オンラインゲームをプレイしていると、一度は耳にする「RMT(リアルマネートレード)」という言葉。
「お金で強いアカウントやレア装備が手に入るなら、少しくらいなら試してみてもいいかも……」と考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、rmt ゲームの世界は、表面上は「手っ取り早く強くなれる近道」に見える一方で、アカウント停止や詐欺被害、個人情報の流出、さらには法的トラブルなど、思わぬリスクと隣り合わせです。しかも多くの場合、「やってから後悔して初めてその重さに気づく」という性質を持っています。
本記事では、RMTの基本的な仕組みから、なぜ多くのゲームで禁止されているのか、どのような危険があるのかまでを整理しつつ、「なぜ安易に手を出すべきではないのか」をプレイヤー視点でわかりやすく解説します。RMTに興味を持ち始めた段階だからこそ、一度立ち止まり、冷静に判断するための材料としてご活用ください。
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RMTとは?ゲームで使われる「リアルマネートレード」の基本
RMT(Real Money Trading)の定義
RMTとは「Real Money Trading(リアルマネートレード)」の略称です。オンラインゲームやスマホゲームにおいて、ゲーム内のアカウント・キャラクター・アイテム・ゲーム内通貨などを、現実世界のお金と交換する行為を指します。
MMORPGやMORPG、ソーシャルゲームなど、ゲーム内に経済システムが存在するタイトルで特に見られます。レアアイテムや高レベルキャラクターなど、時間や運によってしか手に入らないデータが高値で取引されることが特徴です。
対象になるもの:アカウント・アイテム・ゲーム内通貨
RMTの対象になるのは、おおまかに次のようなものです。
ゲームアカウント一式(ID・パスワードなど)
キャラクター(育成済みのデータセットとして)
レアアイテム・装備
ゲーム内通貨
売り手は「ゲーム内で時間をかけて集めたもの」を、買い手は「お金を払ってでも早く欲しいもの」を取引しようとするため、市場が成立します。こうした取引は、RMT専用の仲介サイトやフリマ形式のサービスを通じて行われることが一般的です。
公式課金との違い
課金ガチャや有料アイテム販売とRMTは、一見似ているように見えます。しかし、両者には大きな違いがあります。
公式課金:
ゲーム運営会社とユーザーのあいだで直接お金のやり取りが行われ、運営会社がゲームバランスやルールを管理しています。RMT:
プレイヤー同士、あるいはプレイヤーと仲介業者のあいだでお金のやり取りが行われ、ゲーム運営会社は原則として関与しません。
この「運営会社が関与していない」点こそが、多くの問題の出発点になっています。
なぜ多くのゲームでRMTが禁止されているのか
業界ガイドラインと運営会社のスタンス
国内の業界団体が策定するオンラインゲームのガイドラインでは、RMTを「ゲーム内通貨・アイテム・アカウントなどをプレイヤー間または仲介業者とのあいだで有償取引する行為」と定義し、多くのオンラインゲームにおいて違反行為として位置付けています。
また、多くのゲーム運営会社は、利用規約において「アカウントの譲渡・売買」「ゲーム内データの現金取引」を明確に禁止しており、発覚した場合にはアカウント停止などの措置を行うとしています。
ゲームバランスの崩壊と他プレイヤーへの不公平
RMTが禁止される主な理由の1つは、ゲームバランスと公平性の問題です。
お金を多く払える人だけが強くなり、実際のプレイ時間やスキルに関係なく優位に立ててしまう
ゲーム内経済が「外部から持ち込まれたお金」によって歪められ、インフレや価格崩壊を起こす
ボットやチートプログラムを用いて大量のアイテム・通貨を稼ぐ業者が増え、一般プレイヤーのゲーム体験を損なう
このような状況になると、真面目にプレイしているユーザーが損をし、ゲームそのものの寿命を縮めてしまう可能性があります。そのため、運営側はRMTを禁止し、ゲーム内経済を自らのコントロール下に置こうとします。
ゲーム会社の公式FAQに見るRMT禁止の理由
