メルカリで取引をしていると、「返品したい」と言われたときに、思わず「もうそのままあげます」と伝えたくなる場面は少なくないはずです。
少額商品で返品送料の方が高くついたり、再出品の手間を考えると、返品してもらうメリットがあまり感じられないこともあるでしょう。
しかし、「返品は不要です。そのままお使いください」という対応が、本当に規約上問題ないのか、アカウント停止などのリスクはないのか不安に思われる方も多いはずです。
この記事では、メルカリ公式ルールを踏まえながら、「そのままあげる」対応が許される場面と注意点、出品者・購入者それぞれの損を抑える判断基準、そしてそのまま使える丁寧なメッセージ例文までを、分かりやすく整理して解説いたします。
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「返品は不要・そのままあげる」対応は、双方の合意と正しいキャンセル・返金手続きがあれば、基本的には問題ありません。
ただし、
公式ヘルプに沿った返品・キャンセルフロー
取引メッセージ上での明確な合意
外部決済・外部連絡先への誘導を避ける
といったポイントを守ることが重要です。
出品者は、送料と商品代金を含めた損得を冷静に計算し、「そのままあげる」か返品してもらうかを判断しましょう。
購入者は、返金方法・キャンセル申請・メッセージ記録の3点を確認し、不安があればそのまま了承せずに質問・相談することが大切です。
メルカリで「返品は不要・そのままあげる」はアリ?
どんな場面で「そのままあげる」が使われるのか
メルカリの取引で、
「商品に不備があったので返品したいです」
「サイズが合わなかったので返しても良いですか?」
と購入者から連絡があり、出品者として次のように考える場面がよくあります。
送料を負担すると赤字になってしまう
返品されても再出品する手間を考えるとあまり意味がない
少額商品なので、返送してもらうより「そのままあげる」方が早い
このようなときに出てくるのが、
「返品は不要です。商品はそのままお使い(処分)ください」
という「そのままあげる」対応です。
結論:条件を守れば基本的にはOKだが、公式ルールに沿った手続きが必須
結論からお伝えすると、メルカリでは「返品は不要です。そのままあげます」という対応自体は、適切な手順と双方の合意があれば基本的には問題ありません。
ただし、次の点を押さえておく必要があります。
返品やキャンセルは、出品者・購入者の合意のうえで行う
原則として、取引完了(お互いの評価が終わった状態)になる前に対応する
キャンセルや返金は、メルカリのシステム上の手続きで行い、外部でのやり取りや送金は行わない
取引メッセージ上に「返品は不要」「商品は手元で処分してよい」といった合意の記録を残す
これらは、メルカリ公式ヘルプの「商品の返品手順」「届いた商品が説明文と違う/壊れている」「取引のキャンセル方法」などのガイドに沿った考え方です。
出品者/購入者それぞれにとってのメリット・デメリット
出品者側のメリット・デメリット
メリット
返品用の送料を負担しなくて済むケースがある
商品を送り返してもらう手間・時間を削減できる
誠実な対応として購入者からの印象が良くなる場合がある
デメリット
売上はキャンセルされ、商品も手元に戻らない(実質的に損失)
購入者側の受け止め方によっては「不審」と感じられる可能性がある
高額商品で安易に行うと、損失が大きくなる
購入者側のメリット・デメリット
メリット
返送の手間・送料負担が不要になることが多い
返金を受けたうえで商品を手元に残せるケースもある
デメリット
返金・キャンセルの手続きがきちんと行われるか不安に感じやすい
不審な出品者の場合、トラブルに発展する可能性もある
そのため、「そのままあげる」は双方の信頼関係と合意が前提であり、公式ルールに沿った手続き・記録が重要です。
メルカリ公式ルールから見る返品・キャンセルの基本
返品前に必ず確認すべき公式ルール(同意・評価前・メルカリ便不可など)
メルカリ公式ヘルプでは、返品に関して次のようなポイントが示されています。
出品者の同意なく、商品を返送してはいけない
取引完了後(受取評価後)は原則キャンセルできない
出品者が返品された商品を受け取ってから、取引キャンセルを行う
返品時はメルカリ便(匿名配送)は利用できない
返品時の配送方法・送料負担は出品者・購入者間で取り決める
今回のテーマである「そのままあげる」は、上記のうち
出品者が商品を受け取らずにキャンセルする
商品は購入者の手元に残す
という特別なケースと言えます。そのため、キャンセルと返金の手続きが適切かどうかが重要になります。
不良品・説明と違う商品が届いたときの公式推奨フロー
商品が説明と違う・壊れているなどの問題がある場合、メルカリは以下の流れを推奨しています。
受取評価を行わず、取引メッセージで商品状態と要望を出品者に伝える
お互いの要望を出し合い、解決方法(返品・一部返金・キャンセルなど)を話し合う
