高校1年生にとって、11月の進研模試は「なんとなく受けるテスト」ではなく、これからの高校生活と大学受験の方向性を決める重要なチェックポイントです。
とはいえ、出題範囲や難易度、偏差値の目安がよく分からないまま不安だけが大きくなっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、高1・11月進研模試の位置づけや科目別の出題範囲・難易度はもちろん、偏差値50・60・70の現実的なイメージ、模試までの勉強計画、直前期の過ごし方、結果の活かし方までを一つにまとめて解説します。
高校生本人はもちろん、保護者の方にも理解しやすいように、「今どこにいて、これから何をすればよいか」が具体的に分かる構成としています。
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高1・11月進研模試とは何か|学年の折り返しを測る全国模試
11月進研模試の位置づけと目的
高1の11月に実施される進研模試(ベネッセ総合学力テスト)は、1学期から2学期前半までの学習内容がどの程度定着しているかを確認するための全国模試です。
学校の定期テストが「その単元が分かったかどうか」を見るテストであるのに対し、進研模試は全国の高校生の中での自分の位置や、将来の大学入試に向けた土台がどれくらいできているかを測るテストという位置づけです。
特に11月は学年の折り返しにあたり、
高校内容の基礎がどの程度身についているか
今後どの教科・単元を強化すべきか
を見極める重要なタイミングです。
実施時期・科目・試験時間の基本情報
学校によって細かな日程は異なりますが、多くの場合、11月上旬〜中旬にかけて実施されます。典型的な構成は以下のとおりです。
対象:高校1年生
受験科目:国語・数学・英語(学校によっては追加科目あり)
試験時間の目安
国語:80分前後
数学:80〜100分前後
英語:リスニングを含めて80〜90分前後
詳細な日程や時間割は各高校から配布される案内が正確ですので、必ず学校の通知を確認してください。
7月・1月の進研模試との違い
高1の進研模試は通常、7月と11月、そして高1最後の1月(または2月)に実施されます。
7月進研模試
高校生活が始まってすぐの到達度チェック
「中学内容の整理+高校内容の導入」が中心
11月進研模試
1学期〜2学期前半の総まとめ
各教科で「基礎がどこまで定着しているか」をより厳密に確認
1月(または2月)の進研模試
高1内容の総仕上げ
高2以降の学習・志望校決定につながる重要なデータ
11月は、この三回の中でも「基礎の穴を洗い出す」ことに最も適したタイミングだと考えてよいです。
高1・11月進研模試の出題範囲と難易度
数学:数と式・二次関数・確率などの到達度チェック
過去の公式資料や学校配布の範囲表を見ると、高1・11月の数学は以下のような単元が中心です。
数と式
式の展開・因数分解
乗法公式、平方根、整式の計算
二次関数
グラフと式の対応
最大・最小、グラフの読み取り
場合の数・確率
基本的な数え上げ
樹形図・順列・組み合わせ、簡単な確率計算
その他(学校により範囲に含まれることが多い単元)
図形と計量(平面図形の性質など)
整数の性質(約数・倍数・素数など)
難易度としては、教科書レベルの基本問題からやや応用的な問題までがバランスよく配置され、「定理や公式を理解して使いこなせるか」が問われます。
英語:基礎文法+長文読解+リスニングの総合力
英語は、7月の進研模試とおおむね同じ範囲を扱うことが多く、以下のような内容が中心です。
単語・熟語の語彙力
文法
時制
比較
助動詞
関係代名詞 など基礎文法が中心
長文読解
段落構成の把握
指示語・接続詞から論理展開を追う問題
内容一致・空所補充・整序問題など
リスニング
日常会話や簡単な説明文を聞き取る問題
ここで差がつきやすいのは、
基礎単語の抜け
文法の「うろ覚え」
長文への慣れ不足
です。単語と文法の基礎が固まっていないと、長文で一気に点数が下がりやすいため、基礎の徹底が重要です。
国語:評論・小説・古文・漢文のバランス出題
国語は、現代文・古文・漢文がバランスよく出題されます。
現代文
評論文:筆者の主張・論の流れを読み取る
小説:登場人物の心情・状況判断
古文
基本的な文法(助動詞など)
重要単語の理解
漢文
返り点・読み下しの基本
代表的な句形(〜乎、〜也など)
現代文は「どこに線を引き、どの情報を手がかりにするか」、古文・漢文は「単語・文法の基礎知識」が得点を大きく左右します。
難易度の目安と「点が伸びない」よくある原因
