DiscordでオンラインTRPGを遊んでいると、「ダイス結果が流れて見落とれる」「修正込みの判定が面倒」「抽選や順番決めを毎回手動でやっている」といった小さなストレスが積み重なりがちです。そこで役立つのが、Discordに導入できるダイスBOTです。チャット上でサイコロを振れるだけでなく、結果がログとして残るため、判定の透明性が上がり、進行もスムーズになります。さらに、choice系の機能を使えば、景品抽選・担当決め・チーム分けまで“その場で公平に”完結できます。
本記事では、ダイスBOTの選び方から導入手順、すぐ使えるコマンド例、つまずきやすいトラブル対処、運用のコツまでを一気通貫で解説いたします。Discordの権限設定が不安な方でも、管理者権限に頼らず安全に運用できるよう、チェックポイントも整理しています。TRPG卓を快適にしたい方はもちろん、コミュニティ運営でランダム決定を取り入れたい方も、まずはここから始めてください。
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DiscordでダイスBOTを使うメリット
TRPGの判定とログ管理が楽になる
DiscordでダイスBOTを導入すると、ダイス結果がテキストとして残るため、オンラインTRPGの進行が安定しやすくなります。たとえば通話で進行しながら、判定はチャットに投げる運用にすると、次の利点が得られます。
判定結果の見落としが減る:通話だけだと聞き逃しやすい数値も、チャットなら視認できます。
後から検証できる:クリティカルやファンブルなど、重要な結果がログに残るので、振り直しや誤解の防止につながります。
卓のテンポが上がる:GMが「今の判定いくつ?」と確認する回数が減り、会話の流れが途切れにくくなります。
さらに、TRPGでは「誰が・いつ・何を振ったか」が明確であることが、公平性の観点でも重要です。ダイスBOTは、個人の手元で振ったサイコロよりも透明性が高いため、参加者全員が納得しやすくなります。
また、TRPG向けのダイスBOTには、単にNdM(例:2d6)を振るだけではなく、次のような“卓運営に寄り添う機能”がある場合もあります。
修正値を含めた判定式(例:
1d100+20)をそのまま入力できる出目の内訳(2d6なら「(3,5) → 8」など)が分かりやすい
成功/失敗の閾値判定に対応する(BOTやダイスエンジンの仕様に依存します)
特定ゲームシステム向けのコマンドを用意している
このように、ダイスBOTの導入は「サイコロを振る」以上に、進行・証跡・公平性をまとめて強化できる点が大きな価値です。
順番決めや抽選など日常運用にも使える
ダイスBOTの用途はTRPGに限りません。Discordコミュニティやゲームサーバー、イベント運営でも、ランダム要素が必要な場面は多々あります。代表例は次の通りです。
順番決め:発言順、プレイ順、当番の決定
抽選:景品当選、参加枠の優先順位決定
割り当て:役割分担(司会/書記など)、チーム分け
ミニゲーム:罰ゲームの決定、運試し企画
このとき、単純に「1dN」で番号を振るやり方も可能ですが、参加者が増えるほど「番号と名前の対応」が手間になりがちです。そこで、候補を文字列で列挙し、ランダムに選ぶコマンド(例:choice系)を使うと、ログがそのまま抽選記録になります。
「候補→結果」が1メッセージにまとまる
後から「やり直し」や「言った言わない」の混乱が起きにくい
司会者が口頭で読み上げなくても、全員が同じ情報を見られる
特に公開サーバーや参加者が多いイベントでは、透明性のある抽選ログが残ることが信頼につながります。ダイスBOTは、TRPG用途で培われた“ログの強さ”を、抽選や運営にも転用できるツールです。
DiscordダイスBOTの選び方
シンプルに振るだけのタイプが向くケース
ダイスBOTは大きく分けると「シンプル型」と「TRPG対応型(多機能型)」があります。まず、シンプル型が向くケースを整理いたします。
シンプル型が向く条件
6面・10面・20面など、基本的なダイスが振れれば十分
参加者が初心者中心で、コマンドを覚える負担を減らしたい
サーバーの用途がTRPG専用ではなく、雑談・ゲーム全般のコミュニティである
