになると、投資の納得感が増します。
用途分散で作業効率が上がる例
PCを2台に分けると、用途ごとに環境を最適化できます。典型例は次のとおりです。
デスクトップ:ゲーム、配信の土台、重い編集
ノートPC:外出先の作業、台本作り、SNS、サムネの軽作業
サブPC:配信制御、コメント管理、素材管理、BGM運用
用途分散の良さは「同時に開いておける」だけではありません。環境が分かれることで、次のようなメリットが出ます。
配信中に余計なアプリや通知が入りにくい(配信PCを専用化)
メインPCのアップデートや設定変更の影響を受けにくい
編集中でも配信準備ができる、配信中でも作業ができる
配信者にとっては、「配信の準備・運用・編集」を並行しやすくなること自体が、継続の助けになります。
故障時のバックアップとしての価値
PCは突然不調になります。とくに配信は「今日やりたい」「告知した」など、止めづらい状況もあります。2台体制があると、次のような保険になります。
メインPCが不調でも、最低限の配信や作業が続けられる
重要データを分散でき、復旧の時間を稼げる
修理や入れ替えの間も活動が止まりにくい
バックアップとしての価値は、普段は見えにくいですが、一度トラブルが起きると実感が大きい領域です。配信を継続するほど、“止まらない仕組み”は資産になります。
2PC配信のよくある質問
最後に、2PC配信を検討する人が抱えやすい疑問をまとめます。迷いがちなポイントを先に整理しておくと、導入時の手戻りが減ります。
2PCにすると必ず画質は上がりますか
必ず上がるとは限りません。2PCは「PC負荷の分離」によって、画質を上げる余地と安定性を作りやすくする手段です。回線が弱い、プラットフォームの制約がある、設定が上げすぎで破綻している、といった要因があると、2PCでも画質は伸びません。
画質を上げたい場合は、まず「落ちない安定ライン」を作り、そこから段階的に上げていくのが近道です。
配信用PCのスペックはどの程度必要ですか
必要スペックは「目標品質」と「配信で何をするか」で変わります。ポイントは次の2つです。
目標(例:1080p/60で安定、録画も同時など)を先に決める
配信用PCの役割を“配信制御とエンコード中心”に寄せる
やりたいことが増えるほど、配信用PCにも余力が必要になります。ただし、闇雲に高性能を求めるより、「自分の目標に対して余裕があるか」を基準にすると無駄が減ります。最初は最小構成で実現し、負荷や画質に不満が出てから上位構成へ進める考え方が安全です。
キャプチャカードなしでできますか
可能な方法もありますが、ネットワーク依存になったり、遅延や音ズレの扱いが難しくなったりしやすいです。2PC配信の導入で最も大事なのは「安定して回る型」を作ることなので、最初はキャプチャ方式で“映像取り込みの基盤”を固めるほうが手戻りが少なくなりがちです。
まず安定、その後に簡略化や代替方式を検討する順番をおすすめします。
TwitchとYouTubeで設定は変えるべきですか
変える前提で考えると安全です。配信プラットフォームは、推奨される設定や視聴者の視聴環境の傾向が異なります。同じ品質を狙っていても、安定しやすいビットレートや解像度の“落としどころ”は変わり得ます。
大切なのは、プラットフォームごとに「落ちない安定ライン」を作り、その範囲で画質を詰めることです。2PCはその調整の余地を増やす道具として使うと、導入効果が出やすくなります。