親戚から香典返しが届いたものの、「お礼メールは送るべきなのか」「どんな文面なら失礼にならないのか」と迷われてはいませんか。
弔事に関わる連絡は、ちょっとした表現の違いで印象が大きく変わるため、不安を抱えるのは当然のことです。
本記事では、香典返しのお礼メールが本来必要かどうかという基本マナーから、親戚ならではの距離感に配慮した言葉選び、目上の親戚・同世代・あまり面識のない親戚別の具体的な文例まで、すぐに使える形で整理しています。
短い一通のメールで、相手への敬意と思いやりがきちんと伝わるよう、ぜひ本文のテンプレートをそのままご活用ください。
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香典返しにお礼メールは必要?親戚の場合の基本マナー
香典返しのお礼メールを書く前に、「そもそもお礼は必要なのか」という点を整理しておくことが重要です。
香典返しは「香典へのお礼」という位置づけ
一般的な弔事マナーでは、香典返しは「いただいた香典に対する遺族からのお礼」と位置づけられています。そのため、香典返しを受け取った側から、さらに改めてお礼をする必要はないとされています。
とはいえ、香典返しが無事に届いたことを遺族に知らせたり、遺族の体調やお気持ちを気遣う言葉を伝えることは、礼儀として望ましいと考える向きもあります。特に親戚同士の場合は、その後もお付き合いが続くため、何らかの形で連絡を入れておきたいと感じる方が多いようです。
それでも連絡した方がよいケース・しなくてよいケース
連絡した方がよいと考えられるケース
故人と特に親しかった遺族・親戚から香典返しを受け取った場合
高額な香典返しをいただいたと感じる場合
法要や葬儀で大変お世話になった親戚からの香典返しの場合
遠方でなかなか会えず、近況も含めて一言お伝えしたい場合
連絡を控えても失礼になりにくいケース
形式的なお付き合いで、普段からほとんど連絡を取っていない親戚
葬儀・法要の際にも直接挨拶を交わし、お礼の言葉を伝えている場合
喪家側が「お気遣いなく」と繰り返し伝えている場合
香典返しのお礼は、本来は「しなければならないもの」ではありません。相手との距離感やお付き合いの度合いを踏まえ、「連絡した方がかえって相手に気を遣わせないか」を意識して判断することが大切です。
親戚だからこそ配慮したいポイント
親戚の場合は、今後も冠婚葬祭や年始の挨拶などで関係が続いていきます。そのため、
「感謝を伝えたい」という気持ちだけでなく、
「相手の負担にならないか」
「他の親戚とのバランスが取れているか」
といった点も意識しておくと安心です。
メールでの連絡は手軽ですが、目上の親戚や普段メールを使い慣れていない高齢の親戚に対しては、電話や手紙の方がふさわしい場合もあります。その判断基準については、後半のQ&Aで詳しく解説します。
親戚に香典返しのお礼メールを送るときのマナー
ここからは、親戚に香典返しのお礼メールを送ることを前提に、マナーと文面づくりのポイントを整理します。
メールでの連絡が許容される相手・避けた方がよい相手
メールが比較的ふさわしい相手
日頃からメールやLINEでやり取りしている親戚
同世代・年齢の近いいとこや兄弟姉妹
ビジネスでもメール文化に慣れている叔父・叔母など
メールだけに頼るのを避けたい相手
高齢の親戚で、メールやスマートフォンをあまり利用していない方
故人のきょうだいにあたるなど、特に目上の立場にある親戚
家として特にお世話になっている親戚筋
このような相手には、電話や手紙・挨拶状でのご挨拶を優先し、メールは補助的な位置づけにとどめると無難です。
メール文面に必ず入れたい要素
親戚に香典返しのお礼メールを送る場合、最低限、次の要素を盛り込むとよいでしょう。
香典返しが届いた事実の報告
例:「本日、香典返しのお品を確かに拝受いたしました。」
過度にならない、控えめなお礼の言葉
例:「ご丁寧なお心遣いを頂戴し、恐縮しております。」
