賃貸の申し込みを控えていると、「賃貸審査はめったに落ちない」という言葉を耳にしつつも、本当に自分は大丈夫なのかと不安になる方が少なくありません。
とくに初めての一人暮らしや、転職・フリーランスなど収入に変動のある状況では、「もし落ちたらどうしよう」と考えてしまうのは自然なことです。
本記事では、賃貸審査が「めったに落ちない」と言われる根拠となるデータから、実際に落ちてしまう人の共通点、そして“めったに落ちない側”に回るための具体的なチェックポイントまでを、初めての方にも分かりやすく整理して解説いたします。自分の条件で本当に通るのかを、冷静に判断するための土台としてご活用ください。
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賃貸審査は「めったに落ちない」は本当か?
賃貸審査の通過率・落ちる確率の目安
インターネット上では「賃貸の審査はめったに落ちない」「普通に働いていれば通る」といった情報をよく見かけます。
一方で、「審査に落ちた」「何度も否決された」という声もあり、これから申し込む方にとっては不安の種になりやすいところです。
まず、全体のイメージをつかむために、データを確認しておきます。
国内の研究では、民間賃貸住宅の入居審査通過率はおおよそ8割強、逆に言えば約2割弱は否決されているという結果が出ています。
つまり、
「大半の人は通るが、決してゼロではない」
「油断すると“落ちる側”に入ってしまうこともある」
というのが現実です。
審査の流れと、誰が何をチェックしているのか
賃貸の入居審査は、1人の担当者が感覚で決めているわけではありません。一般的には、以下のような流れで行われます。
不動産会社(仲介会社)
申込書の記載内容・必要書類のチェック
申込内容に矛盾がないか、属性に大きな問題がないかの目視確認
管理会社
建物全体を管理している会社が、トラブルの有無や過去の入居履歴などを確認
ここで問題があるケースは多くなく、否決率はかなり低いと言われます
家賃保証会社
家賃の支払いを保証する会社が、主に「支払い能力」と「信用情報」をチェック
年収・家賃のバランス、借入状況、クレジット・携帯料金などの滞納歴を確認します
オーナー(大家さん)
最終的に「この方に貸すかどうか」を判断
収入や職業だけでなく、トラブルの有無・人柄・入居理由なども総合的に見られます
このように、複数の立場から「家賃をきちんと払ってくれそうか」「他の入居者とトラブルにならないか」が確認されていると考えてください。
賃貸審査で見られている5つのポイント
1. 収入と家賃のバランス
最も重視されるのが、家賃と収入のバランスです。
一般的な目安としては、次のように言われることが多いです。
家賃は 手取り月収の3割以内
年収は 家賃の36倍以上 が一つの目安
例えば、家賃8万円の部屋を借りる場合:
手取り月収の目安:8万円 ÷ 0.3 ≒ 約26万7,000円
年収の目安:8万円 × 36倍 = 288万円
このラインから大きく外れると、「家賃負担が重すぎて、将来滞納するリスクが高い」と判断される可能性が高くなります。
2. 雇用形態・勤続年数などの安定性
次に見られるのが、収入の安定性です。
正社員で勤続年数が長い
公務員や上場企業勤務
長期の契約社員 など
は、一般的に有利とされます。
一方で、
転職したばかりで勤続年数が短い
フリーランス・個人事業主で収入に波がある
アルバイト・パートでシフト次第
といった場合は、「本当に継続して払っていけるか?」がシビアに見られます。
3. クレジット・家賃などの支払い・信用情報
家賃保証会社が特に重視するのが、過去の支払い履歴です。
クレジットカード
ローン(自動車・カードローンなど)
携帯電話料金・分割端末代
過去の家賃
などに、長期の延滞や強制解約がないかをチェックされる場合があります。
「昔、携帯料金を何ヶ月も滞納してしまった」「カードを長期延滞してブラックリストに載っているかもしれない」といった心当たりがある場合は、事前に信用情報機関で自分の情報を取り寄せて確認しておくと安心です。
4. 保証人・保証会社などの保証体制
最近は、連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用するケースが増えています。
ただし、物件によっては、
連帯保証人 + 保証会社
どちらか一方
保証人のみ
など、条件が異なります。
