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165Hzと240Hzの違いは体感できる?得する条件と設定まで完全ガイド

「165Hzでも十分滑らかに感じるのに、240Hzに上げる意味はあるのだろうか」──ゲーミングモニターを買い替えるとき、多くの方がここで迷います。実際、165Hzから240Hzの差は“数字”で見るとわずかに見えますが、プレイするゲームや出せるfps、設定の詰め方によっては、体感がはっきり分かれるのも事実です。逆に、条件が揃っていないまま買い替えると「高いお金を払ったのに変わらない」という結果になりかねません。

本記事では、165Hzと240Hzの違いをフレーム時間(ms)から整理し、体感差が出る条件・出ない条件を明確に切り分けます。さらに、入力遅延と応答速度の混同を解消しながら、購入後に240Hzを最大限活かすための設定チェックまで一気に解説します。読了後には、あなたの用途と環境で「240Hzに投資すべきか」「165Hzのままで十分か」を自信を持って判断できるようになります。

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165Hzと240Hzの違いを数字で理解する

リフレッシュレートとフレーム時間の関係

リフレッシュレート(Hz)は「画面が1秒間に何回書き換わるか」を示す数値です。60Hzなら1秒間に60回、165Hzなら165回、240Hzなら240回という意味になります。ゲームをしているときに“滑らかさ”として感じる部分は、この書き換えの回数が増えることで、動きの途中の情報がより細かく表示される点にあります。

ここでセットで押さえておきたいのが「フレーム時間(1フレームあたりの時間)」です。これは「1回画面が更新されるまでに何ミリ秒かかるか」を表します。計算は単純で、1秒(1000ms)をHzで割るだけです。

  • 165Hz:1000 ÷ 165 ≒ 6.06ms

  • 240Hz:1000 ÷ 240 ≒ 4.17ms

つまり、165Hzから240Hzへ上げると、1回の更新が来るまでの待ち時間が 約6.06ms → 約4.17ms になり、差は 約1.9ms です。

この「約1.9ms」をどう捉えるかがポイントです。数字だけ見ると小さい一方で、FPSのように視点移動が速く、瞬間的な視認や反応が積み重なるゲームでは、わずかな差でも体感や結果に影響し得ます。ただし、ここで注意したいのは「モニターが240Hzなら、常に4.17msごとに新しい映像が来る」わけではないことです。実際に新しい映像(フレーム)を作って送るのはPC(GPU/CPU)側であり、ゲーム内でのフレーム生成が不安定なら、モニターの能力を使い切れません。

また、Hzは“更新できる上限”であって、ゲームの映像の質を直接変えるものではありません。視認性や操作感が良くなる条件は、フレームレート、遅延、応答速度、設定など複数要素が揃ったときに最大化します。まずは「Hz=滑らかさの土台」「フレーム時間=更新の刻み」と整理しておくと、後の判断がスムーズになります。

差は小さいのに意味がある場面がある理由

165Hzと240Hzの差は、60Hzから144Hzへ変えたときのような劇的な変化として語られにくい傾向があります。これは高リフレッシュほど“伸びが逓減する”ためです。たとえば、60Hzは1フレーム約16.67ms、120Hzは約8.33msで、差は約8.34msあります。一方、165Hzと240Hzの差は約1.9msです。差分だけ見れば、確かに小さくなります。

それでも意味が出る場面がある理由は、主に次の3つです。

1つ目は、視点移動中の情報密度です。視点を速く振ったとき、画面上の物体は素早く移動します。このとき更新回数が多いほど、移動中の途中経過がより細かく表示され、敵の位置や輪郭を“追いやすくなる”可能性があります。特にトラッキング(動く敵を追い続ける)や、角からのピーク(顔出し)など、移動と視認が同時に起きる局面で差を感じやすくなります。

2つ目は、入力から表示までの総遅延を詰める余地です。モニターの更新間隔が短いほど、入力後に“次の画面に反映されるまでの待ち”が理論上は短くなります。もちろん実際の遅延は他要因も大きいのですが、240Hzは遅延を詰めるための土台として有利になりやすい、という考え方ができます。

3つ目は、積み上げ効果です。競技寄りの環境では、単発の優位よりも「細かな優位の積み上げ」が結果に影響します。たとえば、視認がほんの少し早い、照準がほんの少し合わせやすい、入力がほんの少し反映されやすい、といった小さな差が、複数回の撃ち合いの中で積み重なります。個々は小さくても、勝敗が拮抗するほど意味が出やすいわけです。

