愛犬がお風呂を嫌がってしまい、「最近ぜんぜん入れていないけれど、このままで大丈夫なのかな…」と不安になっていませんか。
見た目はあまり汚れていないように見えても、被毛や皮膚には皮脂やホコリ、花粉、細菌など、目に見えない汚れが少しずつたまっていきます。
そのまま放置すると、かゆみやフケ、体臭、ノミ・ダニ、さらには皮膚炎など、思わぬトラブルにつながることがあります。
とはいえ、「忙しくて頻繁には洗ってあげられない」「お風呂が苦手で暴れてしまう」など、現実的な悩みがあるのも事実です。本記事では、犬をお風呂に入れないとどうなるのかというリスクをわかりやすく整理しつつ、どれくらいの頻度で、どんなケアをすれば安心なのかを具体的に解説します。
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まったくお風呂に入れない状態が長く続くのはNG
月1〜2回のお風呂+日々のブラッシングや体拭きで、多くの犬は十分清潔を保てる
お風呂が苦手な犬には、代替ケアと少しずつ慣らすトレーニングを組み合わせる
不安なときやトラブルが出たときは、自己判断せず動物病院やプロに相談する
犬をお風呂に入れないとどうなる?
まったく入れないのはNG。ただし「頻度」と「代替ケア」でリスクは下げられます
「うちの犬はあまり汚れていないし、お風呂が嫌いだから、しばらく入れていない」という飼い主さまは少なくありません。
結論からお伝えすると、まったくお風呂やシャンプーをしない状態が長く続くのはおすすめできません。
汚れや皮脂、外から持ち帰ったホコリ・花粉・細菌などがたまることで、皮膚炎やニオイ、ノミ・ダニのリスクが高まるためです。
ただし、毎週必ずしっかりシャンプーしなければいけないわけではありません。
月1〜2回程度のお風呂+日々のブラッシングや体拭きなどを組み合わせることで、多くの犬では十分に清潔を保つことができます。
犬の体はどれくらい汚れやすい?人との違い
犬は人間よりも皮膚が薄くデリケートですが、地面に近いところを歩き、体を床や芝生にこすりつけるなど、汚れがつきやすい生活をしています。散歩やお出かけをしている犬であれば、被毛や皮膚には以下のようなものが付着します。
ホコリや砂、泥
花粉やカビ、ダニなどのアレルゲン
皮脂汚れや古い角質
他の犬や環境から持ち込まれる細菌・寄生虫 など
これらが長期間たまると、皮膚トラブルや悪臭の原因になります。
「うちの子はそんなに汚れていない」と感じたらチェックしたいこと
一見きれいに見えても、次のようなサインがあれば、実は汚れがたまっている可能性があります。
体や耳の付け根をよくかゆがる
フケが目立つ、毛がベタつく
体を近づけると、前よりニオイが気になる
足先やお尻周りの毛が黄ばんでいる
こうしたサインが出ている場合は、お風呂やシャンプーの頻度・やり方を一度見直してあげると安心です。
犬をお風呂に入れないと起こりうる5つのリスク
リスク1:皮膚炎・かゆみ・フケなどの皮膚トラブル
シャンプーやお風呂を長期間しないと、余分な皮脂や古い角質、汚れが皮膚に残り続けます。
これが刺激となってかゆみや赤み、フケの増加を招き、悪化すると細菌やマラセチア(酵母菌)が増えて皮膚炎になることがあります。
特にアレルギー体質の犬では、皮膚についたアレルゲンを洗い流せないことで、症状が悪化しやすくなります。
リスク2:体臭・部屋のニオイの悪化
皮脂や汚れ、細菌がたまると、どうしても体臭が強くなりやすくなります。
「気づいたら部屋の中が犬のニオイでいっぱい」「ソファやクッションまで匂う」といった状態は、犬にとっても人にとっても快適とは言えません。
適度なお風呂と日々のケアで、犬自身の健康だけでなく、家族の生活環境も守ることができます。
リスク3:ノミ・ダニ・細菌・寄生虫が増えやすくなる
外を歩く犬は、草むらなどからノミやマダニがつくことがあります。お風呂だけで予防できるものではありませんが、まったく洗わない状態が続くと、寄生虫や細菌が増えやすくなることがあります。
ノミ・ダニは皮膚炎やかゆみだけでなく、人間にも被害が及ぶことがあるため、定期的なシャンプー+動物病院での予防薬が大切です。
リスク4:アレルギー体質の悪化や、人への衛生面の影響
