顎の下を何気なく触っていて、「あれ、しこりがある」「押すと少し痛い」と気付くと、不安になります。思わずスマートフォンで検索し、
顎の下 しこり 押すと痛い
と入力すると、多くの場合、Yahoo!知恵袋のQ&Aが目に入ります。
「リンパが腫れているだけだと思います」「放っておいたら治りました」という安心する回答
「悪性リンパ腫やがんの転移の可能性もあるので至急病院へ」という不安になる回答
相反する情報を次々と目にするうちに、「自分はどちらなのか？」と余計に心配になってしまう方も多いはずです。
本記事では、医師監修の医療情報サイトやクリニックの解説をもとに、顎の下の「押すと痛いしこり」に一般的に考えられる原因や、受診の目安を整理します。そのうえで、Yahoo!知恵袋などの情報とどう付き合うかも併せて解説します。
なお、本記事の内容はあくまで一般的な情報提供であり、診断や治療を行うものではありません。実際の症状については、自己判断で放置せず、必ず医師にご相談ください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
顎の下の「押すと痛いしこり」に多い原因として、リンパ節炎・顎下腺炎・唾石症・粉瘤など炎症性・良性の病変が挙げられます。
一般論として、押すと痛いしこりは炎症性で良性のことが多いとされますが、痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。悪性腫瘍でも進行すると痛みを伴うことがあります。
しこりが2週間以上続く、急に大きくなる、硬くて動かない、全身症状を伴うなどの場合は、自己判断で放置せず早めの受診が推奨されます。
受診先に迷う場合は、顎の下〜首のしこりを専門とする耳鼻咽喉科（頭頸部外科）が第一候補となります。歯の痛みや皮膚の異常が目立つ場合には、歯科・口腔外科や皮膚科も選択肢になります。
Yahoo!知恵袋やブログは、あくまで受診前の予習・不安の整理のための参考情報にとどめ、最終的な判断は必ず医師に委ねることが大切です。
顎の下には何がある？しこりの正体になりやすい組織
顎の下の解剖イメージ：リンパ節・唾液腺・筋肉・皮膚
顎の下の狭いエリアには、次のような組織が集まっています。
リンパ節（顎下リンパ節など）
首や口の中の炎症が起きた際、免疫が働く「関所」の役割を担います。
唾液腺（顎下腺・舌下腺など）
唾液を分泌する器官で、顎の下には比較的大きな顎下腺があります。
筋肉・脂肪・皮膚・皮下組織
舌や顎の動き、飲み込みに関わる筋肉や、その周囲の脂肪・皮膚などです。
これらのどれかが
炎症を起こして腫れる
腫瘍や嚢胞ができる
感染などで膿が溜まる
と、「しこり」として触れることがあります。
「押すと痛いしこり」でよくある3つのグループ
顎の下にしこりがあり、押すと痛いとき、一般的には次の3つのグループのいずれかが候補になることが多いとされています。
炎症・感染によるもの
リンパ節炎（顎下リンパ節の腫れ）
顎下腺炎など唾液腺の炎症 など
良性のしこり
良性腫瘍
嚢胞（正中頸嚢胞など）
粉瘤（アテローム）など皮膚の良性病変
がん・悪性腫瘍
悪性リンパ腫
顎下腺がん
他のがんの転移によるリンパ節腫大 など
ここに挙げたのはあくまで「代表例」であり、どれに該当するかは医師による診察と検査がないと分かりません。
顎の下にしこりがあり押すと痛いとき、よくある原因
もっとも多い：リンパ節炎（顎下リンパ節の腫れ）
首や顎の下のしこりとして最も一般的な原因の一つが、リンパ節炎です。
典型的なきっかけ
風邪・扁桃炎・咽頭炎などののどの感染症
虫歯・歯周病など口の中の炎症
こうした感染症の原因となる細菌やウイルスがリンパ節まで広がり、免疫が働くことでリンパ節が腫れてしこりとして触れることがあります。
特徴の例
押すと痛い（圧痛がある）
数日〜数週間単位で大きさが変化する
喉の痛み・発熱・倦怠感・鼻水など、別の炎症症状を伴うことが多い
多くの場合、原因となっている感染症が治まると、しこりも徐々に小さくなるとされています。ただし、何週間も腫れが続く、どんどん大きくなる、複数のしこりが触れる場合などは、別の病気も含めて医療機関での確認が必要です。
