オンライン対戦の配信やボイスチャットで、当たり前のように飛び交う「壁抜き」という言葉。「なんとなくスゴいことをしているのは分かるけれど、正直ちゃんと意味は分かっていない」という方も多いのではないでしょうか。
しかも、壁の向こうの敵に弾が当たっているように見えるため、「これってチートではないのか」「やっても大丈夫なのか」と不安に感じる場面もあるはずです。
本記事では、FPS・TPS初心者の方でもすぐに理解できるように、「壁抜き」というゲーム用語の意味を一から整理し、その仕組み・各タイトルに共通する考え方・チートやグリッチとの違い、そして実際にプレイで試す際の注意点までを体系的に解説いたします。
読み終わる頃には、配信で「今の壁抜きうますぎ!」と言われているシーンの凄さがきちんと理解でき、自分のプレイでも「ここは壁抜きを狙える場面だ」と判断できるようになることを目指します。
「壁抜き」とは?ゲーム用語としての基本的な意味
壁抜きの一言定義
ゲームで使われる「壁抜き」とは、壁や箱などの遮蔽物を弾丸が貫通し、その向こう側にいる敵にダメージを与えることを指す言葉です。
FPS(ファーストパーソン・シューティング)やTPS(サードパーソン・シューティング)など、銃を使ったシューティングゲームでよく登場する用語です。
壁を直接狙って撃っているのに
その裏側に隠れている敵に当たってダメージを与える
このような状況が「壁抜き」です。
どんなゲームジャンルで使われる言葉か
「壁抜き」は主に以下のようなゲームで使われます。
チーム制FPS・TPS
例:VALORANT、Counter-Strike 2、CS:GO、レインボーシックス シージ、Call of Dutyシリーズ など
バトルロイヤル系
例:Apex Legends など、一部のオブジェクトが貫通するタイトル
基本的には「銃で撃つゲーム」かつ「オブジェクト貫通の概念があるゲーム」でのみ成立する概念です。すべてのシューティングゲームに存在するわけではなく、ゲームごとに仕様は異なります。
英語表現(wallbangなど)との関係
海外のコミュニティや英語実況では、壁抜きのことを「wallbang(ウォールバング)」と呼ぶことが多いです。
「wall」=壁
「bang」=撃つ・打ち込む
日本語圏では「壁抜き」、英語圏では「wallbang」という表現が主流です。配信や大会で「ナイスウォールバング!」などと言っている場合は、ほぼ「上手い壁抜きが決まった」という意味だと理解してよいです。
なぜ壁抜きが起こるのか:ゲーム内の判定と仕組み
壁と弾丸の「当たり判定」の基本イメージ
ゲーム内の世界は、見た目だけでなく当たり判定(ヒットボックス/コリジョン)によって管理されています。
壁や箱:
見た目(グラフィック)
「ここには物体がある」と認識する当たり判定
弾丸:
速度や飛ぶ方向の情報
当たり判定(どの範囲に物理的な判定があるか)
通常のゲームでは、弾丸が壁の当たり判定に当たった瞬間に「ヒット」と判定され、その地点で弾丸の計算が終了します。
一方、壁抜きが存在するゲームでは、
弾丸が壁の当たり判定にぶつかる
壁の「貫通可能かどうか」「貫通コスト」が計算される
弾速や威力が一定量減衰したうえで、壁の裏側まで弾丸の計算を継続
さらにその先にいる敵の当たり判定に当たるとダメージを与える
といったようなロジックが組まれています。
貫通できる壁・できない壁の違い(素材・厚さ・ゲーム仕様)
どの壁でも自由に抜けるわけではなく、ゲームによって次のようなルールが設けられていることが多いです。
素材の違い
木の板やベニヤ板:貫通しやすい
石、コンクリート、分厚い鉄板:ほぼ貫通しない
厚さの違い
薄い壁やドア:貫通しやすい
二重構造の壁や太い柱:貫通してもダメージが大幅に減る、または貫通しない
ゲームごとのルール
一部のゲームでは「特定の壁だけ貫通可能」とあらかじめ決められている
逆に「どんな壁も一切貫通しない」ゲームもある
そのため、同じ見た目の壁でもゲームによって挙動がまったく異なる点に注意が必要です。
壁抜き時のダメージ減衰という考え方
多くのゲームでは、壁抜き時にダメージ減衰が発生します。
「壁を挟まない通常のヒット」よりも
「壁を挟んで貫通させたヒット」のほうがダメージが小さくなる
イメージとしては、
薄い木の壁:
