突然、見覚えのない「+1 855」から電話がかかってきて、不安になった経験はございませんでしょうか。留守番電話には機械音声で「重要なお知らせ」「至急対応が必要」といった言葉が残され、折り返すべきか、このまま無視してよいのか判断に迷われる方も少なくありません。
海外番号であることは分かっても、「どこの国の番号なのか」「正規の企業からの連絡の可能性はあるのか」「詐欺だった場合、出てしまっただけで被害はあるのか」など、疑問や不安が次々と浮かぶのが自然です。特に、クレジットカードや支払い、利用停止といった内容を匂わせる案内があると、冷静な判断が難しくなります。
本記事では、「+1 855」という番号の正体から、詐欺に使われやすい理由、着信時に取るべき安全な行動、万が一出てしまった場合の対応、そして再発を防ぐための具体的な設定方法までを、順を追って詳しく解説いたします。心当たりのない国際電話に対して、迷わず安全な選択ができるよう、ぜひ最後までご確認ください。
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+1 855はどこの番号か
+1と855が示す意味
「+1 855」から始まる番号は、先頭の「+1」が北米地域の国番号であることを示し、その後ろの「855」は北米で使われるトールフリー番号帯(日本でいうフリーダイヤルに近い考え方)に該当します。つまり形式上は「北米のフリーダイヤル系番号」になります。
ただし、ここで押さえるべきポイントは次の2点です。
番号帯がトールフリーであることと、安全であることは一致しない
受け手(日本側)から見れば、着信は「国際電話」であり、心当たりがない場合は慎重対応が基本である
トールフリー番号は、本来は企業のカスタマーサポート、予約センター、本人確認のコールバック窓口などで利用されます。一方で、番号の見た目だけでは「正規の企業かどうか」は判断できません。近年は、海外番号やIP電話、番号表示の偽装(いわゆるスプーフィング)などを悪用し、受け手に“それらしい番号”を見せることで信用させる手口も確認されています。
また、「+1 855」からの着信が多くの方にとって不安になりやすい理由として、次の事情が重なります。
日本の生活圏では「+」から始まる番号に日常的に接触しにくい
心当たりがない海外番号は、情報が少なく真偽確認が難しい
「重要」「緊急」「停止」などの文言が留守電に入ると、心理的に焦りやすい
このため、番号の意味を理解することは重要ですが、それ以上に「心当たりがないなら安全側に倒す」運用が大切です。
正規の可能性があるケースと少ないケース
+1 855の着信が正規である可能性が比較的高いのは、次のように「北米の組織・サービスとあなたの接点が明確」な場合です。
北米の通販、旅行予約、海外SaaSなどを利用し、コールバックを依頼している
自分から北米の企業サポートへ問い合わせをしており、折り返し予定がある
海外の学校、勤務先、現地の知人などから、電話連絡が来る合理的な事情がある
決済や本人確認の過程で「電話連絡が入る可能性がある」と事前案内を受けている
逆に、正規である可能性が低いと考えられるのは次のパターンです。
心当たりが一切ない(海外サービス利用・問い合わせ・申込がない)
機械音声で「重要なお知らせ」「未払い」「利用停止」など不安を煽る内容
日本の機関名や日本企業名を名乗っているのに、国際番号でかかってくる
「番号を押す」「折り返す」「リンクにアクセスする」など、行動を急かす指示がある
具体的な担当者名、用件、本人確認の方法が曖昧で、こちらの情報だけを引き出そうとする
特に「心当たりがないのに急かされる」場合、相手が本物であっても連絡手段として不自然です。正規の企業であれば、通常はメールやアプリ通知、書面、公式番号からの発信など、複数の連絡経路が用意されていることが多いためです。
結論としては、「正規の可能性を検討するのは、接点が確認できた後」です。接点が確認できない状態で折り返したり、指示に従ったりすることは避けるべきです。
+1 855が詐欺に使われやすい理由
機械音声と不安を煽る文言の特徴
+1 855の着信でよく見られるのが、機械音声による自動ガイダンスです。機械音声自体がすべて危険という意味ではありませんが、詐欺・不審電話においては「大量に発信できる」「相手に考える時間を与えない」「行動誘導がしやすい」という利点があるため、悪用されやすい傾向があります。
典型的な危険サインとしては、以下が挙げられます。
「重要なお知らせがあります」
