Steamでログインしようとした際に「Something went wrong while attempting to sign you in. Please try again later」などの表示とともにエラーコードE87が出ると、ゲームの起動やフレンド機能、ストア利用まで止まり、非常に不便です。
一方でE87は、端末故障のような「取り返しがつかない問題」であるケースは多くなく、原因を切り分けて順番に対処すれば復旧できることが少なくありません。
本記事では、E87を大きく「待つべき一時制限(スロットリング寄り)」と「直すべき接続・端末・設定要因」に分類し、最短で復旧するためのチェックリストと手順を提示いたします。
あわせて、再発防止、再インストール前に守るべきこと、Steamサポートへ相談するときに迷わない準備も整理いたします。
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SteamエラーコードE87とは何か
E87が出やすい場面
E87は主にサインイン(ログイン)処理の途中で発生しやすいエラーとして知られています。典型的には次のようなタイミングで発生します。
Steamクライアント起動直後にログインを試みたとき
パスワード入力やSteam Guard(認証コード)入力後、サインインが完了しないとき
何度もログインを試し、一定回数失敗を重ねた後
回線を切り替えた直後、VPNを使った直後、社内・学内ネットワークに接続した直後
スマホアプリでは入れないのに、ブラウザでは入れる(またはその逆)といった「経路差」があるとき
重要なのは、E87が出たからといって即座に「アカウントが永久に停止された」「PCが壊れた」といった状態を意味するわけではない、という点です。
ただし、ログインに絡むエラーである以上、アカウント保護(乗っ取り・不正アクセス)の観点も同時に持つ必要があります。後半ではこの点も具体策として触れます。
一時制限と接続トラブルの違い
E87に対処するうえで、最初に理解しておきたいのは「E87という同じ表示でも、原因が複数ある」ということです。実務上は、次の2系統に分けて考えると、無駄な操作が減ります。
A. 待つべき一時制限(スロットリング)寄り
短時間にログイン試行が増えた
認証コードの入力ミスなどで失敗を繰り返した
同一回線・同一端末からの失敗が継続した
この場合、短時間で連続試行すると「さらに失敗回数が積み上がる」可能性があり、連打が逆効果になり得ます。
B. 直すべき接続・端末・設定要因(環境起因)
回線不安定、DNSの不整合、ルータ側の問題
VPN/プロキシ、ファイアウォール、セキュリティソフトの遮断
Steamクライアント側のキャッシュ不良、更新未適用
この場合は「待つ」だけでは改善しないことが多く、切り分けと設定の調整が必要です。
E87対策の最大のポイントは、「いま自分がAなのかBなのか」を短時間で判定し、Aなら試行回数を抑え、Bなら原因に近い順に対処することです。
SteamエラーコードE87の原因を切り分ける
ここでは、E87発生時に最優先で行うべき「切り分け」を、迷いにくい順番で提示いたします。
この工程を省くと、再インストールなどの重い手段に先に手を出してしまい、時間を浪費しがちです。
サーバー側かを確認する
まず確認したいのは、Steam側のメンテナンスや一時的な障害など、ユーザー側でどうにもできない要因です。判断材料は次の通りです。
自分だけでなく、周囲(友人・SNS・コミュニティ)でもログイン不調報告が多い
PCでもスマホでも同様にログインできない
回線を変えても同様にログインできない
いつも問題ない環境で突然発生し、同様の症状が複数端末で起きる
サーバー側が疑わしいときに最も大切なのは、無駄な再試行を重ねないことです。
特に、パスワードを変えたり、ログインを連打したりすると、状況によっては一時制限を助長する可能性があります(もちろん、セキュリティ上の危険が疑われる場合は別で、後述の「アカウント保護の観点で見直す」に従ってください)。
この段階では、後述の「待機が有効なケースの進め方」も視野に入れつつ、次の切り分け(経路差と回線差)に進みます。
PC・スマホ・ブラウザで挙動を比べる
次に、ログインする経路を変えて挙動を比較します。これが非常に強力です。
「どれか1つだけ入れる」なら、サーバー全体問題である可能性が下がり、環境要因の解像度が一気に上がります。
下表のように見てください。