本来100ダメージ → 壁抜き後は70〜80ダメージ程度
厚めの壁:
本来100ダメージ → 壁抜き後は30〜50ダメージ程度
といった形で、壁の厚さ・材質・銃の貫通力によってダメージが変化します。
したがって、壁抜きは
「見えない敵にも圧をかけられる」
「決まればキルも狙える」
一方で、
「基本的にはダメージが落ちるため、過信しすぎると弾の無駄打ちになる」
という特徴を持つテクニックです。
代表的タイトルで見る「壁抜き」の具体例
※ここでは代表的なタイトルを例にしますが、本記事はあくまで「一般的な考え方」の説明にとどめます。実際の仕様は各タイトルの最新情報を必ず確認してください。
VALORANTの壁貫通とダメージ減衰の例
VALORANTでは、武器ごとに「貫通力(低・中・高)」が設定されており、オブジェクトごとに「貫通できるか・どれくらいダメージが減るか」が変わります。
低貫通武器:薄い壁でもダメージが大きく減りやすい
中貫通武器:薄い壁ならそこそこダメージが通る
高貫通武器:薄いオブジェクトならほぼ減衰なしで通る場合もある
プレイヤーは、
敵の足音・スキルの情報から位置を予測
薄い壁越しにプリエイムして撃つ
ことにより、視認していなくてもキルを取ることができます。
CS2/CS:GOにおける壁抜きとペネトレーション
CSシリーズでは、「ペネトレーション」と呼ばれる貫通に関する物理計算が存在し、武器・素材・角度などによってダメージが細かく変動します。
木の板や薄い金属:角度によっては高いダメージが通る
厚い壁:ほとんど通らない、もしくはダメージが大きく減少
プレイヤーは、
マップごとの「壁抜きが通る有名ポイント」を覚える
スポーン直後に決め撃ちする「定番の壁抜き」などを活用する
ことで、試合開始直後に大きなアドバンテージを取ることもあります。
レインボーシックスシージなど他タイトルでの考え方
レインボーシックスシージのようなタクティカルシューターでは、
壁そのものを破壊できる
一部のオペレーターのガジェットで穴を開ける
といった要素があり、「壁抜き」と「壁破壊」が一体化したようなゲームデザインになっています。
壁に小さな穴を開けて、その穴越しに撃ち合う
もしくは薄い壁越しに敵がいそうな場所へ撃ち込む
といった行為が非常に重要な戦術として機能します。
壁抜きはチート?禁止行為との違いとマナー
正規のゲーム仕様としての壁抜き
きちんとしたマルチプレイFPS/TPSにおいて、
ゲーム側が最初から想定している仕様の範囲で行う壁抜き
は、基本的に正規のテクニックです。
公式大会でも普通に使われている
プロ選手や解説者も壁抜きポイントを紹介している
といったケースでは、壁抜きはゲームの戦術として認められています。
グリッチ・バグ利用・チートとの違い
次のような行為は、壁抜きとは区別して考える必要があります。
グリッチ・バグ利用
本来撃てないはずの場所から弾を通す
キャラモデルが壁にめり込み、見えない位置から一方的に撃てる
チート(外部ツール)
壁の向こうの敵が見えるようになる(ウォールハック)
弾が自動的に敵に吸い付く(エイムボット)
これらはゲームの想定外の挙動を利用したり、外部ツールにより不公平な優位を得る行為であり、利用規約違反やアカウント停止の対象となります。
一方、この記事で扱っている「壁抜き」は、
ゲームが用意している「貫通判定」や「ダメージ減衰」のルールに従い
視認情報・音・味方の報告などをもとに
プレイヤー自身の判断で撃つ行為
であり、仕様の範囲内のテクニックです。
ランクマッチやカジュアルで気をつけたいマナー
仕様の範囲とはいえ、次のような点には配慮したほうがよいです。
初心者ロビーでの「ひたすら有名壁抜き連打」は避ける
一方的になりすぎると、相手の学習機会を奪い、単純に不快感を与える場合があります。
VC・チャットでの煽りとセットにしない
「壁抜きでボコった」といった過度な煽りはマナー違反です。
怪しいポイントは念のため動画クリップを残す
自分が疑われた場合でも、通常の壁抜きであることを説明しやすくなります。
要するに、テクニック自体は合法だが、使い方にはマナーがあるということです。
初心者でも試せる!壁抜きの練習ステップ
ここからは、初心者向けに「今日からできる」レベルの壁抜き練習ステップを整理します。
STEP1:音とミニマップで敵の位置を予測する