唾液腺のトラブル：顎下腺炎・唾石症・顎下腺腫瘍
顎の下には、唾液を作る顎下腺という唾液腺があります。この部分に問題が起きると、しこりや痛みの原因になります。
顎下腺炎
細菌やウイルス感染などで、顎下腺に炎症が起こる状態です。
特徴の一例
顎の下の腫れと圧痛
食事中や唾液がよく出るときに痛みが増しやすい
口の渇き、発熱を伴うこともある
唾石症
唾液の通り道（導管）に小さな石（唾石）ができる病気です。
特徴の一例
食事のとき、特に酸っぱいものを食べたときに顎の下が急に腫れて強く痛む
食事が終わると腫れや痛みが引いていくことがある
顎下腺腫瘍（良性・悪性）
顎下腺にできる腫瘍で、良性と悪性があります。
一般的な特徴
良性腫瘍：ゆっくり大きくなり、痛みが少ない場合も多い
悪性腫瘍：成長が速く、進行すると痛みや顔面神経麻痺などを伴うこともある
顎下腺腫瘍は自然に消えることは期待しにくく、良性か悪性かの判定には画像検査や細胞検査が必要です。
皮膚・皮下のしこり：粉瘤・脂肪腫など
顎の下の「皮膚のすぐ下」に触れるしこりの場合、粉瘤（アテローム）や脂肪腫などの皮膚・皮下の良性腫瘍であることもあります。
粉瘤（アテローム）
皮膚の下に袋状の構造ができ、中に皮脂や角質が溜まる良性のしこりです。
通常は
しこりの中央に小さな黒い点（開口部）が見えることがある
押してもあまり痛くない
しかし、感染・炎症を起こすと、
赤く腫れる
押すと強い痛み
熱を持つ
といった症状が出ます。
脂肪腫など
脂肪腫は、脂肪細胞が増えてできる柔らかい良性腫瘍で、押すとゆっくり動くような感触が特徴です。多くは痛みがありません。
「押すと痛い＝がんではない」とは限らない：痛みと悪性腫瘍の関係
一般論としての「痛みありしこり」と「痛みなししこり」
一般的に、医療情報では次のように説明されています。
押すと痛いしこりに多いもの
炎症性のリンパ節腫れ（急性リンパ節炎など）
感染した粉瘤（炎症性粉瘤）
おでき・せつ など
痛みがないことが多いしこりに多いもの
一部の良性腫瘍
悪性リンパ腫
がんの転移によるリンパ節腫大 など
このため、「押すと痛い＝炎症性のことが多い」というのはあくまで一般論としての傾向です。
それでも自己判断は危険な理由
重要なのは、痛みの有無だけでは良性・悪性を判定できないという点です。
悪性腫瘍でも、
大きくなって周囲の組織・神経を圧迫したり
炎症を伴ったり
すると、痛みを感じることがあります。
逆に、良性でも痛みが出るケース（感染した粉瘤など）もあります。
医師は、痛みだけでなく、次のような点を総合的に見ています。
大きさ
硬さ（柔らかい／弾力がある／石のように硬い）
可動性（指で押すと動くか、周囲に固定されているか）
増大のスピード（数日で変化するか、数ヶ月かけて大きくなっているか）
周囲の皮膚の状態（赤み・熱感・ただれなど）
全身症状（発熱・体重減少・寝汗など）
こうした情報を組み合わせても、最終的な判断には画像検査や血液検査・細胞検査などが必要とされるケースが多く、ネット情報だけで「自分はがんではない」と決めつけるのは危険です。
受診の目安と「危ないサイン」：いつ病院に行くべきか
早めの受診が勧められる一般的な目安
医師監修サイトやクリニックサイトでは、首や顎のしこりについて、次のような場合に受診が勧められています。
しこりが2週間以上続く／小さくならない
しこりが急に大きくなっている、または数が増えている
触ったときに
石のように硬い
指で押してもほとんど動かない（固定されている）
首の他の場所、腋の下、足の付け根など他の部位にもしこりがある
発熱・寝汗・原因不明の体重減少など全身症状を伴う
これらは「必ず悪性である」という意味ではありませんが、自己判断で様子見を続けるのではなく、一度診てもらうべきサインとされています。
すぐに受診（場合によっては救急）を検討すべきサイン
次のような場合は、予約外でも早めの受診、状況によっては救急受診の検討が必要です。
顎の下や首の腫れが強く、
呼吸が苦しい
飲み込みが困難
声がかすれる
などの症状が出ている
高熱（例：38℃以上）が数日続いている