一方で、このメリットは誰にでも同じ強さで現れるわけではありません。体感や勝敗への影響は「出せるfps」「ゲームジャンル」「プレイスタイル」「遅延や残像を含む表示品質」などで大きく変わります。次の章からは、差が出る条件と出ない条件を、より具体的に整理していきます。


体感差が出る条件と出ない条件

出せるfpsが足りないと差が出にくい

240Hzモニターを導入しても、ゲーム側のフレームレート(fps)が伸びなければ、体感差は小さくなりがちです。これは「モニターは240回まで表示できるが、PCが1秒に240枚の映像を作れていない」という状態になるためです。

重要なのは、平均fpsだけでなく、フレームレートの安定性です。たとえば平均が200fpsでも、戦闘中に140fpsへ落ちる時間が長ければ、240Hzの旨味は薄れます。逆に平均が200fpsに届かなくても、170〜200fpsあたりで安定していて、視点移動が滑らかになり、ブレが減ったと感じる人もいます。つまり「240fps固定でないと無意味」という極端な話ではありませんが、少なくとも“高いfpsを安定して出せるほど差が出やすい”という方向性は明確です。

体感の分かれ目になりやすい目安としては、次のように考えると判断がしやすくなります。

  • 平均fpsが200〜240に近く、落ち込みも少ない:240Hzの恩恵が出やすい

  • 平均fpsが165前後で安定:165Hzでも十分滑らかで、240Hzとの差は人を選ぶ

  • 平均fpsが150以下に落ち込む時間が多い:まず設定やPC性能の改善の方が効果が大きい

また、ここで「画質設定を落とせるか」も現実的な判断軸になります。競技FPSでは視認性やfpsの安定を優先して設定を下げることが多く、結果として高fpsを維持しやすい傾向があります。一方で、映像美重視のタイトルや高解像度で遊びたい場合は、GPU負荷が上がりやすく、240Hzを活かす前提が崩れやすくなります。

加えて、CPUがボトルネックになるタイトルもあります。特に高fpsを狙うときはGPUだけでなくCPU性能、メモリ、ゲーム内の処理負荷が影響し、フレームタイムが乱れやすくなります。240Hzを本気で活かしたいなら「fpsの天井」より「フレームタイムの安定」を意識する方が、体感に直結しやすいポイントです。

差が出やすいゲームと、出にくいゲーム

165Hzと240Hzの差は、ゲームジャンルによって感じ方が大きく変わります。ポイントは「視点移動の頻度と速さ」「敵の視認が勝敗に直結するか」「入力反映の遅れが不利になりやすいか」です。

差が出やすい傾向のゲーム

  • 競技FPS/TPS(例:素早いエイム、ピーク、反応が重要なタイトル)
    視点移動が激しく、敵を一瞬で捉える場面が多いため、表示の刻みが細かいほど追いやすくなります。

  • トラッキング比重が高いゲーム
    動く敵を追い続ける状況では、途中経過が細かいほど照準合わせがしやすいと感じる人が増えます。

  • 近距離戦や高速戦闘が多いタイトル
    反射的な操作が多いほど、遅延の差がストレスとして現れやすくなります。

差が出にくい傾向のゲーム

  • RPG、ターン制、ストーリー中心
    視点移動や瞬間反応の比重が低く、滑らかさは快適さに寄与しても勝敗への影響が小さくなります。

  • 映像美重視でfpsが伸びにくいタイトル
    高負荷設定が中心だと、フレームレートが頭打ちになりやすく、240Hzの意味が薄れます。

  • 操作テンポがゆっくりなゲーム
    165Hzでも十分滑らかに感じ、240Hzの差は“よく見れば分かる”程度に収まりやすいです。

ここで大事なのは「自分が何を目的にしているか」です。勝率の上げ下げを狙うのか、快適さを狙うのか、ストレスを減らしたいのか。快適さ目的なら165Hzでも十分満足できるケースが多く、勝率目的なら240Hzが効く条件(高fps安定、低遅延設定、視認性)を揃える価値が出てきます。

視点移動・索敵・感度が体感を左右する

同じ165Hzから240Hzへの変更でも、「すごく違う」と感じる人と「ほとんど変わらない」と感じる人がいます。その差を生む要因の1つが、視点移動や索敵の仕方、そして感度設定です。

