Cドライブがいっぱい。数GBの“謎の領域”を見つけて、削除ボタンに指が止まる——。
回復パーティションを消せば空きは増えますが、やり方を誤ると復元の切り札を手放すことに。
本記事は「消す前に何を準備するか」「どこを消してはいけないか」「消した後どう復活させるか」を、Windows/macOS別に実機ベースで解説します。
USB回復メディアの作成、diskpartの安全な使い方、WinREの再登録まで、迷わず進める手順書です。容量も安心も、両方取りにいきましょう。
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容量確保だけが目的なら、回復手段を先に2系統用意(USB+ネット/USB×2)できる人だけ削除へ。
Windowsは回復ドライブ作成→削除→reagentc /enableで再登録、macOSは原則削除せず、壊れたら上書きインストールorインターネット復元でOK。
OEM領域を残したい人は無理に触らないで。
次の一歩:①USB回復メディアを作って起動検証 ②大切なデータを二重バックアップ ③必要ならdiskpartで削除→C:拡張 ④WinREを有効化して最終チェック。
安心と空き容量、どちらも手に入れる——これが今回のゴールです。
Windowsの主なパーティション(一般的なUEFI構成)
EFIシステムパーティション(ESP):数百MB。ブートローダー(起動)用。消すと起動不能。
Windows(C:):OSとデータ本体。
回復パーティション(WinRE):数百MB〜1GB強。回復環境(修復・初期化)を収容。
OEM回復領域(メーカー依存):数GB〜数十GB。工場出荷状態へ戻すための独自イメージ。
名前が似ていますが、WinRE(Windows標準の回復)とOEM回復(メーカー初期化)は別物です。後者は消すとメーカーのF11等ショートカット復元が使えなくなることがあります。
macOSの復元環境(Recovery OS)
APFSのボリュームグループやリカバリ環境として一体化。ユーザーが明示的に削除する設計ではありません。
破損してもインターネット復元や上書きインストールで自動再構築されるのが基本。
回復パーティションを削除しても大丈夫?再作成と復旧メディアの作り方
USBの回復手段をもう持っている?
Windows:回復ドライブ(USB)+可能ならインストールUSB
macOS:Time Machine+起動用インストーラUSB
→ YESなら進める余地あり。NOなら先に必ず作成。
メーカーの工場出荷状態リカバリーを残したい?(再中古化・下取り・サポート要件)
→ 必要ならOEM領域は残す。ネット回線が安定?(クラウド回復/インターネット復元を使う可能性)
→ 不安ならローカルUSB必須。BitLockerや企業の管理ポリシー有り?
→ 事前にBitLocker一時停止/ITポリシー確認。勝手な変更はNG。
絶対やっておくバックアップと確認
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重要データは二重バックアップ(外付け+クラウドなど)。
作成したUSBから実際に起動確認(ブート画面まで)—これを省くといざという時に詰みます。
Windows:回復ドライブ(USB)
スタートで「回復ドライブ」検索→起動。
「システムファイルを回復ドライブにバックアップします」にチェック。
16GB以上のUSBを指定→作成。
作成後、USBブート確認(起動メニューからUSBを選び、WinRE画面まで表示)。
Windows:インストールUSB(あると強い)
Microsoft公式のMedia Creation Toolで作成。クリーンインストール/修復で活躍。
macOS:起動用インストーラUSB
App Store等から対象macOSを入手(/Applicationsに「Install macOS ○○.app」)。
16GB以上のUSBをフォーマット。
例(Sonoma):
sudo /Applications/Install\ macOS\ Sonoma.app/Contents/Resources/createinstallmedia –volume /Volumes/USB起動時に電源ボタン長押し(Appleシリコン)またはOption(⌥)(Intel)でUSBを選択→復元ユーティリティが出るか確認。
実作業:Windowsで回復パーティションを安全に削除
強調:ESPやC:を誤って触らないよう、番号とサイズの確認を3回。怪しい場合はやめる。
GUI派(簡単):ディスクの管理
Win+X→ ディスクの管理。未割り当てとの位置関係を確認。表示名が「回復」「OEM」等になっている小さな領域を特定。
右クリックで削除できる場合は削除。できない場合は
diskpartへ。
コマンド派(確実):diskpart
C:に結合(容量回収)
同じディスク上でC:の直後に未割り当てがあるなら「ディスクの管理」→C:右クリック→ボリュームの拡張。
未割り当てがC:の前方にある場合、標準GUIでは結合できないことがある(サードパーティのパーティションツールが必要なケース)。
消したあと:Windowsの回復環境(WinRE)を再作成・再登録
基本:reagentcで再有効化
ここで躓く典型パターンと対処
「有効化に失敗」:
C:末尾に1GB前後の未割り当てを作ってから再度
/enable(最近のWinREはサイズ要件がやや大きめ)。うまく行かない場合はインプレース修復(インストールUSBからセットアップ実行→個人用ファイルとアプリを引き継ぐ)で復活することが多い。
WinRE.wimが見つからない:C:\Windows\System32\Recoveryを確認。なければインプレース修復で補完。
位置を明示して登録したい場合(上級)
既存の別パーティションへ置くなら、
reagentc /setreimage /path R:\Recovery\WindowsREのようにパスを指定 →/enable。
※ 誤設定は起動時の回復メニューが使えなくなるため慎重に。
macOS:復元環境の再構築(壊れた・消えたと感じたら)
上書きインストール(ユーザーデータは保持される想定)
起動オプション → オプション(復旧) → 「macOSを再インストール」。
これで復元環境も再配置されるのが通常。
インターネット復元
Appleシリコン:電源長押し→オプション。
Intel:
Command + Option + R。
起動用インストーラUSBから起動→ディスクユーティリティでFirst Aid→再インストール。
APFSコンテナやボリューム構造は自動で整えられる設計。手動削除は基本非推奨。
ありがちトラブルと復旧ルート
起動不能になった
Windows:インストールUSBで起動→「コンピューターを修復する」→スタートアップ修復/ブート修復(
bootrec /fixboot等はUEFIでは制約あり、まずは自動修復)。macOS:インターネット復元→ディスクユーティリティ→First Aid→再インストール。
BitLockerが回復キーを要求
事前にBitLockerを一時停止していないと発生しがち。Microsoftアカウント/AD/Azure ADの回復キー保管を確認。
メーカーの工場出荷復元が使えない
OEM領域を消した結果。USBリカバリメディアをメーカー提供ツールで事前作成していれば回避できる。後からは入手が難しい場合あり。
C:に結合できない
未割り当てが前方にあるなど配置の問題。Windows標準では限界があるので、信頼できるパーティションツールで移動→拡張。