BOTの権限や設定をなるべく単純にして運用したい
シンプル型の利点は、導入後の案内が最小で済むことです。多くの場合、必要な説明は次の程度に収まります。
ダイスの書き方(例:
1d6、2d10)どのチャンネルで振るか(
#ダイスなど)反応しない時に確認するポイント(権限、コマンド形式)
一方で、シンプル型は「TRPGのシステム判定に特化したコマンド」や「演算」「マクロ」のような高度な機能が弱い場合があります。よって、TRPGを継続的に運用し、複雑な判定や複数システムにまたがる運用をする場合は、次のTRPG対応型の検討が有効です。
TRPG対応のタイプが向くケース
TRPG対応型(多機能型)が向くのは、次のように判定を素早く・正確に・分かりやすく回したい状況です。
判定が頻繁で、修正値や難易度処理が多い
複数システムのTRPGを遊ぶ(キャンペーンや卓が複数ある)
ダイス結果の表示が見やすいことを重視したい(内訳や判定結果表示など)
抽選(choice)や表(ランダム表)など、周辺機能も使いたい
GMが進行を担当し、運用テンプレを整えておきたい
TRPG対応型では、たとえば以下のような差が出やすくなります。
記法の柔軟性:NdMのほかに、修正値、比較、繰り返しなど
見せ方:内訳表示、合計、成功度の表示など
対応範囲:特定システム専用か、汎用か、多数システム対応か
運用性:ヘルプの分かりやすさ、コマンドの一貫性、更新頻度
注意点として、TRPG対応型は多機能であるぶん、導入直後に「全部を使いこなす」必要はありません。むしろ失敗しやすいのは、最初から複雑な機能に踏み込み、参加者が混乱することです。導入直後は、次の順序を推奨いたします。
まずNdM(例:
1d100、2d6)が安定して動くことを確認次に修正値(例:
1d100+20)を定着必要なら抽選(choice)や表機能などを追加
システム固有判定は、卓のメンバーが慣れてから採用
権限と安全性で選ぶポイント
ダイスBOT選定で最も重要な観点の一つが、権限設計(セキュリティ)です。Discordでは、BOTも「メンバー」と同じようにロールと権限が付与されます。権限が過剰だと、万一の事故や荒らし、設定ミスの影響範囲が拡大します。
本記事では、基本方針として次を推奨いたします。
管理者権限を付けない(原則)
必要最小限の権限だけを付与する
使うチャンネルを絞る(
#ダイス等)BOT用ロールを分ける(後から制御しやすくする)
ここで「必要最小限」とは、一般に次のような権限が中心になります(BOTによって必要は異なります)。
メッセージ送信
メッセージ履歴の閲覧(ログ参照が必要なBOTの場合)
埋め込みリンクの送信(結果表示に埋め込みを使う場合)
外部絵文字の使用(結果表示の装飾に使う場合)
逆に、ダイス用途だけなら通常は不要になりやすい権限もあります。
チャンネル管理、ウェブフック管理、サーバー管理に関わる権限
メンバーのBAN/KICK、ロール管理など強い権限
大量メッセージ削除(運用上必要な場合を除く)
BOTが要求する権限は、招待時の画面に表示されることが多いため、そこで「過剰ではないか」を確認する姿勢が重要です。もし判断が難しい場合は、まず導入してテストし、動作に必要な権限だけを残す形で最適化するのが安全です。
DiscordにダイスBOTを導入する手順
導入に必要な権限と事前確認
BOTをサーバーに追加するには、通常「サーバー管理」相当の権限が必要です。自分が管理者でない場合、招待画面でサーバーが選択できなかったり、追加そのものができないことがあります。
導入前に、次の前提を整えてください。
導入前チェックリスト
サーバーにBOTを追加できる権限(サーバー管理権限、または同等)がある
追加先サーバーが決まっている(本番/テストの区別ができている)
BOTを使うチャンネル(例:
#ダイス)を用意できるBOTに与える権限の方針が「最小権限」である
サーバーのロール設計(BOT用ロールを作るか)が決まっている
特に、初めてBOTを導入する場合は「いきなり本番導入」ではなく、テスト用チャンネルまたはテストサーバーで動作確認してから展開すると、トラブルが減ります。
招待リンクからサーバーに追加する流れ
