初めて御朱印巡りをされるか、すでに始めているものの「このままで失礼ではないか」と不安を感じておられるのではないでしょうか。
近年の御朱印ブームにより、神社仏閣の授与所が混雑する場面も増え、その分マナーに対する目も厳しくなっています。
「怒られた」「断られた」という体験談もネット上で目にするため、余計に慎重になってしまう方も多いはずです。
本記事では、御朱印そのもののマナーではなく、「御朱印帳」に焦点を当てて、やってはいけない事と、代わりにどう振る舞えばよいのかを整理してご説明いたします。
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まず押さえたい御朱印と御朱印帳の基本
御朱印とは何か?参拝の「証」という考え方
御朱印は、本来「この日、この寺社に参拝した」という証として頂くものです。神社庁や寺社の公式情報でも、御朱印は参拝の記念であり、スタンプラリーではないことが明示されています。
したがって、御朱印帳の扱いも「信仰の対象に対する敬意」を前提に考える必要があります。
御朱印帳の役割とノートとの違い
御朱印帳は、御朱印を丁寧に保管するための専用の帳面です。紙質や製本が御朱印向けに調整されており、墨や朱印が裏写りしにくいよう配慮されています。
一方、一般的なノートや手帳はそのような前提で作られていないため、後述のとおり「そこに御朱印を書いてほしいと頼むこと」は大きなマナー違反とされています。
神社とお寺で大きくは共通するマナー
細かな作法は神社とお寺で異なる場合がありますが、次の点はほぼ共通と考えて差し支えありません。
参拝を済ませてから御朱印を頂く
御朱印帳は自分で開き、書いてほしいページを示す
書いていただいている間は静かに待つ
初穂料・志は小銭を中心に、スムーズにお渡しする
この共通マナーの上に、「御朱印帳でやってはいけない事」が位置づけられます。
御朱印帳で「絶対にやってはいけない事」7選
1. 参拝もせず御朱印帳だけ差し出す
御朱印はあくまで参拝の証ですので、参拝をせずに御朱印帳だけ差し出すことは、多くの寺社で明確なマナー違反とされています。
代わりにすべきこと
先に参拝を済ませ、その後で御朱印をお願いする
事情により先に受付が必要な場合は、案内に従い必ず後から参拝する
2. ノートや手帳に書いてもらおうとする
「せっかくなら手帳にまとめたい」といった理由で、普通のノートやスケジュール帳に御朱印を書いてほしいと依頼する方もいますが、これは大きなマナー違反とされています。
代わりにすべきこと
御朱印帳を事前に用意する
どうしても手元にない場合は、御朱印帳を授与しているかを寺社で確認し、その場で購入する
3. 御朱印や御朱印帳を転売・代行目的で集める
御朱印は、あくまで個人の信仰と記念に基づく授与品であり、フリマアプリ等での転売はモラル違反と広く認識されています。また、明確な事情がないのに大量に代行で集める行為も好ましくありません。
代わりにすべきこと
御朱印は自分の参拝の記録として頂く
高齢や病気等で参拝が難しい家族の代理など、やむを得ない事情がある場合は、事前に寺社に可否を確認する
4. 記入中に大きな声で会話・飲食・スマホ操作をする
御朱印は、神職や僧侶が一文字一文字を丁寧にしたためてくださるものです。その前で大声で会話したり、飲食をしたり、スマホを操作し続けることは大変失礼に当たります。
代わりにすべきこと
記入中は静かに待ち、必要最低限の会話にとどめる
通話や長時間のスマホ操作は列から離れて行う
5. 汚れたまま・折れたままの御朱印帳をそのまま渡す
御朱印帳が少し汚れてしまうこと自体は珍しくありませんが、明らかに泥や飲み物が付着している、折れ曲がっている状態のままお渡しするのは失礼に当たります。
代わりにすべきこと
普段から御朱印帳袋やカバーを使用して、汚れや折れを防ぐ
汚れがひどい場合は新しい御朱印帳に切り替えることも検討する
6. 初穂料を高額紙幣だけで出して相手に負担をかける
御朱印の初穂料・志は、300〜500円程度が一般的とされています。その場で1万円札や5千円札しか出さないと、授与所の負担が大きくなります。
代わりにすべきこと
あらかじめ小銭や千円札を用意しておく
事前に金額が明示されている場合は、その金額ぴったりを準備する
7. 注意書きや受付時間を無視して御朱印を要求する
「受付時間外なのに窓をたたいて依頼する」「書き置きのみと明記されているのに直書きを強く求める」といった行為は、御朱印帳の扱い以前に態度としてNGです。
代わりにすべきこと
公式サイトや案内板で受付時間・対応可否を事前に確認する
書き置き対応など、寺社側の方針を尊重する
誤解されがちだけれど「判断が分かれること」
神社とお寺の御朱印を同じ御朱印帳に混ぜてよいか