「このままではサービスが停止します」
「未払いがあります」「法的手続きに移行します」
「本人確認のために番号を押してください」
「オペレーターにつなぐので1を押してください」
「SMS(ショートメッセージ)を確認してください」「リンクを開いてください」
これらの文言が危険になりやすい理由は、受け手の心理を短時間で操作しやすいからです。人は「停止」「未払い」「法的」といった単語を聞くと、状況が分からなくても“まず対応しないといけない”と感じやすくなります。その状態で「今すぐ押してください」「折り返してください」と促されると、冷静な確認手順を踏まずに行動しがちです。
したがって、機械音声で強い不安を煽る内容が流れた場合は、まず「詐欺の典型導線の可能性がある」と捉え、こちらから個人情報を渡す行動を止めることが重要です。
機関名や企業名を名乗る手口への注意
詐欺や不審電話で非常に多いのが、実在する組織名(公的機関、信用情報機関、通信会社、配送会社、決済会社など)を名乗る手口です。これは「名前を聞いたことがある」というだけで信頼してしまう心理を利用しています。
よくある流れは次の通りです。
有名な組織名を名乗り、あなたを“当事者”にします(未払い、異常検知、本人確認など)
「本人確認」を理由に個人情報を求めます(氏名、生年月日、住所、口座、カード、ID/パスワードなど)
「手続きが必要」として、支払い・アプリ導入・リンク先入力へ誘導します
ここで最大のポイントは、相手が名乗った時点では、本物かどうかは確定しないということです。確認の基本は、相手の番号に折り返すのではなく、こちらが「公式の連絡先」を自分で取り直して連絡することです。
また、相手が本物であれば、こちらが「公式窓口から確認したいので、いったん切ります」と言っても、通常は問題になりません。むしろ、正規の組織ほどセキュリティの観点から、その行動を支持する場合があります。逆に、「切らせない」「今すぐ」などと執拗に迫る場合は危険度が上がります。
+1 855に遭遇したときの安全な対処
今すぐやることチェックリスト
心当たりのない+1 855着信があった場合、迷わないために「最初にやること」を固定しておくと安全です。以下を上から順に実施してください。
折り返し電話はしない
留守電があっても、指示通りにボタン操作(「1を押す」等)はしない
通話履歴のスクリーンショットを保存する(日時・番号が残る形)
留守電がある場合は保存し、内容をメモする(機械音声の要点、要求内容)
同一番号・類似番号から繰り返し来る場合は着信拒否に設定する
不安が残る場合は相談先へ連絡する(消費生活センター等)
名乗られた組織に心当たりがある場合は「公式窓口から」真偽確認する
重要なのは「電話を取ってしまった」「留守電を聞いた」こと自体を、必要以上に恐れすぎないことです。多くの場合、被害の入口は「折り返し」「個人情報の提供」「リンクアクセス」「送金」などの追加行動にあります。安全な手順を踏めば、被害を未然に防げる可能性が高まります。
折り返しを避けるべき理由
「とりあえず確認したい」という気持ちは自然ですが、心当たりのない+1 855へ折り返す行動は避けるのが安全です。理由は複数あります。
1. 通話料リスク
国際通話は契約プランによって課金体系が異なり、思った以上の費用が発生する可能性があります。料金の有無をその場で確実に判断できない場合、折り返しはリスクになります。
2. 詐欺シナリオの開始点になりやすい
折り返しは、相手が求める行動そのものです。こちらから接触することで会話が始まり、本人確認、支払い誘導、アプリ導入などの次の段階へ誘導されやすくなります。
3. “この番号は生きている”と判断される可能性
折り返しや応答によって「この番号は稼働している」と判断されると、再着信が増えることがあります。迷惑電話が増えると、日常の重要な着信にも影響しやすくなります。
このため、折り返しは「必要性が確認できた場合のみ」「公式窓口に取り直して」行うのが基本です。
真偽確認は公式窓口から行う
留守電や通話で「〇〇(企業名・機関名)」を名乗られ、あなた側に接点があるかもしれない場合は、次の手順で確認してください。ここが最重要です。
真偽確認の手順(安全版)
相手が名乗った組織名をメモします(聞き取れない場合は推測しない)
公式サイトを自分で開きます(検索広告やSMSリンクではなく、正規のドメインを確認)
公式サイトに掲載されている代表電話番号・問い合わせ窓口を探します
その公式番号へ連絡し、「いつ・どの番号から・どんな用件で」連絡があったかを伝えます