多くの高校生にとって、11月進研模試の体感難易度は「教科書の基本は分かるが、模試では点が伸びにくい」というレベルになりがちです。その原因は以下のような点にあります。
学校の定期テストと比べて、問題文が長く、情報量が多い
単元横断型の問題(例:関数+図形、文法+長文)が増える
ケアレスミスがそのまま大きな失点につながる
したがって、「難しい問題に手を出す」よりも、教科書レベル〜標準問題の取りこぼしを減らすことが、偏差値アップの近道となります。
偏差値と判定の意味|高1・11月でどこを目指すか
偏差値50・60・70のイメージと大学レベルの目安
進研模試では、偏差値とともに「合格可能性判定(A〜E判定)」が示されます。偏差値と大学レベルの目安は、以下のように考えるとイメージしやすくなります。
偏差値70前後
難関国立大学レベル(東大・京大・旧帝大・一橋・東工大など)を狙えるライン
偏差値60前後
国公立大学全般、MARCHレベルの私立大学が視野に入るライン
偏差値50前後
地方国公立大学レベルの目安
あくまでこれは目安であり、大学・学部・入試方式によって必要偏差値は変わります。11月段階では、偏差値そのものよりも「科目間のバランス」や「弱点分野」を確認することが重要です。
高1・11月時点の現実的な目標ライン
高1・11月の時点では、以下のようなイメージで目標を設定すると現実的です。
将来、難関国公立・難関私大を目指したい場合
国数英で偏差値55〜60を一つの目安とし、どの科目も大きく崩れない状態を目指す
志望校がまだ明確でない場合
まず偏差値50前後を安定させることを目標にし、特に苦手科目を40台前半から50台へ引き上げる
大事なのは、「全教科を一度に完璧にする」のではなく、
大きく足を引っ張っている科目を底上げする
得意科目で確実に得点する
この2点を意識してバランスを取ることです。
成績表の見方と、志望校判定の読み解き方
成績表を見る際は、偏差値や判定だけでなく、次の点も必ず確認してください。
教科別・分野別の得点率
例:数学の中でも「二次関数はできているが、場合の数・確率が弱い」など
学年・校内・全国の順位
自分の高校内での位置と、全国の中での位置を両方確認する
志望校別の判定
A〜E判定はあくまで「現時点での目安」であり、今後の努力で変化する前提で捉える
成績表は「良かった・悪かった」を判断するためのものではなく、今後の学習方針を決めるための情報ツールと考えると、前向きに活用できます。
高1・11月進研模試に向けた勉強法【1〜2か月前から】
勉強全体の進め方|教科書・問題集・過去問の役割分担
11月進研模試に向けた1〜2か月の勉強は、次の3つの材料を組み合わせると効率的です。
教科書・学校配布プリント
基本事項の確認と、理解が曖昧な部分の復習用
学校指定・市販の問題集
標準レベルの演習と、よく出るパターン問題の反復用
過去問・類題演習
模試本番に近い形式に慣れるための実戦用
順番としては、
「教科書の理解 → 標準問題の反復 → 実戦形式の演習」
という3ステップで進めることをおすすめいたします。
数学:計算力と典型問題の徹底反復
数学では、次の流れで準備すると効果的です。
教科書の例題を一通り解き直す
数と式、二次関数、場合の数・確率を中心に、解き方を説明できるレベルまで整理
問題集の「基本〜標準レベル」を3周するイメージ
1回目:解説を見ながらでもよいので、全体像をつかむ
2回目:解説を見ずに解く。分からなければ解説をよく読む
3回目:間違えた問題だけを集中的に解き直す
時間を測って小テスト形式で演習する
30〜40分単位で複数の単元を混ぜたセットを解く
ポイントは、「新しい難問に手を出すより、すでに解いた標準問題を確実に解けるようにする」ことです。
英語:単語・文法→精読→長文の3ステップ
英語は、次の3ステップで進めると総合点が上がりやすくなります。
単語・熟語の集中強化(毎日)
1日50〜100語を目安に、既習範囲を高速で復習
通学時間などスキマ時間を最大限活用する
文法の整理と例文暗記
時制・比較・関係代名詞など、間違えやすい単元を中心に、短い例文ごと覚える
精読+長文演習
短めの長文を、内容を説明できるレベルまで「精読」
その後、模試形式の長文問題に取り組み、時間配分も意識する
リスニング対策としては、学校やマナビジョンの音声教材を使い、毎日5〜10分でも英語の音声に触れる習慣をつくると効果的です。マナビジョン
国語:現代文の読み方・古文単語と文法の押さえどころ
国語は「センスの問題」と思われがちですが、対策次第で着実に伸ばせる教科です。
現代文
接続詞・指示語(これ・それ・しかし・つまり など)に線を引きながら読む