一部では「神社とお寺を同じ御朱印帳に混ぜてはいけない」と言われますが、公式に絶対禁止としているかどうかは寺社によって異なります。神社用・寺院用で分けることを推奨する解説もあれば、実務上問題ないとする解説もあります。
実務的な目安
迷った場合は「神社用」「お寺用」で帳面を分ける
既に混在している御朱印帳を持参する場合は、授与所の案内に従う
御朱印帳の裏面を使うのは失礼かどうか
裏面を使うこと自体は、多くの寺社で問題ないとされています。ただし、紙質によっては墨が裏までしみ出している場合もあるため、その状態でさらに書いていただくのは避けるべきです。
実務的な目安
裏移りがないことを確認しつつ、裏面を使用する
裏面に影響が出るほどの裏移りがある場合は、新しい御朱印帳に切り替える
御朱印帳は何冊まで持って良い?分け方の考え方
複数の御朱印帳を持つこと自体は問題ありません。むしろ「神社用・寺院用」「地域別」「御城印用」など、用途別に分ける方が管理しやすいと紹介されることもあります。
御朱印帳に「やってはいけない貼り方・保管方法」
御朱印帳に記念スタンプ・御城印・シールを混在させるリスク
記念スタンプや御城印、イベントのシールなどを、御朱印帳に貼ったり押したりすることは多くの解説で控えるべきとされています。御朱印と性格の異なる印を混在させることで、本来の趣旨が曖昧になってしまうためです。
のり・テープで貼るタイプの御朱印の注意点
書き置きの御朱印を御朱印帳に貼る場合、強粘着のテープやのりを大量に使うと、紙が波打ったり隣のページに影響したりします。
おすすめの貼り方(例)
端を数か所だけ糊付けする
マスキングテープなど、はがしやすい素材を使用する
貼る位置をそろえて、後から見返しやすくする
直射日光・湿気・カビから御朱印帳を守るコツ
御朱印帳は紙でできているため、高温多湿や直射日光に弱い性質があります。長期間そのまま放置すると、変色・劣化・カビの原因になります。
保管のポイント
直射日光の当たらない、風通しの良い場所で保管する
長期間使わない御朱印帳は、不織布の袋などに入れておく
湿気の多い場所では除湿剤を併用する
シーン別|御朱印帳でやってはいけない事&代わりにすべき事
【購入前】最初の一冊を選ぶときの注意点
やってはいけない事
デザインだけで選び、サイズや紙質を全く確認しない
御朱印帳を持たずにノートで代用しようとする
代わりにすべきこと
持ち歩きやすいサイズ(文庫〜A5程度)か確認する
和紙の質や、開いたときの平らさを意識して選ぶ
【参拝前後】受付時間・順番待ちで気を付けたいこと
やってはいけない事
受付終了間際に駆け込み、「どうしても」と強く頼み込む
行列で大きな声で話し続ける
代わりにすべきこと
公式サイト等で受付時間を事前に確認する
混雑時は時間に余裕を持って参拝計画を立てる
【授与所】御朱印帳の正しい渡し方・受け取り方
基本の流れ
表紙を上に、書いてほしいページを開いて両手でお渡しする
初穂料をすぐ出せるよう用意しておく
書いていただいている間は静かに待つ
書き終わったら両手で受け取り、「ありがとうございます」と一言添える
初心者の不安を解消するQ&A
Q1. 御朱印帳を間違えて逆さまに渡してしまいました…
一度のミスで重大な失礼になることは少なく、多くの場合は丁寧に受け取っていただけます。気付いたらすぐに「失礼いたしました」と一言添えれば十分です。
Q2. 御朱印帳を途中で変えるタイミングは?
表面と裏面が埋まったとき
裏移りなどでこれ以上書いていただくのが難しくなったとき
大きく汚してしまい、これ以上お持ちするのが心苦しいと感じたとき
このようなタイミングで、感謝の気持ちを込めて新しい御朱印帳に切り替えるとよいでしょう。
Q3. 家族や友人の分も御朱印帳を預かってよいですか?
やむを得ない事情がある場合を除き、大量の代行取得は控えるべきとされています。1〜2冊程度であれば受け付けている寺社もありますが、方針は必ず現地の案内に従ってください。
御朱印帳でやってはいけない事チェックリスト
絶対NG行為チェック
参拝をせずに御朱印帳だけ差し出していないか
ノートや手帳に御朱印を書いてもらおうとしていないか
転売や収集目的だけで御朱印帳を扱っていないか
記入中に大声で会話・飲食・スマホ操作をしていないか
気を付けたいグレーゾーンチェック
神社とお寺の御朱印を分けるかどうか、自分なりの方針を決めているか
裏面を使う際、裏移りを確認しているか
記念スタンプ・御城印を御朱印帳と分けて管理しているか
今日からできる「御朱印帳の正しい使い方」
御朱印帳を清潔に保ち、カバーや袋で守る
受付時間・案内表示をよく確認してから行動する
迷ったときは「これをされたら自分はどう感じるか」を基準に考える