Windows 11 へのアップグレードを試したところ、「プロセッサは現在 Windows11 でサポートされていません」と表示されて戸惑っていませんか。
PC自体はまだ普通に動いているのに、本当に買い替えが必要なのか、それとも何か設定を変えればよいのか、判断に迷われている方は少なくありません。
本記事では、このメッセージが示している“本当の意味”と、CPU要件の確認方法をわかりやすく解説したうえで、
①Windows 10を安全に延命する、②Windows 11対応PCへ買い替える、③パーツ交換で対応させる、④非対応CPUに自己責任でインストールする――という4つの選択肢を整理します。
短期的にどう凌ぎ、中長期的にどのタイミングで何を決断すべきか、ご自身の使い方と予算に合わせて判断できるよう、具体的なケース別の考え方まで丁寧にお伝えいたします。
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『プロセッサは現在 Windows 11 でサポートされていません』とは?
この章では、「プロセッサは現在 Windows 11 でサポートされていません」というメッセージの意味と、どのような状況で表示されるのかを整理します。
メッセージが表示される場面
このメッセージは、主に次のような場面で表示されます。
Microsoftの「PC 正常性チェック」アプリで、Windows 11へのアップグレード可否を確認したとき
Windows 11のインストール/セットアップを進めている途中で、互換性チェックに引っかかったとき
一部のサードパーティーツール(パーティションソフトなど)で、Windows 11へのアップグレード可否を診断したとき
要するに、「このPCでWindows 11を正式にはサポートできない可能性があります」と、事前に警告してくれている状態です。
このメッセージが意味すること(CPUが要件外であるとは?)
メッセージのポイントは「プロセッサ(CPU)がWindows 11のサポート対象リストに含まれていない」という点です。
Windows 11では、次のようなハードウェア要件が定められています。
1GHz以上・2コア以上の64ビットCPU(x64またはARM64)
最低4GBのメモリ
64GB以上のストレージ
UEFIとセキュアブートへの対応
TPM 2.0(セキュリティ用のチップ/機能)
さらに重要なのがCPUの世代・型番ごとの「対応リスト」です。代表的には次のようなラインが目安になっています。
Intel:第8世代Coreプロセッサ以降
AMD:Zen+世代(Ryzen 2000シリーズ)以降
Qualcomm:Snapdragon 850以降 など
このラインより古いCPU(例:第6〜7世代Core、初代Ryzenなど)の多くは、公式にはWindows 11のサポート対象外となっており、その場合に「プロセッサは現在 Windows 11 でサポートされていません」というメッセージが表示されます。
Windows 11のCPU要件と、自分のCPUの調べ方
この章では、Windows 11のCPU要件概要と、自分のPCのCPUが対応しているかを自分で確認する手順をまとめます。
Windows 11のCPU・システム要件の概要
公式のシステム要件から、CPUに関連するポイントを整理すると次のとおりです。
64ビット対応CPUであること(32ビット専用CPUは不可)
1GHz以上、2コア以上のプロセッサ
メモリ4GB以上(実用上は8GB以上を推奨)
対応CPUリスト(Intel/AMD/Qualcommごとのモデル一覧)に含まれていること
TPM 2.0とセキュアブートに対応していること
特に2024〜2025年にかけて、Windows 11のバージョン24H2では、古いCPUへの締め付けが強まっており、SSE4.2など特定の命令セットをサポートしないCPUではカーネルが起動しないといった制約も報告されています。
「クロックやコア数は十分だけれど、世代が古くてリストから外れている」というケースが非常に多い点に注意が必要です。
自分のPCのCPU型番・世代を確認する手順
ご自身のCPUがどの世代なのかを確認する基本的な方法は次のとおりです(Windows 10/11 共通)。
設定から確認する方法(簡単)