多くの大手ゲーム会社は公式FAQでRMTを「ゲーム内データを現実世界の金品と交換する行為」と説明し、禁止行為として明示しています。RMTが確認された場合には、取引を持ちかけた側・応じた側の双方にペナルティを科すと案内しているケースが一般的です。
これは「知らなかった」「自分は買っただけだから大丈夫」という言い訳が通用しないことを意味します。RMTに関わった時点で、売り手・買い手ともにアカウント停止などのリスクを負うことになります。
RMTは違法?法律との関係を整理する
「違法」と「規約違反」は別物
ここで、多くの人が混同しがちなポイントがあります。それは、「法律上の違法」と「ゲームの利用規約違反」は別のレイヤーだということです。
違法(法律違反):
刑法や各種法律に明確に反しており、最悪の場合は刑事罰などの対象になり得ます。規約違反:
ゲーム運営会社とユーザーのあいだで結ばれた利用規約に反する行為であり、アカウント停止やサービス利用停止といった「契約上のペナルティ」が中心です。
日本では、RMTそのものを包括的に禁止する法律は現時点で存在しないと考えられていますが、多くのゲームでは規約違反として扱われます。ここを取り違えて「法律で禁止されていないなら問題ない」と考えるのは危険です。
どんなケースで法的トラブルになりうるのか
RMTが直接「違法」ではないとしても、次のような場合には法的トラブルに発展するおそれがあります。
詐欺的な取引(代金を受け取ったのにアイテムを渡さない、渡したのに支払われない等)
アカウント乗っ取りや不正アクセスによって取得したアイテム・通貨を売却する行為
マネーロンダリングなど、資金の出どころを隠す目的でRMTを利用するケース
このような行為は、詐欺罪や不正アクセス禁止法違反などの対象となり得ます。RMTを入り口として、知らないうちに法的リスクの高い領域に踏み込んでしまう可能性がある点は、特に注意が必要です。
ブロックチェーンゲームなど例外的なケースとの違い
近年は、NFTやトークンを用いたブロックチェーンゲームなど、公式に「二次流通(売買)」を前提とした仕組みも登場しています。このようなゲームでは、ゲーム内アイテムがあらかじめ資産性を持つことが想定されており、プラットフォーム上での売買がルールとして組み込まれている場合があります。
ただし、これらは「運営会社が公式に認めている流通」であり、既存のオンラインゲームにおける規約違反のRMTとは前提が大きく異なります。
規約で禁止されているゲームで勝手にRMTをする
規約で許可された範囲の取引を行う
この2つはまったく別物です。誤解して混同しないよう注意が必要です。
RMTに潜むリスクと具体的なトラブル例
アカウント停止・データ削除などゲーム内のペナルティ
最も直接的なリスクが、アカウント停止・キャラクター削除・アイテム没収といったゲーム内のペナルティです。
多くのオンラインゲームでは、
RMTに関わったことが発覚したアカウント
RMTを通じて受け渡されたと推定されるアイテム・通貨を保有するアカウント
に対して、利用停止や警告などの処分を行うと明記しています。
一度アカウントが停止されてしまうと、これまでのプレイ時間・課金・フレンド関係など、すべての資産を一瞬で失う可能性があります。
詐欺被害・アカウント乗っ取り・個人情報流出
RMTは、ゲーム運営会社が関与しない「自己責任の取引」です。そのため、詐欺や個人情報の悪用といったトラブルも多く報告されています。
代金を支払ったのにアイテムが渡されない
アイテムを渡したのに代金が支払われない
取引の過程で教えたID・パスワードを悪用され、アカウントが乗っ取られる
偽サイト経由でクレジットカード情報や個人情報が盗まれる
こうしたトラブルは、オンラインゲームに慣れていないユーザーほど被害に遭いやすい傾向があります。「知り合いだから大丈夫」「大手っぽいサイトだから安心」といった根拠の薄い判断は非常に危険です。
未成年が巻き込まれやすいトラブルパターン
未成年の場合、状況はさらに複雑です。
高額なRMT取引に手を出し、親に内緒のまま大きな金額を動かしてしまう
SNSで知り合った相手にそそのかされ、アカウント情報を教えてしまう
「ゲーム内でお小遣い稼ぎができる」と勧誘され、犯罪行為に加担させられる
オンラインゲームに関するトラブルのなかでも、RMTは「お金」と「ゲーム」が結びつくため、未成年が安易に手を出してしまいやすい領域です。保護者による見守りとルール作りが重要になります。
