「車両保険って高いし、知恵袋でも“いらない”って書いてあるから外そうかな…」
このようにお考えではないでしょうか。
Yahoo!知恵袋やSNS、YouTubeなどでは、
「古い車なら車両保険はいらない」
「どうせ等級が下がって損だからやめたほうがいい」
といった意見が多く見られます。
一方で、保険会社や保険ショップの解説では「多くの人にとっては必要」と説明されており、何を信じればよいか分かりづらい状況です。
本記事では、「車両保険はいらない」「知恵袋の意見を参考にしたい」と考えている方に向けて、
そもそも車両保険で何が守られるのか
どんな人なら「いらない」と判断してもよいのか
逆に、外すと危険になりやすい人の条件
保険料と自己負担のシミュレーションの考え方
といったポイントを、公的・専門的な情報も踏まえて整理します。
「入るべきか・外すべきか」を、データと自分の家計状況から冷静に判断するための材料としてご活用ください。
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「車両保険はいらない」という意見は、車が古い・時価が低い・貯蓄が十分あるといった特定の条件では合理的な場合があります。
一方で、新車〜数年目・ローン中・貯蓄が少ない・生活の足として必須といった方が安易に車両保険を外すのは、リスクが高い選択です。
知恵袋の回答は、「その人の前提条件」に大きく左右されるため、自分の条件と数字に置き換えて考えることが重要です。
「いらない/必要」という他人の結論ではなく、
「自分の車」「自分の家計」「自分のリスク許容度」から、納得できる答えを出していただければ幸いです。
そもそも車両保険とは?何を守ってくれるのか
まずは、「削ろうとしているのはどんな補償なのか」を整理しておきます。
自賠責・任意保険・車両保険の違い
ざっくり整理すると、次のようなイメージです。
自賠責保険
法律で加入が義務付けられている「対人賠償」のための保険です。人へのけが・死亡の一部を補償しますが、相手の車や物、自分の車の修理費は対象外です。任意保険(対人・対物・人身傷害など)
自賠責で足りない部分や、相手の車・物、自分や同乗者のけがなどを補償します。ただし、契約内容にもよりますが、自分の車の修理費はカバーされないことが多い点がポイントです。車両保険
自分の車が壊れたときの修理費・買い替え費用を補償するための保険です。任意保険のオプションとして付ける形が一般的です。
車両保険で補償される主なケース
契約のタイプや特約にもよりますが、代表的には次のようなケースが対象になります。
自損事故(カーブで滑ってガードレールに衝突した、電柱にぶつけた など)
相手が分からない当て逃げ・いたずら・落書き・車上荒らし
台風・洪水・落石・飛来物などの自然災害(※地震・噴火・津波は対象外なことが多い)
動物との接触、飛び石によるフロントガラス破損 など
自分の車の損害に対して、まとまった金額を補償してくれるのが車両保険と考えるとイメージしやすいです。
車両保険のメリット・デメリット
メリット
高額な修理費・全損時の買い替え費用をカバーできる
自損事故や当て逃げ、自然災害など、相手に請求できない事故でも補償される
ローンや残価設定クレジットの場合、車が壊れても返済負担だけ残るリスクを軽減できる
デメリット
車両保険を付けることで、保険料が大きく上がる
事故で車両保険を使うと等級が下がり、数年間の保険料トータルが高くなることがある
古い車・安価な車では、保険金額の上限が低く、「払った保険料に見合わない」と感じるケースもある
この「メリットとデメリットのどちらが自分にとって重いか」を考えるのが、車両保険の判断の出発点です。
知恵袋でよく見る「車両保険いらない」論のパターン整理
知恵袋のQ&Aを見ていると、「車両保険いらない」という意見にはいくつかのパターンがあります。
パターンA:古い・安い車だからいらない
「10年以上乗っている古い車なので、車両保険は外していいですよね?」
「中古で買った安い軽自動車だから、ぶつけたら買い替えればいいと思っています」
といった相談です。
実際、古い車では保険会社が設定する「車の価値(時価額)」が低く、保険金額の上限が10〜20万円程度になることもあります。
この場合、
年間の保険料差額 × 数年分
もらえる可能性のある車両保険金額(上限)
を比べると、「確かに付ける意味が薄い」ケースも増えてきます。
パターンB:貯蓄があり、自腹で直せるからいらない
「修理費が数十万円かかっても払えるので、車両保険はいらないと思っています」