「スタート」ボタン → 「設定」 → 「システム」 → 「バージョン情報」を開きます。
「デバイスの仕様」欄に「プロセッサ」という項目があり、
例)Intel(R) Core(TM) i5-7400 CPU @ 3.00GHz
のように表示されます。この「Core i5-7400」のような部分が型番です。
タスクマネージャーで確認する方法
画面下部のタスクバーを右クリックし「タスク マネージャー」を開きます。
上部タブから「パフォーマンス」→「CPU」を選びます。
右上あたりにCPU名(型番)が表示されます。
コマンドで詳細を確認する方法(少し上級)
「スタート」右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開き、
wmic cpu get Name
などのコマンドで確認する方法もあります。
対応CPUリストの見方と「世代」の読み解き方
CPUの型番が分かったら、次のように対応可否を確認します。
Microsoft公式の「Windows 11でサポートされているプロセッサ一覧」ページ
(Intel版・AMD版などに分かれています)を開きます。ブラウザの検索(Ctrl + F)で、ご自身のCPU型番(例:
i5-7400)を入力して検索します。一覧にあれば公式サポート対象、なければ原則として非対応です。
「第何世代か」の判定例(Intel Coreの場合):
Core i5-7400→ 先頭の「7」が第7世代Core i5-8400→ 先頭の「8」が第8世代Core i3-10100→ 「10」が第10世代
一般的には、Intelは第8世代以降、AMDはRyzen 2000シリーズ以降がWindows 11の対応ラインとされています。
CPU以外にチェックすべき要件(TPM 2.0・セキュアブートなど)
ここでは、CPU以外に「要件不足」と判定されやすいTPMやセキュアブートについて簡単に整理します。
TPM 2.0とセキュアブートの役割
TPM 2.0
セキュリティ関連の機能(BitLocker、Windows Helloなど)を支えるチップ/機能で、暗号鍵の保護や改ざん検知などに使われます。Windows 11では、このTPM 2.0が重要な基盤と位置づけられています。セキュアブート
起動時に、信頼できるOSやドライバだけが読み込まれているかを確認し、不正なブートローダー等を防ぐ仕組みです。
Windows 11の正式要件では、TPM 2.0が必須、セキュアブート対応が求められるため、古いマザーボードや無効化された設定では要件を満たさず、別のエラーメッセージが表示されることもあります。
BIOS/UEFIでの確認・有効化の概要
詳しい手順はPCメーカーやマザーボードによって異なりますが、概ね次の流れです。
PC起動時に、
Delキー やF2キーなどでBIOS/UEFI設定画面を開く。「Security」「Advanced」「Boot」などの項目の中から、
TPM/Intel PTT/AMD fTPMSecure Boot
に関する設定を探す。
無効(Disabled)になっている場合は、有効(Enabled)に変更して保存・再起動する。
ただし、CPUがそもそも非対応の場合、TPMやセキュアブートを有効にしても「プロセッサはサポートされていません」という問題は解決しません。
CPU・TPM・セキュアブート、それぞれの要件を切り分けて確認することが重要です。
「CPU以外が原因」のケースとの見分け方
PC正常性チェックの結果画面では、複数の要件が一覧で表示されます。
「プロセッサは現在 Windows 11 でサポートされていません」
→ CPU要件でNG「TPM 2.0 がこのPCでサポートされていません」
→ TPM要件でNG「セキュアブートをサポートしている必要があります」
→ セキュアブート要件でNG
複数に×が付いている場合は、CPU以外も同時に解決が必要です。
エラーが出たときの4つの選択肢
この章では、「プロセッサがサポートされていない」と表示されたときに取りうる選択肢を4つに整理し、それぞれのメリット・デメリットを説明します。
選択肢1:Windows 10を継続利用し、サポート終了まで安全に使う
概要
すぐにWindows 11へ移行せず、Windows 10をサポート終了・ESU期間まで使い続ける選択です。
