「南天はどの方角に植えてはいけないんだろう…」。
いざ庭や玄関まわりに南天を迎えようとすると、「鬼門がいい」「南や西はダメ」「そもそも方角は関係ない」など、サイトごとに言うことが違い、かえって不安になってしまう方が多いです。
本記事では、造園・外構の実務視点と、風水・家相の考え方の両方を整理しながら、「本当に避けるべきなのはどんな場所か」「ご自宅ではどこに植えるのが現実的で安心なのか」を、具体例とチェックポイント付きで分かりやすく解説いたします。
読み終えるころには、「うちの場合はここに南天を植えよう」と自信を持って決められる状態を目指します。
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「南天を植えてはいけない方角」は、共通の絶対的ルールとしては存在しません。
風水的には、鬼門(北東)・裏鬼門(南西)・玄関周りなどが吉とされることが多い一方、南・西を避けるべきとする流派もあります。
庭木としては、方角よりも「日当たり・風通し・土の状態」といった環境条件を優先し、その中で風水的な希望を織り込むのが現実的です。
ペットや小さな子ども、近隣との境界など、安全面と生活面のストレスを避ける配置を最優先にしてください。
方角がどうしても気になる場合は、まず鉢植えから始め、環境と方位のバランスを見ながら配置を調整する方法も有効です。
南天を植えてはいけない方角は「ない」
インターネットで調べると、「南天は南や西に植えてはいけない」「鬼門に植えるのは良くない」といった情報が見つかります。
一方で、「南天を植えてはいけない方角は存在しない。環境を優先すべき」とする記事もあり、内容が大きく食い違っているのが実情です。
結論としては、
絶対に植えてはいけないとされる方角は、共通見解としては存在しない
ただし、風水・家相の「流派」によって推奨・非推奨が異なる
庭木としては、方角よりも「日当たり・風通し・土」などの環境条件が重要
そのうえで、従来の風水的な考え方と、実際の庭づくりの観点を両立させながら、「ご自身の家にとってベストな植え場所」を考えていくことをおすすめいたします。
『NG方角がある』と言われる理由
「植えてはいけない方角」が語られる背景には、主に次のような事情があります。
風水上の五行バランスの考え方
一部の風水解説では、南天を「火」の性質を持つ木と捉え、同じく火の気が強い南や、金運に関わる西に植えるとバランスを崩すといった説明がなされています。「赤い実の木=鬼門NG」とする解釈
鬼門(北東)には「赤い実をつける木は避けるべき」として、南天もNGに含めて紹介している情報もあります。ただし、これは別の解釈では「赤い実で邪気を払う」として、むしろ推奨されてきた歴史もあるため、流派による違いが大きい部分です。キャッチーな見出しのために強く言い切っているケース
「植えてはいけない」と断定した方が注目を集めやすいため、根拠が薄くても強い表現を使っている記事も見受けられます。
このように、「NG方角」が語られている背景は一枚岩ではありません。
風水・家相の流派による違いを整理する
南天と方角の関係について、代表的な考え方を整理すると以下の通りです。
① 鬼門(北東)・裏鬼門(南西)に植えると大吉とする説
南天は「難を転じて福となす」とされ、鬼門(北東)や裏鬼門(南西)に植えることで、邪気の侵入口を守るとされる考え方です。② 南西(裏鬼門)や玄関まわりに配置することを推奨する説
鬼門ほど強くないが影響を受けやすい裏鬼門(南西)や、邪気が出入りすると考えられる玄関まわりを南天で守るというスタイルです。③ 「絶対NGな方角はなく、環境優先」とする園芸寄りの説
南天は日向〜半日陰でよく育ち、半日陰でも問題なく育つ丈夫な木であるため、育てやすさや見栄えを優先すべきとする考え方です。