遺族やご家族を気遣う言葉
例:「皆様にはまだまだお疲れも残っておられることと存じます。どうかご自愛くださいませ。」
メールという略式であることへの一言(必要に応じて)
例:「本来であれば直接お目にかかりご挨拶申し上げるべきところ、取り急ぎメールにて失礼いたします。」
これらを簡潔にまとめれば、短いメールであっても、失礼のない印象を与えることができます。
避けたい表現・NGワードと、使いやすい言い換え
弔事のお礼では、「礼に礼を重ねる」ことを避ける考え方が一般的です。そのため、以下のような表現は慎重に扱う必要があります。
NGになりやすい表現の例
「本当にうれしかったです」
「ありがとうございます(特に連発)」
「お心遣いに感謝でいっぱいです」
おすすめの言い換え表現
「ご丁寧なお心遣いを頂戴し、恐縮しております。」
「お心配りを賜り、ありがたく存じます。」
「ご配慮をいただき、恐れ入ります。」
また、「お祝いごと」を連想させるような明るすぎる言い回しや、カジュアルな絵文字・顔文字は避ける方が無難です。
件名・句読点・絵文字などメールならではの注意点
件名は内容が分かるよう簡潔に
例:「香典返しのお品を拝受いたしました(◯◯より)」
例:「ご丁寧なお心遣いのお礼(◯◯◯◯)」
句読点について
伝統的な弔事文では句読点を打たない書き方もありますが、メールの場合は可読性とのバランスが重要です。
マナーを重視する相手には、句読点を少なめにし、改行で意味の区切りを表現する方法もあります。
絵文字・顔文字は使わない
弔事の場では不適切と受け取られる可能性が高く、使用は避けるべきです。
関係性別・親戚への香典返しお礼メール文例
ここからは、続柄・関係性に応じた具体的な文例をご紹介します。必要に応じてお名前や日付を差し替えてご利用ください。
目上の親戚(伯父・伯母・義理の両親など)への文例
件名例
「香典返しのお品を拝受いたしました(◯◯より)」
本文例
◯◯伯父様
このたびは◯◯様ご逝去に際し
生前と変わらぬご厚情を賜りありがとうございました本日 香典返しのお品を確かに拝受いたしました
ご丁寧なお心遣いを頂戴し大変恐縮しております皆様にはまだまだお疲れも残っておられることと存じます
くれぐれもご自愛のうえ お身体をおいといくださいませ取り急ぎメールにて失礼ながらご挨拶申し上げます
◯◯◯◯
※句読点を最小限にし、改行で区切る形にしています。相手の世代や好みに応じて、通常の句読点付き文章に直しても差し支えありません。
同世代の親戚(いとこなど)への文例
件名例
「香典返しのお品をありがとうございました(◯◯より)」
本文例
◯◯さん
本日 香典返しのお品を頂戴しました
ご丁寧なお心遣いをいただき ありがとうござい… と申し上げたいところですが
かえってお気を遣わせてしまったようで恐縮しています大変な中 手配などいろいろと本当にお疲れさまでした
まだしばらくは心身ともにお疲れが抜けないと思いますので
どうか無理をなさらず お身体を大切になさってくださいまた落ち着いたころに 改めてご挨拶させてください
※同世代であれば、多少くだけた言い回しも可能ですが、弔事であることを踏まえ、全体としては落ち着いたトーンを保つと安心です。
あまり面識のない親戚への文例
件名例
「香典返しのお品拝受のご連絡(◯◯◯◯)」
本文例
◯◯様
平素より大変お世話になっております
◯◯の長男 ◯◯◯◯でございますこのたびは香典返しのお品をお送りいただき 誠にありがとうございました
ご丁寧なお心遣いを賜り 厚く御礼申し上げます皆様におかれましては まだご心痛も癒えぬ頃かと存じますが
どうかお身体を大切になさってください略儀ながらメールにて拝受のご報告とお礼を申し上げます
相手との距離感が分かりにくい場合は、上記のように少しかしこまった文面にしておくと安全です。
故人と特に親しかった親戚への文例
故人と親しかった親戚には、思い出に触れつつも、相手の悲しみに寄り添う表現を心がけます。
◯◯叔母様
