24インチと32インチで迷うとき、多くの人が「大きいほうが満足できそう」「でも部屋が狭いから圧迫感が不安」といった気持ちの間で揺れます。ところが、サイズ選びの失敗は“インチ数そのもの”よりも、視聴距離、デスク奥行き、用途、そして解像度の組み合わせが噛み合っていないことが原因で起こりがちです。
本記事では、まず「距離で上限が決まる」という前提から整理し、次に作業・ゲーム・動画など用途別に“疲れにくさ”と“見やすさ”の基準を分けて考えます。さらに、32インチで起こりやすい「フルHDだと粗く感じる」「4Kだと文字が小さい」といった悩みを、PPIとスケーリングの観点から具体的に解消します。
6〜8畳の一人暮らしや書斎でも後悔しないように、机奥行き別の現実的な運用、購入前チェックリスト、買った後に快適化する配置・設定までまとめています。読み終える頃には、24インチと32インチのどちらを選ぶべきかが、あなたの環境と使い方に合わせて迷いなく判断できるはずです。
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24インチと32インチ比較で最初に見るべき3つの基準
視聴距離とデスク奥行きでサイズの上限が決まる
24インチと32インチの比較で最初に確認すべきは、「画面までどれだけ距離を確保できるか」です。サイズの好みよりも、距離の制約が先にあり、ここを外すと「大きすぎて疲れる」「小さすぎて満足できない」という後悔につながります。
まず、利用シーンを2つに分けて考えると整理が早くなります。
テレビ寄り(ソファ・ベッドから見る):視聴距離は1.2〜2.5mなど比較的長め
PC寄り(デスクで使う):視距離はおおむね50〜80cm程度に収まりがち
デスク用途では、机奥行きが実質的な上限を決めます。奥行き60cmの机の場合、キーボードや手前のスペースを考えると、モニターの手前側が机の奥に寄ったとしても目から画面までの距離は伸びにくく、32インチは「近い」と感じやすくなります。逆に奥行き70〜80cmあれば、距離確保がしやすく、32インチでも快適に寄せられる可能性が高まります。
距離が確保できないと起きやすい問題は次の通りです。
視線移動が増える:画面全体を目で追う量が増え、集中が切れやすい
首・肩が疲れやすい:画面の上端を見る回数が増え、姿勢が崩れやすい
目が乾きやすい・疲れやすい:近距離で画面を凝視しやすくなる
特に32インチは高さも増えるため、近距離だと「上を見る」「下を見る」の振れ幅が大きくなります。映画を楽しむなら迫力になりますが、作業や学習では負担になることがあります。
一方、距離が取れる環境で24インチを選ぶと、今度は「小さく感じる」側の後悔が出やすくなります。たとえばソファから2m以上離れる前提なら、32インチのほうが文字やテロップが読みやすいケースが増えます。つまり、距離は“どちらの後悔が起きるか”を分ける最大要因です。
ここで簡単な判断のコツがあります。迷ったら、まずはメジャーで次を測ってください。
普段座る位置(椅子・ソファ・ベッド)を決める
目の位置から設置予定場所までの距離を測る
その距離が「デスク用途」か「テレビ用途」かを切り分ける
デスク用途なら奥行きも合わせて確認する
距離がわかると、サイズ選びの迷いが一気に減ります。見た目の印象だけでなく、身体感覚(疲れやすさ)まで含めた意思決定ができるようになります。
用途で変わる「見やすい」と「疲れにくい」
次に重要なのが用途です。「見やすい」という言葉は便利ですが、実は用途によって意味が変わります。
文章作成・ブラウザ・表計算:文字の輪郭、行間の読みやすさ、ウィンドウを並べられる作業領域
動画視聴:字幕・テロップの読みやすさ、顔の表情や動きの見え方、没入感
ゲーム:視界に入る情報量、視線移動の量、反応のしやすさ
オンライン会議:相手の顔の大きさ、資料の共有の見やすさ、カメラ位置との相性
たとえば作業中心なら、「目線を大きく動かさなくても必要な情報が視界に入る」ことが疲れにくさにつながります。24インチは視野に収まりやすく、画面全体を把握しやすい点で有利です。特にデスク距離が短い場合、24インチは扱いやすさが際立ちます。
