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Oculus 3でSteamVRを起動する方法|有線LinkとAir LinkとSteam Linkの手順

Meta Quest 3(通称Oculus3)でSteamVRを使ってPCVRゲームを遊びたい場合、最初の壁になりやすいのが「どの方式で接続するか」「どの順番で設定するか」「どこで詰まったのかを切り分けるか」です。情報が断片的だと、PC側は認識しているのにヘッドセット側に映らない、SteamVRは起動しているのにVR空間に切り替わらない、という状態に陥りやすくなります。

本記事では、Oculus3でSteamVRを起動してVRゲームを開始できる状態までを、方式選定から準備、手順、トラブルシューティング、快適化まで一気通貫で詳しく解説いたします。
なお、本記事内では「Oculus3=Meta Quest 3」として説明いたします。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

目次

Oculus3でSteamVRを起動する前に決める接続方式

最初に「接続方式」を決めることで、必要物・手順・トラブル原因が整理されます。Oculus3からSteamVRを起動する代表的な方式は次の4つです。

  • 有線Link(Quest Link):USBケーブルでPCと接続してPCVRを行う

  • Air Link:Wi-Fi経由でPCと接続してPCVRを行う(Quest Linkの無線版)

  • Steam Link:Steam側のストリーミング機能でPCVRを行う

  • Virtual Desktop:有料アプリでPCVRを行う(無線用途で利用されることが多い)

まずは、方式の違いを「安定性」「手軽さ」「必要環境」「つまずきやすさ」で把握してください。

有線Linkが向く条件

有線Linkは、次の条件に当てはまる方に向きます。

  • とにかく最短でSteamVR起動まで到達したい

  • 無線の遅延や切断に悩みたくない

  • ルーターの位置やWi-Fi品質に自信がない

  • 初回セットアップで「接続が不安定」という変数を減らしたい

有線Linkの最大の利点は、変数が少ないことです。PCとOculus3が物理的につながるため、通信品質がWi-Fi環境に左右されにくく、原因切り分けも簡単になります。

一方で注意点もあります。

  • ケーブル品質やUSBポートの相性で不安定になることがある

  • 動き回るゲームではケーブルが邪魔になりやすい

  • PC側のUSB帯域が不足すると画質・遅延に影響が出る場合がある

初回は有線Linkで成功体験を作り、その後にAir Linkへ移行する流れが、最も迷いが少ない選択になりやすいです。

Air Linkが向く条件

Air Linkは、次の条件に当てはまる方に向きます。

  • ケーブルの煩わしさを避け、無線で遊びたい

  • ルーターが近く、5GHz帯で安定したWi-Fiが使える

  • PCをルーターに有線接続できる、またはWi-Fiでも十分に高速・安定している

  • 多少の調整(解像度、ビットレート、リフレッシュレート等)を許容できる

Air Linkは、無線である以上「環境差」が大きくなります。特に次の点が性能に直結します。

  • 5GHz帯かどうか(2.4GHzは混雑しやすく不向きになりやすい)

  • ルーターとの距離、壁や障害物の有無

  • 近隣電波の混雑状況(マンション等では影響が出やすい)

  • PCがルーターへ有線接続されているか

無線の快適さは魅力ですが、初回から無線で挑むと「接続できるが不安定」「起動できたがカクつく」という形で詰まりやすいです。初回は有線、慣れたら無線、という段階移行が堅実です。

Steam Linkが向く条件

Steam Linkは、次の条件に当てはまる方に向きます。

  • Meta側のLink機能にこだわらず、Steam中心でセットアップしたい

  • Steam/SteamVRの導線に慣れている

  • 方式を簡素化し、Steamの仕組みで接続したい

Steam Linkは「Steamのエコシステム寄り」で、Link(Quest Link/Air Link)とは導線が異なります。相性や挙動は環境・タイトルにより差が出ることがあるため、うまくいかなければQuest Link/Air Linkへ切り替える前提で検討すると判断が速くなります。

Virtual Desktopが向く条件

Virtual Desktopは、次の条件に当てはまる方に向きます。

  • Air Linkが不安定で、別ルートを試したい

  • 無線の快適性(操作・画質・安定性)を重視したい

  • 有料でも、安定性と機能性を優先したい

Virtual Desktopは「無線でPCVRをやる」際の選択肢として挙がりやすいですが、必須ではありません。まずはQuest Link/Air Linkで起動まで到達し、それでも課題が残る場合に導入検討すると、不要な出費や混乱を避けられます。