| テスト | 操作 | 何が分かるか | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| ブラウザログイン | PC/スマホのブラウザでSteamにサインイン | WebはOKなら、クライアント要因の可能性 | クライアント手順(キャッシュ等)へ |
| PCクライアント | Steamアプリでログイン | アプリ固有の不具合か、ネットワーク/端末か | 回線差の確認へ |
| モバイルアプリ | Steamアプリ/Steam Guard | 認証や端末条件の影響 | 時刻同期・認証設定の見直しへ |
| 別端末 | サブPCや別スマホ | 端末固有か、アカウント/回線か | 端末要因が濃厚なら設定調整へ |
よくあるパターンとして、「ブラウザは入れるのにPCクライアントは入れない」があります。
この場合は、回線やアカウントよりも、Steamクライアント側のキャッシュ・更新・通信遮断が疑われます。逆に「どの経路でも入れない」なら、サーバー側か、回線側か、一時制限寄りを疑います。
回線とVPN・プロキシの影響を確認する
次に、最も短時間で決定打になりやすい「回線差」の確認です。
おすすめは、自宅Wi-Fi → スマホのテザリング(携帯回線)に切り替えるテストです。これだけで次のように切り分けできます。
テザリングでは入れる:自宅回線(ISP/ルータ/DNS/遮断設定)側が濃厚
テザリングでも入れない:一時制限(待機)やアカウント側、サーバー側を疑う
また、VPN/プロキシを使っている場合は、切り分けの観点からは基本的に「まずOFF」が推奨です。
VPNは利点もありますが、ログイン処理は「接続元情報」「通信の安定性」に影響されやすく、トラブル時には不確実要因になりがちです。まずOFFで検証し、改善するなら、以降はVPNを必要時だけ使う運用に寄せると再発が減ります。
社内・学内ネットワークの場合は、そもそも外部サービスに対する制限があることがあります。可能であれば、回線を変える(自宅・テザリング)ことで「ネットワーク制限が原因だった」と早期に確定できます。
SteamエラーコードE87の直し方を順番に試す
ここからは、成功率・安全性・所要時間の観点で「おすすめ順」に具体手順を提示いたします。
途中で解消した場合は、先へ進む必要はありません。
まず試す一次対応チェックリスト
E87が出た直後に、まずはこの範囲を実行してください。所要は概ね5〜10分です。
Steamクライアントを完全終了する(タスクトレイに残っていないか確認)
PCを再起動する(スリープ復帰直後は通信が不安定なことがあります)
ルータを再起動する(電源を抜いて30秒→差し直し)
VPN/プロキシをOFFにする
セキュリティソフトの通信遮断ログを確認(Steam関連のブロックがないか)
ブラウザログインを試し、経路差を確認する
可能なら回線を切り替え、テザリングでログインできるか確認する
このチェックリストの狙いは、(1)一時的な通信詰まりの解消、(2)回線差による確定、(3)クライアント固有問題の把握、の3点です。
ここで改善する場合は、原因が「一時的な通信不調」または「軽微な端末側不整合」である可能性が高いです。
ネットワークを整える手順
一次対応で改善しない場合、次はネットワークの整備に進みます。ここは比較的安全で、効果が出ることも多い領域です。
別回線でログインを試す(最優先)
自宅Wi-Fi→テザリング、会社/学校→自宅、など。
ここで成功するなら、元回線の問題が濃厚です。以降は元回線の見直しが中心になります。
DNSキャッシュを更新する(Windows)
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下を実行します。
ipconfig /flushdns
DNSの不整合は、サイト閲覧はできるのに特定サービスが不安定、という形で出ることがあります。
PCの時刻同期を確認する
認証系の処理は時刻ズレの影響を受けることがあります。
Windowsなら「日付と時刻」設定で自動同期を有効にし、必要に応じて今すぐ同期します。スマホでも同様に自動設定が基本です。
ルータ側の制限を疑う(可能な範囲で)
ペアレンタルコントロール、フィルタリング、過度なセキュリティ設定がある場合、通信がブロックされることがあります。
ただし、闇雲に設定を変えるのは推奨しません。回線差テストで「元回線だけダメ」が確定してから、必要最小限で見直してください。
クライアント側を整える手順
「ブラウザは入れる」「別回線では入れる」などが確認でき、クライアント側が疑わしい場合はこの手順です。