この場合は、
貯蓄額・収入の安定度
ほかに大きな支出予定(住宅ローン・教育費など)がないか
車が生活の基盤かどうか(通勤・仕事で必須か)
を踏まえて、「本当に自腹で払っても家計が揺らがないか」を冷静に考える必要があります。
パターンC:等級ダウンで損だからいらない
「車両保険を使うと等級が下がってトータルで損と聞いたので、そもそも付けません」
たしかに、等級が3つ下がると、数年間の保険料トータルで数万円〜十数万円の差が出るという試算が公開されています。
ただし、
「使えば損」だから「付けない」という結論にはならない
「100万円級の修理・全損に備える保険」としての意味をどう見るか
という視点が抜け落ちているケースも多いです。
パターンD:家族・友人が入っていないから自分もいらない
「親も車両保険は付けていないから、自分もいらないと言われました」
このパターンは、親世代と子世代で前提が違うことが多いため要注意です。
親世代:貯蓄が多い/車が古い/通勤で使わない
子世代:ローンで新車購入/通勤で毎日使用/貯蓄は少なめ
といったケースでは、同じ「いらない」という判断でも、根拠が全く異なります。
データで見る「みんなはいつ車両保険を外しているのか」
主観ではなく、実際のデータから「どのあたりで車両保険を外す人が多いのか」を見てみます。
車齢別の車両保険付帯率のイメージ
ある損保会社のデータでは、以下のような傾向が報告されています。
新車時:**約9割弱(87%前後)**が車両保険を付帯
7〜8年目:付帯率は70〜80%程度とまだ高い
10年目:**約6割(61%)**まで低下
13年目:約5割
20年目:約3割弱(28〜30%)
つまり、多くの人は、
新車〜7・8年目くらいまでは車両保険を付けている人が多数派
10年目以降になると、徐々に外す人が増えていく
という行動を取っていることが分かります。
古くなると車両保険を外す人が増える理由
その背景には、
車が古くなるほど、保険会社が認める「車の価値(時価)」が低くなる
その結果、車両保険の保険金額の上限が小さくなる
一方で、保険料は一定程度かかるため、「払う割に受け取れる金額が少ない」と感じやすくなる
といった事情があります。
ただし、これはあくまで「平均的な傾向」です。
同じ10年落ちでも、
年間走行距離が少なく、まだ十分乗れる車
カスタム費用をかけていて愛着がある車
仕事で必須の営業車
など、個々の事情によって判断は変わってきます。
車両保険が「いらない」と考えてよい人のチェックリスト
ここからは、実際の判断基準を整理していきます。
まずは、「車両保険を外してもよい可能性が高い人」のチェックリストです。
「いらない側」チェックリスト
次の項目で YES が多い 方は、車両保険を外してもよい可能性があります。
すでに10年以上乗っている、または走行距離がかなり多く、車の時価が低い
保険会社が提示する車両保険の保険金額(上限)が数十万円程度しかない
万一の事故で修理費が数十万円かかっても、自腹で払っても家計が揺らがない貯蓄がある
事故をきっかけに「壊れたら買い替える」つもりでいる
車が生活の絶対条件ではなく、しばらく車なしでも何とかなる
若年ドライバーや家族の運転頻度が低く、リスクは比較的低い
このような条件の人について、保険解説サイトや専門家ブログでも「車両保険を付けない選択肢があり得る」とされています。
「いらない」と判断した場合の注意点
車両保険を外す=次のリスクを自分で負うということです。
自損事故での修理費(ガードレール・電柱・縁石などへの衝突)
当て逃げやいたずらによるキズ・凹み
台風・洪水・落石など、自然災害による損害
盗難・車上荒らし(契約内容にもよる)
「これらが起きたとき、どこまで自分で負担できるか」を具体的にイメージしたうえで判断することが重要です。
逆に車両保険を「付けておくべき」人の条件
一方で、次のような人は、安易に車両保険を外すべきではありません。
「付けておくべき側」チェックリスト
購入からまだ7年目以内程度で、車の価値が十分に残っている
ローン・残価設定クレジット・リースなどで車を利用している
通勤・仕事・子どもの送迎など、車が生活や収入の基盤になっている
貯蓄にそれほど余裕がなく、突然の30〜100万円規模の出費は厳しい
人気車種・高級車・盗難リスクの高い車に乗っている
屋外駐車場・マンションの共用駐車場など、いたずら・当て逃げのリスクが高い環境
運転にあまり慣れておらず、自損事故の不安がある
特に、若年層や初めての車の方は、
運転に慣れていない