Oculus3でSteamVRを動かすための事前準備

ここでは、方式に関係なく必要になる準備を「PC」「アカウント」「ケーブル」「Wi-Fi」に分けて整理します。準備不足は、ほぼ確実に「起動しない」「認識しない」につながりますので、先に固めることが重要です。

必要なPC要件とWindows条件

最低限として、以下は満たしている前提で進めてください。

  • Windows 10以降(可能ならWindows 11でも可)

  • GPUドライバーが最新(NVIDIA/AMD/Intel)

  • SteamVRやゲームのインストール用に十分な空き容量

  • USBポート(有線Linkの場合)

  • 安定したネットワーク(Air Link/Steam Link/Virtual Desktopの場合)

特にPCVRはGPU負荷が高く、スペック不足だと「起動はするがカクつく」「ゲームが落ちる」「SteamVRがエラーになる」といった症状につながります。起動まで到達できても快適に遊べないケースがあるため、まずはSteamVRが要求するVRゲーム側の推奨要件も確認してください。

また、PC側の基本設定として次も推奨いたします。

  • Windows Updateを最新にする

  • 電源プランを「高パフォーマンス」相当にする(ノートPCは特に重要)

  • USB省電力設定を必要に応じて見直す(突然切断される場合の切り分けに有効)

必須ソフトとアカウント

Oculus3でSteamVRを起動する場合、導線上で必要なものは次の通りです。

  • Meta側

    • Metaアカウント(Oculus3初期セットアップ済み)

    • PC用:Meta Horizon Link(旧Oculus PCアプリ相当)

  • Steam側

    • Steamクライアント(PCにインストール)

    • SteamVR(Steamから追加インストール)

ここで大事なのは、PC側に「Meta系」と「Steam系」の両方が揃っている状態を作ることです。片方だけだと、Quest Linkに入れてもSteamVRを起動できない、SteamVRは入れたがヘッドセットに接続できない、という状態になります。

推奨の準備順は以下です。

  1. PCにSteamを導入しログイン

  2. SteamVRをインストール(この時点でPC単体でSteamVRが起動するか確認)

  3. PCにMeta Horizon Linkを導入しログイン

  4. Oculus3をPCに認識させる(有線またはAir Linkで)

この順番にすると、「Steam側の問題」「Meta側の問題」を段階的に切り分けられます。

有線Linkに必要なケーブル要件

有線Linkで多い失敗は、実は「設定」ではなくケーブルです。以下を満たしていないと、接続できても不安定になります。

  • 高速通信に対応したUSBケーブルを使用する(充電専用ケーブルは避ける)

  • 可能ならUSB 3.x相当での接続を狙う

  • USBハブや延長ケーブルは、初回は避ける(切り分けが難しくなるため)

  • PCの背面ポート(デスクトップ)を優先する(前面は相性が出る場合がある)

ケーブル起因の典型症状は以下です。

  • 接続直後は認識するが、数分で切れる

  • SteamVR起動のタイミングで落ちる

  • 画質が荒い、遅延が大きい

  • 「USB接続が不安定」系の通知が出る

この場合は、設定をいじるより先に「別ポート」「別ケーブル」で切り分ける方が解決が速いです。

Air Linkに必要なWi-Fi要件

無線方式は、Wi-Fi環境の品質が成功率と快適性を決めます。特に重要なのは以下です。

  • 5GHz帯のWi-Fiを使う(2.4GHzは混雑・干渉が起きやすい)

  • ルーターとOculus3の距離を近くする(できれば同室)

  • 壁・家具・家電などの障害物を減らす

  • 可能ならPCはルーターへ有線LAN接続する(無線の二段構えは不利になりやすい)

Air Linkで詰まりやすいのは、次の状況です。

  • ルーターが別室で距離がある

  • 近隣のWi-Fiが多く、混雑している

  • PCもWi-Fi接続で、さらにヘッドセットもWi-Fi接続している

  • メッシュWi-Fi環境で接続先が変動し、安定しない

初回セットアップでは「条件を整えてから試す」ことが重要です。環境が厳しい場合は、まず有線Linkで起動まで通し、その後に無線へ移行してください。


Oculus3をPCに接続してQuest Linkを開始する手順

この章では、Oculus3をPCに接続し、PCVRのホーム空間(Quest Linkの世界)へ入るまでを詳しく解説いたします。SteamVRは「Quest Linkに入った後」に起動するのが基本導線です。

