配信やボイスチャットで「今日はキャリーありがとうございました」「完全にキャリーされちゃった」などというフレーズを耳にすることが多いと思います。
なんとなく「上手い人が引っ張ってくれた」というイメージはあるものの、正確な意味や、どんな場面でどう使うのが適切なのかまでは、自信がない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ゲーム用語としての「キャリー」の意味・由来から、具体的なシチュエーション、自然な言い回し、注意したいマナー、そして自分がキャリーできるようになるためのポイントまで、順を追って解説いたします。
「キャリー」とは?ゲーム用語としての基本的な意味
ゲーム用語としての「キャリー」の定義
ゲーム用語としての「キャリー」は、主にオンラインゲームのチーム戦で使われる言葉です。一般的には、次の2つの意味で用いられます。
自分の活躍によって、味方チームを勝利に導くこと
そのようにチームを勝利へ引っ張ったプレイヤー本人のこと
例えば、3人チームのFPSで自分だけが大きくダメージやキル数を稼ぎ、味方が苦戦している中でも勝利まで持っていった場合、「この試合は自分がチームをキャリーした」と言えます。
逆に、自分の成績がかなり低く、明らかに味方の1人が飛び抜けて活躍した場合には、「今日は完全にキャリーされました」のように、自分が引っ張ってもらった側として表現します。
なお、1対1のゲームや、完全なソロプレイのゲームでは「キャリー」という言葉が使われることはあまり多くありません。チームメイトとの実力差・役割分担が存在する対戦ゲームでよく使われる用語です。
英語「carry」との関係とイメージ
「キャリー」は英語「carry」から来ており、「運ぶ」「背負う」「持っていく」といった意味があります。
日常でも「キャリーバッグ」「キャリーケース」などの言葉がありますが、これは荷物を自分と一緒に運ぶイメージです。ゲーム用語としての「キャリー」も同様に、「味方を背負って勝利まで運ぶ」ニュアンスで使われると考えるとわかりやすいです。
どんなときに「キャリー」と呼ばれる?具体的なシチュエーション
スコアやスタッツでわかる分かりやすいキャリー
もっともイメージしやすい「キャリー」は、数値として表れやすい活躍です。例えば次のようなケースです。
FPS・TPS
自分だけダメージやキル数が飛び抜けている
重要なラウンドで連続キルを取って試合をひっくり返す
バトルロイヤル
チームの中でほとんどのキルを担当し、生存のための判断も主導する
MOBAなどのチーム対戦
重要なオブジェクト(タワー・ドラゴンなど)の争いで決定的なダメージを出し続ける
試合後のリザルト画面を見たときに、「どう見てもこの人が活躍している」と全員が感じるような状況は、多くの場合「キャリーした」「キャリーされた」と表現されます。
このような、「ダメージ」や「キル数」「スコア」などで示されるキャリーは、しばしば「ダメージキャリー」と呼ばれます。
数字には出にくいけれど重要なキャリー
一方で、「数字としてはそこまで突出していないが、この人がいなければ勝てなかった」というタイプのキャリーもあります。たとえば次のようなものです。
味方にとってわかりやすいコールや指示で、常にチームを正しい位置に導いていた
危ない場面でカバーに入り、味方のデスを何度も防いでいた
重要な場面で冷静に引く判断をし、無駄なデスを抑えていた
不利な状況でも前向きな声かけを続け、チームの雰囲気を保っていた
このように、スタッツには現れにくい貢献を通じてチームの勝利を支えた場合でも、チームメイト全員が「今日のMVPはこの人」と感じるとき、その人は十分「キャリーした」と言えるでしょう。
「キャリー」を使った自然な言い回し・例文集
ここからは、実際のチャットやボイスチャットで使いやすい表現を、日本語と簡単な英語例でご紹介します。
感謝や称賛を伝えるときの「キャリー」
味方に対して感謝を伝えたいときの日本語例
「今日は完全にキャリーしてもらいました!ありがとうございます。」
「ナイスキャリーでした!あのラウンドで流れ変わりましたね。」
「序盤からずっとキャリーしてくれて助かりました。」
配信者などを褒めるとき
「今日の配信、全部キャリーされてて見てて気持ちよかったです。」
「あの試合は完全に〇〇さんがキャリーしてましたね。」
英語での簡単な表現例
「Thanks for carrying!」
「You really hard carried us.」
「We got carried so hard that game.」
英語圏でも「carry」は同様の意味で使われており、短いフレーズで気持ちを伝えやすい表現です。
反省・自虐として使うときの「キャリー」
自分の成績が良くなかったときに、謙遜や反省を込めて使うことも多いです。
日本語の例
「今日は完全にキャリーされっぱなしでした……もっと練習します。」
「足を引っ張ってしまってすみません。次は自分もキャリーできるように頑張ります。」
「あの試合はキャリーしてもらったおかげで勝てました。」
負けたときの一言
「あそこでもう一歩キャリーできていれば勝てたかもしれませんね。」
「自分がもう少しキャリーできていれば、チームとしても楽でしたね。」
このように、自分側に矢印を向けて使う場合は、ほとんどの場合ネガティブには受け取られません。
言い方に注意!失礼になりやすい「キャリー」の使い方
マウントと受け取られやすいNG表現
「キャリー」という言葉そのものは悪い意味ではありませんが、言い方によっては相手を見下しているように受け取られてしまうことがあります。
以下のような表現は、特に注意が必要です。
「俺がキャリーしてあげたから勝てたでしょ?」
「味方が弱すぎて、キャリーするのも大変なんだけど。」
「このランク帯、俺がキャリーしないと話にならない。」