ポイントは、軽い操作から順に行うことです。
Steamクライアントの更新を確認する
古いバージョンのまま長期間更新されていない場合、認証や接続処理で不整合が起きることがあります。
可能ならクライアントを再起動し、更新の適用を確認します。
ダウンロードキャッシュをクリアする
Steamにはキャッシュを削除する導線があります。
キャッシュ不良があると、ログイン後の挙動だけでなく、ログイン処理自体が不安定化するケースもあります。
ファイアウォール・セキュリティソフトの例外設定を確認する
「ブロックログ」がある場合は、Steam関連の通信が遮断されている可能性があります。
一時的に無効化して切り分けをしたくなりますが、セキュリティ低下を招くため、まずはログ確認と例外設定の検討を優先してください(企業PC等では管理規定に従ってください)。
同時ログインやバックグラウンド動作を整理する
サブPC・別ユーザーで同一アカウントを頻繁に切り替えている場合、ログイン試行の失敗が積み上がりやすくなります。
使っていない端末ではログアウトし、まずは1台で安定してログインできる状態を作ると改善しやすいです。
待機が有効なケースの進め方
E87が「一時制限寄り」の場合、最も避けたいのは短時間の連続再試行です。
対処の基本方針は次の通りです。
ログイン試行を止める(連打しない)
間隔を空けて再試行する(例:30分→1〜2時間→半日)
待機中にやることは「回線差テスト」「端末時刻同期」「VPN OFF」など、試行回数を増やさない切り分けに限定する
さらに、待機が有効かどうかを判断する簡易基準として、次の見方ができます。
別回線でも入れない:待機の優先度が上がる
別回線なら入れる:待機よりも回線側の問題として扱う
ブラウザなら入れる:待機よりもクライアント側の問題として扱う
つまり、待機は「何もせずに祈る」のではなく、切り分け結果に基づく戦略的な選択肢として位置付けるのがポイントです。
SteamエラーコードE87が直らない時の対処
ここまでで改善しない場合は、アカウント保護と「手段の強さ」を一段上げます。ただし、闇雲に強い手段へ進むのではなく、目的を明確にして実施します。
アカウント保護の観点で見直す
E87はログインに関係するため、「単なる不具合」と決めつけず、不正アクセス兆候がないかは必ず確認してください。チェック観点は以下です。
見覚えのないメール通知(ログイン、認証、パスワード変更など)が届いていないか
Steam Guardの認証コードが頻繁に要求される、または身に覚えのない端末名が表示される
端末のマルウェア感染が疑われる挙動(突然の広告、ブラウザ拡張の増加など)がある
不正アクセスが少しでも疑われる場合は、次の優先順位で対処してください。
パスワード変更(可能なら別端末・別回線から)
メールアドレスや電話番号の復旧手段が最新か確認
Steam Guard(2段階認証)を有効化・再設定
他端末からのログアウト(可能な範囲で)
PC自体のセキュリティチェック(OS更新、ウイルススキャン)
これにより、ログイントラブルを直すだけでなく、同時にリスクを下げられます。
再インストール前に守るポイント
再インストールは、クライアント不良をまとめて解消できる場合がありますが、実施前に守るべきポイントがあります。
特に「ゲームの再ダウンロードが膨大」「セーブや設定が心配」という不安を抱えやすいため、以下を必ず確認してください。
再インストール前チェックリスト
steamappsフォルダをバックアップ(ゲームデータの再取得負担を軽減)userdataフォルダをバックアップ(設定・一部データが含まれる場合あり)クライアントをアンインストールした後、残存フォルダの扱いを慎重に判断する
再インストール後、ログイン試行は1回ずつ行い、連打しない
可能なら、再インストール前に「ブラウザログイン可否」「回線差」を再確認し、再インストールが本当に有効な状況か確認する
再インストールは、あくまで「クライアント固有問題の可能性が高い」と確定してから行うほど成功率が上がります。
切り分けが曖昧なまま実施すると、復旧しないうえに時間だけが消費されやすい点に注意してください。
Steamサポートへ相談する準備
サポートへ進む場合は、先に情報を揃えておくと往復が減り、解決までが短くなります。以下のテンプレをそのまま使える形で整理します。
問い合わせ準備テンプレ
発生日時:例)2025/12/15 21:30(日本時間)
発生端末:Windows 11(PCクライアント)、iPhone(モバイル)など
