「パソコンを買い替えたいけれど、データ移行が不安でなかなか踏み切れない」
そのように感じている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、旧PCから新しいWindows 11パソコンへ安全かつ確実にデータを移行するための手順を、できるだけ分かりやすく整理してご紹介します。
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「データ」「設定」「アプリ」は別々に考えると整理しやすい
作業前に、移行したいデータの洗い出しとチェックリストでの確認が重要
Windows 11では、Windows バックアップとOneDriveを組み合わせることで、多くのデータと設定を効率的に移行できる
写真・動画などの大容量データは、外付けHDD/SSDやLAN経由のコピーが現実的
メール・ブラウザ・アプリは、それぞれの公式手順に沿って移行することでトラブルを減らせる
移行後は、旧PCのデータ消去と安全な処分まで行うことで、情報漏えいリスクを抑えられる
まずは全体像を把握しよう ― Windows 11へのデータ移行とは?
「データ」「設定」「アプリ」は別物です
パソコンの「引っ越し」と一口に言っても、実際には次の3つの要素があります。
データ
文書ファイル(Word・Excelなど)
写真・動画
音楽データ
ダウンロードしたファイル など
設定
壁紙やテーマ
Wi-Fiの設定
一部アプリの設定
ブラウザのブックマーク・パスワード など
アプリ(ソフトウェア)
Office、年賀状ソフト、会計ソフトなどインストールが必要なもの
すべてが自動で新PCに移るわけではありません。
Windows 11の標準機能やクラウド同期で引き継げるものもあれば、手動でコピーしたり、アプリを再インストールしたりする必要があるものもあります。
主なデータ移行方法の種類
代表的な方法を一覧で整理すると、次のようになります。
| 方法 | 特徴・メリット | 向いている人 |
|---|---|---|
| Windows バックアップ+OneDrive | Windows 10/11標準+クラウドで比較的簡単 | Microsoftアカウントを使っている人 |
| 外付けHDD/SSD・USBメモリでの手動コピー | 汎用性が高く、どのPCでも利用可能 | メディアを持っている人 |
| LANケーブル・Wi-FiでのPC間コピー | 同一ネットワーク内で大量データをまとめて移行 | 自宅LAN環境がある人 |
| 専用データ移行ソフト(有料) | アプリや設定まで丸ごと移行できる製品もある | 予算があり、とにかく手間を減らしたい人 |
本記事では、Windows 11標準機能と外付けストレージを中心に、「誰でも再現しやすい方法」を解説していきます。
作業前に必ず確認したいこと
データ移行で一番多いトラブルは、「コピーし忘れ」です。
まずは、次のポイントを順番に確認していきましょう。
1. 移行したいデータを洗い出す
ドキュメント(「ドキュメント」フォルダー)
写真・動画(「ピクチャ」「ビデオ」フォルダー)
音楽(「ミュージック」フォルダー)
デスクトップに置いているファイル
ダウンロードフォルダー内の保存データ
メールソフトのデータ(Outlookなど)
ブラウザのブックマーク・パスワード
会計ソフトや年賀状ソフト、家計簿ソフトなどのデータ
クラウドサービスに保存しているデータの確認(OneDrive、Google ドライブなど)
2. ストレージ容量と環境を確認する
新しいWindows 11 PCの空き容量
外付けHDD/SSD、USBメモリなどの有無と空き容量
(写真・動画が多い場合は、1TBクラスの外付けHDD/SSDがあると安心です)インターネット回線の速度・通信量制限
(クラウド移行する場合、大量データのアップロードに時間と通信量がかかります)
3. アカウント情報を整理する
MicrosoftアカウントのID・パスワード
メールサービス(Gmail、Outlook.comなど)のアカウント情報
クラウドストレージやサブスクリプションサービスのログイン情報
4. 簡易チェックリスト
| チェック項目 | 完了 |
|---|---|
| 移行したいデータの種類をリストアップした | ☐ |
| 外付けストレージ(またはOneDrive等)の容量を確認した | ☐ |
| 新PCの空き容量を確認した | ☐ |
| Microsoftアカウントなど重要なID・パスワードを控えた | ☐ |
| 作業に使える時間(目安として半日程度)を確保した | ☐ |
一般的に、新PCの初期設定で1時間程度、データ移行に2時間以上かかることも多いとされていますので、時間に余裕を持って計画するのがおすすめです。
Windows 11標準機能を使ったデータ移行
ここでは、Windows 10/11の標準機能とクラウドを活用した移行方法を紹介します。
Windows バックアップ+OneDriveを活用する
Windows バックアップとは?
