使っていた動画シェアが突然のサービス終了――。再エンコードで画質が落ちるのは避けたいし、数十〜数百GBのデータも安全にやり取りしたい。
そんな悩みにこたえるために、本記事では「公開」「レビュー」「転送」「保管」の4用途で、高画質(4K/HDR)と大容量に強い置き換え先を実務目線で厳選しました。
1ファイル上限・視聴品質・リンク保護など、迷いがちな判断ポイントを最短ルートで整理。
YouTube/Vimeo、Frame.io、MASV、各種クラウドの使い分けまで、“見せる”と“渡す”を分ける設計で、今日から止まっていたワークフローを滑らかに動かします。
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動画共有の置き換えは、万能な一択を探すより目的別に最適化するのが近道です。
拡散して見せる:公開プラットフォーム
直して仕上げる:レビュー専用ツール
確実に届ける:大容量転送
長く守って残す:クラウド保管
この4レイヤーを前提に、画質要件(4K/HDR)・ファイル上限・セキュリティをチェックすれば、過度な圧縮や再送の手間を抑えつつ、クライアントや社内の体験も安定します。
動画シェアの代わり
一般公開&拡散:YouTube(4K/8K・HDR対応。推奨ビットレートが明確で品質コントロールしやすい)
制作チームのレビュー/承認:Frame.io(Premiere Pro等と密連携、フレーム単位コメント、Camera to Cloud)
巨大な元データを“渡すだけ”:MASV(1ファイル最大15TBまで転送可能)
クライアント納品をURL一発:WeTransfer/Smash(Starterで〜300GB/送信、Smashは無料でも〜50GB送信可)
日本向け“登録不要・一時共有”:ギガファイル便(1ファイル300GB・最大100日保持)
長期保管+社内共有:Google Drive(1ファイル5TB保存/Driveのプレビュー再生は最大1080p)、Box(1ファイル500GBに拡大)、Dropbox Transfer(最大250GB/転送)
目的別フローチャート:あなたの最適解
一般公開したい? → YouTube/Vimeo
社内外レビュー(差し戻し・コメント・バージョン管理)? → Frame.io
巨大ファイルを“安全に渡すだけ”でOK? → MASV/WeTransfer/Smash/(国内)ギガファイル便
長期保管+フォルダ共有・アクセス権管理が必要? → Google Drive/Box/Dropbox
公開プラットフォーム(YouTube/Vimeo)
画質・エンコードの考え方
YouTubeは4K/8K・HDRの推奨ビットレートを公式が公開。例:4K60p HDR=66–85Mbps。撮影意図を損なわずにアップするには、まずこの目安を上回る品質で書き出すのが王道です(YouTube側の再エンコードで破綻しにくい)。
Vimeoは事前圧縮のベストプラクティスや圧縮クイックスタートを丁寧に案内。映像の“見栄え”にこだわる場合、埋め込みプレーヤーの印象や細かな圧縮ガイドが心強いです。
公開範囲とプライバシー
YouTube:一般公開/限定公開(リンクを知っている人のみ)などを使い分け。レビュー用途なら限定公開リンクが手軽です。
Vimeo:パスワード保護やドメインレベルの埋め込み制限など、クローズド配布の選択肢が充実。特定のサイト以外へは埋め込み不可にできます。
注意:ネイティブアプリ内視聴では「ドメイン制限」が効かないケースがある点は設計上の留意事項。
レビュー&承認
なぜFrame.ioなのか
フレーム単位コメント、バージョン管理、承認ワークフローをPremiere Pro等とアプリ内で完結。撮影現場からクラウドへCamera to Cloud(C2C)で直送し、編集側が即レビューに入れる体制が作れます。
プランは無料〜有料まで段階があり、まずはFreeで触って、必要に応じて拡張が無理なく可能。
トレンド:2024〜2025年の大型アップデート(V4)で、メタデータ中心の整理やコレクション管理が強化され、制作チームの進行管理ツールとしても使いやすくなりました。
大容量“転送”(短期共有・納品)
MASV:超巨大ファイルの“運び屋”
1ファイル最大15TB。ロケ素材(RAW/ProResなど)や長時間4Kの“元データ”を圧縮せずにそのまま送りたい時の業界定番です。Webからの受け取り用ポータルを作って相手にアップしてもらうワークフローも簡単。
WeTransfer/Smash:URL一発の納品に
WeTransfer Starter:300GB/送信まで対応。月あたり10回などの制限はあるものの、1回で大きく送れるのが魅力。
Smash:無料でも〜50GB/送信が可能(有料でさらに拡張)。専用クライアント不要でドラッグ&ドロップ → URL共有の手軽さが強み。
国内向け“登録不要”なら:ギガファイル便
1ファイル最大300GB/保持最長100日。日本語UIで相手の負担が少なく、パスワードや保持期限も指定可能。相手のITリテラシーがまちまちな案件で配布トラブルを避けたい時に便利です。
参考:国内ではfirestorageも直近で「1ファイル300GBアップロード対応(“オクル”機能)」を案内。案件により併用候補に。
長期保管(クラウドストレージ)
Google Drive:保管は超巨大、プレビューは1080pまで
1ファイル最大5TBまで保存可能。社外共有リンクも運用しやすい一方、Drive上の動画プレビューは最大1080pでの再生にとどまる点は要注意(4K以上を視聴させたい“見せ方”には別手段が必要)。
Box:2025年に1ファイル500GBへ拡大
2025年の公式アナウンスでアップロード/ダウンロードの上限が150GB→500GBに引き上げ。権限管理や外部共有と合わせ、映像納品の最終置き場としても現実的な選択になりました。
Dropbox:Transferで最大250GB/転送
フォルダ共有と別に、“相手に受け渡すだけ”のDropbox Transferを使う設計が便利。プランに応じて100〜250GBまでの大容量転送が可能です。
セキュリティ&ガバナンス:最低限ここは見る
リンク保護:パスワード/有効期限/ダウンロード可否を設定できるか(WeTransfer、Vimeoのパス、Boxの共有リンク権限など)
埋め込み制御:ドメインレベル制限で“想定外のサイトへの転載”を防げるか(Vimeo)。
視聴品質のコントロール:YouTubeは推奨ビットレートに沿って上げる/Driveはプレビュー1080pの前提で運用する。
社内運用:Box/Drive/Dropboxは権限ロールや監査ログで誰が見たか・持ち出しかを追える体制が取りやすい(各社エンタープライズ機能)。※詳細は各プラン仕様を確認。
ケース別おすすめセット
事例A:4K 60pのCM素材(100GB)をレビュー→納品
レビュー:Frame.ioでフレーム単位コメント→Premiereで改稿。
納品:MASVで元データをそのまま先方へ(1ファイル15TBまでOK)。
長期保管:社内はBox(500GB/ファイル)に格納してリンクを管理。
事例B:イベント撮って出し(数十GB)を複数社へ一括配布
WeTransfer Starter(〜300GB)またはSmash(無料〜50GB)で案件ごとにURL発行。パスワードと期限を忘れず設定。
事例C:代理店→クライアントの“社内限定視聴”
YouTube限定公開でURL配布、またはVimeoのパス/ドメイン制限でクローズド視聴。プレゼン資料への安全な埋め込みが必要ならVimeoが便利。
事例D:日本の取引先へ“登録不要で今すぐ渡す”
ギガファイル便で300GB/100日の枠を活用。ダウンロードパスを別送して安全性を確保。