PCにMeta Horizon Link PCアプリを入れる

手順は次の通りです。

  1. PCにMeta Horizon Linkをインストールします

  2. 起動後、Metaアカウントでログインします

  3. 初期設定ウィザードに従い、デバイス追加・接続準備を進めます

  4. アプリ内でOculus3が認識される状態を目指します

ここで重要な確認ポイントがあります。

  • PC側アプリが最新か(古いと接続失敗や不具合が出やすい)

  • GPUドライバーが最新か

  • セキュリティソフトが通信を遮断していないか(ペアリングできない場合に切り分け)

また、初回は「余計な常駐ソフト」を減らすと成功率が上がります。具体的には、画面録画系、オーバーレイ系、通信監視系などが影響することがあります。原因が不明な場合は、最小構成で接続を成立させてから戻すと安全です。

Quest側でQuest Linkを開始する

有線Linkの場合の流れです。この手順の完了条件は「PCVR空間へ入る」ことです。

  1. Oculus3とPCをUSBケーブルで接続します

  2. Oculus3でクイック設定(設定パネル)を開きます

  3. 「Quest Link」相当の項目を選びます

  4. 接続先のPC名が表示されたら選択し、起動します

ここで「USB接続の許可」や「データアクセス」の確認が出た場合は、案内に従って許可してください(表示文言はバージョンで変わる場合があります)。

完了条件(ゴール)は次のいずれかです。

  • Oculus3内でPCVRのホーム空間(Link環境)が表示される

  • Link環境内で「デスクトップ」を開ける(PC画面が見える)

この状態になれば、SteamVR起動まであと一歩です。

うまくいかない場合の即時チェックは以下です。

  • PC側Metaアプリにヘッドセットが認識されているか

  • USBポートを背面に変えたか

  • 別ケーブルで試したか

  • PC再起動、Oculus3再起動を試したか

Air Linkでペアリングする

Air Linkは、最初にペアリングが必要です。ここを飛ばすと接続できません。

  1. PC側MetaアプリでAir Linkを有効にします

  2. Oculus3側でクイック設定を開き、Quest LinkからAir Linkを有効にします

  3. 接続可能なPC一覧が表示されたら、対象PCを選択します

  4. 表示される確認コード(またはペアリング手順)に従って接続します

  5. 接続後、PCVRのホーム空間へ入ります

完了条件(ゴール)は有線Linkと同様です。

  • PCVRのホーム空間が表示される

  • デスクトップが開ける

Air Linkで詰まる典型ポイントと対策は以下です。

  • PCが一覧に出ない

    • 同一ネットワークか確認、PCのネットワークプロファイル、ファイアウォールの切り分け、再起動

  • 接続できるがすぐ切れる

    • ルーター距離、5GHzへの切替、PCの有線接続化、混雑回避

  • 画面は出るが遅延が大きい

    • まずビットレートや解像度を控えめにし、安定化してから上げる


Oculus3からSteamVRを起動してゲームを開始する手順

ここからは、いよいよSteamVRを起動します。重要なのは、SteamVRの起動は「PC側で起動」し、表示は「ヘッドセット側に出る」という導線を理解することです。

SteamとSteamVRをインストールする

まずPC側の準備です。順番は次の通りです。

  1. Steamをインストールし、アカウントでログインします

  2. SteamストアまたはライブラリからSteamVRを見つけ、インストールします

  3. インストール後、PC上でSteamVRを一度起動します

ここでの狙いは、SteamVRがPC単体で正常に起動できる状態を確認することです。VRヘッドセットが未接続でも、SteamVRが起動・更新できる状態を先に作ると、後の切り分けが簡単になります。

確認ポイントは以下です。

  • SteamVRが起動してすぐ落ちない

  • 更新が止まらない

  • エラー表示が出る場合、内容が固定化していない(毎回同じエラーなら原因に当たりやすい)