アトピー性皮膚炎などアレルギー体質の犬では、皮膚や被毛に付着したアレルゲン(花粉・ダニ・カビなど)を洗い流せないと、症状が悪化する可能性があります。
また、汚れた状態の犬と生活することで、人側にも皮膚トラブルや人獣共通感染症のリスクがゼロではありません。特に小さなお子さまや高齢者がいるご家庭では、犬も人も清潔な状態を保つことが重要です。
リスク5:汚れがこびりつき、トリミングや診察時の負担が増える
長期間シャンプーをしていないと、被毛が絡まってフェルト状になったり、ベタつきでブラシが通らなくなったりします。
その状態でトリミングサロンや動物病院に行くと、毛玉の処理や皮膚の確認に時間がかかり、犬のストレスが増えることがあります。
どのくらいお風呂に入れないと危険?期間別の目安
〜1か月:多くの室内犬では許容範囲。ただし条件付き
一般的には、健康な成犬で室内飼い・散歩程度の生活なら、月1回程度のお風呂・シャンプーで十分とされることが多いです。
そのため、1か月ほどお風呂に入れていないからといって、すぐに大きな問題が起こるとは限りません。ただし、以下のような場合は1か月以内でもリスクが高くなります。
雨の日や泥の多い場所をよく歩く
ドッグランや公園でよく転がる
皮膚が弱い、アレルギーがある
体臭やフケがすでに気になっている
こうした場合は、お風呂の間隔を短くするか、体拭きや部分洗いをこまめに行うと安心です。
1〜3か月:生活環境・犬種によっては皮膚トラブルのリスクが上昇
1〜3か月以上まったくお風呂に入れていない状態が続くと、多くの犬では皮膚や被毛の汚れが目立ち始めます。特に以下のタイプはリスクが上がります。
長毛種(トイプードル、シーズー、ポメラニアンなど)
皮脂分泌が多い犬種や体質
外で過ごす時間が長い犬
この期間、お風呂に入れていなくてかゆみ・赤み・フケ・ベタつき・ニオイが出ている場合は、一度お風呂とシャンプーを検討し、必要であれば動物病院に相談してください。
3か月以上:ノミ・ダニや皮膚病のリスクが高く、専門家への相談推奨
3か月以上、まったくシャンプーやお風呂をしていない場合は、汚れや皮脂、細菌・カビなどが蓄積している可能性が高い状態です。ノミ・ダニなどの寄生や皮膚炎が起きていないか、早めにチェックした方が安心です。
このレベルまで空いてしまった場合は、自宅で無理にゴシゴシ洗うのではなく、
まずブラッシングや体拭きで無理なく汚れを落とす
皮膚トラブルが疑われる場合は動物病院で相談する
状態によってはプロのトリマーに相談する
といったステップで進めることをおすすめします。
室内犬/外飼い、短毛/長毛でここまで違う
室内犬+短毛:
汚れにくいため、お風呂の頻度は比較的少なくても済む場合があります。室内犬+長毛:
毛玉・もつれができやすく、汚れが中にたまりやすいため、ブラッシングとお風呂の両方が重要です。外飼い・外遊びが多い犬:
環境からの汚れが多いため、お風呂・体拭き・ノミダニ予防をセットで考える必要があります。
犬のお風呂・シャンプーの適切な頻度の考え方
一般的な目安(月1〜2回)と、その根拠
多くの獣医師・トリマー・ペットメーカーは、犬のシャンプーは月1〜2回が目安と説明しています。
これは、
汚れや皮脂、アレルゲンをほどよく落とせる
洗いすぎによる乾燥・バリア低下を避けられる
というバランスを考えた頻度です。
犬種・毛質・皮膚タイプ別の頻度の調整ポイント
同じ「月1〜2回」でも、犬種や体質によって調整が必要です。
皮膚が弱い・アレルギーがある犬:
獣医師と相談のうえ、低刺激シャンプーで間隔を空けつつケアする皮脂が多くベタつきやすい犬:
月2回程度までならやや頻度を上げることもあります(要相談)長毛で毛玉になりやすい犬:
ブラッシングを増やしつつ、お風呂の頻度も目安通りに保つ
シャンプーの「しすぎ」で起こるデメリット(乾燥・バリア低下)
「汚れるのが心配で毎週何度もシャンプーしている」というケースでは、かえって皮膚トラブルを招くことがあります。
皮膚のうるおいを保つ皮脂まで洗い流してしまう
乾燥によるかゆみ・赤みが出る
バリア機能が弱まり、細菌・アレルゲンの影響を受けやすくなる
といったデメリットが起こり得るため、多くても週1回程度までを目安にし、心配な場合は必ず獣医師やトリマーに相談してください。
高齢犬・持病のある犬の頻度はどう考える?
