扁桃炎で喉が焼けるように痛く、高熱で仕事や家事どころではない――それでも「できるだけ早く治して復帰したい」と、スマホ片手に知恵袋や体験談を必死に読みあさってはいないでしょうか。
中には「病院に行かずに治った」「市販薬だけで乗り切れた」といった声もあり、真似してよいのか判断に迷ってしまう方も多いはずです。
しかし、扁桃炎には自然に良くなる比較的軽いタイプもあれば、治療が遅れると重症化したり合併症につながるタイプもあります。
「早く治す」つもりで自己流で我慢を続けた結果、むしろ長引かせてしまうケースも少なくありません。
本記事では、知恵袋などの体験談でよく見かける情報を踏まえつつ、「どこまでが参考にしてよい部分か」「どこからは医療機関に任せるべきか」を整理し、扁桃炎を一日でも早く“楽な状態”に近づけるための現実的で安全な対処法をまとめました。
※本記事は一般的な医療情報であり、診断や治療の判断を代替するものではありません。強い痛みや高熱、水分がとれないなどの症状がある場合は、この記事を読む前に医療機関や救急相談窓口にご連絡ください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
「扁桃炎を早く治す」ための近道は、自己流で我慢することではなく、早めに受診して原因を見極めてもらうことです。
ウイルス性・細菌性にかかわらず、安静・睡眠・水分・栄養・加湿といった基本的なケアを徹底することで、回復を助けることができます。
知恵袋や体験談は「人の経験」として参考になりますが、治療方針を決める決定打にはせず、医療機関の情報を優先してください。
繰り返す扁桃炎でお困りの方は、生活習慣・環境の見直しと、慢性扁桃炎・手術の選択肢について、耳鼻咽喉科で相談してみてください。
扁桃炎の「早く治す」とは何かを整理する
ウイルス性と細菌性で回復期間が違う
一口に「扁桃炎」といっても、原因によって治り方や必要な治療が変わります。主な原因は次の2つです。
ウイルス性扁桃炎:かぜウイルスなどによるもの
細菌性扁桃炎:主に溶連菌などの細菌によるもの
一般的には、ウイルス性は症状が比較的軽く、1週間前後でよくなることが多いとされています。一方、細菌性の場合は高熱や強い痛みが出やすく、適切な抗菌薬(抗生物質)治療を受けて10〜14日ほどかけて回復していくケースが多いとされています。
ただし、どちらかを自分で正確に見分けることは難しく、医師の診察と必要な検査(溶連菌の迅速検査など)で判断するのが基本です。
一般的な回復の目安日数と「長引いている」サイン
一般的な目安としては、次のように考えられます。
喉の強い痛み:3〜5日程度でピークを過ぎ、徐々に軽くなっていく
発熱:数日〜1週間程度で落ち着くことが多い
食事のしづらさ:痛みの軽減とともに、段階的に改善
一方で、以下のような場合は「長引いている」「悪化している」可能性があります。
高熱(38〜39℃台)が3日以上続く
水分がほとんどとれない・尿が極端に少ない
喉の片側だけが強く腫れて口が開けにくい、唾も飲み込めないほど痛い
息苦しさ、声の出しにくさ、よだれが多い など
このようなときは、我慢せずに耳鼻咽喉科や内科を早急に受診する、または救急相談窓口に連絡することが重要です。
「完治」よりもまず目指すべき「つらさが軽くなる」状態
「早く治す」と聞くと、1日で完全に元通りを期待してしまいがちですが、扁桃炎では現実的ではありません。
大切なのは、
高熱や激しい痛みが少しずつ落ち着いてきているか
水分や栄養がとれる状態まで回復しているか
という「つらさが軽くなる方向に進んでいるか」です。
そのために必要なのは、適切な診断・治療を受けることと、自宅での安静・水分・栄養・環境調整をしっかり行うことです。次の章から、具体的に整理していきます。
扁桃炎を早く治すために必ず押さえたい3つの基本
早めに受診して原因(ウイルス性か細菌性か)を見極める
検索キーワードに「知恵袋」と入れる方の多くは、
「病院に行かずに治った」という体験談を見て真似してよいのか?