公式側の回答に従い、必要なら折り返し先や手続き方法を確認します
この方法であれば、仮に相手が詐欺であっても、詐欺側の番号へ折り返すことなく確認できます。また、正規の連絡であった場合にも、手続きを適切なルートで進められます。
+1 855に出てしまった場合の対応
何も話していない場合
「出てしまったが無言で切った」「数秒で切った」「相手の指示に従っていない」という場合、直ちに重大な被害に直結するケースは一般的には多くありません。ここで重要なのは、今後の再着信や追加連絡を減らし、冷静に状況を整理することです。
推奨対応
同一番号を着信拒否に設定する
不審なSMSやメールが来ていないか確認する
通話履歴・留守電を保存する(相談や被害申告の材料になります)
今後は知らない国際番号に出ない運用へ切り替える
また、「会話が成立していない」場合でも、繰り返し着信が続くことがあります。その場合は、番号単体のブロックだけでなく、スマホの迷惑電話フィルタ、キャリアの迷惑電話対策、固定電話側のブロックなども併用すると効果的です。
個人情報を話した場合
氏名・住所・生年月日・勤務先・口座情報・カード情報などを話してしまった場合は、情報の種類によって危険度と優先対応が変わります。ここでは「何を話したか」を整理し、必要な連絡を迅速に行うことが重要です。
まずやること(共通)
何を話したかをメモします(氏名のみ、住所まで、カード番号まで等)
通話履歴・留守電・SMSなど証拠を保存します
再連絡が来ても応答せず、公式窓口を通して確認する方針に切り替えます
情報別の目安
氏名程度:追加詐欺やフィッシング誘導に警戒し、迷惑電話対策を強化します。
住所・生年月日など:なりすまし、追加の本人確認突破に使われる可能性があるため、早めに相談先へ共有します。
カード情報・口座情報:最優先でカード会社・金融機関へ連絡し、利用状況の確認、停止、再発行等の対応を受けてください。
「どこへ相談すべきか分からない」場合、まずは消費生活センター等に相談し、状況に応じて警察や金融機関へつなぐ流れが取りやすいです。
SMSやURLに進んだ場合
SMSのリンクを開いた、フォームに入力した、アプリを入れたなどのケースは、被害が拡大しやすいため優先度を上げて対応してください。ここでは「端末」「アカウント」「決済」の3方面で対処します。
緊急対応チェックリスト
端末の通信を一時的に止める(機内モード等)
入力した情報を整理する(ID、パスワード、カード、住所など)
主要アカウントのパスワードを変更する(使い回しがある場合は特に)
二要素認証を有効化する(可能なサービスは優先)
クレジットカード・金融機関の利用明細を確認する
不審なアプリを入れた場合はアンインストールし、端末のセキュリティスキャンを実施する
被害の兆候がある場合は、早急に金融機関・カード会社・相談窓口へ連絡する
「リンクを開いただけで即アウト」というケースばかりではありませんが、入力やインストールが伴う場合は危険度が上がります。可能な限り早く手当てを行うことが重要です。
+1 855を止める設定と再発防止
iPhoneで+1 855を着信拒否する
iPhoneでは、個別番号のブロックが比較的簡単です。もっとも手間が少ない方法は通話履歴からのブロックです。
手順(代表例)
「電話」アプリを開きます
「履歴」を開き、+1 855の番号の右側にある情報アイコンをタップします
画面下部の「この発信者を着信拒否」を選びます
また、知らない番号が大量に来る場合は「不明な発信者を消音」などの設定が役立つことがあります。ただし、宅配、医療機関、学校などからの着信も“未登録番号”で来る可能性があります。生活上必要な連絡を取り逃がしやすい方は、以下の運用を併用すると安全です。
重要な連絡が来る可能性のある相手は連絡先に登録しておく
留守電やSMSの内容が不審な場合は折り返さず、公式窓口で確認する
迷惑電話フィルタ機能(端末やアプリ)を必要に応じて使う
Androidで+1 855を着信拒否する
Androidは機種や電話アプリ(Google電話、メーカー独自アプリ等)によって表記は異なりますが、基本は通話履歴からブロックできます。
手順(一般例)
「電話」アプリを開きます
着信履歴から+1 855の番号を選び、長押しまたは詳細を開きます
「ブロック」「着信拒否」「迷惑電話として報告」等を選択します
Androidの場合、「迷惑電話として報告」機能があると、端末内の判定に反映されたり、同種の番号を自動的に振り分けたりできることがあります。加えて、次のような対策が再発防止に有効です。