高齢犬や心臓病・呼吸器疾患などを抱える犬では、お風呂自体が体の負担になることがあります。
その場合は、
回数を減らす
シャンプーせずに体拭きや部分洗いに切り替える
体調の良い日に短時間で行う
など、「安全第一」で判断することが大切です。必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
お風呂が嫌い・入れられないときの代替ケア7選
代替ケア1:毎日のブラッシングで汚れと抜け毛を減らす
ブラッシングは、抜け毛やホコリ、軽い汚れを落とす基本のケアです。1日数分のブラッシングでも、毛玉や汚れの蓄積を防ぎ、お風呂の負担を軽くできます。
代替ケア2:濡れタオルや犬用ボディシートで体拭き
お風呂ほど負担がかからない方法として、ぬるま湯で絞ったタオルや犬用ボディシートで体を拭く方法があります。特に、
散歩帰りの足先
お尻周り
よだれや涙やけがつきやすい部分
など、汚れが目立つ箇所を中心に拭いてあげると効果的です。
代替ケア3:足先・お尻だけの「部分洗い」
全身シャンプーが難しい場合は、足先やお尻、汚れやすい部分だけを洗う「部分洗い」も有効です。洗面器にぬるま湯を張って足だけを洗う、シャワーでお尻周りだけ流すなど、短時間で終わらせると犬の負担も少なくなります。
代替ケア4:ドライシャンプーのメリットと注意点
水を使わないドライシャンプーは、お風呂が難しい犬や冬場に便利なアイテムです。ただし、商品によっては香料や界面活性剤などが皮膚に合わないこともあるため、使いすぎには注意が必要です。
目や口の周りは避ける
皮膚が赤くなる・かゆがる場合は使用を中止する
など、様子を見ながら少量から試してください。
代替ケア5:プロのトリミングサロンをポイントで活用
自宅でうまく洗えない場合は、1〜2か月に1回程度サロンを利用するのも一つの方法です。プロのトリマーは皮膚や被毛の状態を見ながらシャンプーしてくれるため、安心感があります。
代替ケア6:生活環境の見直し(ベッド・カーペット・ケージ掃除)
犬の体をいくらきれいにしても、ベッドや毛布、カーペットが汚れているとすぐにまた汚れてしまいます。定期的に洗濯・掃除機がけを行い、生活環境ごと清潔に保つことが、お風呂の負担を減らす近道です。
代替ケア7:動物病院でのスキンケア相談
皮膚が弱い、かゆみが続く、フケや赤みが気になる場合は、自己判断でシャンプーを増やしたり減らしたりせず、動物病院で相談することが最も安全です。皮膚の状態に合わせた薬用シャンプーや保湿剤など、適切なケア方法を提案してもらえます。
お風呂嫌いを少しずつ克服するステップトレーニング
準備編:滑りにくい床、湯温、時間帯など環境を整える
お風呂嫌いの犬の多くは、
足元が滑る
シャワーの音が怖い
お湯が熱すぎる・冷たすぎる
といった理由で不安になっています。
浴室の床に滑り止めマットやタオルを敷く
湯温は人が「ややぬるい」と感じる程度(約36〜38℃)にする
落ち着いた時間帯に短時間で行う
といった環境づくりから始めてあげてください。
ステップ1:浴室に入るだけ→足先だけ濡らすことに慣らす
いきなり全身を濡らすのではなく、
浴室に入るだけでご褒美(おやつ・声かけ)
浴室で首輪を外す、マットの上に乗る練習
洗面器のぬるま湯に足先だけをつける
といった小さなステップに分け、「お風呂=怖くない場所」と学習してもらうことがポイントです。
ステップ2:短時間のシャワーに挑戦し、ご褒美とセットにする
足先に慣れてきたら、
シャワーの音だけを聞かせてご褒美
体の一部にだけシャワーを当ててすぐ止める
少しずつ時間を延ばす
といった流れで、シャワーそのものに慣れてもらいます。毎回、終わったら必ずご褒美と褒め言葉をセットにすることで、「我慢するといいことがある」と感じてもらいやすくなります。
ステップ3:全身シャンプー→しっかり乾かすところまでを「楽しい体験」に
最終的には全身を洗えるようにしていきますが、最初のうちは
シャンプーの量を少なめにする
時間を短く区切る(洗う部位を分ける)
乾かすときも弱風で短時間から慣らす
など、負担を最小限にして終わりまでスムーズに進めることが大切です。
やってはいけないNG行動(怒る・押さえつける・熱いお湯など)
お風呂嫌いを悪化させる行動として、以下は避けてください。
嫌がる犬を大声で叱る
強く押さえつけて無理やり洗う
熱すぎるお湯を使う、顔に勢いよくシャワーをかける
体調が悪いのに無理にお風呂に入れる
「怖かった」「痛かった」という経験が一度つくと、お風呂嫌いはより強くなってしまいます。どうしても難しい場合は、トリマーやトレーナーに相談しましょう。
「うちの子の場合」を決める判断チェックリスト
生活環境・犬種・体質から見るお風呂の頻度チェック
次の項目に多く当てはまるほど、お風呂の頻度をやや高め(目安:月2回程度)にした方がよいケースが多いです。
外で過ごす時間が長い
雨の日でも散歩に行くことが多い
毛が長く、毛玉になりやすい
皮脂で毛がベタつきやすい
体臭やフケが気になり始めている
一方、室内中心・短毛・皮膚トラブルがない犬では、月1回程度+体拭き・ブラッシングでも十分な場合があります。
今すぐ動物病院やトリマーに相談した方がよいサイン
次のようなサインがある場合は、お風呂の頻度だけでなく、皮膚病などの治療が必要な可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
強いかゆみで夜も落ち着かない
皮膚が赤い、湿っている、カサブタがある
悪臭が強い、ベタつきがひどい
ノミ・ダニが目に見えている
シャンプー後に毎回ひどくかゆがる