起動しない場合は、後述の「SteamVRが落ちるときの修復手順」を先に実施してください。

Quest Link内でデスクトップを開きSteamVRを起動する

次に、Oculus3をQuest Link(有線またはAir Link)でPCVR空間に入れます。その上で、以下の手順です。

  1. Oculus3でQuest Linkを起動し、PCVRのホーム空間へ入ります

  2. Link環境内で「デスクトップ(PC画面)」を開きます

  3. デスクトップ上でSteamを開きます(すでに起動していても可)

  4. SteamVRを起動します

このとき、SteamVRはPC上で起動しますが、成功するとヘッドセット側がSteamVRのVR空間へ切り替わります。

完了条件(ゴール)は次の通りです。

  • Oculus3内にSteamVRの待機空間やホームが表示される

  • Oculus3のコントローラーがSteamVR側で認識され、レーザーやメニュー操作ができる

  • SteamVRのステータス(PC側ウィンドウ)でヘッドセットとコントローラーが接続済み扱いになる

もし「SteamVRは起動しているが、ヘッドセットはLink空間のまま」という場合は、接続経路やSteamVR側の認識に問題がある可能性があります。後述のトラブルシューティングへ進んでください。

SteamVR内でVRゲームを起動する

SteamVR空間に入れたら、ゲーム起動は次の流れです。

  1. SteamVRメニューを開きます

  2. ライブラリからVRゲームを選択します

  3. 初回起動時は、ゲーム固有の設定(言語、画質、操作方法、プレイエリア)を完了させます

VRゲーム側で要求される初期設定が残っていると、「起動しても操作できない」「画面が真っ暗」「タイトル画面から進まない」といった症状に見えることがあります。ゲーム固有の手順も併せて確認してください。


Oculus3でSteamVRが起動しないときの対処手順

ここでは、最短で解決しやすい順に、切り分け手順を整理いたします。ポイントは、一度に複数の変更をしないことです。変更点が多いほど原因が分からなくなります。

まず確認するチェックリスト

最初に、次のチェックリストを上から順に確認してください。ここを飛ばすと遠回りになります。

  • Oculus3がQuest Link(有線またはAir Link)でPCVR空間に入れている

  • Link環境内で「デスクトップ」が開ける(PC画面が見える)

  • PC側Metaアプリが起動している(終了していると接続が落ちることがあります)

  • PC側Steamが起動しており、SteamVRがインストール済み

  • GPUドライバーが最新

  • セキュリティソフト/ファイアウォールが通信や実行を妨げていない(切り分けとして一時停止)

  • PC再起動、Oculus3再起動を実施した

  • USBポートやケーブル、Wi-Fi帯域など、方式に応じた基本要件を満たしている

この段階で、次の「症状別の早見」を使うと判断が速くなります。

症状まず疑う箇所優先対処
PC側でSteamVRが起動しないSteamVR側(整合性・更新・競合)整合性確認→再インストール→ドライバー更新
SteamVRは起動するがヘッドセットに出ないLink導線・認識Link空間でデスクトップ→SteamVR起動の順を再確認
ヘッドセットは出るがカクつくネットワーク/負荷解像度/ビットレートを下げる、PC有線化、設定を控えめに
接続が頻繁に切れるケーブル/Wi-Fi別ポート・別ケーブル、ルーター距離短縮、5GHz固定

接続が不安定なときの優先対処

接続が不安定な場合は「方式ごと」に当たりやすい箇所が異なります。次の順で対処してください。

有線Linkで不安定な場合(優先順位)

  1. USBポート変更(背面のUSB 3.x相当を優先)

  2. ケーブル変更(充電専用品を避ける)

  3. USBハブ・延長を外す(直結へ)

  4. PC再起動、Oculus3再起動

  5. USB省電力設定の見直し(突然切断される場合の切り分け)

有線は「物理要因」を潰すのが最短です。設定より先に、ケーブルとポートで切り分けてください。

Air Linkで不安定な場合(優先順位)

  1. Oculus3を5GHz帯に固定(2.4GHzを避ける)

  2. ルーターとプレイ位置を近づける(同室推奨)

  3. PCをルーターへ有線LAN接続する

  4. ルーター再起動、PC再起動、Oculus3再起動

  5. 解像度・ビットレート・リフレッシュレートを下げる(まず安定化)