合意した方法にしたがって、返品・キャンセル手続きや一部返金手続きなどを進める
この「合意した解決方法」の一つとして、「そのままあげる」が選ばれるケースがあります。
「返品不可」「ノークレームノーリターン」記載が禁止される理由
一方で、メルカリでは
「返品不可」
「ノークレーム・ノーリターン」
「3N」
など、「商品に問題があっても返品に応じない」ことを示す記載は、禁止行為と明示されています。
これは、出品者の過失が明らかな場合にまで返品を拒むことは、購入者保護の観点から問題があるためです。
今回の「そのままあげる」は、むしろ返品・キャンセルに前向きな対応であり、この禁止事項とは逆方向の行為です。ただし、だからといって何をしても良いわけではなく、公式ルールを踏まえた正しい手順と、メッセージ上の明確な合意が必要です。
出品者目線:「そのままあげる」を選ぶかどうかの判断基準
『そのままあげる』を検討してよい代表的なケース
出品者として、「そのままあげる」を検討してよい典型的なケースは次のようなものです。
商品に明らかな不備があり、出品者側の責任が大きい
低単価の商品で、返品送料を負担すると赤字になる
商品の再販売が難しく(衛生用品・開封済みコスメなど)、受け取っても再利用しづらい
購入者に迷惑をかけたことへのお詫びとして、あえてそのまま差し上げたい
逆に、次のようなケースでは慎重な判断が必要です。
高額商品・ブランド品・真贋に関わる商品
商品に問題がなく、完全に購入者都合の返品依頼
相手の言い分に不自然さや悪意を感じるケース
高額品や真贋トラブルが絡む場合は、「そのままあげる」ではなく、公式ガイド通りの返品→キャンセルの流れで処理した方が安全です。
送料と商品代金から考える「損しないライン」の考え方
「そのままあげる」を検討するとき、多くの出品者が悩むのが損得のラインです。
シンプルに考えると、
返品してもらう場合の出品者負担額
= 元の送料(自分が支払った分)+返品送料(着払い負担の場合)「そのままあげる」場合の出品者負担額
= 商品原価+メルカリ手数料(キャンセルしない場合)
または
= 商品原価(キャンセルで売上がなくなる場合)
となります。
例えば、
販売価格 1,000円
仕入れ(または原価) 500円
発送送料 210円
返品送料(自分負担) 210円
のケースで、返品を受けると
原価500円+送料210円+返品送料210円=920円
となり、ほとんど利益が残りません。
一方、「返品不要・そのままあげる」を選択し、キャンセルして売上を0にすれば
損失は「原価500円+最初の送料210円=710円」
で確定します。
このように、返品送料を含めたトータル損失を比較して、「どちらがまだマシか」を冷静に判断することが重要です。
出品者から『返品不要・そのままあげます』と伝える例文
出品者側から「そのままあげる」提案をする場合は、誠意と手続きの明確さが伝わる文面が望ましいです。実務で使いやすい例文をいくつかご紹介します。
例文1:自分の不備が明らかな場合
このたびは、商品に不備がありご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
返送のお手間をおかけするのも心苦しいため、今回は【取引をキャンセルのうえ全額返金】とし、商品はそのままお手元で処分いただけますと幸いです。
こちらでキャンセル申請を行ってもよろしいでしょうか。
例文2:少額商品で返品送料が高くつく場合
商品の状態についてご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
今回の商品は金額が小さいこともあり、返品にかかる送料の方が大きくなってしまうため、【返品は不要】とさせていただければと考えております。
こちらでキャンセル申請を行い、全額返金いたしますので、商品はお手元で処分(ご使用)いただければ幸いです。いかがでしょうか。
例文3:購入者都合だが特別対応する場合
このたびはご連絡ありがとうございます。
本来、サイズ違いなどの理由ですと返品をお受けしないことも多いのですが、今回は特別対応として【返品不要・キャンセル】とさせていただきたく存じます。
こちらでキャンセル申請を行いますので、商品はそのままお手元でご自由にお使い(処分)ください。よろしければ、その旨ご返信いただけますと幸いです。
いずれも、キャンセル申請を行う前に相手の同意を取ることがポイントです。
購入者目線:「そのままあげます」と言われたときの対応ポイント
まず確認すべき3つのポイント(返金方法・キャンセル申請・メッセージ記録)
購入者として出品者から
「返品は不要です。このままキャンセルして、商品はそのままお使いください」
と言われた場合、次の3点を必ず確認してください。
返金の方法
クレジットカード支払いの場合:売上のキャンセルとしてカード会社経由で返金
メルペイ残高などの場合:残高への戻し
(いずれもメルカリのシステム上で行われます)
誰がキャンセル申請を行うか
