ゲーム配信やSNSを見ていると、
「この構成が今のメタだよね」
「そのデッキで環境をメタる」
といった言い回しをよく目にするようになりました。
何となく「強い」「対策している」という雰囲気は伝わるものの、
正確な意味や使い分けまでは自信がない、という方も多いのではないでしょうか。
ここではまず、「メタ」「メタる」という言葉の根っこにあるイメージから整理していきます。
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メタ』『メタる』の基本的な意味を整理
もともとの「メタ」の意味(高次・超えて)
「メタ(meta)」は、もともとギリシャ語・英語の接頭語で、
「高次の」「〜を超えた」「一段上のレベルから見た」といった意味を持ちます。
例として、次のような言葉があります。
メタ認知:自分の考え方や感情を、一歩引いたところから客観的に認識すること
メタ言語:言語そのものについて説明するときに使う言語
メタデータ:データについて説明するためのデータ
いずれも、「対象そのもの」ではなく、
その対象を外側・上位の視点から扱うイメージです。
この「一段上から見る」「俯瞰する」というニュアンスは、
ゲームやネットスラングで使われる「メタ」にも共通しています。
ゲーム用語としての「メタ」「メタる」
ゲームの文脈で使われる「メタ」「メタる」は、概ね次のような意味です。
メタゲーム:
実際の試合が始まる前から行われている「環境の読み合い」や「流行への対策」メタ(名詞):
そのゲームにおける「環境」「主流の戦術・構成」「流行のスタイル」メタる(動詞):
流行しているデッキ・キャラ・構成などに対して、有利を取れるようあらかじめ対策すること
つまり「メタる」とは、
「今の環境や相手を読んで、事前に有利になるよう工夫する」
という行為を指すのが基本だと考えてください。
ゲーム・eスポーツで使う「メタ」「メタる」の具体例
ここからは、実際にどのような場面で「メタ」「メタる」が使われるのか、
ゲームジャンルごとにイメージしやすい例を紹介します。
カードゲームにおける「メタる」のイメージ
トレーディングカードゲーム(TCG)の大会では、
その時期ごとに「勝ちやすいデッキ」「使用者が多いデッキ」が存在します。
これがいわゆる「環境デッキ」「トップメタ」です。
トップメタ:環境で最も強い、または使用者が多いとされるデッキ
環境メタ:環境全体を意識して、主流デッキ群に強く出られる構成を取ること
対人メタ:特定のプレイヤーや、よく当たる相手だけを狙い撃ちする対策
会話のイメージは次のとおりです。
A「今の環境、◯◯デッキがトップメタだよね」
B「だから、それをメタるために△△を多めに入れたデッキで出るつもり」
この場合、Bさんは「◯◯デッキ」に有利が取れるよう、
あらかじめカード構成を調整しています。
このような「流行や相手を想定した事前の対策」を「メタる」と呼びます。
対戦ゲーム・eスポーツでの「メタ」「トップメタ」
MOBA、FPS、格闘ゲームなどの対戦ゲーム・eスポーツでも、
「メタ」「トップメタ」という言葉が頻繁に使われます。
例えば、次のような流れです。
アップデートであるキャラが強化され、使用率が一気に上がる
そのキャラに強いキャラや構成が研究され、注目される
さらにその構成を対策する新しい構成が発見される
このように、
「流行」と「その対策」が入れ替わりつつ回っていく様子を、
「メタが回る」「メタが変わった」などと表現します。
会話例:
A「最近は○○構成がメタだよね」
B「じゃあ、その構成をメタるために序盤から圧をかけられる編成で行こう」
ここでも「メタる」は、
今の主流構成を想定したうえで、有利になれるピック・構成を選ぶこと
を意味しています。
スマホゲーム・ソシャゲでの「メタキャラ」
スマホゲームやソーシャルゲームでも、「メタキャラ」という言い方をします。
あるぶっ壊れキャラを止めるために設計されたキャラ
特定の高難度コンテンツやギミック対策として実装されたキャラ
このようなキャラが「◯◯に対するメタキャラ」と呼ばれます。
例:
「この新キャラ、前シーズンの最強キャラを完全にメタってる性能だね」
ここでも、
「何かに対する対策として機能する存在」=メタ
という理解で問題ありません。
ネットスラングとしての「メタい」「メタ発言」
次に、「メタる」とは少し方向性の違う、
ネットスラングとしての「メタ」の使い方を見ていきます。
メタ発言・メタフィクションとは
アニメ・漫画・ゲームなどのフィクション作品の中で、
登場人物が「作者」や「読者」「視聴者」の存在に触れる
物語世界の外側(現実世界・制作事情など)についてコメントする
といった表現を、「メタ発言」や「メタフィクション」と呼びます。
典型例としては、次のようなものがあります。
キャラクターが「ここで◯ボタンを押してね!」とプレイヤーに直接話しかける
「作者の都合で今日はここまでらしい」と登場人物が口にする
「この作品、視聴率大丈夫かな?」と作中でテレビの裏側に触れる
いずれも、作中世界より一段上のレイヤー(作者・視聴者・現実)に言及しているため、
「メタな発言=メタ発言」と表現されます。
アニメ・漫画・ゲームの「メタい」演出例
「メタい」という形容は、上記のようなメタ発言・演出を評価するときに使います。
「このシーン、かなりメタいな」
「このアニメ、メタいネタが多くて好き」
視聴者から見ると、
作品が自分自身や現実世界をネタにしている
ように見えることが、「メタい」と感じられるポイントです。
一方で、世界観や没入感を大切にするタイプの作品では、
メタい演出が多すぎると「しらける」「雰囲気が壊れる」と感じられることもあり、
使いどころが難しい技法でもあります。
「メタる」と「メタい」はどう違う?