多くのダイスBOTは、提供元のページや配布ページに「招待(Invite)」リンクがあります。そこからDiscordの認可画面に進み、サーバーを選んで追加する形が一般的です。
手順(共通フロー)
BOT提供元の招待リンクを開きます。
Discordにログインしていない場合はログインします。
権限一覧が表示されるので、過剰な権限がないか確認します。
認証(CAPTCHA等)を完了します。
サーバーにBOTが参加したことをメンバー一覧で確認します。
ここで重要なのは、権限一覧を“読まずに許可しない”ことです。ダイス用途のBOTに強い権限が含まれている場合は、提供元の信頼性や運用方針を含めて再検討してください。
導入後に最初に行う初期設定
BOTを追加した直後に、次の初期設定を行うと運用が安定いたします。
1)テスト用チャンネルで動作確認する
まずは #botテスト のようなチャンネルを作り、管理者だけが触れる状態にします。そこで以下を確認してください。
BOTがメッセージに反応するか
ダイスコマンドの基本形が動くか(例:
1d6)結果表示が埋め込みの場合、埋め込み権限が必要か
スラッシュコマンド型の場合、コマンド候補が表示されるか
2)運用チャンネルを決める
テストが通ったら、本番用に #ダイス など専用チャンネルを用意します。専用化する利点は次の通りです。
ダイスログが流れて見失うことを防ぐ
参加者が「どこで振ればよいか」迷わない
BOTの権限範囲をチャンネル単位で制御しやすい
3)BOT用ロールを作成して権限を絞る
BOTに付与するロール(例:DiceBot)を作成し、BOTへ付与します。次に、#ダイス チャンネルの権限設定で、BOTロールに必要な権限だけを許可します。
推奨の考え方
まずは最低限「閲覧」「送信」を許可
反応しない場合だけ「埋め込み」「履歴閲覧」などを追加
全チャンネルに権限を配らず、必要なチャンネルに限定
この設計にしておくと、後からBOTを追加導入する場合も、同様のパターンで安全に運用できます。
ダイスBOTの基本コマンド集
NdMと修正値の基本
ダイスコマンドの基礎は「NdM」です。Nが個数、Mが面数を表します。例を挙げます。
1d6:6面ダイスを1回2d6:6面ダイスを2回(合計値が必要になることが多い)1d20:20面ダイスを1回1d100:100面相当を1回(パーセンタイル)
TRPGでは修正値が頻繁に発生します。多くのダイスBOTでは、以下のように加減算を追加できます。
1d20+5(技能補正や能力修正)2d6-1(ペナルティ等)
運用上の注意
半角/全角の違いで動かない場合があるため、基本は半角英数字で入力するのが安全です。
dの代わりにDを許容するBOTもありますが、混乱を避けるため卓内で表記を統一するとよいです。修正値を“どこで計算するか”を卓の方針で統一すると混乱が減ります(例:コマンドに含める/口頭で足す等)。
コピペ用サンプル(基本)
1d62d61d20+31d100+15
まずはこの4つが安定して動けば、日常運用の大半は成立します。
複数回ロールと合計表示の考え方
複数回ロールには、似ているようで用途が異なる2つがあります。
同時に複数個を振る(合計する):
3d6のように「個数」を増やす同じ試行を複数回繰り返す:例えば「1d100を3回振って結果を並べる」など(BOTによって記法が異なります)
TRPGでは多くの場合、前者の「同時に複数個を振る」用途が中心です。たとえばダメージロール、能力値生成、起点となる値の算出などです。このとき重要になるのが次の点です。
合計値が表示されるか
内訳が表示されるか(例:2d6の個別の出目)
出目の修正値が分かりやすいか(例:
2d6+3)
内訳が見えると、参加者が「結果に納得できる」だけでなく、GM側も「計算ミスがない」ことを確認しやすくなります。卓の規模が大きいほど、この“見やすさ”が進行品質を左右いたします。
一方、後者の「繰り返し」についてはBOTごとに差が大きい領域です。繰り返しコマンドがない場合でも、必要なら以下の代替が可能です。
まとめて振れる形に変形する(例:
3d100で代替できるか検討。ただし用途により不適)1回ずつ振ってログを残す(確実だが手間)