多くのケースでは出品者側からキャンセル申請を行う
合意が取れたことをメッセージ上で確認しておく
取引メッセージに合意内容が残っているか
「返品は不要」「商品は破棄・使用してよい」「全額返金またはキャンセル」の3点が明示されているか確認
これらが明確になっていない場合は、あいまいなまま了承しないことが大切です。
不安なときにそのまま了承しない方がよいパターン
次のような場合は、「そのままあげる」の提案にすぐに乗らず、慎重に対応してください。
出品者が外部の連絡手段(LINE・メールなど)への誘導をしてくる
メルカリ上でのキャンセルではなく、「振込で返金する」など外部決済を提案してくる
言葉遣いが乱暴で、キャンセルを急かすようなメッセージが多い
こちらの質問にきちんと答えず、「とにかく評価してほしい」とだけ言う
このような場合は、メルカリ事務局への相談も検討してください。
角を立てずに質問・確認するときの例文
不安を感じたときは、次のような文面で冷静に確認するとよいでしょう。
例文1:キャンセル方法を確認したいとき
ご提案ありがとうございます。
念のため確認なのですが、返金はメルカリ上のキャンセル手続きとして行われる認識でよろしいでしょうか。
こちらとしては、メルカリのシステムを通じてキャンセル・返金していただければ安心ですので、その方法でお願いできれば幸いです。
例文2:記録を残したいとき
ご丁寧なご提案をありがとうございます。
今回は「返品は不要」で、「商品は手元で処分してよい」ということで理解しております。
そのうえで、【取引キャンセルと全額返金】を行っていただける認識で問題ないでしょうか。
間違いがないよう、こちらの認識に相違がないかだけご確認いただけますと幸いです。
ケース別フローチャート:返品する?そのままもらう?
商品不良・説明と違う場合の判断フロー
商品状態を確認する
説明にない傷・汚れがある
動作不良がある
サイズ・色が明らかに説明と違う
受取評価をせず、出品者に連絡する
状態の写真・動画を添えて、具体的に説明
希望を明確に伝える
返品して全額返金してほしい
一部返金でも構わない
商品は不要なので、キャンセルしたい
出品者からの提案を確認する
通常の返品→キャンセル
一部返金
返品不要・そのままあげる+キャンセル
「そのままあげる」が提案された場合でも、キャンセルと返金の手順が公式ルールに沿っているかを確認したうえで判断することが重要です。
購入者都合(サイズが合わない・イメージ違い)の場合の判断フロー
まず自分の都合であることを認識する
サイズが合わない
色味の印象が違った
思っていたデザインと違った
そのうえで、丁寧に相談する
あくまで出品者の善意に頼るスタンス
出品者の対応パターン
返品を受けてくれる(送料負担はケース次第)
一部返金で対応してくれる
今回に限り「そのままあげる」と言ってくれる
公式ルール上、購入者都合の返品は出品者に義務があるわけではありません。そのため、「そのままあげる」対応をしてもらえた場合は、善意として感謝を伝えることが大切です。
高額商品・ブランド品など慎重にすべきケース
高額なブランドバッグ・時計・アクセサリー
真贋に関わるトラブルが想定される商品
電化製品など安全性に関わるもの
これらの場合、安易に「そのままあげる」で済ませてしまうと、
後々トラブルが複雑化するリスクがあります。
返品してもらい、商品状態をしっかり確認する
必要に応じてメルカリ事務局に相談する
といった、より慎重な対応をおすすめいたします。
トラブル防止のチェックリスト&NG行動
取引メッセージで必ず残しておきたい内容
「そのままあげる」対応をする場合、次の内容を取引メッセージで明文化して残しておくと安心です。
どのような不具合・理由があったか
双方が合意した解決方法(例:返品不要・取引キャンセル・全額返金)
商品の扱い(例:手元で処分・そのまま使用してよい)
キャンセル申請を誰が行うか
これらが残っていれば、万が一トラブルになった場合でも、事務局が判断しやすくなります。
やってはいけないNG行動(外部決済・脅迫的な文言など)
次のような行動は、トラブルやアカウント制限のリスクが高く、避けるべきです。
メルカリ外での返金(銀行振込・他アプリ送金など)を提案・要求する
取引メッセージで脅すような表現を使う
「評価してくれないとキャンセルしない」「悪い評価をつける」などの圧力
公式ガイドと異なる方法で返品を強行する
公式ヘルプに沿った返品・キャンセル手続きと、冷静なコミュニケーションを心がけてください。
事務局に相談すべきタイミングの目安
次のような場合は、無理に当事者だけで解決しようとせず、メルカリ事務局への相談も検討してください。
相手が一切話し合いに応じない
外部でのやり取り・送金を執拗に求めてくる
脅迫的・侮辱的なメッセージが送られてくる
規約違反と思われる行為(返品拒否の明記など)がある
公式ヘルプには、こうした場合の問い合わせ窓口や手順も案内されていますので、必要に応じて確認してください。