配信にBGMを入れると、雰囲気が整い、視聴者の滞在時間が伸びやすくなります。一方で、Twitchの音楽は著作権リスクが非常に高く、やり方だけを真似すると「VODがミュートされる」「通知が来る」「最悪の場合はアカウント措置につながる」などのトラブルに直結しやすい分野です。
本記事では、(1)流してよい音楽の判断基準、(2)安全な音源の選び方、(3)OBSでのBGM設定、(4)VODに残さないための音声分離、(5)Spotify/YouTubeの扱い、(6)トラブル時の対応まで詳しく整理いたします。
対象は、これからTwitchで雑談・ゲーム配信を始める方、BGMを入れたいが著作権が不安な方、VODや切り抜きも運用したい方です。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
Twitchで音楽を流す前に知るべき著作権の基本
サブスクや購入では配信許諾にならない理由
Twitchで音楽を流す際に最初に押さえるべき結論はシンプルで、「配信で公に流す権利を自分が持っている音楽だけを使う」という一点です。ここが曖昧なまま「設定方法」だけを整えても、根本のリスクは残ります。
よくある誤解が、次の2つです。
Spotifyなどのサブスク契約をしているから配信で流してよい
CDやダウンロード購入したから配信で流してよい
しかし、サブスク契約や購入は、多くの場合「個人が私的に聴く」前提の利用範囲に留まります。つまり、視聴者に向けて再配信する(公開の場で流す)権利まで自動で含まれるとは限りません。配信は、視聴者へ同時に届ける性質上、権利上の扱いが変わりやすい点が重要です。
さらに音楽には、ざっくり言えば次のような権利が関わり得ます。
作詞・作曲に関する権利(いわゆる著作権)
音源(録音物)に関する権利(原盤権・隣接権など)
「曲を使いたい」と思ったとき、実際には曲そのものと録音された音源の両方が問題になることが多く、どちらか一方の許諾だけでは足りないケースがあり得ます。ここが、配信における音楽が難しい理由の一つです。
そのため、配信で音楽を使う場合は、次のいずれかに該当する状態を目指すのが安全です。
自作曲で、必要な権利を自分が管理している
権利者から配信利用の許諾を取っている
配信利用を前提に権利処理されたサービス・ライブラリを使う
利用条件が明確な「配信可」のフリー音源を条件どおりに使う
「サブスクで聴ける」「YouTubeに上がっている」「購入済み」は、判断材料としては不十分になりやすい、という点を先に固定しておくと、以降の選択がぶれにくくなります。
Twitchで問題になりやすいケース
Twitchで問題になりやすいのは、「配信者側が悪意なくやっている」のに、権利的にはアウトになり得るケースです。具体的には、次のパターンが多いです。
市販楽曲をBGMとして流す
雑談やゲーム配信の“雰囲気作り”目的で流しがちです。
しかし市販楽曲は権利管理が明確であることが多く、検知や申立ての対象になりやすい傾向があります。
Spotify / YouTube / YouTube Music の再生音をそのまま配信に乗せる
やり方は簡単(デスクトップ音声に乗る)ですが、権利面は最も危険になりやすい領域です。
後述しますが、「流せる方法」と「流してよい権利」は別物です。
著作権フリーだと思って使ったが、条件が合っていない
例:クレジット必須なのに未記載
例:収益化NGなのに広告・投げ銭あり
例:TwitchはOKだが、YouTube転載がNG
例:改変NGなのにループ編集して使用
“著作権フリー”という言葉は便利ですが、サイトごと・曲ごとに条件が異なります。
VODや切り抜きでリスクが拡大する
ライブ配信だけでなく、アーカイブ(VOD)、クリップ、ダイジェスト、さらに切り抜きのYouTube投稿など、二次的な露出が増えるほど、権利トラブルの芽が増えます。
配信中は気づかなくても、後からVODがミュートされる、通知が来る、という流れになりがちです。
ここで重要なのは、「視聴者に届く形で音楽を使う」限り、ライブかVODかに関係なく権利が問題になる可能性があるという考え方です。VODだけ消せば安心、という発想は危険で、後述のFAQでも触れます。
ミュートとDMCA通知の違い
配信者が混同しやすいのが「VODミュート」と「DMCA通知(削除要請等)」です。見た目はどちらも“何か起きた”状態ですが、意味合いが異なります。
VODミュート
Twitch側の仕組みとして、アーカイブ内の特定区間の音が無音化されることがあります。
ただしこれは、「問題が完全に解決した」「権利的に許された」という意味ではありません。