貯蓄が少ない
生活に対する車の重要度が高い
という条件が重なりやすく、車両保険を外すリスクが高いと考えられます。
補償範囲(一般型/エコノミー型)の考え方
「一般型」と「エコノミー型(限定型)」の大まかな違いは、
一般型:自損事故・当て逃げ・自然災害など幅広い事故をカバー
エコノミー型:相手のいる事故など、限定された事故のみを対象とし、保険料を抑える
というイメージです。
「いらないか/必要か」の二択だけでなく、
「一般型だと高いので、エコノミー型+少額の自己負担(免責)にする」
「補償範囲を絞って、保険料とのバランスを取る」
といった中間的な選択肢も検討する価値があります。
保険料と自己負担の損得シミュレーション
ここでは、あくまでイメージとして簡単なシミュレーションを示します。
車両保険あり/なしの保険料差額イメージ
例として、次のような前提を置きます(あくまで仮の数字です)。
車両保険なしの年間保険料:40,000円
車両保険ありの年間保険料:70,000円
→ 差額:30,000円/年
5年間、無事故のままだったとすると、
車両保険なし:40,000円 × 5年 = 200,000円
車両保険あり:70,000円 × 5年 = 350,000円
差額は 150,000円 になります。
事故で車両保険を使った場合の「等級ダウン」の影響
等級制度の解説記事では、
等級が3つ下がった場合、4年間で10万円以上の保険料差が出る例
20等級から17等級に下がると、数年分のトータル保険料が数万円増える例
などが紹介されています。
これを踏まえると、
「小さなキズ」程度なら、あえて保険を使わず自腹で直す
「大きな損害(数十万円〜全損)」のときにこそ車両保険を使う
という使い方が、現実的と言えます。
「どこまでなら保険料を払う意味があるか」の考え方
ざっくりとした考え方として、
「車両保険あり/なしの年間差額 × 5年分」
と
「自分が自腹で出せる上限額」
を比較してみてください。
5年分の差額 = 15万円
自腹で出せる上限額 = 30万円
のように、「差額 < 自腹で出せる限界」であれば、「万一のときに備えて付けておく価値がある」と考えることもできます。
知恵袋の回答を上手に使うための3つの視点
最後に、検索でよく目にする知恵袋の回答と、どう付き合えばよいかを整理します。
視点1:回答者の前提条件を必ず確認する
年齢・家族構成
車の価格・年式・用途
貯蓄や収入の状況
居住地域(都市部/地方、災害リスクなど)
が自分と大きく違えば、その人の「いらない/必要」という感覚は、そのまま当てはまりません。
視点2:極端な意見は「参考情報のひとつ」と割り切る
「絶対にいらない」「絶対に付けるべき」といった極端な表現
具体的な保険料や修理費の数字がないまま「損」「ムダ」と決めつけている意見
は、あくまで参考情報の一つとして扱い、
「自分の条件と数字」に落とし込んで判断することが重要です。
視点3:最後は『データ+家計』で決める
本記事で見てきたように、
車齢別の付帯率データ
車の時価と車両保険金額の関係
等級ダウンによる保険料の変化
など、客観的なデータが存在します。
これらと、
自分の家計(貯蓄・収入・今後の支出)
車の利用状況(仕事・通勤・家族の送迎など)
を組み合わせて、最終的な判断をされることをおすすめいたします。
今日からできる『失敗しない車両保険の決め方』3ステップ
最後に、この記事を読んだあと、すぐに実践できるステップをまとめます。
ステップ1:今の「車の価値」と「保険料差額」を把握する
保険証券やマイページで、**車両保険の保険金額(上限)**を確認する
ネット見積りなどで、車両保険あり/なしの年間保険料の差額をざっくり把握する
ステップ2:チェックリストで「いらない側」か「必要側」かを判定する
本記事の
第4章「いらない側チェックリスト」
第5章「必要側チェックリスト」
の両方を読み、自分がどちらに近いかを整理してください。
ステップ3:保険会社・代理店に具体的な質問をする
最後の確認として、保険会社や代理店、ネット型保険のコールセンターに、例えば次のような質問をしてみてください。
「車両保険あり/なしで、5年間の保険料総額はどれくらい違いますか?」
「もし自損事故で修理費が40万円かかった場合、自己負担はいくらになりますか?」
「一般型・エコノミー型・免責金額を変えた場合の保険料の違いを教えてください」
これらの回答をもとに、
「自分は車両保険を外してもよい」
「条件を調整しながら、まだ付けておく」
といった判断をされると、後悔が少なくなります。