マクロ機能のあるBOTを選ぶ(運用が安定)
どの方法が適切かは、卓の進行速度と参加者の慣れに依存します。初心者卓では、確実性を優先し「1回ずつ振る」運用のほうが混乱が少ない場合もあります。
ランダム抽選と順番決めに使うコマンド
抽選や順番決めは、ダイスBOTの“便利さが最も体感しやすい”領域です。代表的な方法を3つ提示いたします。
方法A:番号ダイスで決める
参加者が1〜Nの番号を持つ形式です。
参加者:A=1、B=2、C=3…
コマンド:
1d5(5人なら)
メリット
どのBOTでも対応しやすい
形式が単純
デメリット
番号対応表を別途用意する必要がある
人数が増えるほど運用が面倒
方法B:候補から選ぶ(choice系)
候補文字列を列挙し、BOTに選ばせる形式です。例:
choice[司会,書記,タイムキーパー]choice[Aさん,Bさん,Cさん,Dさん]
メリット
ログがそのまま抽選記録になる
候補と結果が同時に残る
番号表が不要
デメリット
候補の入力ミスがあると、そのまま結果に反映される
長い名前が多いと読みづらい(短縮名運用が有効)
方法C:順番決めを“複数回”回す運用
順番を完全に決めたい場合は、単発抽選だけでは足りません。次の運用が現実的です。
1回目:全員から1名を抽選 → 先頭
2回目:残りから抽選 → 2番目
…を繰り返す
このとき、候補入力の手間を減らすために、短縮名(A1,A2…)を採用し、対応表をピン留めする方法が有効です。
順番決めのテンプレ(例:5名)
choice[A1,A2,A3,A4,A5]→ 先頭choice[残り4名]→ 2番目…
運用のポイントは「対応表を固定しておく」ことです。イベントごとに表記が変わると、ログの解釈が難しくなります。
よくあるトラブルと解決手順
サーバーに追加できない場合
「招待リンクを開いたが、サーバーが選べない」「追加ボタンが押せない」といったケースは、原因が比較的絞りやすいです。主な原因と対処を整理いたします。
原因1:権限不足(最頻出)
サーバーにBOTを追加するには、サーバー管理相当の権限が必要です。権限がない場合、選択肢にサーバーが表示されない、あるいは追加が進みません。
対処
サーバー所有者に導入を依頼する
自分にサーバー管理権限を付与してもらう
導入用の担当者ロールを作り、その人だけが追加できるようにする
原因2:ログインアカウントの取り違え
複数アカウントを使っている場合、権限のあるアカウントでログインできていないことがあります。
対処
ブラウザ上でDiscordのログイン状況を確認する
シークレットウィンドウで正しいアカウントでログインし直す
モバイルとPCでアカウントが異なる場合は統一する
原因3:サーバー側のポリシー・制限
学校・企業・運営方針により、外部アプリ導入が制限されている場合があります。
対処
管理者に方針確認する
代替として、サーバー外で抽選し結果だけ貼る運用に切り替える
ルール上許可された範囲で、権限の少ないBOTを選定し直す
原因4:招待リンクの不備や提供停止
提供元のリンクが古い、BOTが停止している、招待が無効になっていることもあります。
対処
提供元の最新ページから招待リンクを取り直す
公式案内(配布ページ、リポジトリ等)で稼働状況を確認する
別のBOTへ切り替える(運用継続を優先)
追加できない場合は、焦って権限を盛るのではなく、まず上記の切り分けを行うと解決が早くなります。
コマンドが反応しない場合
「BOTはサーバーにいるのに、コマンドを打っても何も起きない」という状況は、権限と入力形式が原因になりやすいです。以下の順番で確認してください。
1)BOTが“見えている”か
まず、メンバー一覧でBOTがオンライン表示されるか、または少なくともサーバー参加が確認できるかを確認します。サーバーにいなければ、当然反応しません。
メンバー一覧にいるか
ロールが付与されているか
退出していないか(監査ログが見られる場合は確認)
2)入力しているコマンド形式が合っているか
BOTには大きく2系統があります。
スラッシュコマンド型:
/rollのように「/」から入力するメッセージ入力型:
1d6のように通常メッセージで入力する
