ヨシタケシンスケさんの絵本は、「クスッと笑える」だけでなく、読んでいるうちにじわっと涙がこみ上げてくる作品が多いです。
とくに子育て中のママ・パパにとっては、子どもとの時間や、自分のこれまでの人生を振り返らせてくれる一冊になることが少なくありません。
本記事では、「ヨシタケシンスケ 絵本 泣ける」と検索された方に向けて、大人が本気で涙してしまう名作を中心に、作品の特徴・泣けるポイント・読み聞かせのコツまで整理してご紹介いたします。
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ヨシタケシンスケの絵本が「大人を泣かせる」3つの理由
日常の小さな出来事を「あとから泣ける記憶」に変えてくれる
ヨシタケさんの作品には、特別な出来事ではなく、毎日の生活のなかのささいな瞬間がたくさん登場します。
寝る前の「もう1回読んで」、帰り道の何気ない会話、子どもが何度も同じことを繰り返す姿など、親であれば見慣れた光景ばかりです。
しかし、作品のなかで切り取られたそれらの場面は、「いつか終わってしまう時間」であることを、静かに教えてくれます。読み進めるうちに、「あのときの子どもの表情」「自分がついイライラしてしまった瞬間」が思い出され、あとからじわりと涙につながっていくのが特徴です。
子ども目線と大人目線が同時に描かれている
多くの絵本は「子どものための物語」として作られますが、ヨシタケ作品は、子どもの気持ちと同時に大人の複雑な感情も丁寧に描かれています。
子どもが抱く「なんで?」「どうして?」という素朴な疑問に対して、大人側の「本当はこう考えているけれど、うまく伝えられない」というもどかしさがにじむ場面も少なくありません。
この“二重の視点”があるからこそ、読み聞かせをしている親自身が、自分の気持ちと向き合うきっかけになり、結果として「大人が泣ける絵本」になっていると言えます。
重いテーマもユーモラスに描き、読後に希望が残る
死・別れ・老い・失敗・コンプレックスなど、一見すると重くなりがちなテーマも、ヨシタケさんはユーモラスな発想とシンプルな線画でやわらかく見せてくれます。
読みながら涙が出てしまっても、「だからもうダメだ」という暗さでは終わりません。
「それでも大丈夫かもしれない」「こう考えれば少し楽になるかもしれない」と、読後に小さな希望が残るバランス感覚が、多くの読者から支持されている理由です。
まず読んでほしい|大人が泣けるヨシタケシンスケ絵本ベスト5
ここからは、「泣ける」という観点で、まず手に取っていただきたい5冊を取り上げます。
あらすじのネタバレは控えつつ、どんな方にどうおすすめできるかを中心にご紹介いたします。
『あんなに あんなに』|親子の時間が一気によみがえる1冊
テーマ:親子の時間・成長・「気づいたら終わっている」日常
おすすめ年齢:3歳ごろ〜大人
親子で過ごす日々のシーンが、「あんなに◯◯だったのに」というフレーズとともに次々と描かれていきます。内容自体はとても静かですが、ページをめくるごとに、読者自身の記憶が重なっていく構成です。
とくに、
赤ちゃん期から幼児期へと成長したお子さまがいる方
仕事と育児の両立に追われ、「今」を味わいきれていないと感じている方
に強く響きやすい一冊です。
読み聞かせの最中に、先に親が涙ぐんでしまうことも多いため、時間と心に少し余裕があるときに開くことをおすすめいたします。
『このあと どうしちゃおう』|「死ぬこと」が怖くなくなる優しい絵本
テーマ:死・人生・家族
おすすめ年齢:5歳ごろ〜大人
亡くなったおじいちゃんのノートをきっかけに、「死んだあとはどうなるのか?」という想像をユーモラスにふくらませていく物語です。
重いテーマではありますが、「こんな世界だったらいいな」という温かいアイデアがたくさん詰まっており、読み終わるころには「死」が少しだけ怖くなくなっている自分に気づきます。
身近な人やペットとの別れを経験したあと
親世代の老いを意識し始めたとき
に読むと、涙とともに心が少し軽くなる一冊です。
『メメンとモリ』|「生きること」と「別れ」をユーモラスに見つめる
テーマ:生と死・友だち・別れ
おすすめ年齢:小学校低学年〜大人
タイトル通り、「メメント・モリ(死を想え)」を連想させる本作は、重くなりがちなテーマを、ふたりのキャラクターの関係性を通じて軽やかに描きます。
どこか寂しさが漂う世界観のなかで、「限りがあるからこそ、今をどう過ごすか」が自然と問いかけられます。
忙しく日々をこなしている大人が、自分の時間の使い方を見直したくなるような作品です。
『みえるとか みえないとか』|違いを受け入れることの切なさと温かさ
テーマ:多様性・障がい・相互理解
おすすめ年齢:5歳ごろ〜大人
「見えること」「見えないこと」を切り口に、人と人との違い、分かり合えないこと、そしてそれでも一緒に生きていくことが描かれます。
思いやりや多様性について子どもと話したいとき
自分自身が「わかってもらえない」と感じているとき
に読むと、胸がきゅっとしながらも、最後には少し優しい気持ちになれる一冊です。
『それしか ないわけ ないでしょう』|行き詰まった心に“別の道”を見せてくれる
テーマ:選択肢・生き方・思い込み
おすすめ年齢:小学校低学年〜大人
