配信や大会の実況でさらっと出てくる「ロースター」という言葉。
なんとなく雰囲気では分かるものの、「結局なにを指しているのか」「スタメンやメンバーとどう違うのか」とモヤモヤしたままにしていないでしょうか。
さらに、野球中継やニュースでも同じ単語が使われるため、「MLBのロースターとゲームでのロースターは同じ意味なのか?」と迷ってしまう方も少なくありません。
本記事では、ゲーム・eスポーツ文脈での「ロースター」の意味を起点に、ロースターロックとの違い、MLBなどスポーツにおける使われ方との共通点と相違点まで、体系的に整理して解説いたします。観戦者として配信をもっと楽しみたい方にも、大会出場を視野にチームを組んでいるプレイヤーの方にも、「ロースター」を自信を持って使いこなしていただけるよう、具体例を交えながら分かりやすくご説明していきます。
ロースターとは?ゲーム・eスポーツでの意味
「ロースター」の基本的な意味
ゲーム・eスポーツの文脈で使われる「ロースター(Roster)」とは、大会に登録されているチームのメンバー一覧を指す言葉です。
ここでいうメンバーには、次のような人たちが含まれる場合があります。
実際に試合に出場する主力選手
必要に応じて交代出場するサブ選手・リザーブ選手
チームを指揮するコーチ・アナリスト
場合によってはマネージャーなど運営スタッフ
大会側は、事前に提出されたロースターをもとに「このチームは誰が登録されているか」「誰が出場できるか」を管理します。
そのため、配信や公式サイトで
「本大会における○○チームのロースターはこちらです」
という形で一覧が紹介されることがよくあります。
英語「Roster」との関係と由来
「ロースター」は英語の Roster をカタカナ表記したものです。
英語の roster には、次のような意味があります。
名簿
登録簿
勤務表・当番表
もともとは、スポーツチームや軍隊、会社などで
「いま誰がその組織に所属しているか」を一覧にしたものを指す言葉です。
そこから転じて、eスポーツでも同じように
「チームの登録メンバー一覧」という意味で使われるようになっています。
ロースターに含まれる人たち(選手・サブ・コーチなど)
ロースターに具体的に誰まで含めるかは、大会ごとのルールによって異なります。
一般的には、次のような区分で登録されます。
スターター(スタメン):その試合に実際に出場する選手
サブメンバー・リザーブ:スターターが体調不良などで出られない場合に交代できる選手
コーチ・ヘッドコーチ:ピック・戦術・タイムアウトの指示などを行う指揮官
アナリスト:対戦相手の研究やデータ分析を行うスタッフ
こうした人たちをまとめて「この大会で認められたチームの構成」として
大会運営が管理しているのがロースターです。
ロースターロックとは?大会ルールにおける意味
ロースターロック=ロースターを固定するルール
「ロースターロック(Roster lock)」とは、
ロースターを一定の期日で固定し、それ以降は原則として変更できなくするルールを指します。
具体的には、次のようなイメージです。
大会開始の○週間前までに、出場チームはロースターを提出する
ロースターロックの期限を過ぎたら、新しい選手を追加・入れ替えすることはできない
特別な事情(ビザ問題・大きなケガなど)の場合のみ、例外的に変更が認められる場合もある
「ロースターロック」は、VALORANT や APEX など国際大会でもよく使われる用語です。
なぜロースターロックが必要とされるのか
ロースターロックには、主に次のような目的があります。
大会直前の選手の引き抜きを防ぐため
もし締切がなければ、大会直前まで強い選手を「買い集める」ことができてしまい、純粋な競技力ではなく資金力が勝敗を左右してしまいます。
大会運営の準備を安定させるため
参加する選手が頻繁に変わると、スケジュール調整やビザ・宿泊手続き、PR素材の作成など、運営側の負担が大きくなります。
チームとしての完成度を重視するため
ロースターロックの期日があることで、チームはそのメンバーで戦術を固め、長期的な準備をすることになります。