  • ローセンシ(低感度)で大きく腕を動かすタイプ
    大きく振り向き、広い範囲をスイープして索敵する場面が増えます。視点移動中の情報が細かいほど、敵を見失いにくくなり、視認性の差が体感につながりやすい傾向があります。

  • ハイセンシ(高感度)で手首中心のタイプ
    速い小刻みな調整が多く、視点移動自体は素早い一方、視認性の差よりも「入力遅延」や「エイムの安定」「フレームタイムの乱れ」の影響が強く出る場合があります。240Hzで改善を感じる人もいますが、差の原因を切り分けづらいことがあります。

  • 索敵がミニマップ・音・UI比重の高いタイプ
    そもそも視点移動中の画面情報に頼る割合が低いと、滑らかさの差は感じても“強さ”への寄与は小さくなりやすいです。

さらに、同じ感度でも「振り向いた直後に敵を捉える」「角から出た瞬間に置きエイムを合わせる」など、“動きと視認が同時に起きる”場面が多いほど、240Hzの良さが出やすくなります。逆に「止まって狙う」「待ち構える」比重が高いなら、165Hzでも十分に感じやすいでしょう。

体感差に悩むときは、「自分はゲーム内で何を見て勝っているのか」を考えるのが近道です。視認性で勝っているならリフレッシュレートの恩恵は出やすく、立ち回りや読みで勝っているなら、240Hzに投資するより別の改善(練習、設定、音環境、解像度やサイズ選び)の方が効く場合もあります。


入力遅延と応答速度を混同しない

入力遅延はHzだけで決まらない

「240Hzは遅延が少ない」と聞くことは多いのですが、ここには誤解が混ざりやすいポイントがあります。まず、入力遅延とは一般に、マウスやキーボード操作が画面に反映されるまでの遅れを指します。これはモニターのHzだけで決まるものではなく、複数要素の合計です。

  • デバイス側(マウスのポーリングレート、ワイヤレスの遅延など)

  • OSとドライバー(設定、バックグラウンド負荷)

  • ゲーム側(レンダリング遅延、設定、V-Syncなど)

  • GPU/CPU(処理能力、フレーム生成の安定性)

  • モニター側(内部処理、オーバードライブ、映像補正など)

このうち、モニターのHzは「画面が次の状態に切り替わるチャンスがどれだけ頻繁に来るか」に関わります。更新間隔が短いほど、入力が反映されたフレームを表示できるタイミングが早く来る可能性が上がります。つまり、240Hzは“遅延を小さくする余地”を増やしますが、それだけで遅延が最小化されるわけではありません。

また、同じ240Hzでも製品によって入力遅延が違うことがあります。理由はモニター内部で行われる処理の差です。たとえば、映像補正機能、スケーリング、HDR処理、過度な画像エンハンスなどが入ると、内部処理に時間がかかる場合があります。ゲーミング向けのモニターには「低遅延モード」「ゲームモード」があることが多いのは、この処理を減らすためです。

したがって、遅延を重視するなら「Hzが高い=低遅延」と単純化せず、次のように考えると失敗しにくくなります。

  • 240Hzは低遅延に寄与しやすい土台

  • ただし製品設計・設定によって差が出る

  • 体感を最大化するには、ゲーム側設定やOS設定も含めて整える必要がある

応答速度が遅いと高Hzでも残像が出る

次に混同されやすいのが、応答速度(Response Time)です。応答速度は、画面の色(ピクセル)がある状態から別の状態へ切り替わる速さを指します。一般的にmsで表され、数値が小さいほど切り替えが速い、という整理です。

ここで重要なのは、リフレッシュレート(Hz)と応答速度は別物だという点です。240Hzで更新回数が多くても、ピクセルの切り替わりが遅ければ、前のフレームの残りが見えて“残像”として感じられます。逆に、応答が速いモニターは動きがくっきりしやすく、同じ165Hzでも見やすいと感じることがあります。

さらに現実的な問題として、応答速度には「オーバードライブ(OD)」設定が関わります。オーバードライブはピクセルの切り替えを速めるための機能ですが、強くかけすぎると色が行き過ぎて戻る現象が起き、輪郭に明るい縁取りのような“逆残像(オーバーシュート)”が出ることがあります。残像が減ったと思ったら逆残像が目立つ、というケースは珍しくありません。

240Hz環境では1フレームが約4.17msと短いため、応答が追いつかないと“フレームごとの映像がきれいに分離しない”状態になりやすくなります。その結果、240Hzにしたのに「思ったほどくっきりしない」「見やすさが上がらない」と感じることがあります。ここで焦ってODを最大にすると逆残像が増え、別の見づらさが出ることもあります。

