出張で新幹線を使うたびに、「この領収書、乗車日でバレたりしないだろうか」と不安になったことはありませんか。前泊や後泊、ついでの帰省、払い戻しや別ルートへの変更など、少しでも私用が混ざると「経理にどう見られるのか」が気になり、検索している方は少なくないはずです。
実は、新幹線の領収書に印字される日付は「購入日」と「乗車日」が一致しないことも多く、さらにスマートEXやえきねっとなど、サービスごとに仕様も異なります。この仕組みを正しく理解していないと、「バレる・バレない」という感覚だけで判断してしまい、思わぬトラブルや不正扱いにつながるおそれがあります。
本記事では、「新幹線の領収書は乗車日で何がどこまで分かるのか」を、購入方法別の違いから、不正受給リスク、社内規程・税務の観点まで整理して解説します。そのうえで、グレーゾーンを避けながら安心して出張できる、実務的な立ち回り方も具体的にご紹介いたします。
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新幹線の領収書の日付は、購入方法や変更の仕方によって「購入日」と「乗車日」がずれることがあり、その仕様だけを見れば「バレにくい」と感じる場面もあります。Yahoo!知恵袋+2スマートEX+2
しかし、経費精算や税務・コンプライアンスの観点から見れば、重要なのは
技術的にバレるかどうか
ではなく、「ルールに沿った正しい行動を取れているか」
です。
新幹線の領収書で「バレる」と感じる典型的なシーン
前乗り・後泊・帰省を絡めた出張パターン
新幹線出張が多い方ほど、次のようなケースで不安を感じることが多いと思います。
金曜日出発の出張に合わせて、週末は実家に帰省したい
月曜日の朝イチの打ち合わせに備えて、前日のうちに現地入りしたい
出張のついでに私用の予定を組み込みたい
こうしたケースで「会社にどう説明するか」「領収書を出したときに日付でバレないか」が気になり、インターネットで検索する方が多い状況です。
払い戻しして別の交通手段を使うケース
もう一つ典型的なのが、次のようなパターンです。
いったん新幹線の切符を買い、領収書を発行する
実際には安い高速バスや飛行機に乗り、差額を自分のものにする
あるいは予定変更で新幹線を払い戻ししつつ、元の領収書だけを提出する
「領収書さえあれば会社には分からないのではないか」と考えてしまう場面ですが、これは不正受給にあたる可能性が高く、絶対に行うべきではありません。
そもそも何が「不正」と見なされるのか
一般的に、次のような行為は不正と評価される可能性があります。
実際には利用していない新幹線代を請求する
実際より高い交通手段を申告し、差額を利益として受け取る
払い戻しした切符の領収書をそのまま提出し、差額を申告しない
どこからが不正かの線引きは、会社の出張旅費規程や、就業規則、場合によっては刑法上の詐欺罪の解釈にも関わるため、曖昧なままにしないことが重要です。
新幹線の領収書に記載される日付の基本(購入日と乗車日の違い)
窓口・券売機で購入した場合の領収書の日付
駅のみどりの窓口や券売機で切符を購入した場合、領収書には通常、次のような項目が印字されます。
発行元(JR各社名など)
発行日(購入日)
金額
利用区間や内容
多くのケースで、この「発行日」は切符を購入した日付であり、乗車日と一致しないこともあります。
そのため、たとえば「1週間前に出張用の切符を買った場合」、領収書の日付は出張当日ではなく、購入した日付になります。
スマートEX・エクスプレス予約の領収書仕様(予約日基準での表示)
スマートEX・エクスプレス予約など、オンラインで新幹線を予約・決済するサービスでは、Web領収書の表示期間・検索条件は「予約完了日(購入日)」を基準に設定されています。
たとえばスマートEXでは、
予約完了日の翌日から最大15か月後までの間に、Web領収書を表示できる
領収書検索の際は「乗車日ではなく、予約した日付を含めた期間」を指定する
といった仕様が公式FAQで案内されています。
このことからも、Web領収書においても「予約日(購入日)」が基準となっており、必ずしも乗車日と一致するとは限らないことが分かります。
えきねっとなど他サービスの領収書仕様と注意点(往復予約の変更など)