ポイント
Windows 10は、2025年10月14日に通常サポートが終了しました。
その後はESU(拡張セキュリティ更新)により、2026年10月頃まで追加料金や条件付きでセキュリティ更新を受けられる仕組みがあります。
メリット
目先の費用がかからない(PC買い替えやパーツ交換が不要)。
使い慣れた環境をそのまま維持できる。
デメリット
ESU終了後は、セキュリティ更新が一切得られず、インターネット接続環境ではリスクが高まる。
新しいアプリや周辺機器がWindows 10非対応になる可能性が徐々に増える。
「あと1〜2年だけ使えればよい」「ネット利用は最低限」という家庭PCなら、短期的な延命策として現実的な選択肢です。
選択肢2:Windows 11対応PCへ買い替える
概要
今使っている非対応PCはそのまま(あるいは下取り/予備機)にし、新たにWindows 11対応PCを購入する方法です。
メリット
Windows 11を正式サポート範囲で利用できるため、セキュリティ・安定性の面で安心。
CPU・メモリ・SSDなど、性能面でも大きく向上するため体感速度が改善しやすい。
少なくとも数年先までサポートを気にせず使える。
デメリット
初期費用が最も大きい。
データ移行や設定移行に手間がかかる。
「今後も5年以上PCを使い続けたい」「仕事でも利用している」といったケースでは、最も推奨しやすい選択肢です。
選択肢3:CPU・マザーボードを交換して対応させる
概要
デスクトップPCや自作PCの場合、CPUやマザーボードを交換してWindows 11対応の構成にする方法です。
向いているケース
自作PCユーザーや、パーツ交換に抵抗のないパワーユーザー。
ケース・電源・GPUなど、他の構成がまだ十分に新しく、CPUとマザーだけを更新すればよい場合。
メリット
PC全体の買い替えよりコストを抑えられる場合がある。
好きな構成を選べる(静音重視・ゲーム重視など)。
デメリット
ノートPCやメーカー製一体型PCでは現実的でないことが多い。
CPUを変えると、メモリや電源まで総入れ替えになるケースもあり、結果的に高コストになることもある。
パーツ交換に慣れていない方にはややハードルが高く、一般家庭向けにはあまりお勧めしません。
選択肢4:非対応CPUにWindows 11をインストールする(自己責任)
概要
レジストリ変更やRufusなどのツールを使い、公式要件を満たしていないPCにWindows 11をインストールする方法です。
メリット
追加ハードウェア費用をかけずに、Windows 11を体験できる。
古いPCを検証・サブ機として活かせる場合がある。
デメリット(重要)
Microsoftのサポート範囲外であり、将来のアップデートで突然動かなくなる/更新できなくなるリスクがある。
セキュリティ要件(TPM 2.0等)を満たさない状態で運用することになり、本来想定された保護レベルを得られない。
企業利用や重要データを扱うPCには適さない。
この選択肢は、**「サブ機として遊びで試す」「自己責任を理解したうえで検証用に使う」**程度にとどめることを強く推奨します。
非対応CPUにWindows 11を入れる場合の注意点
ここでは、あえて選択肢4を取る場合に、どのような点に注意すべきかを整理します。
レジストリ変更・Rufusなどの「裏技」の概要
代表的な方法としては、次のようなものが知られています。
Windows 11インストール中にレジストリを変更し、TPMやCPUチェックをスキップする方法
Rufusなどのツールで、TPM・セキュアブート・CPUチェックを緩和したインストールUSBメディアを作成する方法
既存のWindows 10からアップグレードする際に、特定のスクリプトやツールを介して要件チェックを回避する方法
いずれも公式がサポートするインストール方法ではなく、今後のアップデートで動作しなくなる可能性があります。
セキュリティ・アップデート・動作保証のリスク
非対応CPUでWindows 11を運用する場合、特に次の点に注意が必要です。
更新プログラムが将来ブロックされる可能性
現時点では更新が通っていても、将来的にCPUチェックが厳格化され、アップデートが適用できなくなることがあります。
セキュリティ設計が十分に活かせない可能性