皮膚が赤く熱を持ち、短時間で急激に腫れている
顔面の麻痺、舌の動かしづらさ、強い頭痛など、普段と違う神経症状がある
いずれにしても、「不安だ」と感じるときには、早めに医療機関に相談することが重要です。
何科に行けばよいか：診療科の選び方
基本は「迷ったら耳鼻咽喉科」
医療情報サイトでは、顎の下を押すと痛い症状について、耳鼻咽喉科（頭頸部外科）を代表的な受診先として案内しています。
耳鼻咽喉科は、
首のリンパ節
唾液腺（顎下腺・耳下腺など）
咽頭・喉頭
などを専門としており、顎の下のしこり診断の中心的な診療科です。
症状別の目安
顎の下〜首の深部にあるしこりが主で、歯や皮膚の症状が目立たない
→ 耳鼻咽喉科へ歯・歯茎の痛み、虫歯・親知らずのトラブルが明らかにありそう
→ 歯科・口腔外科も受診候補（必要に応じて耳鼻咽喉科に紹介されることも）皮膚のすぐ下のしこりで、赤く腫れている・膿んでいそう
→ 皮膚科が候補
原因がはっきりせず迷う場合は、まず耳鼻咽喉科で診てもらい、必要に応じて他科を紹介してもらう流れが一般的です。
自宅でのセルフチェックと注意点（※診断ではない）
しこりを「観察」するときのポイント
受診の際、医師に症状を伝えやすくするために、次のような点をメモしておくと役に立ちます。
大きさ
米粒程度／小豆程度／ビー玉程度 など、大まかなイメージで構いません。
硬さ
柔らかい、ゴムのような弾力がある、石のように硬い など。
可動性
指で軽く触れたときに、皮膚の下をコロコロ動くか、ほとんど動かないか。
痛み
押したときに痛いのか、何もしなくてもズキズキするのか。
食事中や飲み込むときに痛みが変化するか。
期間
いつ頃から気付いているか（○日前／○週間前 など）。
これらは診断のためではなく、医師に情報を伝えるためのメモです。これをもとに「自分で病名を決める」ことは避けてください。
やってはいけない自己流ケア
強く押す・揉む・潰そうとする
しこりが気になると、つい何度も触って確かめたくなるかもしれません。しかし、
強く押す
長時間揉む
潰そうとする
といった行為は、炎症を悪化させたり、痛み・腫れを増やす原因になり得ます。特に、粉瘤などの可能性がある場合、無理に潰そうとすると細菌感染のリスクが高まります。
市販薬の自己判断での長期使用
鎮痛薬や湿布など、市販薬で一時的に痛みが和らぐことはありますが、
原因が不明なまま長期間使い続ける
痛みが続いているのに「薬で抑えられているから大丈夫」と受診を遅らせる
といった使い方は避けるべきとされています。
痛みが強い場合や症状が長引く場合は、薬だけに頼らず、必ず医師に相談してください。
Yahoo!知恵袋との付き合い方：不安になりすぎないために
知恵袋の「良いところ」と「限界」
Yahoo!知恵袋には、
同じような症状を経験した人の体験談
「自分はこうだった」「こういう病気だった」という実例
が多数投稿されています。どの診療科に行ったか、どのくらいで治ったかなど、生活者目線の情報が得られる点は大きなメリットです。
一方で、限界もあります。
質問者・回答者ともに医師とは限らず、医学的な裏付けが不明
年齢・既往歴・生活習慣・症状の細部が異なるため、自分にそのまま当てはめることはできない
「放置しても大丈夫でした」という楽観的な体験談
「がんだったケース」の怖い話
がどちらも目に入り、不安や油断を招きやすい
その結果、不安だけが雪だるま式に大きくなっていく、という体験談も見られます。
「予習」としての活用にとどめるコツ
知恵袋やブログは、次のような目的で活用するのがおすすめです。
自分と同じ「症状の組み合わせ」がどの診療科で扱われていることが多いかを知る
医師に相談するときに聞きたいこと・不安な点を整理する「ヒント」として使う
逆に、次のような使い方は避けてください。
「自分はAさんと似ているから同じ病気だろう」と決めつける
医師の診断よりも体験談を優先して受診を先延ばしにする
あるブログでは、「知恵袋は最終診断の場ではなく、自分の不安を整理するための材料にとどめるべきで、最終的な『本当の真実』は専門医が診て初めて分かる」とまとめられています。