スラッシュコマンド型なのにメッセージ入力をしても反応しない、という混同がよく起こります。まずは、入力欄で「/」を打ったときにコマンド候補が出るかを確認し、BOTのヘルプに沿った形式で試してください。
3)チャンネル権限が不足していないか
最頻出は「BOTがそのチャンネルで発言できない」ケースです。次を確認してください。
BOTに「チャンネル閲覧」があるか
BOTに「メッセージ送信」があるか
埋め込みが必要なら「埋め込みリンク」権限があるか
返信やスレッドを使うBOTなら、スレッド関連権限が必要か
対処の基本方針
いきなり管理者権限を付けず、必要な権限を1つずつ追加する
まずテスト用チャンネルで動く状態を作り、そこから本番へ展開する
4)BOTの利用が制限されていないか
サーバーによっては、BOTの利用を特定ロールに制限したり、特定チャンネル以外で禁止している場合があります。過去に設定した制限が原因で、導入者本人が気づかないこともあります。
ルールチャンネルや固定メッセージで運用ルールを確認
ロールが不足していないか確認
#botテストなど管理者用チャンネルで試す
5)一時的な障害・レート制限の可能性
BOT側の障害やDiscord側の一時的な問題もゼロではありません。短時間で大量にコマンドを試すと、制限がかかることもあります。
対処
連投を避け、間隔を空ける
BOT提供元の障害情報があれば確認する
代替手段(別BOT、手動運用)を用意しておく
権限を最小化したい場合の設計
安全運用を徹底する場合、最も効果が高いのは「権限を絞る」ことと「使う場所を限定する」ことです。ここでは、実装手順として分かりやすい設計を提示いたします。
設計方針
BOTは専用ロールで管理する
BOTの権限はチャンネル単位で許可する
権限付与は「不足したら追加」方式で行う(最小化の基本)
手順(推奨)
DiceBotのようなロールを作成します。BOTにそのロールを付与します(BOTの役割が明確になります)。
#ダイスを作成し、権限設定を行います。@everyone:閲覧可、送信可(サーバー方針により調整)DiceBot:閲覧可、送信可、必要なら埋め込み可
他のチャンネルでは
DiceBotの送信権限を拒否します。反応しない場合だけ、以下を段階的に追加します。
メッセージ履歴の閲覧
埋め込みリンク
ファイル添付(BOTが画像やファイルで結果を返す場合)
“管理者権限”を避ける理由
管理者権限は非常に強力で、チャンネル制限や多くのセキュリティ上の意図を迂回できるため、ダイス用途で常用する設計は推奨できません。トラブル時の暫定対応として付与する場合でも、原因切り分けが済んだら元に戻す運用が安全です。
応用例と運用のコツ
TRPGでのチャンネル設計例
TRPGで安定運用するには、「情報の種類ごとにチャンネルを分ける」ことが効果的です。以下に、よく使われる構成例を提示いたします。
例:最小構成(初心者卓向け)
#メイン:進行とRP(主にここを見れば卓が追える)#ダイス:ダイスロール専用(ログが分かりやすい)
狙い
参加者が迷わない
GMの進行が楽
ダイスログが流れない
例:標準構成(継続卓向け)
#メイン:進行#ダイス:判定#情報:ハンドアウト、ルール、キャラクターシートリンク#雑談:セッション外の会話(ログのノイズを分離)
狙い
後から見返しやすい
重要情報と雑談を分離できる
途中参加者への共有が容易
例:秘匿あり構成(秘匿シナリオ向け)
#メイン#ダイス#秘匿-PL名(個別)#GM控室(GM用)
運用のポイント
秘匿チャンネルにBOTを入れる場合は、閲覧権限が適切か必ず確認する
秘匿は“見えてはいけない人に見えない”ことが最重要なので、権限を慎重に設計する
このように、チャンネル設計は「見やすさ」だけでなく「ミス防止(情報漏えい防止)」にも直結します。
イベント運営での抽選テンプレ
イベントの抽選は、透明性と手間削減が両立できる形が望ましいです。ここでは、実際に運用しやすいテンプレを2パターン提示いたします。
パターン1:少人数(5〜20名程度)
準備
参加者を短縮名で固定:A1〜A20
対応表(A1=〇〇さん)を
#案内に固定メッセージまたはピン留め
抽選
choice[A1,A2,A3,...]