一方、32インチは画面が大きい分、複数ウィンドウを並べたり、資料を広く表示したりしやすくなります。ただしこれは「解像度が十分で、スケーリングや文字サイズ調整が合っている」場合に限ります。画面が大きくても解像度が低いと、作業領域が増えず、ただ文字やUIが大きくなるだけで、期待した効率が得られないことがあります。
ゲームでは、ジャンルで評価が変わります。
FPS・対戦ゲーム:画面全体を一瞬で把握する必要があり、視線移動が少ないほうが有利になりやすい
RPG・オープンワールド:景色や演出を楽しむ比率が高く、大画面の没入感が満足度につながりやすい
レース・スポーツ:視界の広さと距離の取りやすさが快適さを左右する
動画視聴中心の場合は、距離が取れるほど32インチの価値が上がります。特に字幕やテロップが読みやすくなり、姿勢を崩さずに見やすくなることが多いです。
用途は「今の使い方」だけでなく、「今後増えそうな使い方」も考えると失敗しにくくなります。たとえば在宅ワークが増えそう、学習で長時間使いそう、ゲームを本格的に始めたい、など生活の変化を織り込むと、買い替えの頻度も減らせます。
解像度とPPIで文字の精細感が変わる
サイズ比較で見落とされがちなのが、解像度と画素密度(PPI)の関係です。PPIは「1インチあたりに何個の画素があるか」を示し、文字や線のシャープさ、写真の精細さに直結します。
同じフルHD(1920×1080)でも、24インチと32インチではPPIが変わります。画面が大きいほど同じ画素数が引き伸ばされ、1画素が物理的に大きくなるため、文字の輪郭が荒く感じやすくなります。これが「32インチをフルHDで買ったら粗い」という典型的な体験につながります。
一方、32インチをWQHD(2560×1440)や4K(3840×2160)にすると、PPIが上がり、文字や細線が滑らかになります。ここで重要なのは、精細になればなるほど「文字が小さく見える」傾向も出ることです。4Kは特に情報量が増えますが、スケーリング(表示倍率調整)を適切に設定しないと、文字が小さすぎて疲れることがあります。
つまり、サイズ比較は次の3点セットで考える必要があります。
サイズ:24か32か
距離:どれだけ離れて見るか
解像度(PPI):文字や映像をどう見たいか
この3点が噛み合うと、同じ32インチでも「最高に快適」になったり「疲れるだけ」になったりします。逆に言えば、噛み合わせさえ整えれば、24インチでも32インチでも満足度の高い選択が可能です。
24インチと32インチのサイズ感と必要スペース
横幅と高さの目安(16:9換算)
24インチと32インチの差を体感で理解するには、実寸を知るのが近道です。一般的な16:9比率の画面で、おおよその外形は次のようになります(ベゼルやスタンドの差は除く概算です)。
24インチ:横幅 約53cm/高さ 約30cm
32インチ:横幅 約71cm/高さ 約40cm
横幅で約18cm、高さで約10cmほど増えるイメージです。高さが増えるのがポイントで、デスクで使う場合は視線の上下移動に影響します。高さ40cm級の画面を近距離で見ると、画面上端が視界の上側に入りやすく、目だけで追えず首が動く頻度が増えます。
また、スタンドの奥行きも無視できません。32インチは本体が大きい分、スタンドが大型化し、机の奥行きを圧迫しやすい傾向があります。奥行き60cmの机で、スタンドが大きいモデルだと、モニターが手前に出てしまい、さらに視距離が短くなることがあります。購入時は「本体サイズ」だけでなく「スタンドの奥行き」も必ず確認するのが安全です。
6〜8畳で圧迫感が出やすい配置パターン
6〜8畳の一人暮らしで「32は圧迫感がありそう」と不安になるのは自然です。ただし圧迫感はサイズそのものより、配置と距離で決まります。圧迫感が出やすい典型パターンは次の通りです。
壁際に固定されて前後調整ができない
テレビ台や机の奥行きが浅く、画面を後ろに逃がせないと、必要な距離が取れません。大画面ほど近く感じ、圧迫感が強まります。ベッド脇の超近距離配置
寝転んだ姿勢で見ると距離が短くなりがちで、32インチは視界を占有しやすくなります。没入感は出ますが、疲れやすさが勝つことがあります。目線より高い位置に設置する
