dodge の基本イメージは、次の3つです。
- さっと身をかわして「よける」(動作としての回避)
- 質問・責任・問題などを「うまく避ける・はぐらかす」(意図的な回避)
- 名詞で「身のかわし」「ごまかし・策略」(行動や手口そのもの)
多くの辞書でも、
- 「すばやく身をかわして避ける」
- 「質問や義務などを巧みにそらす」
- 「ごまかし・策略」
といった意味が挙げられます。
この記事では、「dodge」の3つのイメージを軸に、例文・イディオム・類義語との違いまで整理して解説します。
基本情報:品詞・発音・代表的な意味
動詞 dodge(他動詞・自動詞)の意味
品詞
- 他動詞:何かを「よける・避ける」
- 自動詞:自分が「さっと身をかわす」
代表的な意味
(物・人などを)素早くよける
- He dodged the ball.
→ 彼はボールをさっとよけました。
(質問・責任・問題など)を巧みに避ける・はぐらかす
- The politician dodged the question.
→ その政治家は質問をうまくはぐらかしました。
「物理的に避ける」「話題や責任を避ける」の2方向で使われる、と押さえておくと整理しやすいです。
名詞 dodge の意味
名詞になると、「行為」や「手口」を指すことが多くなります。
身をかわすこと・かわしの動作
- His quick dodge saved him from the punch.
→ 素早い身のかわしで、彼はパンチを受けずに済みました。
ごまかし・策略・抜け道
- a tax dodge
→ 脱税の手口/税金逃れのごまかし
発音・音のイメージ
- 発音記号:/dɑdʒ/(米), /dɒdʒ/(英)
- カタカナの目安:「ダッジ」
(日本語の「ドッジボール」の「ドッジ」とほぼ同じイメージです)
コアイメージ①:素早く「よける」動作の dodge
基本イメージとよくある場面
最も分かりやすいのが、何かが飛んでくる → さっと横にずれてよける という場面です。
- スポーツ(ボール・相手選手をよける)
- アクション映画(パンチ・刃物・弾丸をよける)
- ゲーム(攻撃を避ける)
例文と日本語訳
- He dodged the car just in time.
→ 彼は間一髪で車をよけました。 - She dodged out of the way of the cyclist.
→ 彼女は自転車をよけて脇に身をかわしました。 - You need to dodge quickly in this game.
→ このゲームでは素早くよける必要があります。
ここでは、「avoid(避ける)」よりも瞬間的な動き(サッと)が強調されます。
avoid / escape との違い(動作の瞬間性)
- dodge
- 一瞬の「ヒョイッ」とした動き。身体の移動を伴うイメージ。
- avoid
- 事前に「近づかないようにする」ことも含む、広い意味。
- escape
- 危険・束縛・困難な状況から脱出するイメージ。
「飛んできたボールを一瞬でよける」なら dodge、
「そもそもボールが飛んでくる状況にならないようにする」なら avoid
……と考えると分かりやすいです。
コアイメージ②:質問・責任を「はぐらかす」 dodge
ネガティブ寄りのニュアンス
dodge には、「正面から向き合わずに逃げる」「うまくかわす」というややネガティブな響きがあります。
- 「質問をうやむやにする」
- 「責任から逃げる」
- 「税金を払わないようにする」
といった場面で使われます。
代表的なコロケーション
- dodge a question:質問をはぐらかす
- dodge responsibility:責任を回避する
- dodge taxes / tax:税金を逃れる(脱税するニュアンス)
- dodge the issue:問題の核心を避ける
例文
- The CEO tried to dodge the question about layoffs.
→ そのCEOは人員削減についての質問をはぐらかそうとしました。 - He always dodges responsibility when something goes wrong.
→ 何か問題が起きると、彼はいつも責任を回避します。 - They were accused of trying to dodge taxes.
→ 彼らは税金を逃れようとしたとして非難されました。
オンラインゲームでの「ロビードッジ」の意味
近年のオンライン対戦ゲームでは、dodge / lobby dodge / queue dodge といったスラングもよく使われます。
ここでの 「ドッジ(ロビードッジ)」は、試合をしたくないために、マッチ開始前のロビーであえて抜ける・マッチングをキャンセルする行為 を指します。
典型的には、次のような理由でロビーをドッジします。
- 明らかに格上の相手や、勝ち目が薄い編成だからプレイしたくない
- 好きではないマップ・ルールになりそうなので回避したい
- ランクや味方構成を「選別」して、勝ちやすい試合だけを残したい
つまりゲームにおける ロビードッジ = 不利・嫌な試合を事前に「うまく避ける」ためにロビーを抜けること です。
これはまさに、dodge のコアイメージ②「嫌なこと・不利な状況から意図的に逃れる・はぐらかす」の延長線上にある使い方です。
例文
- We decided to dodge that lobby because their ranks were too high.
→ 相手のランクが高すぎたので、そのロビーはドッジすることにしました。 - If the team comp looks bad, some players just lobby dodge instead of playing.
→ チーム構成が悪そうだと、試合をせずにロビードッジするプレイヤーもいます。
ビジネス・ニュースでの使われ方と注意点
ビジネスやニュースでは、否定的な文脈で使われることが多い単語です。
- 「説明責任を果たしていない」
- 「本題から逃げている」
- 「ルールの抜け道を使っている」
といった印象を与えるため、自分や自社についてポジティブに語る場面では避けた方が無難です。
コアイメージ③:名詞の dodge「ごまかし・策略」
名詞としての基本的な意味
身のかわし(動作)
- With a quick dodge, she avoided the blow.
→ 素早い身のかわしで、彼女は一撃を避けました。
ごまかし・策略・抜け道
- That loophole is just a clever tax dodge.