保証人を立てる場合は、
親・兄弟など、安定した収入のある近親者
年収や勤続年数が十分ある人
であることが望ましいです。保証人自身の信用情報に問題があると、それが理由で否決されることもあります。
5. 申込書の記載内容・人柄・コミュニケーション
最後に意外と見落とされがちなのが、書類の正確さや人柄・態度です。
申込書の記載に誤りや空欄が多い
提出期限を守らない
電話やメールの対応が雑
内見時の服装や態度が極端に悪い
といった点は、「将来トラブルを起こすのではないか」という不安材料になり得ます。
逆に言えば、「必要な書類をきちんと揃える」「丁寧な言葉づかいを心がける」だけでも、プラスに働きやすい部分です。
「めったに落ちない人」が必ずやっていること
家賃を「手取り3割以内」「年収の36倍」を目安に抑える
多くのケースを見ていると、審査にめったに落ちない人に共通するのは、家賃設定が現実的であることです。
「ギリギリ払えそうな家賃」ではなく
「生活費・貯金を確保しても余裕がある家賃」
を選んでいる方は、審査でも安心して見てもらえます。
目安としては次の2点を同時に満たすラインを意識してください。
家賃 ≦ 手取り月収の30%
年収 ≧ 家賃 × 36倍
この2つを満たす範囲に家賃を収めれば、収入面で落とされるリスクはかなり下がります。
審査で不利になりやすいポイントを先回りして埋める
「めったに落ちない人」は、審査に出す前の段階で、次のような準備をしています。
収入証明(源泉徴収票・確定申告書など)をスムーズに提出できるようにしておく
転職直後なら「内定通知書」や「雇用契約書」などで今後の収入見込みを示す
フリーランスなら「直近の確定申告書」「報酬明細」「預金残高」などで安定性を示す
過去の延滞に心当たりがあるなら、事前に不動産会社へ正直に相談する
申込書の内容を事前にメモして整理し、書き間違いを防ぐ
要するに、**「不安材料があっても、その説明と補強材料をセットで出せる人」**が、審査に強いと言えます。
状況別:審査に通りやすくする具体的な工夫
正社員・内定者の場合
正社員や内定者の方は、基本的には有利な立場です。以下を押さえれば、めったに問題は起こりません。
手取りの3割以内の家賃に抑える
勤続年数が1年未満なら、「長期で勤務する予定」であることを説明
内定者の場合は「内定通知書」や「雇用契約書」を提出
ボーナス払いなど不安要素のあるローンがあれば、返済状況を確認しておく
不動産会社への相談例:
「今年から正社員として勤務していますが、勤続半年です。
長期的に勤務する予定で、年収は○○万円ほどです。
この条件で通りやすい家賃帯を一緒に考えていただけますか?」
フリーランス・個人事業主の場合
フリーランスの方は、「収入が不安定」というイメージを持たれやすいのが課題です。
以下のような資料で「実は安定している」ことを示せると、印象は大きく変わります。
直近1〜2年分の確定申告書
直近数ヶ月の売上・入金明細
家賃1〜2年分程度の預貯金残高が分かる資料
相談時の一言例:
「フリーランスですが、直近2年分の確定申告書と、家賃2年分以上の預金残高を証明できます。
この条件で審査に通りやすい物件を優先的に紹介してもらうことは可能でしょうか?」
派遣・アルバイトの場合
派遣社員・アルバイトの方は、収入の安定性を補強することがポイントです。
シフトが安定している場合は、その事実を説明(例:1年以上同じ店舗で勤務)
社会保険加入の有無を明確にする
親など安定した保証人をつける、または保証会社利用を前向きに検討する
家賃は、より慎重に「手取りの2.5割程度」に抑えると安心です。
無職・離職中の場合
現在無職であっても、必ずしも審査が通らないわけではありません。
次のようなケースでは、通過する可能性があります。
近々就職・転職が決まっており、内定通知書などを提示できる
家賃1〜2年分以上の預貯金があり、通帳コピー等で確認できる
年金や不労所得など、家賃を十分にカバーできる収入がある
ただし、家賃はかなり低めに抑えることを強くおすすめします。
同棲・ルームシェア・シングルマザーの場合
同棲やルームシェアは、「別れた場合の家賃支払いリスク」「騒音リスク」などを懸念され、否決されるケースもあります。
対策としては、
最初から「同居予定」であることを正直に伝える
二人の収入を合算したうえで、無理のない家賃に抑える
シングルマザーの場合は、公的支援や養育費の有無も含め、支払い能力を丁寧に説明する