画面が大きいほど上端が高くなり、見上げる姿勢になりやすいです。首や肩の負担が増えると、圧迫感だけでなく身体的ストレスも増えます。窓や照明が映り込む位置
画面が大きいほど映り込みの面積も増えます。視聴姿勢を変えにくい部屋では、映り込みがストレスになります。
圧迫感を減らすには、次の工夫が効きます。
画面をできるだけ後ろへ(壁寄せできるスタンドやアームが有利)
目線の高さに合わせて設置(上端が高くなりすぎない)
視聴位置を固定せず、距離が取れる座り方を確保
映り込みが出る場合は、角度調整や遮光を検討
「部屋が狭いから32は無理」と決めつけるより、「距離と高さを確保できる配置が作れるか」を優先すると、選択肢が広がります。
机奥行き60/70/80cmでの現実的な運用
デスク用途では、机奥行きが快適さを左右します。ここでは机奥行き別に、24インチと32インチの運用感を具体的に整理します。
奥行き60cm
24インチ:比較的快適になりやすい。画面全体が視界に収まりやすく、首の動きが少なく済む
32インチ:近く感じやすい。スタンドが大きいとさらに近くなる。工夫(アーム、後退、斜め置き)が前提
奥行き70cm
24インチ:余裕が出る。姿勢が安定し、目の疲れが減りやすい
32インチ:条件次第で快適。画面の高さに慣れれば作業領域の広さが活きる
奥行き80cm
24インチ:快適だが、用途によっては「もう少し大きくても良かった」と感じることがある
32インチ:快適にしやすい。距離確保と画面全体の把握のバランスが取りやすい
もし奥行き60cmで32インチを検討する場合、現実的な改善策は次の3つです。
モニターアームで後ろに逃がす:数cm〜十数cmの差が体感を変える
机に対して斜めに置く:目から画面中心までの距離を稼ぎやすい
座る位置をわずかに後ろへ:椅子の位置、キーボード位置を調整して距離を確保
「買ってからなんとかする」より、「買う前に運用の形を決める」ほうが失敗が減ります。自宅の机・椅子・設置予定位置を前提に、距離を確保できるかを先に検証しておくのがおすすめです。
24インチと32インチの視聴距離目安を用途別に決める
混合用途は視野角30度の考え方
視聴距離を考える際、「高さ×◯倍」といった目安がよく使われますが、用途別に納得しやすいのは“視野角”の考え方です。視野角とは、目から見たときに画面が占める角度のことで、角度が大きいほど画面が視界を占め、迫力は増える一方で疲れやすさが出る場合があります。
混合用途(ニュース、バラエティ、YouTube、日常的な動画、軽いゲームなど)では、視野角30度前後がバランスを取りやすいとされます。極端に没入へ寄せず、画面から情報を取りやすい角度です。
混合用途の距離決めで大事なのは、「いつもその距離で見るか」という生活動線です。視聴距離は理想値を決めても、日常では姿勢が崩れたり、座る位置が変わったりします。そこで、次のように“少し余裕を持たせた距離”を作れるかが重要になります。
ソファの位置が固定されているか
テーブルやベッドが邪魔して距離が短くなっていないか
部屋のレイアウト変更で距離を確保できる余地があるか
30度を目安にすると、「映画ほど没入はいらないが、見やすさは欲しい」という人に合いやすく、24か32かの判断がしやすくなります。
没入重視は視野角40度の考え方
映画や没入型ゲームを中心に楽しみたい場合、視野角40度前後のように、より画面を大きく感じる設定が好まれることがあります。視野角が大きいと、画面が視界を占有し、迫力が出ます。映画館のような感覚に近づきやすいのがメリットです。
ただし、没入重視の距離は万能ではありません。次のような人は注意が必要です。
長時間視聴しがちで、目の疲れが出やすい
作業・学習にも同じ画面を使う
近距離視聴になりやすい部屋(レイアウト上、距離を伸ばせない)
没入重視の距離に寄せすぎると、作業時に「視線移動が多い」「文字を追うのが疲れる」といった問題が出やすくなります。そこでおすすめなのが、用途で距離を切り替える考え方です。
映画を見るときは少し前へ、作業時は少し後ろへ
椅子を引く位置を決めて、距離を意識的に変える
角度調整で見やすい範囲を作る