えきねっとの場合は、支払完了日から乗車日の6か月後まで「ご利用票兼領収書」が発行できるとされています。
また、公式メディアでは、
往復予約のうち、往路利用後に復路の日時を変更した場合
領収書の「購入日」欄が、乗車日以降の日付になることがある
といった注意点も示されています。
このように、同じ往復きっぷでも、変更の仕方によって領収書上の日付と実際の乗車日がずれうることに注意が必要です。
切符そのもの・EXご利用票はどこまで証拠になるのか
領収書をもらい忘れた場合でも、切符そのものやEXご利用票などが、支払いや乗車の事実を示す補助資料として使える場合があります。
ただし、
税法上の正式な領収書とは扱いが異なる
経費精算で認めるかどうかは会社ごとの判断
となるため、社内規程や経理担当者の方針を事前に確認しておくことが重要です。
「乗車日でバレる?」を整理する——領収書から分かること・分からないこと
領収書だけでは分からない情報(払い戻しの有無など)
新幹線の払い戻しについて、複数の解説では「領収書だけでは払い戻しの有無までは分からない」と説明されています。
理由としては、概ね次の点が挙げられます。
領収書そのものは、どの切符が払い戻されたかと直接紐付いていない
払い戻しを行っても、元の領収書を回収する運用にはなっていない
JR側が企業ごとに「この領収書の切符は払い戻されたか」を照会するのは現実的でない
したがって、「領収書を見ただけ」で払い戻しかどうかを判断することは、実務上は困難です。
オンライン履歴・カード明細から分かりうること
一方で、オンライン予約やカード決済の場合には、次のような記録が残ります。
会員サイトの利用履歴(いつ・どの列車を予約/変更/払い戻ししたか)
クレジットカードの利用明細(購入・払い戻しの記録)
企業によっては、経費精算とカード明細の突合や、出張報告とオンライン履歴のチェックを行うことも考えられます。
また、スマートEXなどのWeb領収書には、払い戻しや遅延に関する明細を別画面で表示できる機能があり、その気になれば詳細な確認が可能です。
会社・経理側が現実的にチェックしやすいポイント
現実的には、経理部門が重点的に見るのは次のようなポイントです。
領収書の金額・区間が、申請内容と一致しているか
出張期間・訪問先と、乗車区間や日付の整合性が取れているか
同じ社員で不自然なパターン(同じ区間の高額な切符が頻繁にキャンセルされている等)がないか
「すべての社員のオンライン履歴を逐一チェックする」というよりは、不自然な点や内部通報などをきっかけに詳しく調査する、という運用の方が現実的と考えられます。
払い戻し・日程変更と不正受給リスク
払い戻し差額を自分のものにする行為が危険な理由
新幹線の切符を払い戻したにもかかわらず、もとの領収書を使って経費精算を行い、差額を自分の利益とする行為は、一般的に不正受給にあたります。
企業によっては、次のような対応が行われる可能性があります。
差額の返還請求
減給・降格・出勤停止・懲戒解雇などの懲戒処分
悪質な場合には、詐欺罪などで刑事告訴
一度不正が発覚すると、社内外からの信頼を大きく損なうため、「技術的にバレにくいかどうか」といった発想自体を避けるべきです。
安い交通手段に切り替えた場合の扱い(差額精算の考え方)
業務上の必要があって、より安い交通手段に切り替える場合もあります。
例:新幹線より安い特急や高速バスに変更する
例:LCCの航空券を利用する
このような場合、
「会社としてどの交通手段まで許容しているか」
「差額を会社に返還すべきか、社員側の裁量とするか」
は、出張旅費規程や社内ルールで決めるべき事項です。
自己判断で差額を受け取るのではなく、事前に上司や経理に相談し、ルールを明確にしておくことが重要です。
発覚しやすいパターン(履歴・目撃・同僚からの通報など)
実務上、不正が発覚するきっかけとしては次のようなケースが多いとされています。
オンライン履歴やカード明細と、経費精算内容に明らかな矛盾がある
高速バスやLCCなどの他の領収書や搭乗記録から、別の移動手段を使っていることが分かる
出張先にいるはずの時間帯に、別の場所で目撃される
同僚や取引先からの通報・内部告発
