ビジネスメールの締めくくりに、つい「寒くなってきたのでご自愛ください」を定型文のように使ってはいませんか。
便利な一文である一方で、「本当にこれで合っているのか」「取引先や上司に失礼ではないか」「季節感がずれていないか」など、不安を覚える方も多いはずです。
本記事では、「寒くなってきたのでご自愛ください」の正しい意味や使える時期、社外・社内・上司・親しい相手などシーン別の例文、避けたいNG表現、さらに英語メールでの言い換えまでをまとめて解説します。
忙しいときでもそのまま使えるテンプレートを多数ご用意しましたので、今日からのメール作成にすぐお役立てください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
「寒くなってきたのでご自愛ください」は、
季節感を添える
相手の体調を気づかう
本題のあとをやわらかく締める
という役割を一度に果たせる、非常に使い勝手のよいフレーズです。
一方で、季節感が大きくずれていたり、命令形に近い強い言葉と組み合わせたりすると、違和感が生じることもあります。
「寒くなってきたのでご自愛ください」の意味とビジネスでの位置づけ
「ご自愛ください」の本来の意味
「ご自愛ください」は、「どうかご自身のからだを大切になさってください」という意味の表現です。
相手の健康を気づかう言い回しとして、手紙やメールの結びで広く使われています。
ビジネスシーンでは、季節の変わり目や暑さ・寒さが厳しい時期に添える一言として多用されており、社外・社内を問わず比較的安全に使える定番フレーズです。
「寒くなってきたので〜」を添える意図(季節感+相手への配慮)
「寒くなってきたのでご自愛ください」とすることで、
季節が秋・冬に移り変わっていることを共有する
寒さで体調を崩しやすい時期だからこそ、健康に気をつけてほしい
という二つのニュアンスを同時に伝えることができます。
ビジネスメールでは、本題のあとに一文添えるだけで、「相手の体調にも配慮できる人」という印象を与えることができるため、結びの定番フレーズとして重宝されます。
いつ・どの時期に使う?(季節感と時候のマナー)
使える時期の目安(秋〜冬:おおよそ11月〜2月)
「寒くなってきたのでご自愛ください」は、気候が明らかに「暑い」から「寒い」側に寄ってきたタイミングで使うのが自然です。
目安としては、次のように考えるとよいです。
11月ごろ:秋から冬に向かう「向寒」の時期として、寒さに触れる挨拶が増える
12〜2月ごろ:本格的な冬のため、「寒さが一段と厳しくなってまいりました」など、より強い寒さを表す結びもよく用いられる
したがって、「寒くなってきたのでご自愛ください」は、11月前後から冬の間に使うのが自然といえます。
まだ残暑が厳しい時期や、春の暖かさを感じる時期には不自然になりますので、その場合は「暑い日が続いておりますので」など、季節感に合った表現に変えるとよいです。
時候の挨拶との組み合わせ例(「向寒の候」「厳寒の候」など)
少し改まった手紙や文書では、時候の挨拶と結びの一文を組み合わせることがあります。例として、次のような流れが考えられます。
11月ごろ
冒頭:
「向寒の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
結び:
「日ごとに寒さが増してまいります。どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
1〜2月ごろ
冒頭:
「厳寒の候、皆様にはますますご健勝のことと存じます。」
結び:
「寒さ厳しき折でございますので、くれぐれもご自愛のうえお過ごしくださいませ。」
メールの場合、ここまで格式ばった表現は不要なことも多いため、簡略化した口語的な一文(「寒い日が続いておりますので、どうぞご自愛ください。」など)でも問題ありません。
ビジネスメールでの使い方と例文
取引先・社外向け(フォーマルな言い換え・例文)
社外の取引先や、はじめて連絡する相手には、少し改まった言い回しを用いると安心です。
一文フレーズ例
「寒さが一段と厳しくなってまいりました。皆様におかれましては、どうぞご自愛くださいませ。」
「日ごとに寒さが増しております。何卒ご自愛のうえお過ごしください。」
メール全文の例
末筆ながら、日ごとに寒さが増しております。
貴社の皆様におかれましては、どうぞご自愛のうえご活躍くださいませ。
「皆様におかれましては」「何卒」「ご活躍くださいませ」などを組み合わせることで、よりフォーマルな印象になります。
上司・社内向け(ややフォーマル)
社内の上司や関係部署に対しては、堅すぎず、かといって砕けすぎない中間のトーンが適しています。
一文フレーズ例
「寒い日が続いておりますので、どうぞご自愛ください。」
「最近急に冷え込んでまいりました。お体を大切になさってください。」
メール末尾の例
最近急に冷え込んでまいりました。
〇〇様におかれましても、どうぞご自愛のうえお過ごしください。
「〇〇様におかれましても」と個人名を入れることで、相手を気づかう気持ちがより伝わりやすくなります。
親しい相手・カジュアルな文面
同僚や親しい取引先担当者など、ややカジュアルでも問題ない相手には、少しやわらかい言い方も使えます。
一文フレーズ例
「寒くなってきましたので、どうぞ暖かくしてお過ごしください。」
「ぐっと冷え込んできましたね。体調など崩されませんように。」
チャット・社内ツールでの例
最近一気に寒くなってきましたね。
どうぞ暖かくしてお過ごしください!