Windows 10およびWindows 11には、「Windows バックアップ」という機能があり、ファイルや多くの設定、および一部のアプリを新しいWindows 11 PCに転送することができます。
ポイントは以下のとおりです。
Microsoftアカウントでサインインして利用する
OneDriveと連携して、重要なファイルをクラウドに保存できる
新しいPCで同じアカウントにサインインすることで、設定などをまとめて復元できる
OneDriveでファイルをバックアップする
OneDriveは、Microsoftが提供するクラウドストレージサービスです。
無料枠として5GBまで利用できるため、文書や最重要ファイルだけであれば、追加料金なしで移行することも可能です。
旧PCでMicrosoftアカウントにサインインし、OneDriveを設定
「ドキュメント」「ピクチャ」など、重要なフォルダーをOneDrive同期対象に設定
ファイルのアップロードが完了するまで待つ
新PCで同じMicrosoftアカウントにサインイン
OneDriveから必要なファイルを同期・ダウンロード
写真や動画など容量が大きいデータは、外付けHDD/SSDとの併用を検討すると効率的です。
Windows バックアップから新PCへ復元する流れ(概要)
旧PCでWindows バックアップの設定を有効化し、バックアップを作成
新PCの初期設定時に、Microsoftアカウントでサインイン
セットアップ画面の案内に従い、「バックアップから復元」を選択
デスクトップや一部の設定、アプリが自動的に引き継がれる
詳細な画面構成はアップデートにより変わることがあるため、実行時にはMicrosoft公式の最新手順も合わせて確認すると安心です。
外付けストレージやネットワークを使った手動データ移行
Windowsの標準機能と並んで、もっとも汎用的で分かりやすいのが外付けストレージを使う方法です。
USBメモリ・外付けHDD/SSDを使う基本手順
多くのメーカー公式ページでも推奨されている方法で、USBメモリや外付けHDD/SSD、DVD/BDなどにデータをコピーして新PCに移行します。
手順の概要
メディアを用意する
移行したいデータの合計容量を確認し、それ以上の空き容量があるメディアを用意します。
旧PCからメディアへコピーする
「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「デスクトップ」など、必要なフォルダーをメディアにドラッグ&ドロップでコピーします。
新PCに接続してコピーする
メディアを新PCに接続し、任意のフォルダー(例:ユーザーフォルダー配下)へコピーします。
コピー時の注意点
デスクトップだけでなく、「ドキュメント」や「ピクチャ」など標準フォルダーも必ず確認する
コピー中にエラーが出た場合は、どのファイルで止まったかを確認し、そのファイルだけ再コピーする
大量の小さなファイルを一度にコピーするより、フォルダー単位で分けてコピーしたほうが安定しやすい
LANケーブルやWi-FiでPC同士をつないでコピーする方法
新旧のPCが同じネットワークに接続できる場合、有線LANやWi-Fi経由でファイル共有し、直接コピーする方法もあります。
旧PCで共有したいフォルダーを右クリックし、「プロパティ」→「共有」タブから共有を設定
新PCからエクスプローラーでネットワークを開き、旧PCを選択
共有されたフォルダーにアクセスし、必要なファイルをコピー
この方法は、外付けストレージを何度も抜き差しする必要がない一方で、ネットワーク設定に慣れていないと少しハードルが高く感じる場合があります。
メール・ブラウザ・アプリを漏れなく引き継ぐ
ファイルのコピーだけでは、環境のすべては引き継げません。
ここでは、見落としがちな「メール」「ブラウザ」「アプリ」の引き継ぎについて整理します。
メールソフト(Outlookなど)のデータ移行