ここまでを整理すると、両者の違いは次のとおりです。
メタる(ゲーム用語)
環境や相手の流行を読み、有利になるよう事前に対策すること
カードゲームや対戦ゲームなど、競技性のある場面で多用される
メタい(ネットスラング)
作品が自分自身や視聴者、現実世界を意識しているように見える表現
アニメ・漫画・ゲーム作品の演出について語るときに使う
どちらも共通して、
「一段上の視点から対象を見る・扱う」
という「メタ」本来のイメージを持っていますが、
使われる場面とニュアンスはしっかり分けておく必要があります。
日常会話・ビジネスでの「メタ」の使われ方
「メタ」はゲームやオタク文化だけではなく、
ビジネスや心理学の文脈でも広く使われています。
メタ認知・メタ視点の意味
メタ認知とは、
自分の考え方や感情、行動を一歩引いた位置から客観的に眺めることです。
「自分はいま焦っていて冷静に判断できていないな」
「この問題を難しく考えすぎているかもしれない」
といった気づきは、メタ認知の典型例です。
同じように、会議やディスカッションで
「もう少しメタな視点で考えてみましょう」
と言われることがあります。
これは、
今議論している個別の施策だけでなく、そもそもの目的は何か
プロジェクト全体の構造や前提に問題はないか
といった、より高いレベルから全体を見直してみよう、という意味です。
仕事で「メタに考える」とはどういうことか
ビジネスシーンでの「メタに考える」は、例えば次のような行動にあたります。
個々のタスクの効率化ではなく、仕事のプロセス全体の設計を見直す
会議の内容だけでなく、「会議の進め方」そのものを振り返る
「そもそもこの前提は正しいのか」と一歩引いて疑ってみる
ゲームにおける「環境全体を俯瞰して読む」イメージと、
基本的な発想は共通していると言えます。
ゲーム由来の「メタる」はビジネスで使うべき?
一方で、ゲーム由来のスラングとしての「メタる」を、
ビジネスの場でそのまま使うかどうかは注意が必要です。
「この施策は競合をメタるためのプランです」
といった表現は、ゲーム文化に馴染みのある相手には伝わりますが、
そうでない相手には意味が伝わりにくかったり、砕けすぎて感じられたりします。
特に次のような場面では、別の表現に言い換えることをおすすめします。
年齢層が高いメンバーが多い会議
取引先・上司に向けた公式なプレゼン資料
かしこまったビジネスメール・文書
その場合は、
「競合の主力商品を意識した対策です」
「市場のトレンドを踏まえた上での施策です」
といった、より一般的な表現に置き換えると良いでしょう。
「メタる」を自然に使うためのポイントと注意点
最後に、「メタ」「メタる」「メタい」といった言葉を、
実際に使う際のコツと注意点をまとめます。
よくある誤解・誤用
「ただの攻略」全般を『メタる』と言ってしまう
単に強いキャラ・強いデッキを使うだけでは「メタる」とは限りません。
「流行や相手を想定し、その対策として選んでいるかどうか」がポイントです。
個人攻撃のように受け取られる言い方
「あいつをメタるためだけの構成組んできた」
といった言い方は、人によっては不快に感じることがあります。公の場では「◯◯系のデッキに強い構成にした」など、個人名を出さない表現が無難です。
作品への過度な『メタい』要求
どんな作品に対しても「もっとメタいほうが面白い」と連呼すると、
世界観や雰囲気を重視するファンとは感覚がずれてしまう可能性があります。
どんな場面なら『メタ』を使っても違和感がないか
「メタ」「メタる」を積極的に使ってよい場面の目安は、次のようなシチュエーションです。
ゲーム仲間とのボイスチャット・テキストチャット
カードゲーム・対戦ゲームのオフ会・大会
eスポーツ配信やゲーム実況のコメント欄・SNS
ゲーム攻略記事・解説動画の中
一方で、使用を控えた方がよい、もしくは慎重に使うべきなのは、
仕事の公式な会議・商談
ゲーム文化になじみの薄い相手との会話
年齢差・文化差が大きいメンバーが混ざっている場
といった場面です。
そのまま使える例文集
最後に、実際の会話やチャットでそのまま使える例文を挙げます。
ゲームチャット例
「今の環境、〇〇がトップメタだから、それをメタる構成で行こう」
「あのデッキ増えてきたし、サイドに対策カード入れてメタっておきたいね」
SNS投稿例
「アップデート後のランクマ、完全に△△構成がメタってる感じする」
「新キャラ、前シーズンの最強キャラを意識したメタ性能だな〜」
作品レビュー例
「このアニメ、登場人物のメタ発言が多くてめちゃくちゃメタい」
「ラストのメタい演出で、作品全体の印象が一気に変わった」
まとめ|『メタ』を理解するとゲームも会話ももっと楽しくなる
ここまで、「メタ」「メタる」「メタい」「メタ発言」など、
似ているようで少しずつ意味の異なる用語を整理してきました。
もともとの「メタ」は「高次の」「〜を超えた」という意味を持つ
ゲームでの「メタ」「メタる」は、環境や相手を読んで事前に対策すること
「メタい」「メタ発言」は、作品が自分自身や現実世界を意識しているような演出を指す
というイメージを押さえておけば、多くの場面で戸惑うことはありません。
「メタ」を理解しておくことで、
ゲーム実況・大会解説の意図がよりクリアに伝わる
アニメ・漫画・ゲーム作品のメタ的な仕掛けを深く味わえる
オンラインでの会話や投稿でも、自信を持って使いこなせる
といったメリットがあります。
本記事を参考に、「メタ」「メタる」「メタい」といった言葉を、
ご自身のゲームライフやSNSで、状況に応じて自然に使い分けてみてください。