設問に対応する根拠が本文のどこにあるかを、必ず言葉で説明してみる
古文
基本的な助動詞・敬語・重要単語を100〜200語程度、集中的に覚える
短い文章を音読しながら、主語が誰かを意識して読む
漢文
返り点・読み下しのルールを整理し、代表的な句形だけでも押さえる
「文章をなんとなく読む」習慣から、「根拠を持って選択肢を選ぶ」読み方に変えることが、得点アップにつながります。
直前1〜2週間でやるべきこと・やってはいけないこと
各教科の直前チェックリスト
直前期は、新しい問題集に手を出すよりも、次のような「最終確認」に集中してください。
数学
計算ミスをしやすいパターンを紙に書き出しておく
二次関数・確率の標準問題を1〜2周解き直す
英語
単語帳のマーカー部分だけを一気に確認
間違えた文法問題・長文問題を中心に再チェック
国語
古文単語帳の重要語だけを一気に見直す
現代文の短い文章を1〜2題読み、解き方の感覚を取り戻す
本番当日の時間配分と試験中の意識ポイント
当日は、次の点を意識すると実力を発揮しやすくなります。
最初の5分で全体の問題構成をざっと確認する
解ける問題から着手し、1問に時間をかけすぎない
見直しの時間を5〜10分は確保する
ケアレスミス(符号ミス・マークミスなど)を最後にまとめてチェックする
模試は「失敗してはいけないテスト」ではなく、「失敗から多くを学ぶテスト」です。当日のミスも含めて、次に活かせれば十分価値があります。
結果が返ってきた後の復習と次回への活かし方
間違い方で分析する|ケアレスミス・理解不足・演習不足
復習では、「どの問題を間違えたか」だけでなく、「なぜ間違えたか」を分類することが大切です。
ケアレスミス
計算ミス、マークミス、問題の読み違え など
理解不足
公式や文法事項そのものを覚えていない・あいまい
演習不足
解き方は分かるが、時間内に解き切れない・応用問題に対応できない
それぞれの原因ごとに、
ケアレスミス → 解く前に問題全体を確認する習慣・見直しの徹底
理解不足 → 教科書や参考書に戻ってインプットを補強
演習不足 → 標準レベル問題の反復と、時間を測った実戦演習
というように対策を変えていくと、次回模試での改善が期待できます。
偏差値別・次にやるべきアクションリスト
例として、総合偏差値別に次のアクションのイメージを示します。
偏差値50未満
苦手科目を一つ選び、その教科書・基本問題を重点的に復習
「分からない単元を減らす」ことを最優先にする
偏差値50〜55
全教科で教科書レベル・標準問題の取りこぼしを減らす
特に、得点の上下が大きい科目の安定化を重視
偏差値55〜60以上
得意科目でさらに伸ばし、60を安定させる
弱点単元にしぼった演習で、苦手を早めに潰す
このように、結果を「良かった・悪かった」で終わらせるのではなく、「次に何をするか」の行動計画に必ず落とし込むことが重要です。
高2以降・共通テストにつながる長期ロードマップ
11月進研模試の結果は、高2以降の学習計画を考えるうえで貴重な材料になります。
高1のうちに
英語:単語・文法の基礎を固める
数学:数と式・二次関数などの基本分野を固める
国語:現代文の読み方と古文の基礎
高2以降
共通テストや志望大の過去問に少しずつ触れ、入試形式に慣れていく
11月の時点で偏差値が思うように伸びていなくても、ここからの1〜2年で大きく伸びるケースは珍しくありません。重要なのは、「どこが弱点かを正しく把握し、計画的に改善していくこと」です。
保護者の方向け:11月進研模試の結果をどう捉えるか
偏差値や判定に一喜一憂しすぎないための考え方
保護者の方にとっても、進研模試の結果は気になるところかと思いますが、11月時点の結果だけで将来の可能性を決めつける必要はありません。
高1の模試結果は「現時点の位置」のスナップショットに過ぎない
学習習慣や学び方の改善によって、ここから大きく伸びる生徒も多い
という前提を共有していただくことが大切です。
子どものやる気を引き出す声かけのポイント
結果を見た際の声かけとしては、次のようなスタンスが望ましいと考えられます。
点数や偏差値そのものを評価するより、「どこができていて、どこを伸ばせそうか」に注目する
「今回はここが良くなったね」「次はここを一緒に考えよう」と、成長と具体的な改善点の両方に触れる
本人が「どうしたいか」「どこを伸ばしたいか」を聞き出し、学習環境づくりをサポートする
11月進研模試は、今後の高校生活と受験に向けて、親子で現状を共有し、次の一歩を話し合う良いきっかけとなります。本記事の内容が、その対話の土台として少しでもお役に立てば幸いです。