IMAP型のメール(Gmail、Outlook.comなど)
サーバーにメールが保存されているため、新PCで同じアカウントを設定するだけでほとんどのメールが利用できます。ローカル保存型のメール
メールソフトが「エクスポート」機能を備えている場合、エクスポートファイル(例:.pst)を外付けストレージに保存し、新PCでインポートする流れになります。
ブラウザ(Edge/Chromeなど)のブックマーク・パスワード
Microsoft EdgeやGoogle Chromeなどは、アカウントでサインインして同期を有効にすることで、ブックマークやパスワードを新PCに引き継げます。
万が一に備え、ブックマークをHTMLファイルとしてエクスポートしておくとさらに安心です。
よく使うアプリのパターン別移行
クラウド連携型(例:OneNote、Dropboxアプリなど)
→ 新PCでインストールし、アカウントでサインインすれば、データは自動的に同期される場合が多いライセンス認証が必要なアプリ(Office、会計ソフトなど)
→ 旧PCでサインアウト・ライセンス解除が必要な場合があります。事前にライセンス規約を確認しておきましょう。ローカル保存型データを持つアプリ
→ アプリのマニュアルや公式サイトで「データのバックアップ方法」を確認し、指定のフォルダーをコピーします。
データ容量・スキル別|おすすめ移行パターン早見表
自分に合った方法を選ぶための目安として、次のようなパターンを参考にしてください。
| データ量・スキル | おすすめパターン |
|---|---|
| 〜50GB・初心者 | Windows バックアップ+OneDrive+USBメモリ(重要データのみクラウド+USBで二重保存) |
| 50〜200GB・一般ユーザー | 外付けHDD/SSDでの手動コピー+必要に応じてOneDriveで重要ファイルをバックアップ |
| 200GB〜・大容量・慣れた人 | 外付けHDD/SSD(またはNAS)中心。必要ならLAN経由コピーや専用ソフトも検討 |
「どの方法を選べばよいか迷う」場合は、外付けHDD/SSDを1台用意し、重要フォルダーをまとめてコピーする方法から検討すると分かりやすいです。
よくある失敗とトラブル対処
よくある失敗例
デスクトップのファイルだけコピーして、「ドキュメント」や「ピクチャ」を忘れてしまう
メールソフトのデータをバックアップせず、過去メールが見られなくなる
アプリのライセンス解除をせずに新PCで認証できなくなる
コピー中にエラーが出たが、そのまま作業を進めてしまう
トラブルが起きたときの基本的な考え方
バックアップが残っているか確認する
外付けストレージや旧PCにデータが残っていれば、多くの場合やり直しが可能です。どのファイル/フォルダーでエラーが出たかを特定する
問題のあるファイルだけ除外/再コピーすることで、多くのエラーは回避できます。メールやアプリは公式の手順を確認する
Outlookや各種アプリは、公式サイトにデータ移行・バックアップ手順が公開されていることが多いため、そちらも併せて確認すると安全です。
古いパソコンの安全な初期化・処分方法
データ移行が完了したら、古いPCの扱いも重要です。
単に「ゴミ箱を空にした」「初期化した」だけでは、専門的な手法を用いればデータが復元されてしまう可能性があります。
基本的な流れ
必要なデータが本当に新PCとバックアップに残っているか最終確認
メールやクラウド、アプリのサインアウト・ライセンス解除
Windowsの「このPCをリセット」機能などを使って初期化
必要に応じて、メーカーや専用ソフトによる上書き消去(データ消去ツール)を利用
メーカーの回収サービス、自治体のリサイクル、下取りサービスなどで処分
特にビジネスで使用していたPCの場合、個人情報や機密情報の漏えい防止のため、信頼できる方法でのデータ消去を強くおすすめします。