このように、ロースターロックは選手やチームにとって不便に見える一方で、
大会全体の公平性と安定のために設けられている仕組みと言えます。
ロースターロックが話題になりやすいケース
ロースターロックは、次のようなときにニュースやSNSで話題になります。
ロースターロック後に選手が体調不良やトラブルで出場できなくなった
代わりの選手を登録できず、チームが大会を辞退せざるを得なくなった
強豪チームがロースターロック直前に大型補強を行った
こうした場面で「ロースター」「ロースターロック」という言葉が頻繁に出てくるため、
観戦初心者の方が検索して意味を確認することが多くなっています。
MLBなどスポーツにおけるロースターとの違い
MLBのロースター(26人枠・40人枠)の概要
メジャーリーグベースボール(MLB)では、
ロースターは公式戦に出場できる資格を持つ選手枠を指します。
代表的には以下のような区分があります。
アクティブ・ロースター(26人枠):その日の試合に出場可能なベンチ入りメンバー
40人枠ロースター:球団とメジャー契約を結んでいる全選手の一覧
負傷者リストに入っている選手なども、40人枠ロースターには含まれる場合があります。
共通点:どちらも「出場資格のあるメンバー一覧」
ゲーム・eスポーツとMLBを比べると、
次の点は共通しています。
出場資格を持つメンバーを一覧にしたものである
大会・リーグの運営側がロースターをもとに出場可否を管理する
登録人数には一定の上限がある
つまり、どちらも「登録可能なメンバーの枠」としての性質を持っています。
相違点:競技シーン・運営ルールの違い
一方で、次のような違いがあります。
MLBでは、
ロースターが契約・年俸・マイナー降格などと密接に結びついている
シーズンを通じて細かなルール変更や制限が存在する
eスポーツでは、
ゲームタイトルごと・大会ごとにロースターの人数や扱いが異なる
オフシーズンのロースター変更や、国際大会に向けた再編が話題になる
このため、「ロースター」という単語自体は同じでも、
具体的な制度や細かなルールは競技ごとに違うという点を意識しておく必要があります。
ロースターと混同しやすい関連用語
ラインナップ/スタメンとの違い
「ロースター」と似た言葉に、「ラインナップ」「スタメン(スターティングメンバー)」があります。
ロースター:大会に登録されたメンバーの一覧
ラインナップ/スタメン:ある試合に実際に出場するメンバー構成
たとえば、ロースターに10人登録されていても、
そのうち試合に出るのは5人だけ、ということがあり得ます。
この5人が、その試合におけるラインナップ(スタメン)です。
メンバー/チーム/スタッフとの関係
日常会話では「メンバー」「チームの人」という言い方もよく使いますが、
大会運営上は、次のように整理すると分かりやすくなります。
チーム:組織としての○○ Gaming などの名称
ロースター:その大会に登録されたメンバー(選手・スタッフ)の一覧
ラインナップ:試合ごとに選ばれる出場メンバー
このように、「ロースター」はチームのうち大会登録という観点で切り取ったメンバーを意味する言葉です。
「コーヒーロースター」との完全な別物としての違い
日本語では「ロースター」と聞くと、
コーヒー豆を焙煎する機械や、その焙煎士(ロースター)を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、ゲーム用語としての「ロースター(Roster)」は、
綴りも意味もまったく別の単語です。
コーヒーの「ロースト(Roast)」:焙煎する
焙煎する人・機械「ロースター(Roaster)」
ゲーム用語の「ロースター(Roster)」:名簿・登録簿
発音が似ているため混同されがちですが、語源も意味も異なりますので、
ゲームの文脈では「名簿」「登録メンバー」と覚えておくと良いでしょう。
観戦者としてロースターをどう見るか
大会配信の「ロースター紹介」でチェックしたいポイント
eスポーツの大会配信では、試合前に必ずと言ってよいほど