本記事では、これらの考え方を踏まえたうえで、「基本的には環境優先。ただし希望があれば鬼門・裏鬼門を候補にする」という現実的な落としどころをご提案いたします。
風水で吉とされる南天の方角と場所
鬼門(北東)・裏鬼門(南西)に南天を植える意味
風水・家相でよく出てくる「鬼門」「裏鬼門」は、以下のような方角を指します。
鬼門:北東
裏鬼門:南西
南天は、古くからこの鬼門・裏鬼門に植えられてきた代表的な縁起木です。由来としては、
「南天」=「難を転じる」との語呂合わせ
冬に赤い実をつけ、邪気を払うと考えられてきた
日陰にも強く、北〜北東のやや暗い場所でも育つ特性がある
といった点が挙げられます。
そのため、「鬼門が気になるので何か植えたい」「裏鬼門が暗くて寂しいので、縁起の良い木で明るくしたい」という場合には、南天は非常に相性の良い選択肢となります。
玄関・門・トイレ周りにおすすめとされる理由
鬼門・裏鬼門以外では、次のような場所に南天を配置すると良いとされます。
玄関まわり・門柱のそば
玄関は人だけでなく「気」が出入りする場所とされる
南天の「難を転じる」力で、悪い気を外で受け止めるイメージ
勝手口や裏口の近く
人通りが少なく、防犯面や衛生面で気になりやすい場所を、南天で守る意味合い
トイレの近く(窓の外、外壁沿いなど)
トイレは汚れた気が溜まりやすいとされ、浄化の象徴として南天を置くという考え方
実際には、「人の出入りや汚れが気になりやすい場所」と重なることが多く、視覚的なアクセントとしても効果的です。
南・西などを避けるべきという説の背景
「南天は南や西に植えるべきではない」という説については、主に以下のような説明がされています。
西は金運・恋愛運を司る方角のため、そこに「難を転じる」性質の木を置くと運気が弱まるという解釈
南はもともと火の気が強い方角のため、火の性質を持つとされる南天を置くと、火の気が強まりすぎるという解釈
しかし、これらはあくまで一部の流派・解釈であり、科学的に検証されたものではありません。また、日当たりやデザインの観点から南や西側に植えている住宅も多く、必ずしも「不幸になる」「運気が下がる」といった実証があるわけではありません。
結論としては、南・西に植えたい場合でも、過度に恐れる必要はなく、心配であれば鉢植えにして柔軟に配置を調整するという考え方が現実的です。
実務で失敗しない「植え場所」の選び方
日当たり・風通し・土の条件から考える
南天は比較的丈夫で育てやすい木ですが、庭木としての基本条件を押さえておくと安心です。
日当たり
日向〜半日陰を好む
強い西日は葉焼けの原因になることがあるため要注意
土の状態
水はけの良い土を好む
雨水が溜まりやすい低い場所は根腐れのリスク
風通し
風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなる
「方角」を決める前に、まずは庭のどのエリアがこの条件を満たしているかを確認し、その候補の中から風水的な意味を考える、という順番で考えると失敗が少なくなります。
庭・玄関・駐車場まわり別の配置パターン
いくつか典型的なパターンをご紹介します。
パターンA:北東の角+玄関から見える位置
鬼門対策として北東の角に植えつつ、玄関からも赤い実が見えるように配置
見た目の華やかさと縁起の両立
パターンB:南西の裏鬼門+勝手口の近く
南西側の物置や勝手口周りに植え、裏鬼門対策と目隠しを兼ねる
パターンC:駐車場脇の半日陰スペース
コンクリートに囲まれて殺風景になりがちな駐車場脇に植え、季節感と縁起をプラス
ただし車のドアの開閉に干渉しない位置にする
パターンD:玄関アプローチの鉢植え
地植えスペースがない場合、鉢植えでアプローチの左右に配置
