ランク戦で順調にリードしていたはずが、「アタカンを触った瞬間に全員溶けて逆転負けした」──そんな経験はありませんか。
2025シーズンから追加された新エピックモンスター「アタカン」は、仕様を理解していないと一瞬で試合を壊しかねない、ハイリスク・ハイリターンなオブジェクトです。
本記事では、アタカンの出現時間やバフ効果といった基礎情報はもちろん、「どの状況なら触ってよいのか」「どんな時は絶対に触るべきではないのか」を、ソロQを前提とした具体的な判断基準とチェックリスト付きで整理いたします。
ジャングルメインの方はもちろん、レーンロールでもコールを任されることが多い方は、ぜひアタカン周りの立ち回りをここで一度体系的に整理しておいてください。
アタカンとは?2025シーズンの新エピックモンスター概要
出現時間・出現場所・リスポーンの有無
アタカン(Atakhan)は、2025シーズンからサモナーズリフトに追加された新エピックモンスターです。
出現時間:試合時間 20:00 に初出現
出現場所:
トップ側 or ボット側寄りの川の出入口
どちら側に出るかは、14分時点までのチャンピオン同士のダメージ量・キル数が多いレーン側で決定
事前告知:14:00になると、ピット周辺に永続する壁が出現し、どちら側にアタカンが出るかが示されます。
リスポーン:アタカンは 1ゲームにつき1体のみ。一度倒されると再出現しません。
また、アタカンの実装に伴い、バロン・ナッシャーの出現時間は25:00 に変更されています。
2つの形態とゲームへの影響
アタカンには、試合展開に応じて異なる形態が存在します。名称や細かい挙動はパッチで調整されていますが、ざっくり以下のイメージを押さえると判断しやすくなります。
戦闘が激しい試合で出現する形態(例:破滅/呪縛アタカン)
特徴:
強力な攻撃と、防御力を大きく下げるデバフを付与
討伐に成功すると、エピックモンスター全般の効果が強化される永続バフ
ピット周辺にブラッドローズが多数出現
比較的静かな試合で出現する形態(例:貪欲アタカン)
特徴:
範囲ダメージ+自己回復スキルを持ち、長期戦が危険
討伐すると、チームに 一時的な復活バフ が付与される場合がある(死亡時に一度だけ即時復活するバフ)
どちらの形態でも、「アタカンを殴っている間に敵に襲われると壊滅しやすい」という点は共通です。
アタカンと他オブジェクト(バロン・ドラゴン)の関係
アタカンは1ゲーム1回限りのオブジェクトであり、ドラゴンやバロンとは性質が異なります。
ドラゴン:序盤〜中盤の継続的なスノーボールリソース
アタカン:中盤〜終盤の“勝負どころ”を作る、一度きりの大勝負オブジェクト
バロン:レーンプッシュと試合決定力を持つフィニッシュ寄りのオブジェクト
そのため、ドラゴンスタックが進んでいる側が、アタカンをさらに取ることで“決定打”を作る、または劣勢側がアタカンで一発逆転を狙うといった構図が生まれやすくなります。
アタカンのスキル・デバフ仕様を整理する
基本攻撃と防御力低下デバフ
アタカンの特徴として、通常攻撃やスキルに「防御力低下デバフ」が付いている点が挙げられます。
攻撃を受けるたびに、ARMR(物理・魔法防御)がスタック形式で低下
戦闘が長引くほど、タンクであっても一気に溶けやすくなる
この状態で敵チームが襲ってくると、アタカンのダメージ+敵チームのダメージが同時に入り、フロントラインが一瞬で崩壊しやすい
この性質上、
「HPはまだ残っているのに、急に全員が溶けた」
という事故が発生しやすくなります。
形態別のスキルパターンと危険行動
形態によってスキル名や細部は異なりますが、プレイ上意識すべきポイントは共通しています。
範囲攻撃+デバフスタック技
アタカンの周囲にリング状の攻撃を複数回発生させるスキル
1ヒットごとにデバフが溜まる
対策:
タンクは全ヒットをもらい続けないよう、前後にステップする
サポートやキャリーは、リングの外周に一旦出る意識を持つ
継続ダメージフィールド+自己回復技(貪欲系)
範囲内に0.5秒ごとに魔法ダメージを与え、自身は与ダメージに応じて回復するスキル
対策:
ヒールカット(重傷)アイテムをジャングルかサポートが早めに用意
タンク1枚だけで長時間受けさせず、短時間で火力を集中して削るプランを取る
よくある事故パターンとその原因
「敵の位置が不明なのに、ノーウォードでアタカンを始める」
→ 視界外からのフルエンゲージ+アタカンのデバフで壊滅
「アタカンHPが半分を切ったあたりで、敵JGのスマイトにスティールされる」