一見「バレにくそう」に見える行為でも、思わぬところから事実が判明するリスクがあります。
経費精算ルール・税務・インボイスの観点から見た「グレーゾーン」
税務上の領収書保存義務と新幹線の扱い
税務上は、一定額以上の支払いについて領収書などの保存が求められます。新幹線の切符は1枚で数万円に達することも多く、領収書の保存は重要です。
インボイス制度下では、JR各社は適格請求書発行事業者として登録されており、要件を満たした領収書であれば仕入税額控除の対象にもなりえます。
ただし、制度や個社の運用は変わり得るため、具体的な扱いは顧問税理士や経理部門の方針に従う必要があります。
出張旅費規程で整理しておきたいポイント
企業側は、次のような点を出張旅費規程で整理しておくと、グレーゾーンを減らすことができます。
利用できる交通手段(新幹線・飛行機・特急・バスなど)の原則
グリーン車・指定席の扱い
私用を兼ねる出張(前泊・後泊・帰省を含む)の取り扱い
クレジットカードやオンライン決済の利用ルール
領収書を紛失した場合の代替資料(切符・利用明細など)をどこまで認めるか
社員側としては、自社の規程がどうなっているかを一度確認しておくと安心です。
グレーになりやすい事例と、ルールで明確化しておきたい線引き
代表的なグレー事例としては、次のようなものが挙げられます。
金曜出張後に実家へ移動し、週明けにそのまま出社する
出張先から別の場所に移動し、そのまま休暇を取る
出張中に私用で区間を延長する
これらは必ずしもすべてNGとは限らず、
「業務に必要な部分」と「私用部分」をどう区分し、誰が負担するか
事前申請・事後報告のルールをどうするか
を明確にしておくことで、トラブルを避けやすくなります。
トラブルを避けるための実務的な対策
出張前に確認すべき社内ルールと相談先
出張が決まった段階で、次の点を確認しておくことをおすすめします。
最新の出張旅費規程
新幹線・航空機・ホテルなどの利用ルール
私用を兼ねる場合の申請フロー
相談先(上司・経理・総務など)の連絡経路
「こうしたいが、規程上問題ないか」という点は、早めに上司や経理に相談しておくと安心です。
領収書をもらい忘れた/紛失したときの代替資料の集め方
万が一領収書をもらい忘れたり紛失した場合でも、次のような資料が代替として認められる場合があります。
手元に残った切符(有人改札で返却してもらうなど)
オンライン予約の画面印刷やPDF(えきねっと・スマートEXなどの利用履歴・領収書画面)
クレジットカードの利用明細
ただし、どこまで認めるかは会社ごとに異なりますので、必ず経理担当者に相談のうえ、指示に従ってください。
前泊・後泊・帰省をルールに沿って行うための申請・説明のコツ
私用を含む移動を伴う場合は、次のような点を明確にして申請・相談するとスムーズです。
業務に必要な日程・区間
私用で追加される日程・区間
私用部分の費用負担(自己負担とするのか、どこまで会社負担か)
たとえば、「金曜の出張の帰りに実家に立ち寄りたい」場合には、
業務として必要な最短ルート
実際に利用したルートとの差額
を整理し、事前に上司・経理と合意しておくことが望ましいと言えます。
よくある質問(FAQ)
Q. 休日に乗車しても、平日の出張分として精算してよいですか?
A. 一般論としては、業務上必要な日程・区間であれば、休日の移動であっても経費対象となり得ます。ただし、
会社の就業規則・出張旅費規程
休日出勤や代休の扱い
など、複数のルールが関わりますので、自己判断せず必ず上司や人事に確認してください。
Q. 元の切符を払い戻した後、領収書だけ提出したらどうなりますか?
A. 払い戻し差額を自己の利益とする目的で行えば、不正受給と見なされる可能性が高く、場合によっては懲戒処分や刑事事件に発展するリスクもあります。
技術的な「バレやすさ」にかかわらず、決して行うべきではありません。
Q. 不安なときは誰にどう相談するのがベストですか?
A. まずは直属の上司に率直に相談し、そのうえで必要に応じて経理・総務・人事に確認してもらうのが一般的です。
相談の際には、
予定している日程・区間
私用の有無
想定している費用負担
を具体的に整理し、「規程上問題がないか確認したい」というスタンスで伝えるとよいでしょう。