SNSで話題の“赤い湖”や“溶ける街”。それは本当に怪奇現象なのか、ただの見え方なのか——。
本記事では、Google Earthで「怖く見える場所」の正体を、画像生成の仕組みから徹底的にほどきます。
3Dモデルの破綻、季節違いのモザイク、影の伸び方。あなたの“ゾクッ”を、検証という光で照らしましょう。
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“怖さ”の多くは、画像の作り方と人の知覚の掛け算で生まれます。
2D/3D切替・日付比較・他サービス照合——この三点セットを踏めば、ほとんどは説明可能。
判別できないものはむやみに断定せず、保留にする姿勢が信頼を守ります。
次に“怪スポット”を見つけたら、この記事のチェックリストで確かめてみてください。
グーグルアースの怖い場所は本当?
Google Earthの画面は、衛星写真・航空写真・ストリートビュー・3Dモデル(フォトグラメトリ)など多様な素材を時期や撮影角度の異なるタイルとして貼り合わせた“モザイク画像”です。
モザイク合成の境界
季節や年が違う画像を継ぐため、色味・水位・植生が不連続になり、湖の半分だけ真っ赤/砂漠に“線”が浮くなどの違和感が出ます。幾何補正(投影変換)
斜めから撮った写真を地図上で平面化する際に、建物の“足が伸びる”“影が歪む”といった補正痕が残ることがあります。これはパララックス(視差)補正の副作用です。圧縮と自動色調整
広域画像を軽くするために圧縮が入り、輪郭が硬くなったり、コントラストが強調されたりします。暗い水面はより黒く、赤土はより鮮やかに見え、不気味さが増幅されがちです。3D(フォトグラメトリ)の限界
多数の写真から立体を復元する手法は、ガラス・水面・細い構造物が苦手。高層ビルや橋が“溶ける”“ねじれる”のは、再構成エラーによる形状破綻です。
“怖く見える典型パターン”とよくある原因
長い影が巨大生物に見える
低い太陽高度の時間帯は影が極端に伸びます。岩・アンテナ・クレーンが怪物のシルエットに。赤い湖・黒い穴
赤は藻類(高塩分環境で増殖)や鉱物・夕日の反射。黒は深い水+反射の少ない入射角、あるいは雲の影で説明できる場合が多いです。巨大な顔・文字
砂漠の風紋、農地の区画、露天掘りの作業跡などのパターン認識(パレイドリア)が原因。人は意味のある形を見つけたがる傾向があります。溶ける街並み/落ちる橋
3Dモデルの破綻。2D(衛星写真)に切り替えると普通に見えることが多いです。半透明の人影・車の残像
ストリートビューや航空写真の動体ブレや連続撮影の合成によるもの。検閲・プライバシーのぼかし
形が曖昧になることで“何か隠している”感が増幅されます。ただし多くは安全・プライバシー配慮による処理です。
自分でできる真偽チェック
2D⇄3Dを切り替える
3Dのみ崩れる → 立体再構成の問題の可能性大。ズーム段階を変える
近づくと消える・整う → 低解像度や圧縮による見え方。日付を変える(デスクトップ版)
過去画像で季節差を比較。水位・植生・影の向きが変わるか確認。ストリートビュー/写真レイヤーを重ねる
地上視点に痕跡なし → 空撮特有の現象の可能性。近隣の同種地形と比較
塩湖・採石場・火山・干潟は色変化が出やすい“当たり地形”。影の向きを見る
太陽方位と一致していれば“巨大影の誤認”と判断しやすい。施設の用途を確認
空港墓場、造船所、採掘現場などは見慣れない形状になりがち。他サービスでクロスチェック
同座標を別の地図/航空写真でも再現できるか確認。
怖い場所を“安全に”探す:実践ガイド
ツール選び
ブラウザ版 Google Earth:軽快で共有しやすい。まずはここから。
デスクトップ版:過去画像や標高プロファイルでの検証に便利。
探索のコツ
狙い目の地形・地域:海岸線、砂漠、塩湖、露天掘り鉱山、工業地帯、空港周辺。
検索キーワード例(英語も活用):
abandoned, graveyard, salt lake, shipwreck, desert pattern, open pit mine, boneyard, dry lakeレイヤー設定:境界・ラベルON、地形ON、フォト/ストリートビューONで事実確認をしやすく。
座標管理:気になる地点は**「プロジェクト」**に保存。名称・メモ・発見時の見え方を記録。
共有と検証の作法
スクショ+座標(緯度,経度)をセットで保存。
SNS投稿時は“◯◯に見える/かもしれない”と表現し、断定を避ける。
比較画像(別日付・2D/3D)を並べると説得力が増します。
代表ジャンル別:「怖いけど、だいたいこういう理由」
赤い湖/血の池:高塩分環境での藻類増殖、鉱物由来の色、夕日の反射、季節差。
黒い穴:カルデラ湖や採掘跡、深く澄んだ水+低反射角、雲影。
巨大な顔・模様:地上絵、農地の区画、砂丘の風紋、採掘の作業パターン。
船の墓場:干潮時の座礁域、解体ヤードの船体群が重なって見える。
溶ける街並み:フォトグラメトリの苦手場面(ガラス・細線・水面)。
用語のミニ解説
パララックス(視差):撮影位置の違いで物体の位置がズレる現象。補正が強いと“伸び・歪み”が目立つ。
フォトグラメトリ:多数の写真から3D形状を復元する手法。反射や透明は誤判定しやすい。
パレイドリア:ランダムな模様から意味ある形(顔・文字)を読み取ってしまう心理。
倫理とマナー
立入禁止・私有地の座標の拡散を控える(現地侵入を助長しない)。
個人情報の配慮:顔や車両ナンバーは、ぼかしがあっても配慮表現を。
断定を避ける:根拠が曖昧なときは“可能性”にとどめる。危険・不安を過度に煽らない。
よくある質問(FAQ)
Q. 表示されているのは最新の映像?
A. 地域ごとに更新時期が異なります。デスクトップ版の「過去の画像」で年月を確認しましょう。
Q. 本当に危険な場所もある?
A. 軍関連施設、採掘現場、火山・崩落地など立入禁止・危険区域は存在します。現地訪問を煽る表現は避けましょう。
Q. 3Dの崩れは不具合?
A. 多くは技術的制約による再構成エラー。2Dに切り替えて比較するのが近道です。