「電源を入れるとメーカーロゴやWindowsロゴは表示されるのに、その先に進まず起動しない……。」
このような症状は、Windows 10 / 11 のパソコンでよく相談されるトラブルの一つです。
本記事では、ロゴは出るのに起動しない 状態の原因と、データをできるだけ守りながら 安全に試せる対処手順を、レベル別に整理して解説します。
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「ロゴは出るのに起動しない」原因は、周辺機器の干渉・Windowsの不具合・ハードウェア故障・BIOS設定・電源トラブル など多岐にわたる
まずは
- 完全シャットダウンと放電
- 周辺機器をすべて外して起動
- Windowsの自動修復・スタートアップ修復・セーフモード
の順で、データに優しい対処から 試すのが基本
異音や異常発熱がある場合、あるいは何をしても改善しない場合は、無理をせず専門業者やメーカーサポートに相談する
まず確認したい「ロゴは出るのに起動しない」ときの状況整理
同じ「ロゴから進まない」でも、細かい症状が異なると原因や対処も変わります。最初に、次のポイントを確認してください。
どのロゴ画面で止まっているかを確認する
おおまかに、次の3パターンがあります。
メーカー(ブランド)ロゴで止まる
- 例:NEC、dynabook、富士通、Dell などのロゴ
- 多くの場合、ハードウェアやBIOS設定 に原因がある可能性が高いです。
Windowsロゴとくるくるマークで止まる
- Windowsのロゴと読み込み中のマークが出たまま進まない
- Windowsアップデートの失敗、システムファイル破損、ドライバー不具合 などが疑われます。
自動修復画面 → 再起動 → またロゴ、を繰り返す(自動修復ループ)
- Windowsの自動修復機能がうまく完了せず、ループしている状態です。
この記事では、これらすべてを総合的にカバーしますが、ご自身の症状に近いところを優先的に読んでください。
音・ランプ・メッセージからわかること
次の点も合わせて確認しておくと、原因の絞り込みに役立ちます。
- ファンの音はするか
- HDD/SSDから「カチカチ」「カリカリ」といった異音がするか
- 本体やアダプタが異常に熱くなっていないか
- 画面にエラーコードや「自動修復を準備しています」などのメッセージが出ていないか
HDD/SSDから異音がする場合や、焦げたような匂いがする場合は、すぐに電源を切り、それ以上の自己対応は避けてください。
(後半で解説する「業者に相談すべきケース」に該当します)
よくある原因5パターン
ロゴは出るのに起動しないケースで、よく見られる原因は次の5つです。
1. 周辺機器・外付けメディアがブートを妨げている
USBメモリ、外付けHDD/SSD、DVDなどが接続された状態で起動すると、PCが誤ってそれらのデバイスから起動しようとして止まる 場合があります。
メーカーのFAQでも、まず「メディアや周辺機器を外して起動する」ことが推奨されています。
2. Windowsアップデート失敗やシステムファイルの破損
Windows更新中の強制終了や、突然の電源断があると、起動に必要なシステムファイルが壊れる ことがあります。
この場合、Windowsロゴのあとに進まない、あるいは自動修復が繰り返されるといった症状が出ます。
3. HDD/SSDやメモリなどハードウェアの不具合
- 経年劣化や衝撃によるHDD/SSDの故障
- メモリの接触不良や故障
これらが起きると、ロゴ画面までは進むものの、その先の読み込みに失敗して止まる ことがあります。
4. BIOS/UEFI設定ミスやCMOS電池の劣化
- ブート順の設定が誤っている
- セキュアブートやレガシーブート設定の不整合
- CMOS電池切れによる設定リセットやエラー
などによって、起動デバイスが正しく選ばれず、ロゴから先に進まないことがあります。
5. その他(電源トラブル・熱暴走 など)
電源ユニットやACアダプタの不具合、内部の温度上昇(ホコリ詰まり)などによって、起動途中で停止してしまうケースもあります。
【レベル1】初心者でもできる安全な基本対処
ここからはレベル別に対処方法を紹介します。
まずは、データに負担をかけない安全な基本対処 から順に試してください。
完全シャットダウンと放電(電源リセット)の手順
- 電源ボタンを長押しして、PCの電源を完全に切る(5〜10秒ほど)
- ACアダプタや電源ケーブルを抜く
- ノートPCの場合、可能であればバッテリーも取り外す
- 電源ボタンを10〜15秒ほど長押しする(内部にたまった電気を放電)
- ケーブル・バッテリーを元に戻し、もう一度電源を入れて起動を試す
放電(ハードリセット)は、軽い電気的な不具合をリセットする基本手順 として、多くのメーカーやサポートが案内しています。
周辺機器・増設機器をすべて外して起動してみる
以下のような機器は、一度すべて外してから起動を試してください。
- USBメモリ、外付けHDD/SSD、外付け光学ドライブ
- プリンタ、スキャナ、ゲームコントローラ
- 外付けディスプレイ(可能なら外した状態でも試す)
キーボードとマウス以外はすべて外す くらいのイメージで問題ありません。
これで起動する場合、外していた周辺機器のどれかが原因の可能性があります。
しばらく待つべきケース/待ってはいけないケース
- 待った方が良いケース
- Windowsアップデート直後で、「更新プログラムを構成しています」などのメッセージが出ている
- くるくるマークが動いており、ディスクアクセスランプも点滅している
→ この場合、1時間程度は電源を切らず様子を見る 方が安全です。
- 待ってはいけないケース
- ディスクから「カチカチ」「ギー」という異音がする
- 同じエラー画面と再起動をひたすら繰り返している
- 明らかに焦げた匂いや異常な熱がある
→ 速やかに電源を切り、これ以上の自己対応は避けてください。