このたびは香典返しのお品を頂戴し 誠にありがとうございました
ご丁寧なお心遣いをいただき 心よりお礼申し上げます◯◯とも 生前より何かとお世話になり
生前中賜りましたご厚情に改めて感謝いたしております叔母様におかれましても どうかお疲れが出ませんよう
くれぐれもご自愛くださいませ
シーン別・香典返しお礼メールテンプレート集
香典返しが届いた直後に送る短いメール
ごく短く済ませたい場合
本日 香典返しのお品を確かに拝受いたしました
ご丁寧なお心遣いをいただき 恐れ入ります
皆様には どうかご無理のありませんようお身体をおいといください
法要後にあらためて送る丁寧なメール
先日は◯◯様の四十九日法要に際し
いろいろとご配慮を賜りましてありがとうございましたあらためて香典返しのお品を頂戴し
ご丁寧なお心遣いに深く御礼申し上げます皆様には まだまだお疲れも残っておられることと存じます
どうかご自愛のうえ お過ごしくださいませ
お礼が遅くなってしまった場合のフォロー文例
このたびは香典返しのお品を頂戴しておりましたのに
ご連絡が遅くなりましたこと 心よりお詫び申し上げますあらためまして ご丁寧なお心遣いをいただき誠にありがとうございました
遅ればせながら メールにて拝受のお礼を申し上げます
「忙しくて」「バタバタしており」などの言い訳は避け、遅れた事実に対して簡潔にお詫びするにとどめると、落ち着いた印象になります。
メールから手紙・挨拶状につなげる場合の一文
メールを「取り急ぎのご連絡」とし、後日に手紙や挨拶状を送る予定がある場合は、次のような一文を添えます。
本来であれば書中にて改めてご挨拶申し上げるべきところ
まずは取り急ぎメールにて拝受の御礼を申し上げます
メール以外の連絡手段との使い分けQ&A
電話・手紙を優先した方がよいのはどんなときか
故人のきょうだいにあたるなど、立場が明らかに目上の親戚
親として長年お世話になっている親戚筋
香典や香典返しの額が特に大きく、家として十分なお礼を伝えたい場合
このようなケースでは、電話でのご挨拶や、簡単なお礼状を送る方が丁寧です。メールはあくまで補助的な手段と考えるとよいでしょう。
メールを送らないのは失礼になるか
先述のとおり、香典返しへのお礼は本来必須ではありません。何も連絡をしなかったからといって、ただちにマナー違反とまでは言えません。
ただし、普段から親しくしている親戚や、特別にお世話になっている相手に対しては、短くてもよいので一言連絡を入れておくと、今後のお付き合いがより円滑になります。
親戚との今後の関係を踏まえた連絡方法の選び方
今後も頻繁に会う・連絡を取り合う親戚
→ メールや電話で一言伝えておくと、気持ちの行き違いを防げます。遠方でなかなか会えないが、大切なお付き合いを続けたい親戚
→ メール+年賀状・挨拶状などでフォローする方法もあります。形式的なお付き合いに近い親戚
→ 無理にメールを送らず、他の親戚とのバランスを見て判断して構いません。
まとめ:親戚への香典返しお礼メールは「感謝」より「気遣い」を伝える
親戚から香典返しを受け取ったときのお礼メールは、
本来は「必須」ではないが、
相手との関係性によっては、届いたことの報告と気遣いを伝えるよい機会
と捉えることができます。
その際は、お祝いごとのような「うれしさ」を前面に出すのではなく、
「ご丁寧なお心遣いを頂戴し、恐縮しております」
「まだまだお疲れも残っておられることと存じます」
といった、相手の立場に寄り添った表現を選ぶことが大切です。
本記事の文例は、そのままコピーしていただいても、少し手を加えてご家庭の事情に合わせていただいても構いません。迷われたときは、
相手との関係性(目上かどうか)
相手がメールに慣れているか
他の親戚とのバランス
の三点を意識しながら、失礼のない方法をお選びください。地域や宗派、各ご家庭の慣習によって考え方が異なる場合もありますので、心配なときは身近な親族や葬儀社などにも確認されると、より安心です。