距離を固定せず「使い方で調整できる環境」を作れるなら、32インチの満足度は上がりやすくなります。
フルHDと4Kで言われる距離目安の読み替えと注意点
距離の目安として「フルHDは画面高さの約3倍」「4Kは画面高さの約1.5倍」といった話を目にすることがあります。これらは、解像度が高いほど画素が細かくなり、近づいても粗さが見えにくいという特性に基づいた考え方です。
ただし、ここで誤解しやすいポイントがあります。距離目安は「粗さが見えにくい距離」の話であって、「疲れない距離」「快適に使える距離」とは一致しないことがある、という点です。特にデスク用途では、解像度が高くても近すぎると目や首が疲れます。
距離目安を読み替えるときは、次のように考えると失敗しにくくなります。
テレビ視聴中心:粗さが見えにくい距離がそのまま満足度に繋がりやすい
PC作業中心:粗さよりも、視線移動と文字サイズ、姿勢の安定が重要
兼用:作業に合わせた距離を基準にし、映画や動画は少し寄せる、という運用が無難
つまり、距離目安は「上限・下限の目安」として使い、最後は自分の用途と姿勢に合わせて調整するのが現実的です。
24インチと32インチは解像度で体験が変わる
PPI早見表(24FHD/32FHD/32WQHD/32 4K)
サイズと解像度の組み合わせを整理するために、代表的なPPIの目安をまとめます。PPIの数値は目安ですが、傾向を掴むには十分役立ちます。
| サイズ×解像度 | PPI目安 | 体感の特徴 |
|---|---|---|
| 24インチ×フルHD | 約92 | 標準的で扱いやすい。文字の大きさも一般的 |
| 32インチ×フルHD | 約70 | 文字や輪郭が荒く感じやすい。近距離作業で不満が出やすい |
| 32インチ×WQHD | 約92 | 24FHDに近い精細感。作業領域も増えやすい |
| 32インチ×4K | 約138 | とても精細。スケーリング調整が前提になりやすい |
この表からわかる重要な点は、32インチで24インチ相当の精細感を狙うならWQHDが一つの基準になることです。32FHDはテレビとしては成立しても、PCで文字を読む用途が増えると粗さが気になりやすいです。
一方、32インチ4Kは精細で魅力的ですが、文字サイズの調整が必要になることが多いです。写真や映像の精細さを求める人には強い選択肢ですが、「買ってそのまま快適」というより「調整して仕上げる」タイプの選択肢だと捉えると失敗しにくくなります。
文字が小さい問題はスケーリングで回避できるか
4KのようにPPIが高いと、同じ物理サイズでも画面上の要素(文字やアイコン)が小さく表示されやすくなります。ここで役立つのがOSのスケーリング(表示倍率)です。WindowsやmacOSでは表示倍率を調整でき、文字やUIを見やすい大きさにできます。
スケーリング運用のメリットは次の通りです。
文字を拡大しても輪郭が滑らかで、読みやすさが保たれやすい
目の疲れを減らしやすい
表示が細かいアプリでも視認性を確保しやすい
一方で注意点もあります。
アプリによっては表示が最適化されず、ボタンや文字が崩れることがある
表示倍率を上げると、作業領域の増加が想像より小さい場合がある
ブラウザやアプリ側の拡大率とOS倍率が二重になり、調整が難しく感じることがある
このため、4Kを選ぶ場合は「購入後に調整する前提」で考えるのが安全です。逆に、調整が面倒で“買ったらすぐに快適”を優先するなら、32インチWQHDはバランスが取りやすい選択肢になりやすいです。
ゲーム・動画・仕事での“ちょうどよさ”の落としどころ
解像度選びは、用途で「ちょうどよさ」が変わります。ここでは用途別に落としどころを整理します。
仕事(文章・表・ブラウザ)中心
24インチ×フルHD:扱いやすく、負担が少ない。初めての外付けモニターでも失敗しにくい
32インチ×WQHD:作業領域が増え、2画面風に使いやすい。距離と高さ調整ができれば満足度が高い
32インチ×4K:精細だが、スケーリング設定が必要。細かい作業が多い人向き
動画中心
32インチ×フルHD:距離が取れるなら十分満足しやすい。テレビ寄りに使うならコスパが良い場合がある
32インチ×4K:映像の精細さが活きる。配信や映画をきれいに見たい人に向く