当選者発表
BOT結果メッセージをピン留め
当選者が辞退した場合は、候補から外して再抽選
メリット
対応表が固定なのでログが読みやすい
コピペで候補を作れる
パターン2:中〜大人数(20名以上)
人数が多いと候補入力が長くなりやすいため、以下の工夫が有効です。
参加者をグループ化(例:A組、B組)
まずグループ抽選 → 次にグループ内抽選
あるいは番号ダイス(1dN)方式に切り替える
例:二段階抽選
choice[A組,B組,C組]当たった組の中で
choice[A01,A02,...]
運用上の注意
再抽選の条件(辞退、重複禁止など)を事前に明記する
「いつの時点の参加者リストで抽選するか」を固定する(締切後の追加をどう扱うか)
抽選運用は、ルールが曖昧だと揉めやすいため、BOTよりも先に「運営ルール」を文章で提示することが重要です。
ログの残し方と荒らし対策
ダイスBOTは便利ですが、公開サーバーほどスパムや荒らしの温床になりやすい側面があります。以下の対策を推奨いたします。
ログの残し方
#ダイスを専用化し、ログが1か所に集まるようにする重要な結果(抽選、重要判定)はピン留めする
長期運用なら、月ごと/卓ごとにチャンネルを分ける(検索性が上がります)
荒らし対策(基本)
低速モードを導入し、連投を抑制する
BOTの使用を特定ロール(参加者ロール)に制限する
公開サーバーでは、初参加者がすぐにBOTを使えないように段階付与する
乱用が起きた場合は、一時的に
#ダイスの送信権限を絞る
荒らし対策(BOT側での設計)
BOTの送信権限を
#ダイスに限定する他チャンネルでの利用を拒否する(ログ汚染を防止)
必要に応じて、BOTコマンドの使用者を絞る
これらを整えると、ダイスBOTの利便性を保ちつつ、サーバー全体の秩序を守りやすくなります。
ダイスBOT導入の注意点
管理者権限を安易に付けない
導入時にありがちな失敗が、「動かないから、とりあえず管理者権限を付ける」という対応です。管理者権限は強力である一方、付与すると以下のリスクが増えます。
チャンネル制限が効かなくなり、意図しない場所で発言できる
BOTに不具合や乗っ取りがあった場合の影響範囲が拡大する
設定ミスを“権限で隠して”しまい、原因が分からなくなる
推奨は、次の順序です。
まず「送信」「閲覧」など必要最低限を確認
次に「埋め込み」「履歴閲覧」などを段階的に追加
それでも解決しない場合にのみ、限定的に強い権限を検討
原因が判明したら、権限を元に戻す
権限は“付けるほど楽”に見えますが、長期運用の安全性は確実に下がります。ダイスBOTは長く使うことが多いため、最初にきちんと設計する価値が高いです。
BOTの利用範囲をチャンネルで制御する
BOTを安全に運用する最も分かりやすい手段が、チャンネルでの利用制御です。具体的には、次の形が基本になります。
#ダイス:BOT利用を許可それ以外:BOTの送信を拒否(または閲覧自体を禁止)
この形にすると、次の効果が得られます。
雑談チャンネルがBOTログで埋まらない
BOT乱用が起きても被害が
#ダイスに限定される参加者が迷わない(振る場所が一意)
また、卓が複数あるサーバーでは、卓ごとに #ダイス-卓名 を作る運用も有効です。ログが分散して見返しやすくなり、誤爆(別卓で振ってしまう)も減ります。
仕様変更に備えて公式情報を確認する
DiscordはUIやアプリ周りの仕様が変更されることがあります。BOT導入記事は、時間が経つと手順画像や名称が一致しなくなることがあるため、次を意識しておくと安全です。