壁抜きは「ただ壁を撃てばいい」というものではありません。
まずは、
足音
リロード音
スキルの発動音
味方からの報告
ミニマップに一瞬映った情報
などをもとに、敵の位置をできるだけ正確に予測する力をつけることが重要です。
「さっき右側で足音がしたから、この角の裏にいそう」
「さっき撃ち合った相手が、この箱の裏に下がったはず」
こうした推測力が高いほど、壁抜きの成功率も大きく上がります。
STEP2:薄い壁・木箱など「抜けそうな場所」から撃ってみる
次に、「見た目からして貫通しそう」なオブジェクトから壁抜きを試してみてください。
薄い木のドア
ベニヤ板の壁
薄いブリキ板
小さめの木箱 など
実際のゲームでは、「リアルでも貫通しそうな素材は貫通しやすい」設計になっていることが多いため、まずは分かりやすいオブジェクトから身体で覚えるのがおすすめです。
撃つときのポイント:
マガジン全部を撃ち切るのではなく、3〜5発程度の短いタップで様子を見る
ヒットマークやヒット音が鳴ったら、敵に当たっているサイン
当たらなければ撃つ角度や位置を少しずつずらして試す
STEP3:自分のよく遊ぶマップで「定番の壁抜きポイント」を覚える
ある程度慣れてきたら、
動画や記事で紹介されている壁抜きポイント
自分が何度も倒されて「ここ通るんだ」と気づいた場所
をメモしたり、カスタムマッチで試してみると効率よく上達できます。
マップの「守り側がよく隠れる場所」
「設置後によく籠もる場所」
「ラッシュ時に必ず通るライン」
などに対して、「ここを通る敵に対して、この位置からこの壁を抜けば当たる」というポイントを1マップあたり1〜3個覚えるだけでも、勝率が変わってきます。
よくある質問(FAQ)
壁抜きだけで勝てるようになりますか?
いいえ、壁抜きだけで勝ち続けることはほぼ不可能です。
エイム力
立ち回り
チームワーク
スキルやガジェットの使い方
といった基本が大前提としてあり、そのうえで「プラスαのダメージ源・プレッシャー手段」として壁抜きを活用するイメージが正しいです。
壁抜きで敵を倒すと通報されませんか?
壁抜きが仕様として用意されているゲームで、常識的な範囲で使用している限り、それだけでペナルティを受ける可能性は低いと考えられます。
ただし、
連続して同じ相手を一方的に狙い続ける
煽り行為とセットで使う
明らかにバグを利用した射線
などは通報されるリスクが高まるため、マナーには十分注意してください。
どのゲームでも壁抜きは存在しますか?
いいえ、存在しないゲームも多いです。
一切の壁抜きを許可していないゲーム
特定オブジェクトのみ貫通を許可しているゲーム
ダメージは通るが、ほとんど実用性がないレベルまで減衰するゲーム
など仕様はさまざまです。自分がプレイしているタイトルで壁抜きが想定されているかどうかは、公式情報やコミュニティの情報で必ず確認してください。
配信・大会で「壁抜きが刺さった」とはどういう意味?
「刺さった」は「うまくハマった/決まった」という意味のゲーマー用語です。
「このラウンドは壁抜きが刺さった」
→ 相手がよく通るポイントへ壁抜きを仕掛けた結果、大きなダメージやキルが入り、ラウンド取得に大きく貢献した
というニュアンスで使われます。
まとめ:「壁抜き」の意味を理解して、安全に賢く使おう
「壁抜き」とは、壁や箱などの遮蔽物を弾丸が貫通し、その向こうの敵にダメージを与える行為を指すゲーム用語です。
FPS・TPSなどのシューティングゲームでよく使われ、英語圏では「wallbang」と呼ばれます。
ゲーム内では、当たり判定・貫通力・ダメージ減衰などのルールに基づいて処理されており、多くの場合は正規のゲーム仕様に含まれるテクニックです。
一方で、バグや外部ツールを使った「不正な貫通」はチート・グリッチとして厳しく禁止されているため、両者を明確に区別する必要があります。
初心者の方は、
音やミニマップから敵の位置を予測する
薄い壁や木箱など、分かりやすいオブジェクトから試す
よく遊ぶマップの「定番壁抜きポイント」を少しずつ覚える
というステップで練習してみてください。
「壁抜き」の意味と仕組みを理解しておくことで、配信や大会を見たときの理解度も上がり、実際のプレイでも一段上の駆け引きができるようになります。ぜひ、マナーを守りつつ少しずつ取り入れていってください。