ゲーム中心
FPS寄り:24インチ(または27インチ)が扱いやすい人が多い。視線移動が少なく、画面全体を捉えやすい
没入型:32インチの迫力が魅力。WQHD以上なら精細感も確保しやすい
兼用:ゲームだけでなく作業もあるなら、距離とPPIのバランスでWQHDが無難になりやすい
結局のところ、解像度は「どの体験を優先するか」の宣言です。調整に手間をかけたくないなら、標準的な組み合わせ(24FHD、32WQHD)が扱いやすく、最初の一台として選びやすいです。
24インチと32インチはどっちが向く?用途別おすすめ
在宅ワーク・学習中心ならどっち
在宅ワークや学習で長時間使うなら、最優先は疲れにくさです。画面が大きくても、疲れて集中が切れるようでは本末転倒です。判断のポイントは「視距離を確保できるか」と「文字の見え方が合うか」です。
24インチが向くケース
デスク奥行きが60cm前後で、距離を伸ばしにくい
文章を読む・書く時間が長い
まずは失敗の少ない構成で導入したい
画面全体を一目で把握したい(資料の見比べを頻繁にする)
24インチは“標準サイズ”としての完成度が高く、設置性も良いです。ノートPCの外付けとしても相性が良く、姿勢改善の効果が出やすいのが強みです。
32インチが向くケース
デスク奥行き70cm以上、またはアームで距離を稼げる
資料を並べて作業したい(ウィンドウ2つ以上を常時並べる)
画面を広く使いたいが、デュアルモニターまでは不要
解像度はWQHD以上を選べる(または4Kを調整して運用できる)
32インチは条件が合うと作業効率を引き上げやすいです。ただし“環境が整っていること”が前提になりやすいので、机奥行き・高さ・椅子との相性は慎重に見てください。
ゲーム中心(FPS/没入型)ならどっち
ゲーム中心の人は「勝ちやすさ」と「楽しさ」がぶつかりやすい領域です。どちらを優先するかでおすすめが変わります。
FPS・対戦ゲーム寄り
24インチのほうが画面全体を把握しやすい
視線移動が少なく、情報の取りこぼしが減りやすい
デスク距離が短い環境でも扱いやすい
没入型(RPG・オープンワールド・レースなど)寄り
32インチの迫力が体験価値になりやすい
距離が取れるなら、視界を広く使って楽しめる
WQHD以上だと精細感もついてきて満足度が上がりやすい
ここでの落とし穴は「ゲームだけなら32が最高」ではない点です。チャットや攻略サイト、配信ツールなどを同時に使う人は、作業要素も増えます。ゲーム中心でも“周辺作業が多い”なら、解像度と距離のバランスを重視してください。
テレビ視聴中心(ニュース・映画)ならどっち
テレビ視聴中心の場合は、距離が取れるかどうかがほぼ全てです。視聴距離が長くなるほど、32インチの価値は上がります。ニュースやバラエティのテロップが読みやすくなり、姿勢を変えずに情報が入ってくるからです。
視聴距離が1.5m以上取れるなら、32インチは満足度が上がりやすい
視聴距離が1m前後になりやすいなら、24インチのほうが疲れにくい場合がある
映画中心なら、距離が確保できる限り32インチが有利になりやすいです。ただし、寝室などで視聴姿勢が崩れやすい環境では、近距離になって疲れやすいこともあるため、レイアウトと座り方(寝転び方)まで含めて判断してください。
一人暮らしの「兼用」ならこの選び方
一人暮らしでは「テレビもPCも1台で兼用したい」というニーズが多く、ここが最も迷いやすいポイントです。兼用では、次の順番で考えると失敗が減ります。
デスク用途の距離(奥行き)を基準にする
次にテレビ用途の距離(ソファ・ベッド)で不満が出ないか確認する
最後に解像度(PPI)を決める
兼用で後悔しにくい典型パターンは次の通りです。
距離を稼げない(デスク奥行き60cm級):24インチ+フルHD
→ まずは疲れにくさと扱いやすさを優先。動画視聴は距離を調整して補う距離を稼げる(デスク70cm以上/アームあり):32インチ+WQHD
→ 作業と動画の両方を高い水準で両立しやすい精細さ最優先(写真・映像・細かい文字):32インチ+4K+スケーリング運用
→ 調整前提だが、ハマると非常に満足度が高い