→ スマイト合わせのコール不足、ピット外のゾーニング不足
「前衛のARMRが溶けたタイミングで前に出てしまうADC」
→ フロントラインの耐久が急激に落ちていることを意識できていない
本記事ではこの後、こうした事故を減らすための具体的なチェックリストを提示していきます。
討伐で得られるバフと価値評価
血の花弁/ブラッドローズとエピックモンスター効果強化
アタカンを討伐すると、形態に応じて以下のような恩恵が得られます。
血の花弁(Blood Petals)
取得するとチーム全体に経験値と自適応ステータス(Adaptive Force)のスタックが付与
スタックは無限に蓄積し、試合が長引くほど影響が大きくなる
ブラッドローズ(Blood Roses)
アタカンピット周辺や、チャンピオンが多く倒れた場所に出現する新しい植物
攻撃すると血の花弁が落ちるため、戦闘の激しかったエリアほど強化ポイントが多くなる
また、形態によっては
ドラゴンソウルやバロンバフなど、既存エピックモンスターの効果を強化するバフ
を得られる場合もあり、単純なゴールド以上の価値を持つオブジェクトになっています。
復活バフの仕様と強み・弱み
静かな試合で出現するタイプのアタカンを討伐した場合、チームに一度だけ死亡時に即時復活するバフが付与されることがあります。
強み
エンゲージチャンピオンやアサシンが、1回分の“実質ゾーニング”を保証された状態で突っ込める
バロンやエルダードラゴン前の集団戦で、1人分のミスを帳消しにできる
弱み
一度発動すると消滅するため、発動タイミングを選べない
プロシーンでは「復活前提でダラダラとした戦闘が増える」との批判もあり、ゲームテンポを鈍らせる側面も指摘されています。
ゴールド換算で見る「アタカンの本当の価値」
一部の検証では、アタカンによる防御デバフやバフ効果をゴールド換算した場合、2,000G以上の価値に相当するという見積もりもあります。
ソロQの実戦では、
「相手より1本多くタワーを折る」
「バロン前の視界戦で勝ちやすくなる」
といった目に見えないアドバンテージまで含めると、ゲーム全体の勝率に大きく影響するオブジェクトと考えてよいです。
ソロQでの「アタカンを触る/触らない」判断フレームワーク
ここからは、ゴールド〜プラチナ帯ソロQを想定した実践的な判断基準を提示します。
14〜20分までに確認すべきチェックリスト
アタカン出現前に、次の5項目を必ず確認してください。
ドラゴンカウント
こちらが3ドラゴンを目指せる状況か
相手がソウルポイントに近づいていないか
サイドレーンの主導権
アタカンが出る側のレーンで、プッシュできるチャンピオンがいるか
タワーが残っているか(タワー有無で視界の取りやすさが変わります)
TP(テレポート)やグローバルスキルの有無
自チームのTP・R(例:シェン、ガリオ)がどれだけ使えるか
相手のTP枚数
視界リソース
サポートとジャングラーが、コントロールワードを2〜3枚ずつ持てているか
レーナーのトリンケットがきちんと更新されているか
自チーム構成の強みが発揮できる時間帯か
20分前後で強い“ミッドゲーム構成”か
逆にスケール構成なら、アタカンをスルーしてファーム優先が正解のことも多い
ドラゴン・バロンと比べた優先順位の決め方
簡易的な優先順位の目安は以下の通りです。
自チームがドラゴン2〜3スタック持ち + ゴールド有利 → アタカンを取りに行く価値が高い
相手がドラゴン3スタック持ち + アタカン側の視界が取れない → 無理に触らず、ドラゴン側コントロールを優先
試合が長期戦になりそうな構成(両方スケール寄り) → 血の花弁スタックを見据えてアタカンを優先
バロンとの競合については、
20〜23分:アタカン優先(バロンはまだ出ていない/出たばかり)
25分以降:構成と視界状況に応じて、「アタカン→即バロン」 or 「バロンだけ」などプランを固定
といった形で、時間帯ごとに事前方針を決めておくと、試合中の迷いが減ります。
触ってはいけない危険シナリオ5選
次のどれか1つでも当てはまる場合、基本的にはアタカンを触らない方が安全です。
敵チームの全員がレーンから姿を消しており、アタカン側のジャングル視界がほぼゼロ
自チームのスマイト持ち(JG)がレベル差で負けている or スマイトを直前のキャンプで使っている
自チームのフロントラインが1枚しかおらず、その1枚が既に2〜3デスしている
敵構成がWomboコンボ(マルファイト+ヤスオなど)で、ピット内でまとまると負ける構成