結局のところ、見え方を決めるのはHzだけではなく、応答速度、OD設定、パネル特性(IPS/TN/VAなど)、そしてゲームのフレームレート安定性です。モニター選びで失敗しないためには「240Hzであること」に加え、「応答が適切で、OD調整がしやすいこと」も同じくらい大切だと覚えておくとよいでしょう。


165Hzと240Hzのおすすめ判断チャート

240Hzを選ぶべき人

240Hzが“価格に見合う価値”になりやすいのは、次の条件が複数当てはまる人です。

  • 競技FPS/TPSをメインでプレイしている(ランクや対人の勝ち負けを重視)

  • 画質よりもfpsと視認性を優先できる(設定を落とすことに抵抗がない)

  • PC性能的に高fpsを狙える(平均200fps以上を現実的に維持できる)

  • 視点移動やトラッキングが多く、動きの中の視認性を上げたい

  • 「小さな差でも積み上げたい」という目的が明確

この層にとって、165Hzはすでに快適ですが、240Hzは「勝つための環境差を少しでも減らす」投資として筋が通りやすいです。特に撃ち合いの頻度が高い人ほど、視認性や反応の僅差が積み重なって結果に影響しやすくなります。

ただし、240Hzにするなら“合わせ技”で最大化する意識が重要です。モニターだけでなく、fps安定、低遅延設定、OD調整、適切な接続、OSのリフレッシュレート設定まで揃えたときに効果が見えやすくなります。

165Hzで満足しやすい人

165Hzで満足しやすいのは、次のようなタイプです。

  • さまざまなジャンルを遊び、総合的な快適さを重視する

  • 競技性はあるが、勝敗よりも楽しさや没入感を優先したい

  • 平均fpsが200に届かず、戦闘中に150以下へ落ちることが多い

  • 画質や解像度(WQHD/4K)も大切で、負荷が上がりやすい

  • 現時点で165Hzに大きな不満がない

この場合、240Hzに投資しても「確かに滑らかだけど、思ったほど変わらない」と感じる可能性があります。それよりも、同予算で別の改善をした方が体感が大きいケースが多いです。たとえば、GPU更新でfpsが安定する、ゲーム設定を見直してフレームタイムが整う、応答の良いモニターに変える、解像度やサイズを最適化する、といった方向です。

別のアップグレードが優先な人(GPU/解像度/サイズ)

「165→240より先にやることがある」ケースは実際かなり多いです。特に次のような状況では、240Hzにしても期待通りの差が出にくく、別の投資の方が満足度を押し上げやすくなります。

  • GPU/CPUがボトルネックでfpsが伸びない
    240Hzの前に、まず安定した高fpsが出る環境が必要です。fpsが上がるだけで入力のキレや視認性が改善し、165Hzでも“十分強い”環境になります。

  • 解像度・画面サイズが合っていない
    たとえば敵が小さく見える、UIが見づらい、目が疲れるなどの問題は、Hzでは解決しないことがあります。サイズや解像度の最適化で視認性が上がると、結果的にプレイの質が上がります。

  • 残像や逆残像が気になっている
    これはHzより応答速度やOD設定、パネル特性が支配しやすい領域です。240Hzにしても“見やすさ”が改善しない可能性があるため、応答品質の良いモデル選びが優先になることがあります。

  • 設定が未最適化
    Windowsが165Hzのまま、ゲーム内fps制限が低いまま、V-Sync設定が原因で遅延が増えている、などがあると、240Hzへ買い替えても差が出ません。買い替え前に、いまの環境を整えるのは非常に有効です。

結論としては、「勝ちたいから240Hz」ではなく、「勝ちたいので240Hzの効果が出る条件を満たせるか」を判断するのが失敗しない考え方です。


240Hzを買っても変わらないを防ぐ設定チェック

WindowsとGPU設定で240Hzを有効化する

240Hzモニターを導入したのに「変わらない」と感じる原因で多いのが、そもそも240Hzで動いていないケースです。これは設定の確認で防げます。

まずWindows側で、モニターのリフレッシュレートが240Hzになっているかを確認します。モニターを接続しただけでは、OSが自動で最適値を選ばないことがあります。特に、以前の設定を引き継いで165Hzや144Hzのままになっている場合があります。