「自分にはこれしかない」「こうするしかない」と思い詰めてしまう子どもに、大人が「実はほかにもたくさん道がある」と伝えようとする物語です。
子どものためのメッセージでありながら、
仕事や育児で行き詰まりを感じている大人
「もう手遅れかもしれない」と感じてしまう場面が多い方
の心にも強く響きます。
読み終えたあと、涙と一緒に「まだ大丈夫かもしれない」と思わせてくれる力のある一冊です。
シーン別おすすめ|こんなときに読みたい泣ける絵本
子どもが小さい今この瞬間を大切にしたくなったとき
『あんなに あんなに』
『もう ぬげない』など、幼児の日常を描いた作品
忙しさのあまり、「早く寝てほしい」「早く大きくなってほしい」と思ってしまうことは、どの親にもあります。
そんなときにこれらの作品を読むと、「この面倒くささごと、あとから必ず宝物になる」と気づかせてくれます。
家族や大切な人との別れ・病気に向き合うとき
『このあと どうしちゃおう』
『メメンとモリ』
死や別れに直面したとき、子どもにどう伝えたら良いか悩む方は多いです。
これらの作品は、「怖いもの」としてではなく、「みんながいつか迎えること」として、やさしくイメージを共有する助けになります。
自分を責めがちなママ・パパの心をゆるめたいとき
『それしか ないわけ ないでしょう』
『りゆうがあります』など、「完璧じゃなくて良い」と伝える作品
「ちゃんとしなきゃ」と頑張りすぎてしまう方ほど、これらの絵本を読むと涙がこぼれやすいです。
自分の中にある「ねばならない」を少し手放すきっかけとしても活用できます。
出産祝い・送別などプレゼントで贈りたいとき
出産祝い:『あんなに あんなに』
送別・転職祝い:『それしか ないわけ ないでしょう』
教育・保育関係者への贈り物:『みえるとか みえないとか』
プレゼントとして選ぶ際は、「あなたのこれからの時間が、たくさんの選択肢で満たされていますように」など、作品のメッセージに合わせた一言カードを添えると、より印象に残る贈り物になります。
年齢別・読み聞かせのポイント
2〜4歳ごろ|まずは絵を楽しみながら親が泣いても大丈夫
この年齢では、ストーリーの細かな意味よりも、絵や繰り返しの言葉を楽しんでいることが多い時期です。
『もう ぬげない』『あつかったら ぬげばいい』など、日常の一場面を描いた作品から始めるとよいでしょう。
親が涙ぐんでしまっても、「うれしくて泣いちゃったよ」と素直に伝えれば問題ありません。子どもは、「泣く=悲しい」だけでないことを自然に学んでいきます。
5〜7歳ごろ|「どう思った?」と気持ちを言葉にしてもらう
少しストーリーを理解できるようになってきたら、
「どの場面が好きだった?」
「もし自分だったらどうする?」
といった問いかけをしながら読むことがおすすめです。
『あんなに あんなに』『このあと どうしちゃおう』『みえるとか みえないとか』などは、この年齢から長く付き合える作品です。
小学校中学年〜大人だけで読むときのおすすめの読み方
大人だけで読む場合は、「一気に何冊も読む」のではなく、1冊をゆっくり味わう読み方が向いています。
読み終えたあとに、心に残ったフレーズや場面を書き留める
家族や友人と感想をシェアする
一定期間をおいて読み返し、そのときの自分の状態の違いを感じてみる
といった楽しみ方をすると、同じ作品でも毎回違う泣き方ができるはずです。
ヨシタケシンスケ作品をもっと楽しむための選び方ガイド
泣ける系とクスッと笑える系をバランスよくそろえる
ヨシタケシンスケさんには、今回ご紹介した「泣ける系」のほかに、『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』『つまんない つまんない』など、発想のおもしろさに特化した作品も多数あります。ウィキペディア+1
本棚のなかで、
泣きたいときに開く本
クスッと笑いたいときに開く本
をバランスよくそろえておくと、日々の気持ちに合わせて読み分けられるようになります。
公式サイト・受賞歴をチェックしてテーマで選ぶ
公式サイトや出版社サイトでは、作品ごとの紹介文や受賞歴がまとまっています。
死や別れを扱った作品
親子の時間をテーマにした作品
多様性・違いを扱った作品
など、テーマから選ぶことで、今の自分や贈りたい相手によりフィットした一冊を見つけやすくなります。
電子書籍・動画読み聞かせとの上手な付き合い方
最近は、電子書籍や出版社・図書館による動画読み聞かせも増えています。
まずは動画や試し読みで作品の雰囲気を知り、そのうえで「手元に置きたい」と感じた本を購入する、といった活用方法も有効です。
ただし、子どもと一緒にじっくり味わいたい作品は、紙の本でページをめくりながら読む体験も大切にしていただくことをおすすめいたします。
まとめ|涙が出るからこそ、今の自分と子どもを好きになれる
ヨシタケシンスケさんの絵本は、決して「泣かせるための本」ではありません。
しかし、ページを閉じたあとに静かにこみ上げてくる涙は、
子どもへの愛情
自分自身へのねぎらい
家族や友人への感謝
といった、ふだん言葉にできない気持ちの表れでもあります。
「最近、子どもにきつく当たってしまったな」と感じるときや、「自分なんて」と落ち込んでしまうときこそ、今回ご紹介した作品を一冊開いてみてください。
泣ける絵本は、弱さをさらけ出すためではなく、「泣いても大丈夫な自分」をそっと受け止めてくれる存在です。