→ その抜け道は、うまい税金逃れの手口にすぎません。
よくある例・フレーズ
- a tax dodge:税金逃れの手口
- a clever dodge:巧妙なごまかし
- on the dodge(やや古い表現):悪事を働いて逃げ回っている、など
名詞用法では、「正々堂々としていないやり方」という否定的なニュアンスがより強くなります。
よく使われるイディオム・フレーズ
dodge a bullet の意味と使い方
意味
- 直訳:弾丸をよける
- 実際の意味:「危機一髪で難を逃れる」「間一髪で助かる」
例文
- We really dodged a bullet when the deal fell through; it turned out to be a scam.
→ あの取引が流れて、本当に危機一髪で助かりました。後で詐欺だと分かったのです。 - You dodged a bullet by not taking that job.
→ あの仕事を引き受けなかったのは、むしろ幸運でしたね。(危ないところでした)
「ギリギリで悪い結果を回避した」というニュアンスです。
get out of Dodge の意味と背景
意味
- 直訳:ドッジ(という町)から出る
- 実際の意味:「ここから早くおさらばする」「とっとと退散する」
アメリカのテレビドラマなどで広まった表現で、「危ない場所・嫌な場所から急いで立ち去る」というカジュアルな言い方です。
例文
- This place is getting dangerous. Let’s get out of Dodge.
→ ここは物騒になってきた。とっととずらかろう。 - Once the meeting ended, I got out of Dodge as fast as I could.
→ 会議が終わると、私はできるだけ早くその場を後にしました。
その他おさえておきたい表現
- dodge the blame:非難を逃れる
- dodge the draft:(歴史的文脈で)徴兵を逃れる
類義語との違い:avoid / evade / escape とどう違う?
ざっくり比較表
| 単語 | 主な意味 | ニュアンスのポイント |
|---|---|---|
| dodge | さっとよける/うまく避ける | 瞬間的な動き・ごまかし・ズルい感じも出やすい |
| avoid | 避ける | 幅広く「〜しないようにする」 |
| evade | (責任・税金などを)逃れる | 法律・義務から「うまく逃れる」ややかたい語 |
| escape | 逃れる・脱出する | 危険・束縛から抜け出すイメージ |
実際の例文で比べる
- He tried to dodge the question.
→ 質問をうまくかわそうとした(ズルい・正面から答えないニュアンス)。 - He tried to avoid the question.
→ その質問には触れないようにした(やや中立的)。 - He tried to evade the question.
→ その質問を意図的に逃れようとした(ややフォーマルで硬い表現)。
同じ「避ける」でも、dodge は「身をかわす感じ」「ごまかし感」、evade は法律・義務からの逃れという印象が強くなります。
試験・ビジネスで無難な選び方
- 書き言葉・ビジネス文書:avoid を基本線にすると無難です。
- ニュースや評論文で、「税金逃れ」などを話題にする:evade / tax evasion がよく使われます。
- 日常会話・映画・ゲームなどで、少しくだけた表現で「ごまかす」ニュアンスを出したい:dodge が自然です。
コラム:Dodge(自動車ブランド)と Dodgers(野球チーム名)の意味
自動車ブランド Dodge
Dodge(ダッジ) はアメリカの自動車ブランド名で、もともとは創業者のドッジ兄弟の姓に由来しています。
ここでは「単語の意味」として訳す必要はありませんが、英語話者は「dodge=さっと避ける」という動詞も同時に知っているため、機敏さや力強さを連想しやすい名前になっています。
Los Angeles Dodgers の名前の由来
野球チーム Los Angeles Dodgers(ロサンゼルス・ドジャース) の「Dodgers」は、もともと「(路面電車などを)よけて歩く人たち」というニュアンスから来ていると言われています。
こちらも単語 dodge のイメージ(避ける・かわす)と関係があり、
「よける人たち」 → Dodgers
という連想で覚えると記憶に残りやすくなります。
学習者向けまとめ:今日から使える「dodge」フレーズ集
最後に、今日から使えるフレーズを場面別にまとめます。
1. 日常会話・雑談で
- I just managed to dodge that awkward question.
→ なんとか気まずい質問をかわしました。 - We dodged the worst of the storm.
→ 嵐のひどいところはなんとか避けられました。
2. 仕事・ビジネスで
- We shouldn’t dodge this issue any longer.
→ この問題から、これ以上目をそらすべきではありません。 - The spokesperson dodged questions about the delay.
→ 広報担当者は遅延に関する質問をはぐらかしました。
3. ニュース・SNS・ゲームで見かける表現
- Looks like we dodged a bullet this time.
→ 今回は本当に危機一髪で助かったね。 - People are angry about companies dodging taxes.
→ 人々は企業の税金逃れに怒っています。 - They kept lobby dodging until they got an easy matchup.
→ 彼らは有利なマッチアップが来るまでロビードッジを続けていました。
まとめチェックリスト
- [x] dodge のコアイメージは「よける」「責任をかわす」「ごまかし」の3つ
- [x] 動詞として、物理的な回避と、質問・責任の回避の両方で使われる
- [x] 名詞の dodge は「身のかわし」「ごまかし・策略」の意味を持つ
- [x] dodge a bullet, get out of Dodge などのイディオムは頻出
- [x] オンラインゲームでは、ロビーから抜けて試合をしないための「ロビードッジ」というスラングがある
- [x] avoid / evade / escape との違いを意識すると、より自然な英語表現が選べる
このチェックリストを確認しながら、自分のノートにも「3つのコアイメージ+代表フレーズ」を整理しておくと、dodge を長く使える語彙として定着させやすくなります。