次にGPU側(NVIDIA/AMD)の設定ツールでも、解像度とリフレッシュレートの組み合わせが正しく選べているかを確認します。複数モニターを使っている場合、片方だけ更新レートが違うと挙動が変になることもあります。また、色深度やHDR設定との兼ね合いで、選べるHzが変わることもあります。

さらに、モニターのOSD(本体設定)で「入力端子ごとの最大Hz」「オーバークロック設定」「ゲームモード」などが用意されている場合があります。機種によっては、OSDで高リフレッシュを有効にしないと240Hzが出ないこともあるため、購入後は一度マニュアルや設定項目を確認すると安全です。

この段階での目標は単純です。OS・GPU・モニターの3点で240Hzが選べていて、実際に適用されていること。これができていないと、後の最適化をしても体感は伸びません。

ゲーム側のfps制限とV-Sync/VRRの考え方

次に確認したいのは、ゲーム側の設定です。意外と多いのが、ゲーム内でfps上限が低く設定されているケースです。たとえば「最大144fps」などの上限が残っていると、240Hzの恩恵は大きく減ります。ゲーム内のフレーム上限設定、外部ツール、ドライバー設定など、複数箇所で制限がかかっている場合もあります。

そのうえで悩みやすいのが、V-Sync(垂直同期)とVRR(可変リフレッシュレート)の扱いです。ここは「何を優先するか」で方針が変わります。

  • 滑らかさやティアリング低減を優先したい
    VRRを活用し、画面の乱れ(ティアリング)を抑える方向が合いやすいです。fpsが上下するゲームでは、体験の安定に寄与します。

  • 遅延を最小化したい(競技寄り)
    V-Syncの扱いは慎重になります。設定の組み合わせで遅延が増えたり、体感が重くなったりすることがあります。タイトルや環境によって最適解が違うため、一般論で断定しない方が安全です。

現実的な運用としては、まず「いまの環境で遅延が気になるか」「ティアリングが気になるか」を分けて考え、片方の問題を先に解決する方が迷いません。両方を同時に完璧にしようとすると、設定の沼に入りやすいです。

また、fpsは高ければ良いだけでなく、安定していることが重要です。fpsが瞬間的に高くても、戦闘中に落ち込むと視認性が乱れ、結果的に操作感が悪化します。設定では「平均fps」より「最低fps」「フレームタイムの揺れ」に注目すると、体感改善につながりやすくなります。

ケーブル規格と接続(DP/HDMI)で詰まらない

240Hzを狙う上で見落としがちなのが、接続の制約です。高リフレッシュはデータ量が増えるため、ケーブルや端子、規格がボトルネックになる場合があります。

  • DisplayPort(DP)とHDMIのどちらで接続するか

  • モニター側のどの入力端子を使うか(端子ごとに最大Hzが違う機種もあります)

  • 解像度との組み合わせ(FHDなら240Hzが通っても、WQHDでは上限が下がる等)

  • 変換アダプタ、ドッキングステーション経由で上限が落ちていないか

「240Hzモニターを買ったのに、OS側で240Hzが選べない」というトラブルは、接続が原因のことが多いです。特にノートPCや複数機器を介する環境では、途中の規格が足を引っ張ることがあります。

対策としては、購入前に「自分が使う解像度で、どの端子なら240Hzが出るか」を仕様で確認し、できればシンプルな直結構成を取ることです。買い替え後も、まずはOSで240Hzが選べる状態になっているかを確認し、選べないなら接続経路を疑う、という順番で切り分けるとスムーズです。

モニター設定(オーバードライブ等)の注意

最後に、見え方を仕上げるのがモニター側設定です。特に影響が大きいのがオーバードライブ(OD)です。ODは応答を速めますが、強すぎると逆残像が出ます。ここで大切なのは「最強にすれば良い」ではなく、「残像と逆残像のバランスが良い地点を探す」ことです。

おすすめの進め方は次の通りです。

  1. ODは標準〜中程度から始める

  2. 視点移動中の輪郭がぼやける(残像)なら一段上げる

  3. 輪郭に明るい縁や色ズレが出る(逆残像)なら一段戻す

  4. ゲームの明るさやコントラスト設定も合わせて調整する(見え方が変わる)

また、モニターによっては「モーションブラー低減(黒挿入)」のような機能があり、動きのくっきり感が増す代わりに暗くなったり、フリッカーが気になったりすることがあります。競技目的で使う人もいますが、疲れやすさや見え方の好みが大きく分かれるため、無理に使う必要はありません。まずはODの最適化と、240Hzの有効化ができているかを固めるだけでも、体感はかなり変わります。


よくある質問

165Hzでも十分強い人はいる?