また、ミュートは配信者の意図と無関係に起きることがある一方、ミュートされないから安全という保証にもなりません。
DMCA通知(削除要請等)
権利者側から正式な手続きに基づく申し立てが行われると、コンテンツ削除やアカウントへの措置につながる可能性があります。
通知が来た場合は、感情的に反応せず、案内に沿って慎重に対応する必要があります。
要するに、ミュートは“検知・対処の一形態”であって、安全の証明ではないという点を押さえてください。安全運用の基本は「使ってよい音源を選ぶ」ことであり、ミュート回避のテクニックだけに寄らないことが重要です。
Twitchで使える音楽の選び方
自作曲と許諾を取った楽曲
安全性の観点で最上位に来るのが、自作曲と許諾取得曲です。
自作曲
作詞・作曲・演奏・録音まで自分で行い、第三者の権利を含まない状態が理想です。
ただし、制作に他者が関わっている場合(共同作曲、編曲、ボーカル依頼、素材利用など)は、契約や利用範囲の確認が必要になります。
「BGMを自作した」「友人が作ってくれた」場合も、口頭で済ませず、配信利用の許諾が明確な形になっていると安心です。
許諾を取った楽曲
権利者から配信での利用許諾を得ている音楽は、条件を守る限り安全性が高いです。
ここでの注意点は、許諾範囲を具体化することです。最低限、次を明確にしてください。
利用プラットフォーム:Twitchのみか、YouTube等も含むか
利用形態:ライブ配信、VOD、クリップ、切り抜き、ダイジェスト
収益化:広告、投げ銭、サブスク、案件配信を含むか
表記:クレジット表記の要否、表記文言
期間:期限があるか、更新が必要か
許諾は「取れたら最強」ですが、一般の市販楽曲で個別許諾を取るのは難しいことが多いです。そこで現実的な選択肢として、次項の「配信者向け音楽オプション」が重要になります。
Twitchが提示する配信者向け音楽オプション
Twitchは配信者向けに、音楽の扱い方や選択肢を案内しています。配信者としては、まず「配信利用を前提とした音楽オプション」を優先するのが合理的です。
代表的には次のような方向性があります。
配信者向けに権利処理された音楽サービス・ライブラリ
月額課金・無料枠など形態は様々ですが、「配信で使えること」を前提に整備されているものは、運用が安定しやすいです。
ただし、同じサービスでも「TwitchはOKだがYouTube転載は別条件」「VODは不可」など差があるため、必ず利用条件を読み込む必要があります。
Soundtrack by Twitch
Twitchが紹介する配信向けの仕組みとして知られています。
こちらも万能ではなく、「どの範囲まで使えるか」を理解した上で運用する必要があります。特に、ライブ・VOD・他プラットフォームの扱いがポイントになります。
「公式が紹介している」こと自体が安心材料になりますが、それでも最終的には各サービスの利用条件が優先されます。導入前に、配信・VOD・切り抜き・他サービス転載まで含めて設計するのが、トラブルを減らす近道です。
著作権フリーで確認すべき利用条件
著作権フリー音源は、費用を抑えつつBGMを整えられるため、初心者の方にとって強力な選択肢です。ただし、運用が難しい点もあります。それは「フリーの条件が一律ではない」ことです。
最低限、次のチェック項目を満たす音源だけを採用する方針にすると、事故が激減します。
収益化での利用可否
Twitchの広告、サブスク、投げ銭(ビッツ等)、案件配信などを含めてOKか
プラットフォーム制限
Twitchでの使用可否、さらにYouTube転載の可否(切り抜き投稿がある場合は特に重要)
VOD・クリップ・切り抜きの可否
“ライブのみ可”のケースもあるため要注意です
クレジット表記
必須か任意か、表記場所(概要欄・パネル・画面表示等)まで指定があるか
改変の可否
ループ、フェード、テンポ変更、短縮などがNGの曲もあります
再配布禁止
音源ファイルを配布してはいけないのは当然として、BGM集としてまとめる行為が禁止される場合もあります
さらに、運用面で非常に重要なのが「証跡の保存」です。利用規約は更新される可能性がありますので、採用時点の規約ページやライセンス表記を保存しておくと、後から説明が必要になった際に助けになります。
Twitchで音楽を流す方法とOBS設定
最短で流す方法(デスクトップ音声)
最短の方法は、PCで音楽を再生して、その音をOBSのデスクトップ音声として配信に乗せるやり方です。手順が少なく、初心者の方が最初に試しやすい一方、著作権面・運用面の事故が起きやすい方法でもあります。
基本手順は次のとおりです。