アタカンHP50%付近で、敵のエンゲージスキルが全て残っている
このチェックリストを頭に入れておくだけで、「行ってはいけないアタカン」への参加率を大きく下げることができます。
ロール別の立ち回りとおすすめチャンピオン
ジャングル:ルート取り・視界・スマイトプラン
ジャングラーが意識すべきポイントは次の3つです。
ルート取り
14分以降、アタカンが出る側のジャングルキャンプを優先的にクリアし、自分のレベルとスマイトダメージを確保します。
視界確保
ピット周辺+敵ジャングルの入り口に、コントロールワードを2〜3枚置く
余裕があれば、反対側のオブジェクト(例:ドラゴン)が「本命のオブジェクトではない」と分かるように1枚置いておく
スマイトプラン
味方に「何HPでスマイトを切るか」を事前に伝える(例:2,000HPで削り切ってからスマイト)
敵JGがピットに入れないよう、自らゾーニング役になるか、味方に役割を割り振る
アタカンに強いJGの傾向としては、
持続火力+自己回復を持つチャンピオン
タンク寄りで長時間前に立てるチャンピオン
が挙げられます。
レーナー:ウェーブ管理・TPタイミング・ポジショニング
レーンロールができる貢献は次の通りです。
ウェーブ管理
アタカンが出る側のレーンを、事前にプッシュしておく
可能であれば、敵タワーにミニオンを押し付けてからアタカンに合流する
TPタイミング
トップ/ミッドは、TPをアタカンタイミングまで温存しておくとコールがしやすくなります。
ポジショニング
ピット内に全員で密集せず、ピット外側に1〜2人を置いて敵のエンゲージを牽制する
ADCは、味方タンクのARMRスタック状況を見ながら、前に出るタイミングを1テンポ遅らせる意識が重要です。
アタカンに強い/弱いチャンピオンの特徴
強いチャンピオンの特徴
持続火力+自己回復(例:一部ファイター/ジャグラー)
範囲シールド・ヒールを持ち、長期戦を支えられるサポート
ピットの外からダメージを出せるポークチャンピオン
弱いチャンピオンの特徴
単発バースト依存で、スキルを吐いたあとに継続火力が乏しい
ノーエスケープのメイジで、アタカン+敵エンゲージを捌き切れない
耐久ステータスが低く、防御デバフが数スタック付くだけで即死しやすい
自チーム構成が「アタカンに弱い側」に寄っている場合、無理にアタカンファイトをするより、サイドプッシュやドラゴンコントロールで勝ち筋を作る選択も視野に入れてください。
プロシーン・高レートでの評価と今後のメタ予想
復活バフを巡る賛否と試合展開への影響
プロシーンでは、アタカンの復活バフに対して
「試合が硬直しやすくなった」
「復活前提のセットプレーが増え、展開が単調になった」
といった意見も見られます。
一方で、視聴者目線では
一発逆転の集団戦が増えた
劣勢側にもワンチャンスが生まれる
といったポジティブな側面も指摘されています。
ソロQでは、プロほど綿密なセットプレーは少ないため、
「復活バフを持っているからといって、無謀なダイブを繰り返す」といったミスも発生しやすく、扱い方次第で大きく勝率が変わるオブジェクトになっています。
パッチ調整で変わり得るポイント
今後のパッチで調整されそうなポイントとしては、以下が挙げられます。
防御デバフの量・スタック数
復活バフの持続時間・発動条件
血の花弁によるステータス上昇量
したがって、本記事で解説したのはあくまで「現時点での考え方のフレーム」であり、細かい数値は都度パッチノートを確認していただくことを推奨いたします。
まとめ|アタカン戦で“負けない”ための3つのポイント
最後に、ソロQでアタカン戦を安定させるための要点を3つに絞ります。
14〜20分の準備が8割
レーン主導権、視界、TP、ドラゴン状況を事前に整理し、「このゲームでアタカンを取るかどうか」を早めに決めておくことが重要です。
触ってはいけないアタカンを見極める
「敵位置不明+ノーウォード」「スマイト不利」「エンゲージ構成にピット内で固まる」などの危険シナリオでは、あえて触らない判断が勝敗を分けます。
ロールごとの役割を明確にする
ジャングルはスマイトと視界、レーナーはウェーブとTP、サポートはゾーニングとエンゲージケア、といった形で役割を分担すると、野良でもコールが通りやすくなります。
アタカンは、一見するとリスキーなオブジェクトですが、条件さえ整えて適切なタイミングで触ることができれば、試合を一気に有利に傾ける強力な“勝ち筋”になります。