という不安をお持ちです。実際、「病院に行かなくても大丈夫だった」というケースの多くは、たまたま軽いウイルス性で自然に良くなった可能性もあります。
しかし、細菌性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍など、放置すると重症化したり合併症につながるタイプもあります。
高熱(38℃以上)が出ている
喉の痛みが強く、飲食や会話がつらい
扁桃に白い膿のようなものがついている
このような場合は、早めに耳鼻咽喉科や内科を受診し、原因を見極めてもらうことが「早く治る」ための最短ルートです。
安静と睡眠で免疫を休ませる
扁桃炎の治療は、薬だけで完結するものではありません。どの医療機関の情報でも、安静と休養の重要性が繰り返し述べられています。
無理をして出勤・登校を続けない
できれば横になって静かに過ごす
スマホやパソコンの操作も、必要最低限にする
特に社会人の方は、「忙しいから」と仕事を優先してしまいがちですが、体力を消耗させると回復が遅れ、結果的に休む日数が増えることも少なくありません。
職場には、
医師からの診断書や意見があれば、それを共有する
「感染性の可能性があるため、○日頃まで在宅勤務で対応したい」など具体的に相談する
といった形で、早めに調整を依頼するほうが、結果としてトラブルが少ないケースが多いです。
水分と栄養のとり方:喉ごしの良い飲み物・食べ物の具体例
扁桃炎では、水分と栄養が不足すると回復が遅れます。
喉が痛くて飲食がつらいときは、次のような工夫をしてください。
飲み物
常温の水・麦茶
スポーツドリンクや経口補水液(糖分の摂りすぎに注意)
刺激の少ないスープ(コンソメ、ポタージュ)
食べ物
ゼリー飲料・プリン・ヨーグルト
アイスクリーム(冷たさで痛みが一時的に楽になる場合あり)
おかゆ・うどんなど、やわらかく喉ごしの良いもの
熱い飲み物・辛いもの・ザラザラしたもの・アルコール・タバコは喉を刺激し、悪化させる可能性があるため避けてください。
水分・栄養がどうしてもとれない場合は、脱水や悪化を防ぐためにも早めに医療機関で相談しましょう。
症状別・自宅でできる対処法
熱はあるが水分ややわらかい食事がとれる場合
このケースでは、以下を意識していただくとよいです。
処方された薬(抗菌薬・解熱鎮痛薬など)は指示通りに服用する
市販の解熱鎮痛薬を使う場合も、添付文書どおりの量と間隔を守る
こまめに水分をとる(「少量を頻回に」を意識)
部屋の湿度を保つ(加湿器・濡れタオル・マスクなど)
痛みが強いときは無理に固形物を食べようとせず、ゼリー飲料などに切り替える
食事がつらいときの栄養のとり方(ゼリー飲料・アイスなど)
食事がほとんど入らないときは、「食事」よりも「栄養補給」だと割り切るのも一つの考え方です。
エネルギー源:ゼリー飲料、スポーツドリンク、アイスクリームなど
たんぱく質:ヨーグルト、プリン、豆腐など
ビタミン類:果汁入りゼリー、薄めたフルーツジュース(刺激の少ないもの)
それでも水分さえほとんど入らない、尿がほとんど出ないという場合は、自宅だけでの対応は危険です。点滴での補液が必要になることもありますので、速やかに受診してください。
痛みを和らげる市販薬・うがい・のど飴の使い方
痛みを少しでも和らげるために、次のような方法があります。
市販の解熱鎮痛薬
成分としてはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどが一般的です。
持病・他の薬との飲み合わせ・妊娠中などの場合は、必ず薬剤師・医師に相談してください。
うがい
ぬるま湯+少量の食塩を溶かした「塩水うがい」は、喉の腫れをやわらげるのに役立つとされています。
医師から処方されたうがい薬がある場合は、指示通りに使用してください。
のど飴・トローチ
喉を潤す・痛みを一時的にまぎらわす目的で使用できますが、それだけで扁桃炎が治るわけではありません。
いずれも、「痛みを和らげる補助」であり、細菌性扁桃炎に対しては抗菌薬治療が重要である点は押さえておいてください。
子ども・妊娠中の方の場合に特に注意したいポイント
子ども
高熱でぐったりしている、機嫌が極端に悪い、水分がとれない場合は早急な受診が必要です。
解熱剤の種類や量は、大人と異なります。自己判断で大人用の薬を分けて飲ませることは避けてください。
妊娠中の方
使用できる薬が限られるため、市販薬を自己判断で使用するのではなく、必ず産婦人科または内科・耳鼻咽喉科で相談してください。
脱水や高熱が続くこと自体が負担となるため、我慢せず早めに受診しましょう。
こんな症状があれば早めの受診・救急相談を
耳鼻咽喉科受診の目安になる症状
次のような症状がある場合は、なるべく早めに耳鼻咽喉科(近くになければ内科)を受診してください。