OBSの設定で「デスクトップ音声」が有効になっていることを確認する
PC上でBGM(ブラウザ・プレイヤー・アプリ)を再生する
OBSの音声ミキサーでデスクトップ音声のメーターが動くことを確認する
配信テストを行い、視聴画面で音量バランスを確認する
この方法の注意点は、BGMが配信にもVODにも同じように入りやすいことです。つまり、危険な音源を流すと、そのまま事故につながります。VODに残したくない場合は、後述のVODトラックを前提に設計してください。
OBSでの定番3パターン(メディアソース・ブラウザ・外部プレイヤー)
BGMの入れ方は大きく3系統に整理できます。状況に応じて使い分けると運用が安定します。
1)外部プレイヤー+デスクトップ音声
例:Spotify、ブラウザでの再生、ローカルプレイヤー
長所:導入が簡単、すぐ流せる
短所:VODにも混ざりやすい、何を流したか管理しづらい、音量の暴れが起きやすい
最初はこれで動かしがちですが、長期運用には向きにくいです。特に「切り抜きもやる」「VODを残す」場合は不利になりやすいです。
2)メディアソース(ローカル音源ファイル)
例:ダウンロードしたBGMファイル(利用条件が明確なもの)
長所:OBS内で管理できる、ループや停止が簡単、音量が安定しやすい
短所:音源の用意が必要、ライセンス管理を丁寧に行う必要がある
フリーBGM運用と相性が良く、「何の曲を使ったか」が把握しやすいのが大きな利点です。概要欄にクレジットを入れる場合も、曲名・作者名の整理が容易になります。
3)ブラウザソース(配信BGMサービス等)
例:配信者向けに提供されるプレイヤーをOBSに表示・再生する
長所:更新が容易、プレイリスト運用がしやすい
短所:回線状況に影響される、仕様変更の影響を受ける、利用条件確認が必須
「権利処理済み」をうたうサービスでも、利用範囲はサービスごとに差があります。導入時点で、ライブ・VOD・他サービス転載の可否まで必ず確認してください。
音量バランスと音割れ防止
BGMは、配信の快適さを左右します。音量が大きすぎると「声が聞こえない」「うるさい」と感じられ、離脱に直結します。逆に小さすぎると雰囲気作りになりません。
調整の基本方針は次のとおりです。
マイク音声を主役にする
視聴者は配信者の声を聞きに来ることが多いため、BGMは脇役です。
BGMは常に一定の低さを保つ
曲によって音圧が変わるため、曲切り替えで急に大きくならないよう注意します。
ピークを潰す(音割れ対策)
リミッターやコンプレッサーでピークを抑えると、耳障りな爆音が減ります。
テストで“視聴側”の音を確認する
OBSのメーターだけでなく、実際の視聴画面(スマホ視聴も含む)で確認してください。
目安としては、マイクが聞き取りやすい状態で、BGMが「気づくが邪魔しない」程度です。数値は環境で変わるため、最終的にはテスト配信で調整してください。
TwitchのVODで音楽を残さない設定
VODトラックの仕組みと注意点
VODを残す運用をする場合、多くの方が悩むのが「配信中はBGMを流したいが、VODには残したくない」という要望です。この要望に対応しやすい仕組みが、OBSのVODトラックです。
概念としては次のとおりです。
ライブ配信に送る音声トラックと、VOD(アーカイブ)に残す音声トラックを分ける
BGMはライブ側にのみ送り、VOD側からは外す
マイクやゲーム音はVOD側にも残す
ただし重要な注意点があります。
VODから消しても、権利問題が解消するわけではない
根本は「使ってよい音源を使う」ことです。VOD分離は補助的なリスク低減策と考えてください。
“どこまで残るか”は運用全体で考える必要がある
クリップ、ダイジェスト、ローカル録画、編集素材、同時配信、他サービス転載など、音声が残る経路は複数あります。
VODだけ無音にしても、別の経路で残れば問題が発生し得ます。
設定ミスが起こりやすい
トラックの割当を間違えると、VODが無音になったり、逆にBGMが残ってしまったりします。
事前に「トラック設計」を決めてから設定するのが安全です。
OBSでVODトラックを有効化する手順
ここでは、迷いにくいように「考え方→手順→確認」の順で説明いたします。細かな画面文言はバージョンで差があるため、要点を押さえて進めてください。
1)トラック設計を決める
例として、次の設計にすると管理しやすいです。
トラック1:ライブ配信用(配信に載る)
マイク、ゲーム音、BGMを含む
トラック2:VOD用(VODに残す)
マイク、ゲーム音のみ(BGMは入れない)
このように、役割を固定すると設定ミスが減ります。
2)OBS側でVODトラック機能を有効にする