など、「隠さずに、どう支払っていくかを具体的に示す」ことが重要です。
申し込み前にできる「セルフチェック」と準備リスト
申し込み前のセルフチェック(家賃・年収・貯金・信用情報)
申込み前に、次の4点を確認してみてください。
家賃と手取り月収の比率
家賃 ÷ 手取り月収 × 100
目安:30%以内(派遣・アルバイト・フリーランスは25%程度までが安心)
年収と家賃の倍率
年収 ÷ 家賃
目安:36倍以上
貯金額
初期費用を払ったあとも、最低3〜6ヶ月分の生活費+家賃が残ると安心です。
信用情報・滞納歴
クレジットカード・携帯料金・ローン等の支払いに長期の延滞がないか振り返る
心配な場合は、信用情報機関で開示請求を検討する
入居申込書・必要書類の準備と、不動産会社への伝え方
一般的に、次のような書類が求められます。
入居申込書(住所・勤務先・年収・同居人など)
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
収入証明(源泉徴収票・給与明細・確定申告書など)
連帯保証人の情報(必要な場合)
申込前に、以下のように相談しておくとスムーズです。
「年収は○○万円で、家賃はこの範囲に収めたいと考えています。
勤続年数は○年、現職で今後も働く予定です。
審査をスムーズに進めるために、他に用意しておくべき書類はありますか?」
もし賃貸審査に落ちてしまったら
落ちた理由を推測し、次に変えるべき3つのポイント
審査に落ちた場合でも、理由を具体的には教えてもらえないことがほとんどです。
そのため、次の3点を優先的に見直してみてください。
家賃が高すぎなかったか
家賃を1〜2万円下げるだけで、通るケースはよくあります。
保証体制が弱くなかったか
保証人を変更する
保証会社利用へ切り替える
別の保証会社を使っている物件を選ぶ など
信用情報・滞納歴に心当たりがないか
携帯料金・クレジットカードなどの延滞がないか振り返る
心配であれば信用情報機関で確認してから、正直に相談する
審査が通りやすい物件・保証会社・相談先の考え方
同じ条件でも、
エリア
物件の種類(公的賃貸・民間賃貸など)
管理会社・保証会社
によって、審査の厳しさはかなり変わります。
何度か落ちてしまった場合は、
家賃を下げる・エリアを少し広げる
条件のゆるい物件(公的賃貸・単身者向け物件など)も視野に入れる
「審査に不安がある」と最初から不動産会社に伝え、相談ベースで物件を紹介してもらう
といった方向転換も検討してください。
賃貸審査に関するよくある質問
何回まで落ちても大丈夫?次の申込みはどれくらい間をあけるべき?
「何回まで」という明確な上限はありませんが、同じ保証会社に短期間で何度も否決されると、印象は良くありません。
1回落ちたら、何を変えて再チャレンジするかを決めてから、別の物件・別の保証会社で申込むのがおすすめです。
借金やクレジット延滞があっても通ることはある?
借入があるだけでは、必ずしも落ちるとは限りません。
問題になりやすいのは、
返済が遅れがち
長期延滞や強制解約の履歴がある
といったケースです。
心配な場合は、不動産会社に正直に相談し、「この条件なら通りやすい」という家賃帯・物件タイプを一緒に検討してもらいましょう。
無職・フリーターでも借りられる物件はある?
あります。ただし、
家賃をかなり低く抑える
貯金や今後の収入見込みを資料で示す
保証人・保証会社の力を借りる
といった工夫がほぼ必須になります。
まとめ:数字と準備で「めったに落ちない側」に寄せていく
最後に、本記事のポイントを簡単に整理します。
賃貸審査は「大多数は通る」が、「約5人に1人は落ちる」可能性もある
最重視されるのは 家賃と収入のバランス
家賃 ≦ 手取り月収の3割
年収 ≧ 家賃の36倍 が一つの目安
そのうえで、
雇用形態・勤続年数の安定性
クレジット・家賃などの支払い履歴
保証人・保証会社の体制
申込書の正確さや人柄・態度
が総合的に見られる
「めったに落ちない人」は、
無理のない家賃設定
収入や預金の証明
過去の不安要素を正直に説明する姿勢
をセットで準備している
もし落ちてしまっても、
家賃を下げる
保証体制を強化する
物件・保証会社の選び方を変える
ことで、次に通る可能性は十分にあります
「賃貸審査はめったに落ちない」は、ただの慰めではありません。
数字と準備次第で、本当に“めったに落ちない側”に近づくことができます。