迷惑電話フィルタ(端末設定/電話アプリ設定)をオンにする
SMSのフィルタリング(不審リンクの警告)をオンにする
不明なアプリのインストール許可を見直し、不要な許可を外す
固定電話と家族の対策
固定電話や家族の端末で問題になりやすいのは、「高齢の家族が出てしまう」「内容を信じてしまう」ことです。そのため、対策は「仕組み」と「運用(家族内ルール)」の両輪で用意する必要があります。
家族向け注意喚起チェックリスト
+から始まる番号、見慣れない海外番号は出ない
折り返しをしない(家族に相談してから)
個人情報(住所・生年月日・口座・カード等)は電話で答えない
「重要」「至急」「停止」「未払い」は一度切って家族へ共有する
不安になったら、その場で対応せず家族か相談窓口へつなぐ
固定電話側の工夫(例)
迷惑電話対策機能付き電話機(着信拒否、録音、警告アナウンス等)の活用
留守番電話を標準にし、必要な相手には折り返す運用へ寄せる
国際電話着信を減らすためのサービスや設定を検討する(契約状況により可否が異なります)
家族対策は「一度決めたら終わり」ではなく、定期的に「最近こういう電話がある」「こういう文言は危険」など、短い共有を続けるほど効果が出ます。
+1 855のよくある質問
請求が来ることはあるか
「着信があった」「出なかった」「留守電を聞いた」だけで、こちらに直接請求が発生するケースは通常は考えにくいです。一方で、折り返し電話をして国際通話が成立した場合、契約に基づく通話料が発生する可能性があります。
そのため、最も安全なのは次の方針です。
心当たりのない+1 855には折り返さない
名乗られた組織に心当たりがある場合でも、折り返しではなく公式窓口へ連絡する
この二つを守るだけで、金銭面のリスクは大きく下げられます。
はいと言っただけで危険か
「はい」と言っただけで直ちに契約が成立する、という話は現実的ではありません。ただし、「会話が成立した」という事実が、追加連絡や詐欺シナリオの入口になる可能性はあります。したがって、次の対応をおすすめします。
同番号を着信拒否にする
今後の不審SMSやメールに警戒する
もし個人情報を話していないか振り返り、話していた場合は必要な窓口へ連絡する
不安が強い場合は、通話記録や留守電の内容を整理して相談すると安心につながります。
留守電の指示でボタンを押すのは危険か
心当たりがない国際番号に対し、留守電の指示で「1を押す」「オペレーターへつなぐ」などの操作をすることは、危険度が高い行動です。押した瞬間に高額課金が発生するとは限りませんが、相手のシナリオに乗ることになり、会話誘導・情報取得・追加詐欺へ進みやすくなります。
安全側の運用としては、次の通りです。
心当たりのない国際番号の留守電は、内容確認に留める
指示操作や折り返しはしない
名乗られた組織に心当たりがあるなら、公式窓口で確認する
相談先はどこか
状況によって適切な相談先は変わります。迷った場合でも、次の整理ができると相談がスムーズです。
相談前に整理するメモ
着信日時、番号(+1 855…)
留守電の有無と内容(要点)
こちらが取った行動(出た/押した/入力した/送金した等)
渡してしまった情報の種類(氏名、住所、カード等)
被害の兆候(不正利用、追加SMS、アカウント異常等)
主な相談先の考え方
消費生活センター等:詐欺疑い、支払い誘導、フィッシングなど消費者トラブル全般
警察:脅迫的内容、金銭被害、個人情報悪用の疑いが強い場合
クレジットカード会社・金融機関:カード情報・口座情報に関わる場合
名乗られた組織の公式窓口:真偽確認をしたい場合(折り返しではなく公式番号へ)
「どこに連絡するのが正しいか分からない」という状態そのものが普通です。焦って相手の指示に従うより、上のメモを作って相談先へつなぐ方が、結果的に安全です。
まとめ
+1 855は北米のトールフリー番号帯に該当する形式ですが、心当たりのない着信は詐欺に悪用される可能性を前提に扱うのが安全です。特に、機械音声で不安を煽り、折り返しやボタン操作、リンクアクセスへ誘導するパターンは注意が必要です。
本記事の要点は次の通りです。
心当たりのない+1 855には出ない・折り返さない
留守電の指示でボタン操作やURLアクセスはしない
端末で着信拒否し、迷惑電話対策を併用して再発を防ぐ
不安が残る場合は、公式窓口から真偽確認し、必要なら相談先へ共有する
今後も手口は変化し得ますので、「国際番号+不安を煽る案内」は一律に慎重対応とし、迷ったら証拠を残して相談する流れを固定することを推奨いたします。