ログイン経路:PCクライアント/ブラウザ/モバイル(該当するもの)
回線:自宅光回線(Wi-Fi)/テザリング(携帯回線)/社内LANなど
VPN/プロキシ:使用あり(OFFにしても再現)/使用なし
表示文言:エラーコードE87、表示メッセージ(可能ならスクリーンショット添付)
実施済み対処:
Steam完全終了・PC再起動
ルータ再起動
別回線(テザリング)で検証
キャッシュクリア
時刻同期確認
セキュリティソフトのブロックログ確認
など
このように整理しておくと、「どの段階で何が起きているか」を相手に明確に伝えられ、必要な追加質問も減ります。
SteamエラーコードE87を防ぐ設定と習慣
E87は一度解消しても、運用次第で再発する可能性があります。ここでは、再発を避けるための現実的な習慣をまとめます。
ログイン試行の扱い方
ログイン系エラーは、失敗時に焦って連打しやすいのが最大の落とし穴です。次を徹底すると、再発リスクが下がります。
パスワードが曖昧なときは、推測で連打しない(先にパスワード再設定へ)
認証コードは落ち着いて入力し、入力ミスを減らす(コピー&ペーストの活用も検討)
失敗が続く場合は、一定時間空ける(短時間連続試行を避ける)
端末を変えたり回線を変えたりして、「失敗回数を積み上げる」方向の行動を避ける
この運用だけで、「一時制限寄り」のE87が起きにくくなることが多いです。
認証と端末管理
ログインエラーの一部は、認証や端末切り替えの運用に起因します。
Steam Guard(2段階認証)を有効化し、復旧手段(メール・電話番号)を最新に保つ
共用PCでのログインは避け、やむを得ない場合は都度ログアウトする
端末を頻繁に変える運用(PC→スマホ→別PC)を減らし、まず「主要端末」で安定運用する
OS更新を遅らせない(特にセキュリティ更新)
「便利さ」と「安全性」のバランスを取りつつ、認証周りが不安定になりにくい状態を作ることが重要です。
回線環境のベストプラクティス
回線に起因するトラブルは、発生すると切り分けが難しくなりがちです。次の運用が有効です。
企業/学校回線では制限があり得る前提で、問題が出たら早めに回線を切り替えて検証する
VPN/プロキシは必要時のみ使用し、ログイン時はOFFで安定させる
ルータの再起動やファームウェア更新など、基本的な保守を定期的に行う(可能な範囲で)
特に「テザリングで改善する」場合は、元回線の問題である可能性が高いため、ルータ設定・DNS・遮断設定の見直しが再発防止に直結します。
SteamエラーコードE87のよくある質問
どれくらい待てばよいか
一時制限(スロットリング)寄りの場合、明確な「必ず◯分」という固定値は示しにくいです。
ただし、経験則としては「短時間の連続試行を止め、数十分〜数時間の間隔を空ける」ほうが改善しやすい傾向があります。
目安としては以下の運用が安全です。
まず30分空ける
ダメなら1〜2時間空ける
それでもダメなら、半日程度は試行回数を抑えつつ、回線差テストや時刻同期確認など、試行回数を増やさない切り分けを行う
そして、待機を選ぶ前に「別回線でも入れないか」を確認すると、待機が妥当かどうかの判断精度が上がります。
ブラウザは入れるのにアプリは入れない
この場合は、サーバー側の全面障害よりも、クライアント側(Steamアプリ)が疑わしい状況です。優先順位は次の通りです。
Steamクライアント完全終了→再起動
クライアント更新の確認
キャッシュクリア
セキュリティソフト/ファイアウォールの遮断確認
それでも不可なら再インストール(バックアップを取ってから)
また、回線差(テザリングで改善する等)がある場合は、クライアント問題に見えても回線要因が混ざっている可能性があるため、「経路差」と「回線差」を併用して切り分けるのが確実です。
パスワード変更が効かない時はどうするか
パスワード変更は有効な対策の一つですが、E87が「一時制限寄り」または「回線・遮断寄り」の場合、パスワードが正しくてもログインできないことがあります。
このときにやるべきことは、次の順番です。
まず回線を変えてログインできるか確認する(テザリングなど)
VPN/プロキシをOFFにする
時刻同期を確認する(端末の時間がズレていないか)
連続試行を止め、間隔を空けて再試行する
不正アクセスが疑われる場合は、認証(Steam Guard)を含めてアカウント保護を優先する
それでも解消しない場合は、サポートへ相談する(準備テンプレを活用)
「パスワードさえ変えれば必ず直る」とは限らないため、切り分けの順序を守ることが最短になります。