データ復旧業者またはメーカーサポートへの相談を検討すべき状態です。
【レベル2】Windowsの機能を使った復旧手順
レベル1で改善しない場合は、Windowsの回復機能を使ってトラブル解消を試みます。
自動修復・スタートアップ修復を実行する
ロゴ画面付近で起動が止まる状態では、電源ボタン長押しによる強制終了を数回繰り返すと、Windowsの自動修復(回復環境)が起動する ことがあります。
- 電源ボタンを長押ししてシャットダウン
- 再度電源を入れる
- ロゴ画面または読み込み中に、再び長押しでシャットダウン
- これを2〜3回繰り返すと、「自動修復を準備しています」→「自動修復」画面が出ることが多い
その後、「詳細オプション」から以下を試します。
- 「スタートアップ修復」:起動関連の問題を自動で修復
- 「システムの復元」:トラブル発生前の復元ポイントへ戻す
※システムの復元は、アプリのインストール状況などが巻き戻される 可能性がある点に注意してください。
セーフモードで起動して最近の変更を元に戻す
セーフモードとは、必要最小限の機能だけでWindowsを起動するモードです。
- 自動修復画面 → 「詳細オプション」
- 「トラブルシューティング」 → 「詳細オプション」 → 「スタートアップ設定」
- 「再起動」をクリック
- 再起動後に表示されるメニューで「4」または「F4」を押してセーフモードを選択
セーフモードで起動できた場合は、次のような対策を行います。
- 最近インストールしたソフトやドライバーをアンインストール
- 大型のWindows更新直後であれば、更新プログラムの削除を検討
- ウイルス対策ソフトなど、常駐ソフトを一時的に無効化・アンインストール
システムの復元でトラブル前の状態に戻す
自動修復画面やセーフモードから「システムの復元」を選択することで、復元ポイントが作成されている場合は、トラブル発生前の状態に戻す ことができます。
- ユーザーデータ(ドキュメントや写真)は通常そのまま残りますが、アプリやドライバーは復元ポイント作成時点の状態に戻ります。
- 復元ポイントがない場合、この方法は利用できません。
【レベル3】上級者向けの確認ポイント
ここからは、ある程度PCに慣れている方や、自己責任での操作に慣れている方向けです。
自信がない場合は無理をせず、レベル2までで一度止めてください。
BIOS/UEFIでブート順と初期化を確認する
- 電源投入直後に、画面下部に表示される「F2」「Delete」「F12」などのキーを連打してBIOS/UEFI設定画面に入る
- 「Boot」や「起動」メニューを開き、起動順位の1番目が内蔵HDD/SSDになっているか確認
- 不明な設定をいじるのではなく、「Load Setup Defaults」「Load Optimized Defaults」などの初期値読込メニューがあれば、それを実行
- 保存して再起動(Save & Exit)
注意:BIOS設定を誤って変更すると、かえって起動できなくなることもあります。
わからない項目には触らない、写真を撮って元の状態を残しておくなど、慎重に進めてください。
別PC・回復ドライブからHDD/SSDの状態をチェックする
- 物理的にHDD/SSDを取り外し、別のPCにUSB接続して中身が読めるか確認する
- Windowsの回復ドライブやインストールメディアから起動し、コマンドプロンプトで
chkdsk等を使ってチェックする
ただし、異音がするディスクに対しての診断やチェックディスクの実行は、データを悪化させる可能性があります。
業務データや思い出の写真など、失いたくないデータがある場合は、むやみに自己診断を進めず、データ復旧の専門家に相談した方が安全です。
絶対に注意したいこと・やってはいけないこと
ここで、特に注意していただきたいポイントを整理します。
初期化・再インストール前に必ず確認したいポイント
「このPCを初期状態に戻す」「Windowsを再インストールする」といった操作は、環境によってはユーザーデータを完全に消去する 場合があります。
初期化や再インストールを行う前に、必ず次を確認してください。
- ドキュメント・写真・仕事のデータはバックアップ済みか
- OneDriveやGoogle Driveなどクラウドに保存されているか
- 保存先が暗号化(BitLockerなど)されていないか、その復旧キーを控えているか
バックアップできない状況での初期化は、最後の最後の手段 と考えるべきです。
HDD/SSDの異音・発熱があるときのNG行動
- 何度も電源オン/オフを繰り返す
- 叩いたり揺らしたりして起動を試みる
- フリーソフト等で過度な「修復」「最適化」をかける
これらは、物理的に弱っているディスクにさらに負荷をかけ、データを読み出せなくするリスク を高めます。
このような症状があれば、自力での復旧はすぐに中止し、専門業者に相談することをおすすめします。
自力での復旧が難しいケースと、業者に相談すべきタイミング
次のような場合は、無理に自力で対応せず、早めにプロへ相談した方が結果的に安心で、コストも抑えられることが多いです。
すぐに専門業者へ相談した方が良い症状
- HDD/SSDから異音がする、または認識されたりされなかったりを繰り返す
- BIOS画面上でそもそも内蔵ディスクが認識されていない
- 電源投入直後から再起動を延々と繰り返す
- 重要な業務データ・顧客情報・思い出のデータなど、絶対に失いたくないデータが入っている
このような場合、自己診断を繰り返すほど状態が悪化する可能性 があるため、早期の相談が望ましいです。
相談前にメモしておくと良い情報
業者やメーカーサポートに相談する際は、次の情報をあらかじめ整理しておくとスムーズです。
- PCのメーカー名・型番
- 購入時期・保証期間の有無
- 症状が出始めたタイミング(Windowsアップデート後/落下後など)
- これまでに自分で試した対処(再起動・放電・修復など)
- 重要なデータの有無と、おおよその容量