画面名が違っても「本質(サーバー追加→権限確認→認証)」は同じ
困ったときは、Discordの公式ヘルプ(Appsや権限の説明)を確認する
BOT側の仕様も更新され得るため、提供元の案内(ヘルプ、更新情報)を確認する
特にスラッシュコマンドの扱い、アプリの導入形態(サーバーへ追加/アカウントへ追加)の表現などは変わることがあります。運用側としては「最新の表現に引きずられず、必要な条件を満たしているか」を見る姿勢が重要です。
DiscordダイスBOTのよくある質問
無料で使えますか
多くのダイスBOTは無料で利用できますが、BOTによっては次のような形で差があります。
完全無料(寄付受付のみ)
基本無料+追加機能が有料
サーバー規模や利用頻度で制限がある
特定機能(ログ保存、マクロ数など)が課金対象
導入前に、招待ページ・公式案内・ヘルプ等で料金体系と制限を確認し、サーバー運用に支障がないか判断するのが安全です。
スマホでも使えますか
基本的にDiscordのスマホアプリでもダイスBOTは利用可能です。特にスラッシュコマンド型は、入力欄で「/」を押すと候補が表示されることが多く、スマホでも使いやすい傾向があります。
ただし、スマホでは次の点で差が出ることがあります。
長いコマンドを入力しづらい(抽選候補が多いと特に)
画面が狭く、結果の内訳が見づらい場合がある
コピー&ペーストの操作に慣れが必要
対策としては、コピペ用テンプレ(よく使うコマンド集)を #案内 に固定しておくと、スマホ参加者の負担を下げられます。
TRPGのシステム判定はどこまで対応しますか
これはBOTやダイスエンジンの仕様に大きく依存します。一般に、次のいずれかです。
汎用(NdM+修正値中心)
一部システムに対応(人気どころ中心)
多数システム対応(システム別コマンドが豊富)
卓で遊ぶ作品が決まっている場合は、対応システム一覧やヘルプを確認し、必要な判定がカバーされるかを先に確認すると失敗が減ります。作品を跨ぐ運用が多いサーバーでは、多数システム対応の方が移行コストが低くなる傾向があります。
DMでも振れますか
DM(ダイレクトメッセージ)で使えるかはBOTの設計次第です。サーバーに追加して使う前提のBOTもあれば、ユーザーアカウントに紐づく形で利用できるものもあります。
DMで振る運用は便利ですが、TRPGでは「公開ログとして透明性を確保したい」ケースが多いため、基本はサーバーの #ダイス で振る運用を推奨いたします。秘匿判定が必要な場合は、卓のルールとして「秘匿チャンネルで振る」「GMのみ見える形にする」など、運用設計で解決するほうが安全です。
まとめ
DiscordのダイスBOTは、TRPGの判定ログを残して進行を安定させるだけでなく、抽選や順番決めなどコミュニティ運営にも幅広く活用できます。導入時は「追加できる権限があるか」「コマンド形式が合っているか」「チャンネル権限が不足していないか」を順に確認し、つまずきやすいポイントを潰すことが重要です。
また、安全運用の要点は次の3点に集約できます。
管理者権限を安易に付けない(必要最小限の権限で動かす)
使うチャンネルを限定する(
#ダイスを軸にログと運用を分離する)テンプレ化して運用する(コマンド例、抽選ルール、対応表を固定する)
DiscordやBOTは仕様変更が起こり得ますので、導入後も提供元の案内やヘルプを確認しつつ、サーバーの運用ルールとセットで整備していくと、長期的に安定した運用が可能になります。