十分にいます。実際、強さを決める要因はHzだけではありません。立ち回り、射線管理、反応速度、読み、チーム連携、マップ理解、そして安定したフレームレートなどが複合して勝敗が決まります。165Hzはすでに高リフレッシュの領域であり、快適さと視認性の水準は高いです。

165Hzで強い人が多い理由は、240Hzの差が「誰にでも分かる劇的な差」ではなく、「条件が揃ったときに効く小さな差」になりやすいからです。さらに、環境差を埋める手段は他にもあります。たとえば、フレームレートの安定化、遅延の少ない設定、見やすい解像度やサイズ、適切な感度などです。これらが整っていれば、165Hzでも高いパフォーマンスを発揮できます。

WQHD165HzとFHD240Hzはどっち?

これは「何を優先するか」で答えが変わります。

  • 競技性とfps安定を最優先するなら、FHD240Hzが有利になりやすいです。FHDはGPU負荷が相対的に軽く、240fps付近を狙いやすいことが多いからです。視認性も、ゲーム内設定や画面サイズ次第で十分確保できます。

  • 画の綺麗さ、作業用途、総合満足度も重視するなら、WQHD165Hzが魅力になります。文字やUIが見やすく、ゲーム以外の用途でも満足度が高い傾向があります。

また、同じWQHDでも画面サイズが27インチ前後か、あるいはそれ以上かで感じ方が変わります。敵が小さく見える、視線移動が増える、といった問題はサイズ選びで改善することがあります。単純に「Hzが高い方が上」ではなく、「自分が長時間見て疲れないか」「目的に対して必要十分か」で選ぶのが後悔しにくいです。

応答速度1ms表記は信用してよい?

目安にはなりますが、数字だけで判断するのは危険です。理由は、応答速度の測定条件がメーカーごとに異なる場合があり、しかも最速値はODを強くかけた“実用性の低い設定”で達成されることがあるからです。ODを最大にしたら逆残像が強く出る、という場合でも、カタログ上は「1ms」と書けてしまうことがあります。

本当に重要なのは「実際に使う設定で、残像と逆残像が少なく、動きが見やすいか」です。購入時には、レビューでの測定や、OD各段階での挙動(どの設定が実用的か)を見ておくと失敗が減ります。特に240Hzを狙うなら、応答品質は満足度に直結します。

PS5/家庭用ゲーム機でも240Hzは活きる?

家庭用ゲーム機の場合、そもそも出力できるリフレッシュレートやfpsが制約になります。240Hzモニターを接続しても、ゲーム機側が240Hz出力や240fpsを前提にしていないなら、モニターの性能を使い切れません。

そのため、家庭用機中心なら「その機種が対応する最大Hz」「対応する解像度とHzの組み合わせ」「VRR対応」などを先に確認するのが重要です。240Hzモニターが無駄になるとは限りませんが、目的が“240Hzの恩恵”なら、PCほど分かりやすくは出にくいと考えておくと現実的です。逆に、将来PCでも使う予定がある、応答品質の良いゲーミングモニターが欲しい、といった目的なら選択肢になります。


まとめ

165Hzと240Hzの違いは、数字で整理すると「更新間隔が約6.06msから約4.17msへ短くなる」ことで、差は約1.9msです。高リフレッシュになるほど差は小さく感じやすい一方で、競技FPSのように視点移動が激しく、瞬間的な視認や反応が積み重なるゲームでは、条件が揃うほど価値が出やすくなります。

ただし、240Hzは買えば自動的に強くなる装備ではありません。差が出るかどうかは、出せるfpsの水準と安定性、入力遅延の総量、応答速度とOD設定、そしてOS・ゲーム・接続の設定が揃っているかで決まります。逆に言えば、これらを整えれば、165Hzでも十分に高いパフォーマンスを発揮できます。

次に取るべき行動は明確です。

  • 競技寄りで高fpsを安定させられ、環境差を積み上げたいなら240Hzを検討する

  • そこまで条件が揃わない、または総合満足度重視なら165Hzでも十分。まずは設定最適化やボトルネック改善を優先する

買い替える場合は、240Hzの有効化、fps制限、V-Sync/VRR方針、接続、OD設定までをチェックし、「買ったのに変わらない」を確実に回避してください。そうすれば、投資した価値をきちんと体感しやすくなります。