必要に応じて季節で場所を移動できる柔軟性がメリット
鉢植えで方角も環境も柔軟に調整する
「方角が気になるが、環境条件も妥協したくない」という場合におすすめなのが鉢植えです。
日照が強すぎる季節は、半日陰側に移動
鬼門・裏鬼門ラインに合わせて、季節ごとに置き場所を微調整
玄関周りの掃除やメンテナンス時も動かしやすい
南天は低木で比較的軽く、鉢植えにも向いているため、「どうしても方角が気になるなら、まずは鉢で試す」という選択肢も十分現実的です。
本当に「植えてはいけない」のはどんな場所か
ペット・小さな子どもがいる家の注意点
南天の実や葉には有毒成分が含まれるとされ、ペットや幼児が大量に摂取すると体調不良を起こす可能性が指摘されています。
犬や猫が普段から草木をかじる習性がある場合
小さな子どもが庭で遊ぶことが多い場合
には、
手の届きにくい位置に植える
落ちた実をこまめに掃除する
ベビーカー動線やドッグランの真横は避ける
など、安全面を重視した配置を心がけてください。
隣家・通路・共有部分とのトラブルを避ける
「植えてはいけない」と言えるのは、方角よりもむしろ周囲との関係を悪くするリスクが高い場所です。
落ちた実や葉が、隣家の敷地や共有通路に大量に落ちる位置
駐車場や玄関アプローチを汚しやすい位置
視界を遮って車の出し入れを危険にする位置
などは、風水以前に生活上のストレスの原因となります。
南天は実がよくつく反面、落果も多くなるため、「掃除のしやすさ」も十分考慮したうえで場所を決めることをおすすめいたします。
鬼門に避けたい木と南天の違い
鬼門に関する解説の中には、「鬼門に植えてはいけない木」として、
とげのある木
大きくなりすぎる木
枝が垂れ下がる木
管理が難しい木
などを挙げる記事があります。
南天は、
低木で大木になりにくい
樹形も比較的コンパクトに保ちやすい
日陰に強く管理しやすい
という特徴から、「鬼門向きの庭木」として紹介されるケースも多く、鬼門に避けたい大木などとは性質が大きく異なる点を押さえておくと安心です。
南天の基礎知識とお手入れポイント
南天の縁起・歴史・花言葉
南天は中国原産で、平安時代に日本に伝わったとされる常緑低木です。
名前の由来:
「南天」=「難を転じる」との語呂合わせ
「南天燭」「南天竹」とも呼ばれ、古くから縁起物として扱われてきた
縁起・効用:
魔除け・盗難除け・火災除けの象徴
正月飾りやおせち料理、赤飯などに葉や実が用いられる
花言葉:
「私の愛は増すばかり」「良き家庭」など、家庭運に関わる意味も持つ
このような背景から、「家族の厄を払い、家庭運を高める木」として、住宅の植栽に選ばれることが多い樹種です。
植え付け時期と日常の管理(剪定・肥料など)
基本的な育て方のポイントは以下の通りです。
植え付け時期:2〜4月頃の春、または気候の穏やかな秋(地域による)
水やり:
庭植え:根付いたあとは基本的に降雨のみで可
鉢植え:土の表面が乾いたらたっぷりと
肥料:
3〜4月頃に緩効性肥料を株元に施すと実付きが良くなる
剪定:
実が終わった頃〜春先にかけて、混み合った枝や古い枝を間引く
強剪定は避け、軽く透かすイメージで
丈夫な木ではありますが、放置すると樹形が乱れやすくなるため、年に一度は樹形を整えるつもりで剪定されるとよろしいです。
よくあるトラブルと対処法
実が付きにくい/実がならない
日当たり不足や肥料不足が原因のことが多い
周囲に別株がないと結実しづらい場合もあるため、複数株の植栽も検討
葉色が悪い・黄変する
強すぎる直射日光や西日、根詰まりが原因の可能性
鉢植えの場合は一回り大きな鉢に植え替える
病害虫の発生
風通しが悪いとカビ性の病気や害虫が付きやすい
枝を適度に透かして風が抜けるようにし、発生した部分は早めに剪定