TPM 2.0や最新CPUのセキュリティ機能を前提にした保護が十分機能しない場合があります。
不具合時にサポートを受けられない
メーカーやMicrosoftに問い合わせても、「要件を満たしていないためサポート対象外」となる可能性が高いです。
どのような用途なら「アリ」か、「ナシ」か
「アリ」と考えられる例
ネットバンキングや重要業務には使わない家庭のサブPC
オフライン中心で、特定のアプリ検証用として使うPC
自作ユーザーが、自己責任を理解したうえでテストする環境
「ナシ」と考えるべき例
仕事で利用しているメインPC
顧客情報や重要な業務データを扱うPC
PCに詳しくない家族がメインで使うPC
どの選択肢を選ぶべきか:ケース別の判断フロー
ここでは、代表的な3つのケースに分けて、どの選択肢が適しているかの目安を示します。
家庭向けPC(ネット・事務作業中心)の場合
PCの購入時期が5〜8年前
主な用途:Web閲覧、メール、Office、家計簿など
予算:できれば抑えたい
おすすめの考え方
まずはWindows 10の延命(ESU含む)で数年しのぐかを検討する。
そのうえで、
まだそこまで遅くない → 「選択肢1:継続利用」側へ
すでに動作がかなり重い → 「選択肢2:買い替え」を前倒し検討
非対応CPUに無理にWindows 11を入れるよりも、買い替えタイミングを見極めるための時間稼ぎとしてWindows 10を延命する方が現実的です。
仕事で使うビジネスPCの場合
顧客情報や機密情報を扱う
PCトラブルがそのまま業務停止につながる
この場合は、原則として**「選択肢2:Windows 11対応PCへの計画的な買い替え」**が推奨です。
台数が多い場合は、
重要度の高い部署から順にWindows 11対応PCへ入れ替える
一時的にはESUを利用して、1〜2年かけて段階的に移行する
非対応CPUへの裏技インストールは、業務PCでは避けるべきと考えてよいでしょう。
自作・ゲーミングPCなどパワーユーザーの場合
初代Ryzenや第4〜7世代Coreを使った自作PC
ゲームや重いアプリも利用
このケースでは、次の優先順位で検討するのが現実的です。
まずは「選択肢4(自己責任インストール)」で遊び半分に試すのはアリ。ただしメイン環境とは分ける。
長期的には、CPU・マザーボード・メモリをまとめて更新し、正式対応構成へ移行(選択肢3)。
いずれにしても、数年以内に対応構成へ移行する前提で、短期的な妥協策として捉える。
よくある質問(FAQ)
第7世代Coreや初代Ryzenは本当にWindows 11でサポートされないのか?
公式の対応CPU一覧では、Intel第7世代Core(例:i5-7400、i7-7700)や初代Ryzen(1000シリーズ)は基本的にサポート対象に含まれていません。
実際には、裏技でインストールして動作させている例も多数ありますが、あくまでサポート外であり、今後のアップデートでブロックされる可能性があります。
Windows 10のまま使い続けるのはどれくらい危険?
2025年10月14日以降、Windows 10は通常のセキュリティ更新が提供されなくなりました。
ESUを利用すれば約1年間は追加のセキュリティ更新を受け取れますが、その後は脆弱性が放置されるリスクがあります。
インターネットに常時接続して利用する場合、長期的にWindows 10のまま使い続けるのは推奨できません。
どうしてもすぐに買い替えが難しい場合は、
不要なソフトやサービスを減らして攻撃面を小さくする
セキュリティソフトを導入しつつ、怪しいサイトやメールを避ける
オンラインバンキングなど重要な操作は別デバイスで行う
といった対策を組み合わせつつ、計画的な買い替えスケジュールを検討してください。
中古でPCを買い替えるときのCPU・要件チェックポイント
中古PCを選ぶ場合は、最低限次のポイントを確認すると安心です。
CPU世代
Intelなら「第8世代Core以降」(i3-8100 / i5-8400 / i7-8700 など)
AMDなら「Ryzen 2000シリーズ以降」
TPM 2.0 / セキュアブート対応
メーカー仕様に「Windows 11対応」などの記載があると安心です。
メモリ・ストレージ
メモリ8GB以上、SSD搭載を推奨。
OSライセンス
正規のWindows 11ライセンスが含まれているかどうか。