38℃以上の発熱が2〜3日続いている
喉の痛みが強く、飲食や会話が難しい
扁桃に白い膿のようなものがついている
首のリンパ節が腫れて痛い
扁桃炎を何度も繰り返している
扁桃周囲膿瘍などを疑う「危険なサイン」
以下の症状がある場合は、扁桃周囲膿瘍など、より重い状態の可能性があります。
喉の片側だけが特に強く腫れている
口が大きく開けられない、顎のあたりが強く痛い
唾を飲み込むことすら難しく、よだれが多い
声がこもる、息苦しさを感じる
このような場合は、救急外来を含め、早急に医療機関へ。夜間や休日で迷う場合は、「#7119」などの救急相談窓口(地域により番号は異なります)で指示を仰いでください。
夜間・休日に迷ったときの相談先の考え方
まずはお住まいの自治体が案内している救急相談窓口の番号を確認し、電話で症状を伝える
かかりつけ医がいる場合は、翌営業日に受診できるかも含めて方針を相談する
「自分では判断できない」と感じたら、無理に我慢せず相談する
「こんなことで受診していいのかな?」と迷うくらいで相談するほうが、安全側の判断につながります。
知恵袋や体験談情報との上手な付き合い方
体験談が参考になる部分と、真似してはいけない部分
知恵袋やブログの体験談は、「どんな経過をたどったか」「どんな気持ちだったか」を知る材料としては役に立ちます。
しかし、次のような点では注意が必要です。
原因(ウイルス性か細菌性か)が検査で確認されていないことが多い
年齢・持病・体質などが自分と違う
実際には軽症だったケースが「重症だった」と語られていることもある
そのため、「誰かがこれで治ったから自分も同じようにすればよい」と単純に真似をすることは危険です。
「病院に行かずに治った」話が危険になりうる理由
「病院に行かずに治った」という体験談には、次のような落とし穴があります。
もともとウイルス性で、放っておいても自然に治るタイプだった可能性
実際には細菌性だが、たまたま重症化しなかっただけかもしれない
その人には合った方法が、別の人には危険になることもある
特に、細菌性扁桃炎で抗菌薬が必要な場合に治療が遅れると、扁桃周囲膿瘍や腎炎・リウマチ熱などの合併症リスクが指摘されています。
したがって、
「病院に行かずに治す方法」を探すのではなく、
「いつ・どこを受診すべきか」「受診までに自宅でできる安全なことは何か」
という視点で情報を活用することが大切です。
信頼できる医療情報サイトを選ぶポイント
医療情報を調べる際は、次のようなサイトを優先しましょう。
大学病院・総合病院・専門クリニックなど、医療機関が運営しているサイト
耳鼻咽喉科専門医が監修しているサイト
更新日や監修者名が明記されているサイト
治療法や薬について、メリットだけでなく注意点も書かれているサイト
逆に、
体験談のみで構成され、医学的な根拠が示されていない
「これだけで即日完治」「病院に行く必要はありません」など極端な表現が多い
といったサイトは、エンタメとして読むにとどめ、治療方針の判断には使わないようにしてください。
扁桃炎を繰り返さないための予防と生活習慣
喉を守る環境づくり(加湿・禁煙・マスクなど)
扁桃炎は、喉の粘膜のバリア機能が弱ったときに起こりやすくなります。
室内の湿度を40〜60%程度に保つ
加湿器、濡れタオル、室内干しなどを活用
乾燥した季節やホコリっぽい場所ではマスクを着用する
喫煙は喉の粘膜を直接傷つけるため、禁煙または本数を減らす
これらは、扁桃炎だけでなく、かぜ・インフルエンザ・新型コロナなどの予防にもつながります。
免疫を落とさない睡眠・食事・ストレス対策
繰り返し扁桃炎になる方の多くは、
慢性的な睡眠不足
不規則な食生活
強いストレス
といった要因を抱えていることが少なくありません。
チェックポイントの例:
平日の睡眠時間が6時間未満の日が続いていないか
夜遅い食事・アルコールが習慣化していないか
仕事・家庭のストレスを発散する時間が取れているか
すべてを完璧に変える必要はありませんが、
寝る時間を30分だけ早める
平日はアルコールを控える日を作る
週に1回は「何もしない休息日」を作る
といった小さな改善の積み重ねが、扁桃炎を繰り返さない体づくりにつながります。
慢性扁桃炎・手術を勧められたときの考え方
年に3〜4回以上、扁桃炎を繰り返す場合や、扁桃炎が原因で腎炎などを起こしたことがある場合には、扁桃摘出術(扁桃をとる手術)を勧められることがあります。
検討するときのポイント:
年間どれくらい扁桃炎で寝込んでいるか、仕事・生活への影響
手術のメリット(再発の減少など)とデメリット(入院期間、術後の痛みなど)
他に試せる生活習慣の改善や予防策がないか
わからない点や不安は、主治医に遠慮なく質問し、必要であればセカンドオピニオンも活用してください。