無線は「まず安定化→次に画質向上」という順番が重要です。いきなり高設定にすると、切断やカクつきが出たときに原因が分かりません。

SteamVRが落ちるときの修復手順

SteamVRが起動しても落ちる、もしくは起動すらしない場合は、SteamVR側の修復を優先します。

  1. SteamVRのファイル整合性確認

    • Steamの管理機能から実施します

  2. SteamVRの再インストール

    • 一度アンインストールし、再度インストールします

  3. PC再起動

    • SteamVRはドライバーやサービスに影響するため、再起動で改善する場合があります

  4. GPUドライバー更新

    • VRはドライバー依存が大きいため、更新で改善するケースがあります

  5. 競合しうる常駐ソフトを停止して切り分け

    • オーバーレイ、録画、モニタリング、仮想化関連などを最小化します

落ちる原因は多岐にわたりますが、基本は「整合性」「再インストール」「ドライバー」「競合排除」で当たりやすい順に潰すと効率的です。

OpenXRやアドオン競合が疑わしいときの切り分け

次のような状況では、OpenXRのランタイムやSteamVRのアドオン競合が疑わしくなります。

  • 以前別方式(Virtual Desktop等)を使っていて、最近構成を変えた

  • SteamVRが起動するが挙動が不自然、コントローラーが認識されない

  • エラーが再現性高く発生し、通常の再インストールで改善しない

  • SteamVRのプラグイン・アドオンを複数入れている

切り分けの基本方針は「余計なものを外して、最小構成に戻す」です。具体的には次の順が安全です。

  1. SteamVRのアドオンを確認し、不要なものを無効化

  2. 外部ツール(オーバーレイ、入力系拡張、VR関連ユーティリティ)を停止

  3. 一度「Quest LinkでPCVR空間→デスクトップ→SteamVR起動」という基本導線のみで試す

  4. それで安定したら、1つずつ機能を戻して原因を特定する

複数の要因が絡むと見え方が似るため、「最小構成に戻す」ことが最短です。


Oculus3でSteamVRを快適にする設定の目安

起動できたら、次は快適性です。ただし、快適化は「正しく動く状態」が前提です。動作が不安定なまま画質を上げると、原因が分からなくなりますので、段階的に調整してください。

画質と遅延に効く設定項目

快適性は大きく次で決まります。

  • 解像度(レンダリング解像度)

  • リフレッシュレート

  • ビットレート(無線時の帯域設定に相当する項目)

  • SteamVR側のスケーリング(解像度倍率)

  • PC側の負荷(GPU使用率、温度、バックグラウンド処理)

調整のおすすめ手順は以下です。

  1. まず「安定してプレイできる」設定に落とす

  2. 次に「解像度」を少しずつ上げる

  3. 次に「リフレッシュレート」を上げて体感を改善する

  4. 最後に「SteamVR側の解像度倍率」を調整して見え方を詰める

よくある失敗は、同時に複数を最大化してしまうことです。結果として、カクつき・遅延・切断が出て、どれが原因か分からなくなります。

判断の目安として、次を意識してください。

  • カクつき(フレーム落ち)が多い:GPU負荷が高い可能性 → 解像度や倍率を下げる

  • 遅延(操作が遅れる)が強い:ネットワーク要因や帯域不足 → 無線ならWi-Fi改善、ビットレート調整

  • 瞬間的な止まりがある:ネットワーク干渉、バックグラウンド処理、熱による制御 → まず環境を整える

Wi-Fi環境を改善するコツ

無線の改善は「設定」より「環境」の影響が大きいです。効果が出やすい順に挙げます。

  • ルーターとプレイ場所の距離を近づける(同室へ)

  • 5GHz帯を使い、不要な2.4GHz接続を避ける

  • PCをルーターへ有線接続する

  • ルーターの設置位置を高くし、障害物を避ける

  • 電子レンジ等、干渉しやすい家電から距離を取る

  • プレイ中は大容量通信(動画視聴、ダウンロード)を控える

無線がどうしても安定しない場合は、環境改善に時間をかけるより、いったん有線Linkへ戻して快適に遊べる状態を作る方が満足度が高いケースもあります。

方式変更の判断基準

次の条件に当てはまる場合、方式変更を検討してください。調整で粘るより早く解決することが多いです。

  • Air Linkで切断が頻発し、ルーター距離や5GHz固定をしても改善しない

  • PCもWi-Fi接続で、有線LAN化が難しい

  • 遅延が強く、ゲーム体験に支障がある

  • 有線Linkは安定するが、ケーブルがどうしても許容できない

方式変更のおすすめ順は以下です。

  1. 初回成功優先:有線Link(安定性重視)