OBSの出力設定で、Twitch向けのVODトラック機能を使う設定を有効化し、VOD用トラック番号を指定します(例:トラック2)。ここが「VODはこのトラックを採用する」という宣言になります。
3)音声ミキサーで各ソースのトラック割当を行う
OBSの音声ミキサーには「詳細オーディオプロパティ」があり、各音声ソースがどのトラックに出力されるかを指定できます。ここで、次のように割り当てます。
マイク:トラック1とトラック2にチェック
ゲーム音:トラック1とトラック2にチェック
BGM:トラック1のみにチェック(トラック2は外す)
BGMが「デスクトップ音声」の場合、デスクトップ音声の割当がBGMも含む可能性があります。その場合は、BGM専用の経路を作る(別ソース化する、出力先を分ける等)必要が出ることがあります。環境次第で難易度が上がるため、可能であればBGMはメディアソース等で独立させると管理しやすくなります。
よくある失敗と確認方法
VODトラックは効果が大きい一方、失敗も起きやすい機能です。典型的な失敗例と確認手順をセットで整理します。
失敗例1:配信にBGMが乗らない
原因として多いのは、BGMソースがライブ用トラックに出力されていないケースです。詳細オーディオプロパティで、BGMがトラック1にチェックされているか確認してください。
失敗例2:VODにもBGMが残る
BGMソースがVOD用トラック(例:トラック2)にチェックされている可能性があります。BGMはライブ用だけにする設計を再確認してください。
失敗例3:VODが無音、または声だけ残らない
VOD用トラックにマイクやゲーム音が入っていないケースです。「VODに残したい音」をVOD用トラックに確実に入れる必要があります。
確認方法(推奨)
短いテスト配信を行う
1〜2分で十分です。
配信視聴画面で音を確認する
ライブ側(視聴者側)でBGMが聞こえるか。
VODを開いて確認する
VOD側でBGMが消えているか。
マイクとゲーム音は残っているか。
この確認を一度通しておくと、本番での事故が大幅に減ります。
SpotifyやYouTubeをTwitchで使う場合の注意事項
原則NGになりやすい理由とリスク
SpotifyやYouTubeは、BGMとして使いたくなる代表格です。プレイリストが便利で、曲数が多く、操作も簡単だからです。しかし、配信利用という観点では「原則NGになりやすい」方向に働きます。
理由は大きく2つです。
サブスクや視聴が、配信での再利用を許諾していない可能性が高い
利用者が“聴く”権利と、配信者が“不特定多数へ届ける”権利は別物になりやすいです。
音源が権利管理の対象になりやすい
市販楽曲や公式配信音源は、権利者が明確で、検知・申立ての対象になりやすい傾向があります。
結果として、配信で使うと、VODミュートや通知などのトラブルに発展しやすくなります。特に、VODや切り抜きが残る運用では、リスクが加速度的に高まります。
どうしても使いたい場合に必要な考え方
「どうしてもこの曲を流したい」というニーズ自体は自然です。ただし、ここで必要なのは、設定テクニックではなく、許諾を起点にした設計です。
検討すべき観点は次のとおりです。
誰が権利者で、誰から許諾を得る必要があるか
許諾範囲に、Twitchのライブ・VOD・クリップ・切り抜きが含まれるか
収益化を含むか
同時配信やYouTube転載など他経路が含まれるか
クレジット表記や禁止事項があるか
許諾が取れない場合、または許諾範囲が限定される場合は、「その曲を使わない」判断が最も安全です。音楽は代替が効く一方、権利トラブルはダメージが大きいため、運用上の優先順位を誤らないことが重要です。
代替策(権利処理済み・自作・許諾)
Spotify/YouTubeの代替として、現実的で安全性の高い順に整理すると次のとおりです。
配信利用を前提に権利処理された音楽サービス・ライブラリを使う
条件が読みやすく、運用が安定しやすいです。
Soundtrack by Twitch等、配信向けの仕組みを使う
Twitch側で紹介される仕組みを軸にすると、判断がぶれにくくなります。
利用条件が明確なフリーBGMを採用し、クレジット等の条件を遵守する
費用を抑えたい場合の現実解です。証跡保存まで含めて運用してください。
自作曲・許諾取得曲を整備する
長期的には最も強い資産になります。配信のブランド化にもつながります。
「BGMの雰囲気」は音源で作れますが、「安心」は運用設計でしか作れません。安全に継続するなら、代替策へ素早く移行する方針が有効です。
Twitch音楽トラブルの対処と再発防止
VODがミュートされた場合