これらは、味方の実力不足を責めているように聞こえやすい表現です。本人に自覚がなくても、相手が不快に感じる可能性が高いため、避けたほうが無難です。
また、冗談のつもりであっても、文字チャットではニュアンスが伝わりづらく、「マウントを取られた」と感じる人もいます。関係性や場の空気を十分に理解している仲間同士以外では、控えるのが賢明です。
角を立てない言い換え・ポジティブな伝え方
同じ内容でも、言い方を少し変えるだけで印象は大きく変わります。以下のような言い換えを意識すると安全です。
NG:「俺がキャリーしてあげたから勝てたでしょ?」
OK:「今日は自分の得意パターンに持ち込めたので、かなり活躍できました。」
NG:「味方が弱すぎて、キャリーするのも大変。」
OK:「このランク帯は、もう少し連携を意識すると勝ちやすくなりそうですね。」
NG:「キャリーできない味方はいらない。」
OK:「お互いに得意なことを活かせると、もっと勝ちやすくなりそうです。」
ポイントは、「誰が悪いか」を指摘するのではなく、「こうすると良くなる」という方向性で話すことです。
また、自分の活躍を話す場合でも、「キャリーしてあげた」と上から目線で言うのではなく、「うまくハマって活躍できました」「得意な展開になりました」のように表現すると、角が立ちにくくなります。
関連用語で理解を深める:「キャリーされる」「キャリー力」など
「キャリーされる」「キャリー力」の意味
「キャリーされる」は、文字どおり「他のプレイヤーにキャリーしてもらうこと」を指します。
「今日は完全にキャリーされました。」
「毎回キャリーされてばかりなので、もっと練習します。」
といった形で、自分側の課題を認める、少し自虐的なニュアンスで使われることが多い表現です。
一方、「キャリー力」は、そのプレイヤーがどれだけ試合を動かせるかという能力を表します。
「このキャラはキャリー力が高い。」
「あの人はどのゲームでもキャリー力がすごい。」
といったように、ポジティブな意味合いで評価する言葉としてよく使われます。
ダメージキャリーとゲームキャリーの違い
キャリーには大きく分けて次のようなイメージがあります。
ダメージキャリー
与ダメージやキル数など、スタッツが突出しているタイプのキャリー
リザルト画面を見れば一目でわかることが多い
ゲームキャリー
試合全体の流れや勝敗に決定的な影響を与えたプレーでのキャリー
ローム・視界取り・重要な場面でのコールなど、数字に出にくい貢献も含む
「キャリー」という言葉を理解するときは、この両方の側面があることを意識しておくと、チームメイトの貢献をより適切に評価しやすくなります。
キャリーされる側からキャリーする側になるための上達ポイント
初心者〜中級者が意識したい3つのステップ
「いつもキャリーされる側なので、いつかは自分もキャリーしたい」と考えている方に向けて、意識しやすい3つのステップをご紹介します。
まずは「簡単に倒されない」ことを目標にする
無理な単独行動を減らし、味方と一緒に動く
有利ポジション(高所・遮蔽物の多い場所など)を意識する
味方の動きに合わせることを覚える
味方が戦い始めたら一緒にフォローに入る
味方が引く判断をしたら、遅れずに一緒に引く
チームとして「数的有利」を作ることを意識する
「勝ち筋」を考えながら動けるようになる
どのキャラ・武器が育てば勝ちやすいかを意識する
重要なタイミング(オブジェクトの湧き時間など)を覚え、その前後で動きを変える
「今この場面で一番リスクの低い選択は何か」を考える癖をつける
この3ステップを繰り返すことで、「キャリーされるだけ」の存在から、「一緒に戦える味方」、そして「チームをキャリーできる存在」へと少しずつ近づいていくことができます。
キャリーを目指す練習方法とメンタルの持ち方
キャリーできるプレイヤーになるためには、単純なエイムや反射神経だけでなく、継続的な練習とメンタルのコントロールも重要です。
練習方法の一例
得意なキャラ・武器をまず1〜2種類に絞り、動き方を固める
自分の試合リプレイを見て、「無理な前進」「孤立して倒された場面」をチェックする
上手いプレイヤーの配信や動画を見て、「なぜ今ここで引いたのか」「なぜここで仕掛けたのか」を考えながら視聴する
メンタルのポイント
「毎試合キャリーしなければいけない」と考えすぎない
ゲームには味方や相手のコンディション、マッチング運など多くの要素があります。自分の責任だけにしすぎないことも大切です。
味方のミスを責めるより、自分ができた改善点に目を向ける
「あの場面で自分がもう一歩下がっていれば、味方のデスは防げたかもしれない」など、自分から変えられる部分に注目すると、上達が早くなります。
キャリーした/できなかっただけで自分の価値を決めない
キャリーはあくまで試合の一側面です。勝ち負けやスタッツだけでなく、自分なりの成長を評価する視点を持つと、長くゲームを楽しめます。
まとめ:「キャリー」は敬意と感謝を込めて使おう
最後に、本記事のポイントを整理します。
「キャリー」は、チーム戦で味方の分まで活躍して勝利に導くこと、またはそのプレイヤーを指す用語です。
英語「carry」の「運ぶ・背負う」という意味から、「味方を背負って勝利に運ぶ」というイメージで使われています。
スタッツでわかる「ダメージキャリー」と、数字には表れにくい「ゲームキャリー」の両方が存在します。
「キャリーしてくれてありがとう」「キャリーされました」のように、感謝や謙遜の文脈で使うと、ポジティブに受け取られやすくなります。
「キャリーしてあげた」「味方が弱すぎてキャリーきつい」などの表現は、マウントと受け取られやすいため避けた方が安全です。
キャリーされる側からキャリーする側になるには、「簡単に倒されない」「味方に合わせる」「勝ち筋を考える」というステップを意識し、リプレイ検証や情報収集を通じて少しずつ改善していくことが大切です。