「兼用だから中途半端になる」と思われがちですが、距離と解像度をセットで整えれば、むしろ一台で快適にまとまりやすくなります。
24インチと32インチ購入前チェックリストと失敗回避
置き場所チェック(距離・高さ・映り込み)
購入前にやっておくと、失敗確率が大きく下がるチェックがあります。次の項目を、可能ならメジャーで測りながら確認してください。
購入前チェックリスト(10項目)
目から画面までの距離を確保できる(デスク用途は特に重要)
机の奥行きに対して、スタンド奥行きが過剰ではない
画面上端が高すぎず、見上げる姿勢にならない
画面中心が目線より少し下に来るよう調整できる
椅子の高さと机の高さが合っている(姿勢が前のめりにならない)
窓や照明の映り込みが強く出る位置ではない
コンセントや配線の取り回しが現実的
置いたときに通路を塞がず、生活動線が崩れない
ベッド視聴の場合、距離が極端に短くならない
兼用の場合、デスクと視聴位置の両方で許容できる
特に見落としがちなのが「画面の高さ」と「映り込み」です。大きい画面ほど上端が高くなり、姿勢に影響します。また光の映り込みは“慣れ”で解決しにくく、毎回のストレスになります。角度調整できるスタンドや、設置位置の工夫(窓と直対しない)で改善できる場合が多いので、事前に想定しておくと安心です。
周辺機器で快適化(モニターアーム・スタンド)
サイズ選びの不安を大きく減らすのが周辺機器、とくにモニターアームです。32インチをデスクで使う場合、アームの有無で快適さが変わることがあります。
モニターアームの主なメリット
画面を後ろへ逃がして視距離を稼げる
高さを合わせて首・肩の負担を減らせる
角度調整で映り込みを回避しやすい
机上スペースを整理しやすい(スタンドより省スペースになる場合がある)
一方で、アームには注意点もあります。
モニターの重量に対応した耐荷重が必要
机の天板の強度や厚み、クランプ取り付けの可否を確認する必要がある
配線が増えるため、ケーブル整理が必要
スタンド運用の場合でも、「高さ調整ができるか」は大きな分かれ目になります。高さ固定のスタンドだと、目線が合わず疲れやすくなることがあります。購入時は、スタンド機能(昇降・チルト・スイベル)の確認もしておくと失敗が減ります。
よくある失敗と対処(大きすぎ/粗い/首が疲れる)
最後に、24インチと32インチの比較で起きやすい“失敗あるある”と、現実的な対処法をまとめます。買い替えが難しい場合でも、改善できるケースは少なくありません。
失敗1:32を買ったら近すぎて疲れる
起きやすい原因:机奥行き不足、スタンドの奥行きが大きい、椅子の位置が前すぎる
対処法(優先順)
モニターアームで後ろへ下げる
斜め配置で距離を稼ぐ
椅子とキーボード位置を調整し、姿勢を後ろへ
表示倍率を少し上げ、無理に近づかない運用にする
失敗2:32のフルHDが粗く見える
起きやすい原因:近距離で文字中心の用途、輪郭の荒さが気になるタイプ
対処法
視聴距離を伸ばす(作業姿勢を後ろへ)
ブラウザのフォントや表示を調整し、目の負担を減らす
どうしても気になる場合は、次回はWQHD以上を検討(根本解決は解像度)
失敗3:4Kにしたら文字が小さすぎる
起きやすい原因:スケーリング未設定、アプリ側の表示設定が合っていない
対処法(手順)
OSの表示倍率(スケーリング)を調整
ブラウザやアプリの表示倍率も最適化
必要なら解像度設定と表示倍率の組み合わせを見直す
目線・距離・高さを再調整し、近づかない環境を作る
失敗4:首が疲れる、肩がこる
起きやすい原因:画面が高い、見上げる姿勢、椅子と机の高さが合っていない
対処法
モニターの高さを下げる(台を外す、アームで調整する)
画面中心が目線より少し下になる位置を目安にする
椅子の高さ、肘置き、キーボード位置を見直す
失敗の多くは「サイズが悪い」というより、「距離・高さ・解像度の噛み合わせ」が原因です。買う前に距離と机奥行きを測り、買ったあとも配置や設定を少し調整するだけで、体感は大きく変わります。
24インチと32インチは、どちらが正解というより「どちらがあなたの環境に合うか」です。距離・用途・解像度の3点セットで判断し、最後にチェックリストで現実の設置条件を詰めると、購入後の後悔はかなり減らせます。