「やらない方がいい」理由を整理するチェックリスト
RMTを検討する前に確認したい5つのポイント
RMTに少しでも関心を持ったときは、次の5つを確認してみてください。
利用規約を読んだか
自分が遊んでいるゲームの利用規約・行動規範を確認し、「アカウント売買」「アイテムの現金取引」がどう扱われているかを把握していますか。アカウント停止のリスクを受け入れられるか
もしアカウントが停止され、すべてのデータが失われても「仕方ない」と割り切れますか。取引相手を本当に信用できるか
本名・住所も知らない相手と、現金を伴う取引をすることの意味を冷静に考えていますか。法的なグレーゾーンに踏み込む覚悟があるか
詐欺などのトラブルに発展した場合、被害者・加害者いずれの立場になり得ることを理解していますか。長期的に見て本当に得なのか
一時的に強くなっても、ゲーム全体の寿命やコミュニティの信頼が損なわれれば、自分も遊びづらくなりませんか。
いずれか1つでも不安を感じる場合、RMTから距離を置くのが賢明です。
それでも迷うときの判断フレーム
それでも「どうしても気になってしまう」という場合は、次のシンプルなフレームで考えてみてください。
その行為は、ゲーム公式のサポートに堂々と説明できますか。
自分の身近な人(家族や友人)に胸を張って話せますか。
同じことを他人がしていたら、フェアだと感じますか。
このどれか1つでも「No」と感じるなら、その行為は避けた方が良いというサインです。
合法的にゲームを楽しむための代替案
RMTを利用せずとも、ゲームを十分楽しむ方法は多く存在します。
ゲーム内イベントやキャンペーンを活用してコツコツ育成する
サブスクリプションや公式課金の範囲で、無理のない課金計画を立てる
フレンドやギルドメンバーと協力し、ゲーム内での攻略効率を高める
「時間をかけて育てる」「仲間と協力する」といったプロセスこそが、本来のゲームの楽しさでもあります。
保護者・初心者向け:子どもをRMTトラブルから守るには
家庭内で決めておきたい3つのルール
お子さまがオンラインゲームをプレイしている場合、最低限次の3点を家庭内ルールとして決めておくことをおすすめします。
ID・パスワードは誰にも教えない
ゲームに関わるお金のやり取りは、必ず保護者に相談する
アカウント売買・アイテムの現金取引には関わらない
これらは、オンラインゲーム全般に共通する基本的なセキュリティ対策でもあります。
お金とゲームの付き合い方をどう伝えるか
単に「ダメ」と禁止するだけでは、子どもがこっそりRMTに手を出してしまう可能性もあります。
なぜRMTが危険なのか(詐欺・乗っ取り・アカウント停止など)
なぜゲーム会社は利用規約で禁止しているのか
どこまでが「普通の課金」で、どこからが「危険な取引」なのか
といった背景を、できる範囲で具体的に説明し、納得してもらうことが重要です。
相談窓口や公式サポートの活用
もし、
アカウントが乗っ取られた可能性がある
不審な取引に巻き込まれた
高額な請求が届いた
といった状況になった場合は、早めにゲーム公式サポートや消費生活センター、警察の相談窓口などに相談することを検討してください。
オンラインゲームに関するトラブルは、個人で抱え込むほど悪化しやすくなります。早期に第三者へ相談することで、被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。
まとめ:RMTと安全なゲームプレイの付き合い方
RMT(リアルマネートレード)は、ゲーム内のアカウント・アイテム・通貨などを現実のお金で売買する行為です。多くのオンラインゲームでは、RMTやアカウント売買を利用規約で禁止しており、発覚すればアカウント停止などのペナルティを受ける可能性があります。
日本法上、RMTそのものを一律に禁じる法律はありませんが、詐欺や不正アクセスなど別の犯罪に発展するリスクがあります。また、アカウント停止・詐欺・個人情報流出・未成年のトラブルなど、プレイヤー側のリスクも決して小さくありません。
RMTは、一見すると「時間をお金で買う便利な裏技」のように見えるかもしれません。しかし実際には、多くのゲームで禁止されており、自分のアカウントや大切なデータ、さらには法的なリスクまで背負う行為になり得ます。