「本日のロースター」が紹介されます。
観戦者としては、次の点を意識して見ると理解が深まります。
スターターが誰で、サブメンバーが誰なのか
直近の試合からメンバーが入れ替わっているか
新加入選手や若手がロースターに加わっていないか
コーチ・アナリストの構成がどうなっているか
これらを押さえておくと、解説者が
「今日はロースターをいじってきましたね」
とコメントしたときの意味がすぐに分かるようになります。
推しチームのロースターの厚みを楽しむ視点
ロースターを理解すると、
単に「5人 vs 5人の試合」を見るだけでなく、
チーム全体の層の厚さを楽しめるようになります。
得意マップ・得意構成ごとに起用される選手が違う
将来を見据えて育成中の若手がロースターに入っている
ベテランコーチがロースター入りして戦術面を支えている
こうした情報は、ロースター表を見ることで初めて見えてくる部分です。
ロースターを知ると試合がもっと面白くなる理由
ロースターを理解していると、次のような場面で試合をより深く楽しめます。
サブメンバーが起用されたときの意図を想像できる
ロースターロック直前・直後の移籍ニュースの意味が分かる
国際大会で「このロースターはかなり強力だ」といった評価を裏付けて理解できる
結果だけでなく「なぜそのメンバー構成なのか」を考えながら見られるため、
観戦の楽しみ方が一段深くなるはずです。
プレイヤー・チーム運営側から見たロースター
大会出場に向けたロースターの組み立て方
自分たちでチームを作り、大会に出てみたい場合、
ロースターをどう組むかは重要なポイントです。
一般的な考え方の例は次のとおりです。
大会ルールで定められた最低人数・最大人数を確認する
メインロールごとに、メイン担当+サブ担当を配置する
突発的な欠場に備えて、1〜2名のリザーブを確保する
ボイスチャットや戦術面を整理するリーダー・コーチ役を決める
特にオンライン大会でも、ロースター登録は求められることが多いため、
早めにメンバー構成を固めておくと安心です。
サブメンバーとコーチの役割
ロースターを考えるとき、多くの方は「プレイヤー」に意識が向きがちですが、
コーチやアナリストの存在も勝敗を左右する重要な要素です。
サブメンバー
特定マップ・特定構成でのみ起用する
メンタル面でチームを支える
コーチ
試合中のタイムアウトで方向性を示す
練習メニューやスクリム相手の調整を行う
こうした役割も含めてロースターを設計することで、
チームとしての総合力を高めることができます。
アマチュア大会で意識したいロースターの考え方
アマチュア・コミュニティ大会でも、
ロースターに関するルールが設けられている場合があります。
大会中に他チームへの移籍は禁止
登録されていないメンバーの急な参加は禁止
ロースターは大会全日程を通じて固定 など
こうしたルールを守るためにも、
「ロースター=正式に登録したメンバーの一覧」という意識を持っておくことが大切です。
大会に参加する際は、必ず大会ごとの規約を確認し、
ロースターの人数・変更可能なタイミングなどを事前に把握しておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ロースターとロースターロックの違いは?
ロースター:大会に登録されたチームメンバーの一覧
ロースターロック:ロースターを変更できなくする締切・ルール
と覚えておくと分かりやすいです。
Q. ロースターの人数に決まりはある?
人数の上限・下限は、大会やゲームタイトルによって異なります。
例:スターター5人+サブ2人まで
例:最大10人まで登録可能 など
必ず出場予定の大会のレギュレーションを確認してください。
Q. 同じ選手が複数チームのロースターに入ることはできる?
多くの公式大会では、
同一大会期間中に複数チームのロースターに登録することは禁止されています。
ただし、フレンドリーなコミュニティ大会などでは、
より緩やかなルールになっている場合もあります。
こちらも大会ごとの規約に必ず従うようにしてください。