ビジネスメールと比べると、絵文字や感嘆符などを加えるケースもありますが、相手との関係性や社風に合わせて調整してください。
NGになりやすい表現と注意点
命令形・上から目線に聞こえるパターン
「ご自愛ください」は丁寧な表現ですが、前後の言葉次第では命令形のような印象になる場合があります。
避けたい例
「寒くなってきたので、必ずご自愛ください。」
「風邪をひかないように、しっかりご自愛ください。」
ビジネスでは、「必ず」「しっかり」などの強い言葉と組み合わせると、指示・命令のように感じられることがあります。
「どうぞ」「くれぐれも」など、柔らかい副詞を組み合わせると安心です。
季節感がずれているケース
次のようなケースも注意が必要です。
まだ暑さが残る9月上旬に「寒くなってきたのでご自愛ください」と書く
桜が咲くような時期に、まだ寒さを強調する表現を使う
このような場合は、季節に合ったフレーズに言い換えます。
例
「残暑が続いておりますので、どうぞご自愛ください。」
「日中は暖かくなってまいりましたが、朝晩は冷え込む日もございます。どうぞご自愛ください。」
季節感が大きくずれていなければ問題になることは少ないですが、気候の体感に合った言い回しを選ぶ意識が重要です。
「ご自愛ください」の重複表現・冗長な文章
「自愛する=自分を大切にする」という意味をすでに含んでいるため、次のような重複表現は避けた方がすっきりします。
「お体をご自愛ください」
「健康にご自愛ください」
代わりに、次のように言い換えると自然です。
「お体を大切になさってください。」
「どうぞご自愛ください。」
同じ文中に「お体を大切になさってください」と「ご自愛ください」を重ねて書くのも冗長になるため、どちらか一方に絞るとよいです。
シーン別テンプレート集(コピペ用)
お礼メールの締めに使える一文・例文
一文フレーズ
「お忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございました。寒い日が続いておりますので、どうぞご自愛ください。」
メール末尾の例
このたびはご多忙のところお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
日ごとに寒さが厳しくなってまいりました。〇〇様におかれましては、どうぞご自愛のうえお過ごしください。
お詫び・お断りメールの締めに使える一文・例文
お詫びやお断りのメールでは、結びを少し柔らかくする意図で用いることができます。
一文フレーズ
「ご期待に沿えず恐縮ではございますが、引き続きご指導賜れますと幸いです。寒さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。」
メール末尾の例
このたびは、弊社の事情によりご希望に沿うことができず、誠に申し訳ございません。
末筆ながら、寒さ厳しき折でございますので、どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。
年末の挨拶メールの締めに使える一文・例文
年末は、1年の感謝とともに健康を気づかう一文を添えると、丁寧な印象になります。
一文フレーズ
「本格的な寒さの折、どうぞご自愛のうえ、良いお年をお迎えください。」
メール末尾の例
本年も格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
本格的な寒さの折でございますので、皆様どうぞご自愛のうえ、良いお年をお迎えください。
英語で「寒くなってきたのでご自愛ください」を伝えるには
ビジネスメールで無難な英語フレーズ
英語に直訳すると不自然になりやすいため、「寒くなってきた」+「体調に気をつけてほしい」という二つの要素を、それぞれ英語で自然な形にします。
例
It has gotten cold, so please take care of yourself.
The weather is getting colder these days. Please stay warm.
これらは、相手の健康を気づかう意味が伝わる、無難なビジネス向け表現です。
「ご自愛ください」にあたる部分は、次のようなバリエーションもあります。
please take care of yourself
please stay warm
please keep yourself warm
カジュアルに使える英語フレーズ
社内の同僚や、親しい関係性の相手には、もう少し砕けた表現も使えます。
例
It’s getting really cold. Stay warm and don’t catch a cold!
It’s been freezing lately. Take good care of yourself!
ビジネス度合いに応じて、文頭の書き方(Dear ~)や結び(Best regards / Sincerelyなど)と組み合わせて使うとよいです。