VODがミュートされた場合、まずは落ち着いて状況を切り分けます。焦ってVODを全削除する前に、原因の特定が重要です。
推奨フローは次のとおりです。
ミュートされた区間を確認する
どの時間帯がミュートか、複数箇所かを把握します。
該当区間で流していた音を洗い出す
BGM(外部プレイヤー、ブラウザ)
動画の音
ゲーム内の特定シーンの音楽
今後の対策を決める
許諾の明確な音源へ切り替える
VODトラックでBGMをVODから外す(ただし根本対策ではない)
同様の音源を二度と流さない運用ルールにする
再発防止を急ぐ場合は、まず「音源の入れ替え」を最優先にしてください。設定変更はその次で十分です。
警告や通知を受けた場合の基本行動
警告や通知を受けた場合、自己判断で強引に反論するのは危険です。基本は次の姿勢が安全です。
通知内容を正確に読む(対象コンテンツ、対象日、対象区間)
事実関係を整理する(何を流していたか、許諾の有無)
必要があれば、プラットフォームの案内に沿って手続きする
不安がある場合は、権利に詳しい専門家へ相談する
重要なのは、感情ではなく「記録」と「条件」で判断することです。音源の利用条件や許諾の記録が残っていると、対応が格段に進めやすくなります。
安全運用チェックリスト
最後に、運用で使えるチェックリストを提示します。配信前・音源追加時に必ず確認してください。
音源の種類が明確(自作/許諾取得/権利処理済みサービス/条件明確なフリー音源)
収益化(広告・投げ銭・サブスク・案件)での利用が許可されている
Twitchでの利用が許可されている(平台制限がない、または条件を満たす)
VOD・クリップ・切り抜き・YouTube転載の可否が明確
クレジット表記の要否を確認し、必要ならテンプレ文を用意した
改変(ループ、フェード、短縮)の可否を確認した
利用規約・ライセンス表記を保存した(スクリーンショット等)
OBSで音量バランスを調整し、テスト配信で視聴側を確認した
VODを残す場合、VODトラック設計と割当を確認した
このチェックリストを運用の入口に置くだけで、トラブル確率は大きく下がります。
Twitchで音楽を流す際のよくある質問
配信中はOKでVODだけ消せば問題ないのか
いいえ、その考え方は危険です。VODに残さない設定は、視聴後のリスクを下げる補助策にはなりますが、配信中に視聴者へ届けている時点で、権利的な問題が消えるわけではありません。
根本は「使ってよい音源を使う」ことであり、VODを消す・ミュートされることを安全の根拠にしない方針が重要です。
ゲームBGMは流してよいのか
ゲームBGMは「配信してよいゲームなら大丈夫」と思われがちですが、必ずしも一律ではありません。ゲーム会社ごとに配信ガイドラインがあり、BGMやムービー部分に制限がある場合もあります。
安全に進めるには、次の順で確認するとよいです。
そのゲームの配信ガイドライン(公式の配信ポリシー)があるか
収益化の可否(広告・投げ銭を含む)が明記されているか
ムービーや楽曲(BGM)に関して例外規定がないか
ガイドラインが見つからない、または条件が曖昧な場合は、リスクを見込んで「該当シーンでBGMを下げる」「該当区間を切り抜きに使わない」などの運用で保守的に進めるのが無難です。
クレジット表記は必要か
必要かどうかは、音源提供元の条件次第です。著作権フリー音源でも「クレジット必須」が多く、表記場所や文言まで指定されることがあります。
運用としておすすめなのは、次の2点です。
概要欄(配信説明)にクレジット欄をテンプレとして固定
曲が増えても追記しやすく、漏れが減ります。
音源リストをスプレッドシート等で管理
曲名、作者名、URL、利用条件、証跡、使用開始日を一元化すると、長期運用が安定します。
まとめ
Twitchで音楽を流す場合、最重要なのは「設定」よりも先に、その音源を配信で使う権利があるかを確認することです。サブスク契約や購入は、配信許諾を意味しない可能性が高いため、SpotifyやYouTubeの音源をそのまま流す運用は危険になりやすい点に注意が必要です。
安全に進める手順としては、次の流れを推奨いたします。
使う音源を「許諾が明確なもの」に限定する(権利処理済み/条件明確なフリー/自作/許諾取得)
OBSでBGMを管理しやすい形(メディアソース等)にする
VODを残すならVODトラックで音声を分離し、テスト配信で必ず確認する
クレジットや証跡保存を含めた運用ルールを作り、追加曲ごとにチェックリストを回す
最後に、利用条件や仕様は変更される可能性があります。音源の利用規約・ライセンス表記は保存し、定期的に見直す体制で、安心して配信を継続してください。