  2. 無線で手軽に:Air Link(環境が整っていれば)

  3. 別ルートの検証:Steam Link(Steam中心で簡素化したい場合)

  4. 無線の別解:Virtual Desktop(有料でも安定性を狙いたい場合)

重要なのは、「どの方式が絶対に正しい」ではなく、自宅環境と目的に合う方式を採用することです。方式を変えること自体は失敗ではなく、最短の最適化手段です。


よくある質問

SteamVRを起動したのにヘッドセットに表示されません

多くの場合、「SteamVRはPCで起動しているが、ヘッドセット側がQuest Link空間のまま」という状態です。次を順番に確認してください。

  1. Oculus3がQuest Link(有線またはAir Link)でPCVR空間に入れているか

  2. Link空間でデスクトップを開き、SteamVRを起動しているか(順番が逆になっていないか)

  3. PC側のSteamVRステータスでヘッドセットが認識されているか

  4. SteamVRを一度終了し、PC再起動→再接続→再起動で再試行

「起動手順を最短導線に戻す」ことが解決につながりやすいです。余計なツールや拡張を入れている場合は停止して切り分けてください。

Air Linkがペアリングできません

Air Linkのペアリング失敗は、ネットワークとセキュリティが原因になりやすいです。次を確認してください。

  • PCとOculus3が同一ネットワークに接続されている

  • 5GHz帯を利用している(可能なら固定)

  • ファイアウォールやセキュリティソフトで通信が遮断されていない(切り分けとして一時停止)

  • PC再起動、Oculus3再起動、ルーター再起動を実施した

それでも改善しない場合は、いったん有線Linkで接続を成立させ、PCVR空間に入れることを確認してから無線に戻すと、原因が絞りやすくなります。

有線なのに不安定です

有線で不安定な場合、最初に疑うべきは「ケーブルとUSBポート」です。

  • PC背面のUSBポートへ変更

  • 別ケーブルで試す(充電専用ケーブルは避ける)

  • USBハブや延長を外し直結する

  • USB省電力設定の影響を切り分ける

設定変更の前に、物理要因の切り分けを優先してください。

Steam LinkとAir Linkは何が違いますか

  • Air Link:Meta側のLink機能(Quest Linkの無線版)で、Meta系のPCアプリを前提に接続します。

  • Steam Link:Steam側のストリーミング機能で、Steam中心の導線で接続します。

どちらも目的は「PCVR」ですが、導線と相性が異なります。うまくいかない場合は、方式を切り替えて比較すると解決が速くなります。

Virtual Desktopは必須ですか

必須ではありません。まずはQuest Link(有線)またはAir Link(無線)で起動まで到達し、以下のような課題が残る場合に検討してください。

  • Air Linkが安定しない、または操作性に不満がある

  • 無線でより快適に遊びたいが、環境が難しい

  • 有料でも機能性を優先したい

導入前に「現在の課題が何か」を明確化しておくと、不要な出費や設定増による混乱を避けられます。


まとめ

Oculus3でSteamVRを起動するまでの成功率を上げるには、以下の順番で進めることが最も確実です。

  1. 接続方式を決める(迷ったら有線Linkで起動まで通す)

  2. 事前準備を固める(Steam/SteamVR、Metaアプリ、PC要件、ケーブルまたはWi-Fi)

  3. Quest LinkでPCVR空間へ入る(デスクトップが開ける状態がゴール)

  4. デスクトップからSteamVRを起動する(SteamVR空間に切り替わり、コントローラーが認識されれば完了)

  5. うまくいかない場合は、最小構成に戻して切り分けし、整合性確認・再インストール・競合排除を順に実施する

  6. 起動後は、安定化→画質向上の順で段階的に快適化する

なお、SteamVRやMeta系アプリはアップデートにより画面構成や文言が変わる場合があります。記事手順と表示が異なる場合は、画面上の案内を優先しつつ、この記事の「ゴール(完了条件)」に沿って進めると迷いにくくなります。